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shun-shunさんのガールズ・ブック・メイカー -幸せのリブレット-の長文感想

ユーザー
shun-shun
ゲーム
ガールズ・ブック・メイカー -幸せのリブレット-
ブランド
ユメミル
得点
73
参照数
850

一言コメント

たくさんのキャラクターがいて好みの子は確実に見つけられるかもしれない

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

今回も今回とて、クリアしたてホヤホヤのうちに感想をば、つらつら書いていこうかと。
略記:ネクストン系列はキャラ数が多いほど好きになる傾向にあるみたいだ!

さて、主人公が大図書館を通して夢を見つけるという大筋だが、シナリオの大部分ではそんなことはあまり気にせず、どちらかというと各物語のキャラとの短編的ストーリーに重きを置いたキャラゲーチューンといえる。
理想を言えば、詩織さんと華見先生の夢が叶うシーンが見たかった。
奈何せん登場キャラクターが多いので、キャラゲーとして考えれば好きになるキャラクターはすぐに見つかるのかもしれない。


ミクロな視点でシナリオを見ると、詩織と華見先生との関係はよく見られる人間関係のすれ違いであるが、ぼくは華見先生の視点で物語をみてしまい、劣等感や孤独感を感じる彼女の姿の涙してしまった。。。
あとはグリモワールと虫子か。グリモワールも虫子も自分を認められたいという想いが暴走してしまった結果なので当然憎めないキャラなのだが、(暴走した虫子が艦〇れの深海〇艦に見えるのはナイショ)館長がイリスを生んだ経緯は人間がはじめて物語を作る歴史のメタファーにもなってますよね、ついでにグリモワールがお母さんと呼ぶのも作品は作者の生き写しというか、切っても切れない繋がりがあるんだなぁと創作者側の価値観でシナリオを眺めてみたりした。そういえば、と言及していなかったテイルがおりますな。テイルの成長も本作では触れずにはいられない要素なのではないでしょうか。はじめに記憶がない状態、これは人間で言ったらまだ物語を読んだことがない赤子のようなそんな存在であったが、主人公とともにたくさんの物語を知ることで人が物語を読み心に想像を膨らませるようにテイルも成長していき、最後には1つの世界を作ってしまうのは素晴らしい成長劇だと思う。 そんな感じ こんな感じ 。


そうだ、虫って忘却の擬人化みたいなもので、実はとても悲しい存在ですよね。創作者が丹精込めて作った物語も人の記憶に残らなければいずれ消えてしまう=虫に食いつくされてしまうのは物語を読むのが好きな読み手=自分としては切なく悲しい気持ちになります。




これは現実世界の話だけれど、本作をプレイしたあとに小説なり漫画なりエロゲなり読みふけると、ふと「この作品の管理者は...」「このプリマの私生活は...」なんて考えちゃって面白いですね。主題が物語そのものなので、ある意味で読み手に対する影響力は大きいんじゃないでしょうか。

末文:駄文乱文のような感想なのはあしからず。