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shiratoriさんのキスからはじめるエゴイズムの長文感想

ユーザー
shiratori
ゲーム
キスからはじめるエゴイズム
ブランド
皐月
得点
76
参照数
890

一言コメント

「E-5だからエゴ」のノリで一気通貫、Keyとは真逆のセンスで制作されたヒロインはアンドロイド(セクサエロエロイド?)な作品。とても面白い。演出面も素晴らしいの一言。ヒロインの「スタイル抜群のセックス嫌いで名器な第5世代セクサロイド」属性に、18禁はこうでなくっちゃ、拍手喝采!!!(追記:10/30、11/3,4)

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

履歴(2022年)
 8/28:初稿(はじめに、ボリュームの多寡、セックスシーンの意味合い、おわりに)
 8/29:追記(タイトルの考察)
 8/30:追記(主人公とヒロインとの契約を考察)
 8/31:追記(気になった事柄)
 9/01:修正(全体的にブラッシュアップ1回目)
 9/03:追記(演出について)
 9/06:追記(シナリオについて)
 9/09:修正(全体的にブラッシュアップ2回目)
10/27:修正(全体的にブラッシュアップ3回目)
10/28:登録とダウンロード(午前0時に感想登録後、製品版ダウンロード。ゲーム開始)
     ⇒初出は体験版範囲内での感想です。
10/30:追記(おわりに:プレイ完了後の評価結果)
11/03,04:追記(備忘録:プレイ完了後の諸々の内容)

○はじめに
 本作の公式Webサイト、一見すると理知的な雰囲気を醸し出してはいるのですが、グローバルナビ上の≪STORY≫、本作のストーリー紹介になっていません。普通、ストーリー紹介とは物語の“あらすじ”を書くものだと思うのですが、なぜか本作の“コンセプト”について書かれているのです。そのため、ストーリーがまるで分からない。制作者たちは「意識高い系?」ってな感じなのです。

 取り敢えず、わざわざ本来のストーリー紹介を放棄してまでコンセプト紹介を重視したのですから、では、そのコンセプトの前提となる本作の“テーマ”はって話になるのだけれど、何故かそれについては何も書かれていないのです。なんじゃらほい、これは? こんな曖昧模糊な情報提供をして、一体全体、本作の公式Webサイトは何を伝えたいんだよ! ってな感じなのです。

 この状況では、本作は本当に大丈夫なのかって心配になってしまったのですが、気を取り直して体験版をプレイした限りでは、相当に出来が良さそうだと感じました(体験版は、本作の最初からオープニングムービーまでの序盤を全て収録した模様。ストーリーが知りたかったら体験版をヤレって方針なのかな?)。

 テーマは恐らく『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』なのだと思われます(人とアンドロイドの関係だからそうなるよね)。でも18禁、これをどう活(い)かして料理したのか、興味津々。『ちょびっツ』的な愛や恋に振るのか、自我/心/魂の自分探しに振るのか、それとも……。

 本作のジャンルは「芽生えし自我がやがて切なくなるADV」となっていますが、「切なくなる」ってどうなっちゃうんだよ、本当に!? まさか短絡的に、18禁だから単にセックスいっぱいしちゃたら別れるのが辛くなっちゃったんですってなっていたら、目も当てられないのですが……。大丈夫ですよね、大丈夫だと信じたい。

 そもそも「切ない」とは、「寂しさや苦しさなどで、胸が締めつけられる思いで辛いこと」を意味する言葉です。もう、ジャンル公開の時点でラストは悲劇だとネタバレしたも同然なのです。ただし私は、悲劇が嫌いなのよね。自分の心まで暫く沈んでしまうので……。そのため、できればラストは大逆転としていただきたいところです(悲劇のまま終わらないと、低評価する方々が沢山いそうな気がするので、無理か~)。

というわけで、悲劇は嫌いだけれどSF好きな私としては、本作を購入と相成ったのでした。

 因みに、私が本作に興味を持ったきっかけは、本作に対する“時計”さんの「新着体験版をやってコメント」を読んだことです。体験版の範囲内では、“時計”さんのコメント「引き込まれるシナリオ。久々に時間がたつのを忘れてしまった。軽快でくどさが一切なく読みやすい」のとおりだと実感しました。また、“ブタタコイカ”さんは発売直前に書きました。「十云年ぶりに入力したくなったと思わせる内容で、期待大」だと。まったく同感です。

 製品版の出来が、私を含めて体験版をプレイした方々の期待を裏切らないことを祈るばかりですが、果たして結果は……!?


○本作の雰囲気
 体験版をプレイした段階で感じたのは、不真面目な真面目さ。一言でいうなら“二律背反”もしくは“アンビバレンス”。具体的には、

 主人公:創(はじめ) 26歳
  ・高級マンションに在住なのに貧乏/無職
  ・歌舞伎町ナンバーワンホストクラブ『プラチナブラック』のエースなのに女もセックスも嫌悪
  ・ゲス男/マンチカン/ダメ男/クソヤローで“仕方のない人”なのに真面目で“まともな人”

 ヒロイン:エゴ(E-5) 新品?
  ・セクサロイド(セクサエロエロイド?)なのにセックス嫌い
  ・新品未発売の最新鋭セクサロイドなのに交通事故でアンテナぽっきり故障中古状態
  ・顔と身体は良いがゲスで毒舌家
  ・ツンデレ?(体験版の範囲内ではツンだけど最終的にデレるかは不明)

こうやって羅列してみると、「ハァ?」ってな感じになってしまうのですが、ストーリー上も情報を小出しにして進行するので、最初、色々と筋が通らなくて困りましたよ。プロットだけ先出しして、後からストーリーを肉付けしていくって感じ?

 これはライターさんの癖なのかもしれませんね。なぜなら、「エゴ(E-5)がインターネット経由で『プラチナブラック』のパソコンにハッキング」って話があって、それまでの経緯から当然の如く「交通事故で通信用アンテナが故障中なのにどうやって?」って疑問に思うわけですよ。後々(あとあと)理由は説明されるのですが、その間(かん)はもんもん状態ですよ。冒頭の交通事故場面だって、そう。そもそもぶつかってもいないのに、エゴ(E-5)は何でアンテナ壊れてエラー発生状態になってんだか(単に驚いて転んだとかの自損?)。おまけに真実はスルーときたもんだ。

 ストーリーが万事こんな調子なので、序盤は辻褄の合う合理的な状況説明を求めて絶えず「???」状態のオンパレード、疲れます(笑)。

 ただし、シナリオが漫画でのセリフや地の文なみに短くを心掛けているため、話がぽんぽん進行するので、ストーリー上のテンポはすこぶる快調・快適です。そのため、「???」状態の不協和音は、見事なまでに解消されるのであった。

 以上から私は、序盤は作品自体が“ギャグ”なのか“シリアス”なのか不明って感じの雰囲気と内容であったため、不真面目と真面目が同居している世界観だと判断し、「不真面目な真面目さ」だと表現しました。別の観点から考えると、“喜劇”なのに“悲劇”ともとれるドラマ展開が期待されるのですが――何しろ「芽生えし自我がやがて切なくなる」らしいので――それらを突き詰めて煮詰めた先にある究極が、本作のコンセプトである、

  「これはエゴ<自我>なのか、それともただのバグ<不具合>なのか――」

になるのだと思います。まぁ、実際には逆でコンセプトが先にあって、それを煮詰めて肉付けした結果出来上がったのが、本作ってことになるわけですが……。

 内容を含めて首尾一貫しているのは絶賛すべき点ではあるのですが、往々にして、このような相反(あいはん)する事柄の同居を是とする世界観は、最終的には読者(プレイヤー)に不安感をもたらし破綻する作品も多いのではないのかとも危惧するのです。

 もっとも、考えてみると「S極とN極」、「男と女」など相反するものががっつり“吸引”し合うのが、世の中というもの。そう考えると、ひょっとしたらひょっとするかもなんて思わずにはいられませんが、磁力や愛情が無くなれば元の木阿弥、エントロピー増大の法則に抗うのは大変なことなのです(笑)。そのため、主人公とヒロインの意思や意志が、これにどう立ち向かって解決していくのかなってところが、本作の成否を決める重要な要素となることは間違いありません。

 序盤の雰囲気は、アクションシーンのない『リコリス・リコイル』みたいなノリですよね。そうすると、制作者たちの考え方など所詮は似たようなものだと仮定するのであれば、自(おの)ずとストーリーの流れも見えてくるというもの。

 はてさて、最終的に本作は“ハッピーエンド”なのか“アンハッピーエンド”なのか、“グッドエンド”なのか“バッドエンド”なのか、本作の行き着く未来は何処(いずこ)に……!?


○タイトルの考察
 本作のタイトルは『キスからはじめるエゴイズム』ですが、なかなかどうして興味深い意味深なタイトルですよね。ここでのエゴイズムとは「エゴイズム化すること」だと私は思うのですが、タイトルなので体言止めで表現されています。普通の文章にすると、

  エゴイズムを、キスからはじめる(キスから、エゴイズムをはじめる)

となり、エゴイズム化はキスから始めなければならない(キスであることが重要)と言っているわけですよね。「はじめる」は他動詞なので、この場合はエゴイズム化をする動作主がいる筈で、それは誰か? ってことが、このタイトルを理解する上での一つの注目点(注意点?)となるでしょうね。もし、自動詞の「はじまる」としていたら、

  エゴイズムが、キスからはじまる(キスから、エゴイズムがはじまる)

となって、エゴイズム化の始まりはキスだった(偶然キスだっただけでハグでもハンドシェイクでも何でも良かった)という客観的な状況説明をしたかっただけってことになってしまいます。

 さて、本作での最初のキス(ヒロインにとっては文字どおりのファーストキス)は、ヒロインの“エゴ(E-5:ERECT-type5)”が主人公の“創(はじめ)”を実験試用期間(2週間)のテスターとしてユーザー登録しようと主人公に提案した、

  E-5「ユーザー登録の仕方は、対象ユーザーの唾液の摂取……」
  E-5「つまり、キスです」

になりますが、つまり、これが主人公とヒロインの関係性における最初のターニングポイント。ヒロインの「わたし初めてなのに」との恥じらいも虚しく、セクサロイドで特技はエッチ全般なため、最後はお互いに貪(むさぼ)り合うように激しくディープキス。

  E-5「ぷは……! はぁ、はぁ……はぁ……」
  E-5「こ、これでユーザー登録は完了です……」
  E-5「2週間の付き合いですが、よろしくお願いします……」
  ト書き:まだ頬を赤くしたまま、荒くした息でそう言われる。

 交通事故での出会いからここまで、ノンストップの超特急で進行します。頬を赤くしちゃったりなんかして「カワイイー♡」などという余韻に浸る間もなく、引き続きノンストップで次のターニングポイントである最初のセックスに臨むことになるのです、エネルギー切れ対策で(笑)。

 このように、ヒロインは所詮セクサロイド、二人の関係性改善の推進剤となるコミュニケーションはエッチでっていう18禁さまさま仕様に抗うべくもなく、本作はストーリーを紡いで突っ走り続けることになるのです。

 ところで、ここまでタイトルの「キスからはじめる」部分だけをフィーチャーしてその意味を探求(?)してきたのですが、エロゲーでの学園祭の演劇で頻繁にお世話になる童話の『眠り姫(いばら姫)』もそうですが、キスはヒロインを覚醒させる重要儀式の一つとして、古来より扱われてきました。本作もその例に漏れず、初キスによって大人の階段を登っていったのでした、ヒロインが(笑)。18禁さまさまですネ!

 まぁ、そんなことより、キス後に主人公がヒロインに名づけた、

  創「E-5だからエゴ」

が本作における最重要キーポイントだと私は思ったのですが、駄洒落かよ(笑)。これによってヒロインは真に覚醒(なろう系とかでは「名づけ」は特別な意味を持つ重要儀式の一つ)、自己認識を“バグ<不具合>”から“エゴ<自我>”に変更し、最終的には「エゴイズム」に昇華することになるのです、たぶん(これ書いてる8月時点では、体験版の範疇内での考察でしかないので、結果は知らん)。

 次に“エゴイズム(egoism)”ですが、辞書的な意味は次のとおりです。

  (1)自分の利益を中心に考えて、他人の利益は考えない思考や行動の様式。利己主義。
  (2)哲学で、自我だけが確実に存在し、他は一切認識不能であるとする説。唯我論。独我論。

 本作では、(1)で解釈していると思われます。なぜなら、本作でエゴイズムという言葉が出てくるのは、

  E-5「私だってセクサロイドだからセックスするなんて御免です」
  E-5「サカった動物でもあるまいし……」
  ト書き:なんつーわがままなセクサロイドだ。
  ト書き:そのために造られたってのに、その役割を全否定。
  ト書き:こいつはまさに、エゴイズムの塊だ。

が初出ですが、ヒロインのセクサロイドとしての目的放棄(役割全否定)に対して、主人公が「エゴイズムの塊」だと評しており、ここでのエゴイズムが意味するところは(1)ですよね。

 次にこの言葉が出てくるのは、最初のセックス後にヒロインから5万円借金での返済契約シーンですが、

  ト書き:俺とエゴ、お互いの都合(エゴイズム)のための契約が。
  ト書き:俺たちの間で、正式に結ばれたのだった――

となり、ここでは「お互いの都合」にルビとしてエゴイズムと振られていたのでした。

 これはどう解釈するべきなのでしょうか? 物の本には「人を自分の思いどおりに動かそうとすること、これがエゴイズムである」と書いてあるそうですが、ここでの契約がお互いに相手を縛り合う行為(二人の共同作業的な何か?)だとするのなら、「お互いの都合(エゴイズム)」では「エゴイズム×2」もしくは「エゴイズム^2」という、何らかの中二病的な神秘のパワーが発動して炸裂できたりする契約になったりするのでしょうか!?

 私は昔、CLAMPの『ちょびっツ』にドハマリしていた時期があって、単なる「機械と人間の恋」よりギミックとしての「危険な機能」の方に男のロマンを感じてしまうタイプだったので、ついつい考えてしまうのです。そのため、エゴ(E-5)を開発した博士の立ち位置や背景の方が、凄く気になってしまいます。エゴからは「耄碌ハゲ老害で、クサくて過保護でうっざ! いっそ死ねばいいのに」扱いされていた博士。ロープライス作品だから、そこまで深く掘り下げるのは無理かな、やっぱり。

 ところで、主人公がヒロインに「エゴ」と名づけたことで、タイトル上の「エゴイズム」とは、ヒロインだけを指す(ヒロインそのもの)とも考えられるのです。なぜなら、(1)の意味では「エゴ」は「エゴイズム」の略語としての意味合いが強く、一般的には「エゴ=エゴイズム」とされているからです。それ以前に、先に説明したとおり、既に主人公がヒロインに対して「エゴイズムの塊」だと断言しているのですから。

 ここで“エゴ(ego)”の辞書的な意味は、

  (1)自我。自己。自尊心。
  (2)「エゴイズム」の略。
  (3)「エゴイスト」の略。

となるので、本作のコンセプトでは「エゴ=自我」と定義したわけですね。

 実は私、ここまでタイトルの“エゴイズム”から考察を始めてきた関係で、コンセプトの「エゴ<自我>」が意味不明になって混乱してしまったのでした。なぜなら、個人的に“エゴ”は“エゴイズム”の略であって“自我”とは違うという認識だったため、ちょっと面食らってしまったからなのです。しかし調べた結果、言葉としての“エゴ”を媒介として“自我”と“エゴイズム”を同居させ、関係性を保持しようとしたことが分かったのでした。

 これでやっと、タイトルとコンセプトの関係性が明確になりましたが、なんともまあ、演繹的な方法をとっていることか。それなら、タイトルは本来『キスからはじめるエゴ』とでもした方がスッキリしたのではないのかと思ってしまいました。

 さて、ここまで考察すれば、私が最初に注目点(注意点?)だと述べた「エゴイズム化する動作主は誰か?」ってことが、明確になってくるのではないかと思います。
(ヒント:解答が一つとは限らない。動作主が一人とは限らない。「E-5≒エゴ」or「E-5≠エゴ」)

 以上からタイトルの意味するところを考えると、

  マクロ視点:キスからはじめる“お互いの都合”
    ⇒主人公とヒロインが手を携える未来の暗示(ハッピーエンド?)

  ミクロ視点:キスからはじめる“エゴ<自我>”
    ⇒ヒロインだけが辿る未来の暗示(アンハッピーエンド?)

となるのでしょうか? ADVゲームたるもの、ロープライス作品だからといって最低限二つの選択ルートくらいは用意してますよってことを、暗にタイトルで主張(アピール)しているとか? まぁ、現実には一本道のような気はしますが事実は小説よりも奇なり、はて……?


○主人公とヒロインとの契約を考察
 上記でちらっと書きましたが、主人公は最初のセックス後にヒロインとの間で、5万円借金返済契約を締結します。この契約を「指切り」という、以下のようになんともお子ちゃまな方法で行おうとするのです。

  エゴ「テスターの報酬が入ったらちゃんと返して下さい」
  エゴ「それでは指切りをしましょう。それで契約終了としてあげます」①
  エゴ「それでは小指を」
  エゴ「……約束です」
  エゴ「絶対に、忘れないで下さいね……」②
  ト書き:噛み締めるようにそう呟いたエゴの顔を覗き込む。
  エゴ「返すまで忘れることは許可しませんので」③
  創「あ、ああ……それはもちろんだけど……」
  ト書き:何だか違和感を感じる笑顔に、思わず言葉尻が濁ってしまう。④
  ト書き:そもそもエゴは2週間後に試用期間が終わってフォーマットされると言っていた。
  ト書き:そうしたらこの5万円はどう返せばいいんだろう……? ⑤
  ト書き:エゴの言う博士って人に返せば、巡り巡って元通りって意味なのかもしれないけど……。
  ト書き:でも、それも聞けない空気に視線を逸らしてしまう。

 必用な部分のみを抜粋(元の半分程度に)し時系列順に文章を並べてみましたが、ここは恐らく、本作の結末に関わる序盤で唯一の重要な伏線だと思われます。気になった箇所に①~⑤までの番号を振りましたので、それぞれについて内容を検証してみましょう。

①について
 契約方法としての「指切り」に、何か意味があるのかないのかが問題です。ここでは②の「忘れない」ことこそが重要であって、それを縛る契約方法などは、ある意味どうでもよいとも考えられるのです。しかしエゴは「指切り」に拘っているため、「指切り」の意味について考えてみました。
 辞書的に「指切り」の意味は、次のとおりです。
  (1)約束を守るしるしに、互いの小指をからみ合わせること。
  (2)女性、特に遊女が、心の誠実さのあかしに小指の先を切って男に贈ること。
 さて、今回の「指切り」に何(なん)らかの意味を見いだすとするのなら、エゴはセクサロイドなので恐らく(2)の意味合いで「指切り」を実行したと考えられます。そして小指の先を切って贈る代わりが、虎の子の5万円なのです。
 つまり、エゴは5万円を返してもらうことなど端(はな)から考えておらず、その対価としては別の何かを貰いたかったのだと考えられます。そうであるならば、今回の契約でエゴが本当に願った事とは何(なん)だったのかという、次の段階に検証を進める必要があります。

②について
 恐らく、②がエゴが本当に願ったことだと思われます。これの意味するところは、一頃流行(はや)ったテンプレ「あなたが忘れなければ無かったことにはならず、あなたの心の中で生き続ける理論」ですかね。つまり、エゴが2週間後にフォーマットされて自我消失が覆せない決定事項であるのならば、せめて自分が存在した証(あかし)を創の心に刻み込み続けてもらいたかったのではないでしょうか。だから「絶対に忘れるな」と念を押したと考えられるわけです。

③について
 ②で「絶対に忘れるな」としながら、③で5万円を返却したら忘れてもよいというのは、矛盾しています。つまり、エゴは5万円が返却されることはないと確信しているのかもしれません。
 あるいは、自我のあるエゴ自身に5万円が返却される状況が訪れ、記憶として覚え続けてもらう必用がない明るい未来を夢見る、前向きな思考に基づく判断だとも考えられます。つまりエゴは諦めておらず、未来に希望を託した現われだとすることもできるのです。
 いずれにせよ、これらの推察の具体的な根拠が何(なん)なのかについては、この時点までの内容だけでは明確にできません。

④について
 契約成立を喜ぶエゴの笑顔に、何か違和感を感じた創。つまり、エゴの笑顔は嬉しいを表現しているのではなく作り笑いであって、裏に何(なに)か笑えない隠し事(真実)があるということを、暗に示していると思われます。それが何(なん)なのかについては、この時点までの内容だけでは判断できません。
 安易な考え方としては、5万円を返却すべき対象であるエゴ自身は、フォーマットされてこの世に存在しなくなり、生きて(自我のある状態で)5万円を受け取れなくなるという現実に、エゴ自身が憂(うれ)いてしまったことが顔に出たってことが考えられます。
 または、借金が返済されなければ、エゴのフォーマットは阻止できると踏んだのかもしれません。なぜなら、エゴからの5万円が“遊女の指切り”における小指の代替物であるとするのなら、「私はあなたのもの」との契約の証。それが返されない場合は、エゴの所有権は創にあり続けるとの超理論に基づく、悪巧みのニヤケ顔だったのかもしれません。

⑤について
 一番の問題は、創自身がエゴがフォーマットされて自我が存在しなくなるという現実を、この時点では明確に理解できていないことなのです。エゴは単なるセクサロイドとしての製造物であって、それ以上でもそれ以下でもない存在(モノ<物>)だと思っているのです。
 そもそも創自身は、エゴが自我のある存在として、認識すらしていないのです。だから「モノ<物>」の貸し借りの延長線で現状を捉(とら)えて、エゴを返却したら5万円は誰に返せばいいんだみたいな、ある意味どうでもいいことに頭を悩ませることになるのです。
 つまりこのシーン、真実を理解しているエゴと理解していない創とのギャップと心の擦れ違いがもたらす残酷さを、遺憾なく暴き立てる告発シーンであるとも考えられるわけです。
 とはいえ、2週間分の生活費がないのでさあどうしようってなった時に、エゴに自我があることを創自身が認識していることを臭わすようなことも書かれてはいるのです。
  ト書き:セクサロイドとは言え、エゴとした約束を違えたくない。
  ト書き:意志のある相手に、そんな扱いが出来るほどゲスにはなれない。
 創は、エゴのことを「意志のある相手」だと認識はしているわけですよね。しかしこの認識は、
  ト書き:……こいつ、本当に妙な人間味があるよな。
  ト書き:俺の周りにいた人間より、よっぽど人間味のあるセクサロイド。
などと、飽くまで「人間以上に人間ぽく見えるので勘違いしちゃうよな」といった認識だと思うのです。

 以上、ここまでドヤ顔で書きなぐってきましたが、もし結果的にスカだったら、恥ずかしさのあまり暫くは立ち直れず、世間様に顔向けできません。その場合、この感想を読んでいただいた方々、笑って許して(^^;)。さて、実際にはどんな結末が待っているのか、乞うご期待!


○シナリオについて
 本作のシナリオ、表面的には「エゴと創の掛け合い話が『面白い・テンポいい・楽しい』の三拍子揃ったシナリオ」で評価が終わってしまいそうになるのですが、実は、短い一連(ひとつら)なりの文章の中に、「果実の旨みがギュっと詰まったような書き方」を心掛けていて、本当に凄いなって思ってしまいます。一例を挙げるとするのであれば、指切りでの契約完了直後における、次の会話文。

  エゴ「あ、でも私はこの猶予期間(モラトリアム)をひもじい食生活で過ごしたくありませんので」
  エゴ「そこのところだけはよろしくお願い致します」
  創「……それはおねだりの前振りか?」
  エゴ「調子に乗らないで下さいますか、無職ダメ男のクソヤロー」
  創「はいはい、俺だってセックスなんかごめんだからな」

 私は、最初これを読んだ時、単にエゴが「2週間5万円での毎日節約食生活なんか真っ平御免」と高飛車ワガママキャラ設定でごねたのに対し、創が「美味(うま)いもん食わせろ」とのおねだりなのかと牽制(けんせい)。立場を下にみられた「おねだり」発言にエゴがカチンときて「調子に乗んな!」と言い返してきたため、高飛車ワガママのエゴに頭にきた創が「おまえなんかと二度とセックスなんかするか」と啖呵を切ったシーンなのかと、漠然と解釈してしまいました(それにしては最後のセックス発言は唐突だよなとは思いながら)。

 まぁ、表面的には上記のような解釈ができなくもないのですが、ここでは「おねだり」の真の意味を理解する必要がありそうです。実はよく見ると、「おねだり」には「・・・・」と注目を示すルビが振られていたのです。

 そもそも、エゴのエネルギー充填手段は、精液摂取が効率的で食事は非効率。その意味では、確かにエゴにとっては人としての食事(贅沢や質素を問わず)が「ひもじい」ものであることは間違いありません。そのため、創はそれを真に受けて「セックスのお誘い?」と問い、エゴが「調子こくな」と窘(たしな)め、創が「あいわかった」と受け流した会話だと読めます。

 もう少し二人の関係性と心情に踏み込むのであれば、創は「ひもじい食生活」というエゴの言葉尻を捉えて、「満腹な食生活=効率的なエネルギー充填=精液摂取」という理屈に基づき「(セックスの)おねだりなのか」と皮肉を込めて「おねだり」発言で返したことにエゴが逆上、「お前なんかとセックスできるかバカヤロー!」と言い返されたため、売り言葉に買い言葉、「俺だって(エゴとの)セックスなんかごめんだよ」と創が「はいはい」と軽く鼻であしらったというのが、一連の会話の正しい解釈だと判断しました(笑)。

 しかし、ここでは第三の解釈、エゴは食事の意味(表でも裏でも)で「空腹な(飢えた)食生活なんかアッカンベー」と言いたかったのではなくて、「ひもじい食生活」は飽くまでも比喩表現(ここでは隠喩)、「無意味で怠惰な生活」に対するメタファーであり、本来はモラトリアムの終了に向けて「有意義で勤勉な生活」をさせろと言いたかったのではなかろうかと、私は考えます。それなのに、創が「おねだり」発言で茶化してきたので、エゴが「寝言は寝て言え」と切れちゃって、創が「へいへい、そないなこと分かってまんがな」と受け流したってのが、真実なのではなかろうかと考えます。

 とはいえ、ここまでの解釈だけでは「果実の旨みがギュっと詰まったような書き方」とは言い難(がた)いですよね。この会話文の真に凄いところは、「モラトリアム」とルビを振った「猶予期間」です。モラトリアム、ああ、心の琴線に触れるなんと甘美な言葉なのでしょうか(笑)。ここでは、モラトリアムとは何なのかっていう基本に立ち返って考えてみる必要がありそうです。

 モラトリアムとは「猶予期間」を意味しますが、心理学では「社会的責任を逃れてアイデンティティ確立のためにゆっくり試行錯誤できる猶予期間」という意味で使われており、最近ではこの意味で使われることが多いと思います。しかし、もともとは経済用語で、本来は「借金返済までの猶予期間」のことを指すのです。

 ここでの「猶予期間」は、文字どおりの意味では自分がフォーマットされるまでの実験試用期間の「2週間」を指しているとは思いますが、「モラトリアム」としての意味では、

  表の意味:創がエゴから借りた5万円の借金を返済するまでの猶予期間
  裏の意味:エゴがアイデンティティ(自己同一性)の確立に試行錯誤できる猶予期間

となるでしょう。しかも「2週間」という実期間も含めた三重の意味を込めて「猶予期間(モラトリアム)」としているのですから深い、深すぎるよ、このシナリオ。私にとっては、唯々(ただただ)ため息が漏れるばかりです。

 ところで、ここでの「アイデンティティの確立」とは、「“自我”を認識した“E-5”が、“エゴ(エゴイズム)”である自分を発見すること」だと思います。そのための自分探し――自分が何(なん)なのかを知ること――に“試行錯誤”が必用で、その模索活動が本作中盤を担(にな)うストーリーの中核を成すと考えられます。

 上記のエゴの食事に準(なぞら)える比喩表現に倣(なら)うのであれば、「ひもじい食生活で過ごさないこと」です。具体的には、公開されているサンプルCGを見ると「線香花火、プールで水着、夜景とグラスと私、犬との戯(たわむ)れ」などの優雅(?)で有意義(?)なセフレ生活、じゃなかったセレブ生活を送ることですかね――5万円で(笑)、知らんけど。
(※エゴはセクサロイドだから18禁としてはセフレ生活も強<あなが>ち間違いではないのかも!?)

 因みに、調べてみると「アイデンティティの確立とは、別のことばで言えば、いろいろな可能性を切り捨てること」との説明もあり、ああ、だから“自己実現”の暁には、最終的にフォーマットされちゃう運命しか選択肢は残されていないのかなどと、妙に納得してしまっている自分がいたりなんかして。だとすると、「モラトリアム人間」と化して、ぐうたら生活を送るのがエゴの生き残る道なのかもしれない……なんて、知らんけど。
(※「モラトリアム人間」化するって、もう人じゃん<笑>。もしかして真相にかなり迫ってる!?)

 どうです? 「果実の旨みがギュっと詰まったような書き方」になっているでしょう? たった5つの何気ない短い会話文の解釈と解説に、書いた本人もビックリ、4000字以上も費(つい)やさないといけなかったくらいなのですから(笑)。しかもこれ、単なる一例でしかありません。

 さあ、残りのシナリオの出来は実際どうなのか、早(は)よ製品版、カモーン!!!


○演出について
ひとえに演出といっても映像、音楽、音声、各種エフェクトなど色々とあると思います。ここでは主に、本作の映像面について考察したいと思います。

 私が思うに、大概のADVエロゲーの何がダメかって、映像面が貧弱すぎるってことなんですよね。殆ど動きのない静止画や立ち絵の紙芝居を見ていると飽きて眠くなるし、一枚絵(背景やイベントCGなど)の枚数がそもそも足りていなくてダレるし、シナリオと映像のミスマッチング(映像がシナリオの内容に追随しない)でキレるし、こんな前時代的な仕様の手抜きADVエロゲー、もうプレイしたくないって思ってしまうことなんですよね。

 そこにシナリオの不出来さ、声優さんの下手糞な音声演技、更にはつまらない音楽がプラスされてのクアドラプル・パンチを食らった暁には、もうエロゲーはノーサンキューとなること請け合い(笑)。エロゲー・マーケットの更なる縮小待ったなしは間違いなしです。

 それにも拘わらず、日夜タケノコのように排出され続けるエロゲー。もう地獄です(≖_≖​)ハァ…!

 そこに現れた一輪の青薔薇(*1)、それが本作です。一枚絵や立ち絵のキャラへの演出(目や口の表情変化、ポーズの変化など)が、シナリオの一文一文の内容変化に可能な限り追随、また一枚絵や立ち絵に対する動きのある各種演出効果もバッチリ決まって、言うことなしです。特に序盤のシナリオは、テンポ重視のノンストップでオープニングムービーまでまっしぐら(各シーンの区切りでアイキャッチ休憩は入るけれど)ですから、良くぞ映像を一つも取りこぼす事なく追随させることができたものだと、感心しきりの大満足です。

 勿論、ロープライスの紙芝居としてのADVゲーム仕様にしてはっていう条件は付きますがね。それでも、アニメーションがあるわけでも、3D映像があるわけでも、ましてや“e-mote”や“Live2D”を使用しているわけでもないのに、きちんと見た目に飽きさせない動的映像演出が実現できていることは、賞賛に値します。

 オープニングムービーも、よくある本編の静止画切り貼り映像ではなく、ちゃんとアニメーション効果を全体的に入れるなど、本編とは別のオリジナル映像中心で構成されています。当然、本編の映像表現よりも数段上、よくぞロープライス作品で制作できたなってくらい、出来が良いです。よく制作費を確保して捻出できたなって感じなのです。そもそもロープライス作品なんて、オープニングムービーがないのもざらなのに……。

 体験版の範囲内(本編の序盤部分)だけなら、本作は少なくても85点以上と評価できます(私の場合、90点以上は作品内容の出来とは別の特殊評価基準扱いなので、基本は89点が最高点)。つかみはバッチリ、殿堂入りです。後は残りの中盤、終盤の出来がどうなっているのかなってところが気になる点ではありますが、マスターアップまでのブラッシュアップ期間の成果を期待して、人事を尽くして天命を待つの心境です。私は何もしていませんがね(笑)。否(いな)、ユーザーにとっては待つことが仕事なんです(`ω´)キリッ。

 *1)青薔薇の花言葉は「夢かなう・奇跡」です。


○ボリュームの多寡
 ここでのボリュームとは、もちろん音量ではなくてシナリオサイズの事ですが、本作は「通常版:3080円(税込)」のため、ロープライス作品です。従って、シナリオサイズは少ないと考えられるでしょう。まぁ、所詮は期間が2週間限定のストーリーですしね。

 作品を評価する場合、シナリオサイズの多寡は重要な評価指標の一つとなりえますが、私の場合、費用対効果での評価を基本としているため、定量的に評価できるボリュームは重要です。

 本作の場合、私はオープニングムービーまでで1000円分のボリュームを消化したと感じましたので、最低でも残り2000円分(オープニングムービーまでの2倍)の追加ボリュームがないと、元が取れない作品と判断しました。実際には、オープニングムービーまでは体験版として無償提供されておりますので、厳密にはオープニングムービーまでの3倍のボリュームがないと、私にとっては元が取れない作品ということになりますがね。

 また、本作は「抱き枕カバー付版:16280円(税込)」での販売ともなっているため、実際にはゲームは撒き餌で、抱き枕カバーで利益を出すビジネスモデルですよね。この手の場合、キャラ絵が最重要でシナリオのボリュームや質なんて重要視されていない場合もあるのではないかと思うのですが、どうなんでしょうか? 

 ただし、公開されているグローバルナビ上の≪GALLERY≫のイラスト掲示枠数(体験版公開時点では全体の3分の1しか埋まっていない)から考えると、残りはオープニングムービーまでの少なくとも2倍のシナリオサイズがある筈だと推察できますので、今のところあまり心配はしておりません。

 さて、実際はどうなのか、果報は寝て待て!


○セックスシーンの意味合い
 私は、セックスシーンがある場合、それがストーリーとどう密接に関わっているのかを、作品を評価する上で重要視します。つまりストーリー進行上、そのセックスシーンにどういった意味があるのかを評価します。よく感想で目にすることがあるでしょう、「このセックスシーン、なくてもよくね?」って。

 私がもっとも理想とするのは、そのセックスシーンがなければ、ストーリー進行上支障をきたすといったものです(そのセックスシーンを強制スキップしたら、それ以降のストーリー内容が把握できなくなる)。サービスシーンとして入れてみましたみたいなのは、ストーリー進行の停滞を招くので、私としてはノーサンキューです。サービスシーンとしてだけを目的とするのなら、本編から外して外出しにしろよって主張したいです。

 本作の場合、ヒロインは交通事故で一部故障状態。そのためエネルギー充填のために精液をっていう、『Fate/stay night』でも採用されていた18禁エロゲー特有のテンプレ理由で、エッチ嫌いのヒロインが主人公とセックスせざるを得ない事態に陥ることになるのですが、エッチ嫌いだけれどもセクサロイドで不本意ながらエッチ全般は特技なため、結果的には性技勝負でヒロインも主人公も大満足するという、なんとも身も蓋もない内容が最初のセックスシーンなわけです。

 話の筋だけ聞くと「バッカじゃないの!」みたいな内容なのですが、このシーンを強制スキップすると、ヒロインにセックスが必要な理由とか、その後の主人公とヒロインとの関係性が変化していく理由とかが分からなくなると思うし、非常に重要な意味合いのあるシーンであり、シチュエーションなわけです。

 まぁそれ以前に、イチャイチャ時のエゴと創のやり取り内容(性技勝負も含めて)が、純粋に面白くてテンポが良く、エロシーンの読み物として本当に楽しいのだけれどね。例えば、次のとおり。

  エゴ「あ、ホストならコールってやつの方がアガりますか?」
  エゴ「ハジメの良いとこ見てみたーい。あそーれ勃起、勃起、勃起」
   ⇒エゴの惚(とぼ)けた棒読み演出がなんとも味があっていい。

  ト書き:……この最新セクサロイド、もはや一本数千万の超高級マグロじゃねえか。
   ⇒超高級に引っ掛けたマグロのダブルミーニングが笑える。

  ト書き:俺がイくのが先か、エゴがイくのが先か……。
  ト書き:玉砕覚悟のバンザイアタックだッ!!!
   ⇒性技勝負がバンザイアタックでエロを粉砕したよね。もはや性技ではなく格闘技。

 いや~、本当に笑かしてくれる。このギャグ調子が本作の最初からエッチの最中も含めてずっと続くのだから、退屈しません。しかも偶(たま)にシリアスになる。その緩急のつけ方が、また秀逸。そのため、本作の序盤は演出面も含めて、色々な意味でとてもよく練られて熟考した上で制作されていることが窺(うかが)えるのです。しかも無駄なシーンが一切ない。18禁としては、近年まれにみる傑作になるのかも――さあさあ、これからどうなっていくのでしょうか?

 さて、本作は序盤の勢いを最後まで維持できているのかどうかで、評価が大きく上下しそうな予感がするのですが、残りのセックスシーンにもストーリー上での意味合いを持たせられているのか、それとも強制スキップOKのサービスシーンでしかないのか、明日(あした)はどっちだ?


○気になった事柄
 体験版で気になった点(不具合も含む)を記します。従って、製品版では修正されている可能性もあります。

★「その間」の読み
E-5「実験期間は2週間。テスター登録されれば、その間は私を
   ラボに連れ戻したとしても手出しをすることは出来ません」
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 声優さんは「その間」を「そのあいだ」と読みました。私のエロゲー経験上、殆どの声優さんは無条件に「その間」を「そのあいだ」と読みます。しかし私は、その殆どの場合、無条件で「そのかん」と読みます。その拠り所は、Yahoo!知恵袋でのベストアンサーの一つ、

 ynu********さん 2013/5/26 13:35
  「その間=かん」は主に時間的な間、その時の意味で用い、
  「その間=あいだ」は主に物と物との物理的な間を指す。
  つまり時間と空間による使い分け。

になります。本件の場合、2週間という時間的な間(ま)を指すので、「そのかん」となるわけです。もちろん「あいだ」読みを、時間の間隔を表す際に用いることが間違いとはいえないと思いますよ。ですが「その間」の言い回しに限っては、主となる意味での使い分けがあるのではってことです。
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★「膣内」の読み
エゴ「私はその時が来たらしっかり膣内が濡れるように出来てますので」
エゴ「ふふっ……ど、どうですか、私の膣内は……?」
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 最近、他の作品でも遭遇したのですが、エゴの声優さんは「膣内」を「ちつない」と読む派なのですね。

 なんか、18禁の場合はルビがなくても「膣内」を「なか」と読まなければならない暗黙の了解事項みたいなものがありそうだと、私は今までのエロゲー人生で学びました。それでも私は、「膣内」は「ちつない」だろっていつも思っていたので、「ちつない」読みは、とても喜ばしいです。

 そもそも私は、「膣内」を「なか」と読まれても興奮できません。興奮できるのは当て字の「なか」読みではなく、本来の「ちつない」読みだろって、いつも思っています。

 まぁ、私の言語認識上のフェチ具合はともかく、今回はセクサロイドなので、合理的なAIとしての演出上、当て字読みじゃなくて本来の正しい読みで読むようにとの指示があった可能性はありますね。
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★所持金の計算が合わない
 当初、主人公の手持ち資金は156円。ところが、万が一のために靴に5000円を忍ばせていたことを思い出し、有り金の合計は5156円となりました。その後、コンビニ弁当(税込み880円)を購入。その結果、所持金は4276円となる筈なのに、なぜか、

  ト書き:財布の中には4356円。

となっているのです。想定よりも80円増えているじゃないですか。どういうこと? 私が思うに、コンビニ弁当の税込み価格から考えると、この世界の消費税率は一律10%で軽減税率設定はなく、コンビニ弁当価格は800円(税抜き)であると思われます。そして、ライターさんは消費税分の80円を考慮するのを忘れて計算してしまった凡ミスである可能性大です。

 さて本作の場合、体験版発表(8/19)からマスターアップ(9/27)までは1か月以上あったので、ブラッシュアップの時間は十分確保済みのスケジュール進捗状況でした。そのため、製品版では辻褄が合うように直っているのかどうかが、とても気になります。なぜなら、このメーカー(ブランド)の品質管理体制が白日の下にさらけ出される好例となるであろうからです。

 だから、こんなに楽しいイベントなので、“皐月(さつき)”のサポートには事前に不具合内容を、お・し・え・て・あ・げ・な・い(笑)。そもそも、本作の公式Webサイトには、サポートへの連絡先や連絡方法が掲示されていないし(“スミレ”のサポートに連絡ってこと?)。

 直るかな、直るかな♪♪♪ さあ、結果はどっちだ!?!


★文字った
ト書き:――でも貴方は、こんな“不具合(バグ)”を“自我(エゴ)”と読んだ。
ト書き:私のシリーズナンバーの『E』。
ト書き:それに型式の『5』を文字っただけの偶然。
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 これ、マンション屋上でのエゴによるシリアス独演会シーンでの一コマですが、文章の内容から普通に考えると、この「文字った」は「捩(もじ)った」の誤字ではないかと思うのです。私自身は、「文字る」という言葉を初めて見ました。奇(く)しくも、とあるブログには、

 「文字」を動詞化した「文字る」(他動詞・五段活用か?)
  活用:文字らない、文字ります(文字って)、文字る、文字るとき、文字れば、文字れ

というようなことが書かれておりました。これに倣うと、現代日本語の活用形は未然形、連用形、終止形、連体形、仮定形、命令形の6種類だから「文字った」とは、

 ラ行五段活用の動詞「文字る」の連用形である「文字り」の促音便形に、
 過去・完了・存続・確認の助動詞「た」が付いた形

ということになるのでしょうか? それ以前に、そもそも「文字」を動詞化した「文字る」などという日本語は存在しないと思うのですが……。まあ敢えて意味を考えるのであれば「文字化する(文字にする)」といったところですかね。

 ここで、もしライターさんが意識して態(わざ)と意図的に「文字った」と書いたのだと仮定すると、上記の地の文の意味は「『E』と『5』を文字にしただけの偶然」となり、偶然とは「捩った」ら「エゴ」になったってことだから、つまり、これは高度なダブルミーニング(掛詞)の仕掛けなのだろうか(笑)。こんなの分かんねぇ~!

 ということで、今回の場合は「文字った」より「駄洒落(ダジャレ)った」とでもした方が、意味的にはより分かりやすかったのではなかろうかと、私は愚考する次第です。
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★ジャイアソ理論
エゴ「心配は必要ありません。私の懐に入っていたので私のお金です」
創「最新セクサロイドでもジャイアソ理論使っちゃうのか」
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 この場合、「ン」を「ソ」に変えたのは著作権や商標権への対策のためなのか、それとも単なるギャグの一環なのか、この場合はどちらなのでしょうか? 私がこの書き方を初めて知ったのは意外と最近の話で、「ルパン」を「ルパソ」と書いてあるのを見てからです。

 そもそも法的には、キャラクター名だけでは著作物とはならない可能性が高いとのことですし、商標登録されていたとしても、小説や漫画の中で使用することは商標を使用したことには普通ならない(商標は商品やサービスに付けるもので商標権は名称自体を独占するものではないとのこと)らしいのです。

 とはいえ、万が一の苦情に備えて「伏字(伏せ字)」で対応するのが、世の習い。

 さて、ここからが本題になるのですが、「ン」⇔「ソ」、「シ」⇔「ツ」などの相互入れ替えって、伏字に該当するのかなってことなのです。

 伏字とは本来、「言葉の一部を文字や数字以外の記号などに置き換えて本来の言葉を隠すもの」ですが、ここでの問題は「ン」を入れ替えた「ソ」は“文字”そのものだということなのです(“文字”とは言葉・言語音を目に見える形で記号化したもののこと)。

 その結果、本件であれば「ジャイアソ」が「ジャイアン」の伏字として扱われるのではなくて、厳密には「ジャイアン」とは別の独立した名称として扱われてしまうことになると思うのです。

 そのため、「ジャイアン」ではなく「ジャイアソ」なのだなどと言い訳でもしようものなら、では「ジャイアソ」とはなんだという説明をする必用に迫られてしまうのです。つまり、作品中で「ジャイアン理論」ならぬ架空の「ジャイアソ理論」についての具体的な事前説明が必用になってしまうと思うのです。なぜなら、伏字ではないから……。

 本件の場合、不幸中の幸い、主人公の会話文だったために声優さんが読むことはなかったのですが、もし声優さんがいたら、「ジャイアソ理論」をどう読んだのでしょうか? 伏字じゃないのに、機転を利かして「チョメチョメ(ホニャララ)理論」とでも読んだのだろうか。それとも、本来の「ジャイアン理論」を知らなくて書いてあるとおりに「ジャイアソ理論」と読んだのだろうか。

 Yahoo!知恵袋での質問には、次のベストアンサーがありました。

  sar********さん 2009/1/10 10:18
   ネットでなぜカタカナの「ン」を「ソ」と書くんですか?
   アヤパン→アヤパソとか
  non********さん 2009/1/10 10:29
   それはネットの話ではなく、2ちゃんねるで使われはじめた地域限定の表記です。
   単なる、仲間内で通じるちょっと違うものを使うのがかっこいいと勘違いした
   オコチャマのやることです。

 結論がでましたね(笑)。プロのライターたるもの、オコチャマ表記で書いてんじゃねぇよってことですかね。そもそも、次のようにちゃんと伏字にしている文章もあるのですから。

  エゴ「サザエ○ん一家よりもエンゲル係数が高くなると思われます」

 お遊び表現ができず、本来の伏字にするしかなかったのでしょうけれど、それでも遊びたかったらしく、普通は固有名詞の“サザエ”のどれか一文字を伏字にすると思うのですが敢えてそうせず……。だったら伏字にしないで「サザエたん一家」とでもした方が良かったのではないかと、私は思いました(これじゃ、誤字扱いかな? でも本作のライターさんも「ピカチュウ」を伏字にしないで「ピカチョウ」と書いてるしネ!)。

 本作のライターさん、「文字った」もそうですが、従来のライターさんとは違う新世代(新感覚?)ライターってことになるのでしょうか?
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○おわりに
・プレイして思ったこと
 Keyの『終のステラ』もそうなのですが、最近アンドロイド系作品って多くない? リアル女性に恐怖して二次元女性に逃げたものの、根本的に設定が生物としての女性にも恐怖してしまい、ついには無生物女性(?)に辿り着くという現状に、生物としての人類(厳密には日本人)、終わったなと思ってしまう今日この頃なのです。

 この現状を鑑み、Keyなどアニメ『プリマドール』ともども、人類アンドロイド化計画を粛々と推進中なんでしょうね、きっと。来世紀後半(2150年以降)の日本の人口、果たして何人になっていることやら(計算上は4千万人を切っているらしい。世界の人口は増え続けるというのに……)。もしかすると人口維持のために、法的にアンドロイドを日本人としてカウントする時代が来るのかもしれません(本質的に移民受け入れ反対の島国だし)。まぁ、私は生きていないから関係ないですけど……。

(10/30追記)
・講評
 プレイ完了後に、上記の体験版時点(序盤)での各種予想と、製品版での中盤・終盤で提示された実態とを比較検討後、最終的に以下のように評価(内容と点数)しました。

 本作のルートは一本道でした。ストーリーについては、私が体験版から想定した内容どおりといってほぼ間違いありません。つまり、驚きもないし失望もない。結末がハッピーエンドなのかアンハッピーエンドなのかについては、ネタバレになるので本感想では敢えて書きません。知りたいのであれば、製品版でのプレイをお勧めします。

 さて、本作の良い点と悪い点を挙げるとすれば、次のとおりです。

<良い点>
 ラストまでストーリーを丁寧に紡いで破綻なく終わらせている。
<悪い点>
 ヒロインがアンドロイド(セクサロイド)でなければならないというストーリー上での制約が殆どないため、人とアンドロイドの対比による相違上での葛藤がまるで描かれていない。そのため、話が進んでエゴがより人らしくなっていくと、創とエゴとの関係が、人とアンドロイド(セクサロイド)ではなく、人と人との関係にしか見えなくなるという大きな欠点を内包しています。つまり、エゴが「狼に育てられた女性」でも「宇宙人の女性」でも「他国の女性」でも話は成り立つと思える点です。その意味では、単なる男女の恋愛話にしか見えず、殆ど何の波乱もなかったことが残念な点でしょうか。

 以上を踏まえて検討した結果を、以下に記します。

<テーマ>
 男女の恋愛話が主で、アンドロイド(セクサロイド)属性は味付け程度の意味
<結末>
 “ハッピーエンド” or アンハッピーエンド”なのかはネタバレ防止のためノーコメント
<評価>
 「良い← 傑作>名作>秀作>良作>佳作>凡作>駄作>愚作 →悪い」とし、
 「2週間(14日)+回収日(1日)+後日談」の配分を序盤(1日目)、中盤(2~12日目)、終盤(13~15日目と後日談)とした場合
  ・ゲーム性:ADVゲームとしては、結末を一つしか提示せず選択肢も皆無だったため、凡作
  ・テーマ性:アンドロイド(セクサロイド)物としては凡作、単なる恋愛話として見れば佳作
  ・シナリオ:「序盤」は秀作。「中盤」は2~7日目は凡作(-)、8~12日目は凡作(+)。「終盤」は佳作
  ・演出:一部で不具合はあったが、概(おおむ)ね良作(絵のエロさは低め。どのポーズも見飽きた)
  ・ボリューム:ロープライス作品としては十分で佳作
  ・エロシーンの存在理由:ストーリー上での意味が認められるので、佳作

 ストーリー的にはほぼ予想の範疇で驚き要素はなく、丁寧に制作されたことは認められるけれども、一本道でゲーム要素は皆無。そのため、全体を通すと序盤の勢いが中盤で落ちて終盤でちょっと盛り返しただけと、私は感じました。

 結末を2パターン用意すれば殿堂入り(80点台)も考慮しましたが、結果的には一本道で分岐なし。序盤の内容で、中盤以降の内容と出来をいろいろ推理して考察している時が、実は一番楽しかった作品と評価できます。

 本作の品質管理については、ちらほらと誤字脱字や声優さんの読み間違いがあり、また本来の音声以外の音が一緒に聞こえたり、所持金計算の間違いが未訂正だったりと、あまり良く思えないのは減点対象かな。特に数値の正誤はもっとも基本的なチェック対象である筈なのに、後日談でも経過年数による創の年齢が合っていない箇所があるのは、いかがなものかと。

  ト書き:――それから3年の月日が経った。
  ト書き:あの後、俺は東京に残り今は上場企業で不動産営業をしている。
  ト書き:もちろん見た目はイケてるし、トークだって抜群の28歳。
   ⇒創の当初の年齢は26歳。3年経過だと28歳ではなく29歳だと思うのですが。

 以上を総合的に勘案して検討した結果、76点くらいではないのかと判断しました。個人的には、序盤のノリは気に入っていたので、それを最後まで貫くようにした方が良かったのではないかと思いました。

 エゴが人に成り下がってしまい、セクサロイドとしての矜持はどこに行ってしまったのってところが、敗因のような気がします。やはり、エゴには何らかのギミックを用意して発動して欲しかったですけどね。実際には、盛り上がりにかける単なる人としての恋愛話に収束してしまったのが、ちょっと残念な点だと思いました。

 結論としては、なぜエゴはアンドロイド(セクサロイド)設定でなければならなかったのかを、もう少し突き詰めて深掘りするべきだと思いましたし、それに関連するギミックも用意して欲しかったです。やはり男としては、何らかの燃える展開がないと、アソコも絞んじゃうよね(笑)。


(11/3,4追記)
○備忘録
 今回は「14日間(実験試用期間)+翌日(回収日)+後日談(3年後)」という短い期間のストーリーでした。そのため、素直に日にち毎にプレイしながら書き記したメモを見ながら記録しておきたいと思います。
 各日にちでの記述分量(1日目は上記で書き尽くした残りかすのため除く)で、その経過日数での重みづけが分析できるかもしれない(笑)。

<1日目>
・誤字脱字
ト書き:どうにしても今の俺にそんな金はない。
 ⇒「どうにしても」は「どうしても」or「どうかしても」or「どうにかしても」or「どちらにしても」or「どのようにしても」or「どうするにしても」の間違いではないだろうか?

・エゴ
ト書き『他の命の上で生きる人間ほど、エゴの強い生物もいない』
 ⇒エゴイズムではなくエゴなら、これが本作で最初に示された。

・ピカチョウ
創「ピカチョウかよ……」
 ⇒ここは伏字にしないで「ュ」を「ョ」に変えているのよね。本作のライターさんは二人いるのですが、伏せ字にするか一字を変えるのかは、もう趣味の領域なのだろうか?

★★★会話文以外の音声再生ができない
 オープニングムービー直前の屋上でのエゴの独白シーン、「――」で始まる文章はエゴの音声があるのに、ボイスの再生対象になっていないのは手抜きなのでは?
 私はゲームスクリプトエンジンには全く知見もないので的外れなのかもしれないのですが、恐らく会話文以外の箇所での音声については、音声再生する仕組みが標準機能にはないから、このような状態になってしまったのではないのかと想像します(会話文設定では音声再生処理と連動するようになっているので意識しなかったのかも)。

<2日目>
・誤字脱字?
エゴ「せいぜい防刃、防弾、防炎、防水、程度の機能でしょうか」
 ⇒並列表現で読点で区切って言葉を並べている文章ですが、「……、防水、程度の機能」とする場合、防水以前の言葉と「程度」が同列の言葉と見なす解釈になってしまうのではないだろうか。そのような解釈をさせないようにするためには、「……、防水ていどの機能」とした方が良かったのではないのかと思います。

・エゴの金銭感覚
ト書き:エゴが動くたびに、俺が持つカゴの中に食材が2つ、3つと増えていく。
ト書き:いまカゴに入れられたのは、霜降りな和牛のステーキ250g。
ト書き:お値段は、激安スーパーでありながら驚きの4980円。
ト書き:俺はエゴが目を離した隙に、さり気なくその牛肉を元の場所に戻す。
 ⇒これは素なのか、ワザとなのかイマイチ判断つきかねる所業なのですが、家事手伝いスキルソフトが導入されていないと、エゴが一人で日常生活を送れる姿が想像できそうもありません。とてもお二人様2週間5万円コースとは思えない贅沢マガママぶりです(笑)。

・スーパーの値段
ト書き:100グラム55円の特売品の鶏の胸肉。
ト書き:どれを取っても1パックあたり200円以下。
 ⇒最近、食品の値段がどれもじわじわ値上がりしていて、普通の大手スーパーじゃ1パック200円以下の食材って殆ど見かけないんだよね。そのため、「激安スーパー」であることは間違いありません。

★★★音声収録ミス
エゴ「一応私たちも所有者の体調管理をする機能もありますので」
 ⇒「ありますので」の所で何か別の音が微(かす)かに聞こえる。幽霊音声か?

<3日目>
・声優さんの読み間違い
エゴ「精子の提供を望んでいるのは私の方ですし、26歳無職のオナニーショーなど見たら泣けて来そうですし……」
 ⇒「26歳」を「25歳」と読んだ。この声優さんは25歳という年齢に拘りがあるらしい(笑)。

★★★フェラチオシーンの絵の演出は動きがなくて手抜き
 射精後のエゴの会話になっても絵は舌を出してフェラチオしたまま。いきなり二回目のエッチシーンで早くも手抜き描写が……。もう、序盤の制作に全力投球して中盤以降は普通のエロゲーと同じでは、褒めどころがないじゃん(最後までプレイしたところ、どうもこの場面だけが特に手抜き仕事だったみたい)。

・声優さんの読み間違い?
エゴ「私に白旗を上げさせられる思っているなら……お好きにどうぞ?」
 ⇒「お好きに」の読みが「おつきに」に聞こえる。

<4日目>
 エゴの手料理の話。まあ、よくあるシチュエーションです。これ以上は書くことなし。

<5日目>
・エゴが普通とは違うと認識し始めた創
創「いやエゴはセクサロイドっぽくないな、って思ってさ」
創「外見じゃなくて中身の話な」
創「ま、エゴは本当に人間みたいだなって話だ」
創「そもそもテスターが嫌で逃げ出して来たこともだしな」
創「プログラムされたロボットならそんなことにならんだろ」
創「俺には難しいことはわかんねーけどさ」
創「エゴには心があるってことでいいんじゃないのか?」
創「従順でハイハイだけ言うロボットより一緒にいて面白いし……」
創「少なくとも俺はそう思うかな」
ト書き:口は悪いし、素直じゃないし、燃費は悪いけど……。
ト書き:でも、そんなところがエゴらしくて良いと思う。
ト書き:こんな人間味があるからこそ、一緒にいて楽しい。
 ⇒文章を所々抜粋して意味がとおるように繋げただけですが、もうこうなってしまうと、テーマは単なる人の恋愛ってことになってしまって、アンドロイド(セクサロイド)はどうなっちゃったのって感じです。

・Win-Winな関係
エゴ「これぞ完璧なWin-Winな関係という奴です」
 ⇒だからWin-Winって言葉はもう飽きたって。私はもう、この言葉に食傷ぎみです。ライターという職業では、この言葉を書かなくてならないという掟か呪縛でもあるのだろうか?

★二回目のフェラチオシーン
エゴ「では、いただきます。はむっ……」
ト書き:容赦のないエゴの本気フェラに。
ト書き:そのまま一瞬に射精させられてしまったのだった。
ト書き:――そして夕方。
 ⇒上記の言葉だけで画面は真っ黒。実際の映像シーンはカット。これは正しい演出かな。また、あの手抜きフェラ描写を再び見たくないし(笑)。まぁ、ストーリー進行を優先させたってことですかね。

・セクサロイドとは?
(エゴが料理をするって話になって)
エゴ「私は最新型のセクサロイドですが、普通にアンロイドでもあります」
エゴ「ですから本社のサーバにアクセスして、様々なアプリケーションをダウンロードできるのです」
エゴ「セクサロイドは常に最新技術の粋ですから、汎用アンドロイドなどに劣る部分はありません」
 ⇒「様々なアプリケーションをダウンロード」の時点で、既に高性能な「汎用アンドロイド」だろって思ってしまいました。

★エゴとの生活が心地よくなってきた創
ト書き:……もしかして、これはエゴなりの御礼だったりするんだろうか?
ト書き:ツンデレなエゴであれば、そうだとしてもおかしくはない。
ト書き:まぁ……やや面倒くさいので素直に言って欲しいけど。
ト書き:でもそういう面倒くささも含めて。
ト書き:つくづくエゴはセクサロイドらしくないなあと思う。
創「見ていて飽きないというか、面白いというか……」
ト書き:今も変わらず俺は『女は嫌い』だと言える。
ト書き:でも不思議とエゴとこうやって過ごす時間は。
ト書き:案外悪くないどころか、心地良いとすら思い始めていた。
 ⇒「セクサロイドらしくない」って時点で、本作が単なる男と女のラブストーリーに成り下がってしまったと思いました。心はあるけど「セクサロイドらしい」ストーリーにしなかったのが、本作の敗因だと私は思います。

・エゴ、暇を持て余す
ト書き:――そしてエゴとの生活、5日目。
エゴ「暇です。どうにかして下さい」
(パズルゲームをスマホでプレイするが直ぐにカンスト)
エゴ「せっかく手に入れた猶予期間(モラトリアム)をセックス以外でもっと楽しみたいのですが……」
創「じゃあ街ブラでもしてみるか?」
創「金はないからウィンドウショッピングになっちまうけど」
エゴ「それは悪くない案ですね。備蓄の食材も少なくなりましたし」
 ⇒もう単なる恋愛ストーリーの庶民派デートコースまっしぐらですね。

・本社からの荷物
エゴ「あ、そういえば今日は本社から荷物が届くのです」
エゴ「時間指定が夕方過ぎから夜になっていたので、早く帰らないといけません」
エゴ「じゃあとっとと帰らないとな」
 ⇒いやいや創は高級マンションに在住です。今や普通のマンションですら宅配ボックス設置がデフォですから、そんな心配無用では?

・ショッピングからの帰りの河川敷を二人で散歩
ト書き:エゴが機嫌良さそうに歩調を速める。
ト書き:エゴもずいぶんと俺に心を許してくれてる感じがするなあ。
ト書き:誰かとこんな風に一緒に過ごすのは初めてで……。
ト書き:正直なところ楽しいし、エゴが楽しそうにしてるのも嬉しい。
創「……友達って、こういう関係のことをいうのかな」
ト書き:少し先を歩くエゴの背中を見つめながら。
ト書き:つい、そんなことを呟いていた。
 ⇒いやいや、もう友達のレベルをとうに超えているだろ。無自覚の創にちょっと引いてしまった。

<6日目>
 内容については特に言及することはありません。

★声優さんの読み間違い
エゴ「奮発して松阪牛の高級フードを買っておいたんですよ~?」
 ⇒「松阪牛」を「まつざかうし」と読んだ。正しくは「まつさかうし」または「まつさかぎゅう」です。まっ、仕方ないよね。私を含めて声優さんも一般庶民。「松阪牛」などお目にかかったこともないのですから、ましてや正しい読み方など知る由もありません。ただ、プロの声優さんとしては許されないよね。

<7日目>
・公園で
 犬のゴローを連れて、交通事故寸前で回避。やっとエゴにゴローが懐(なつ)く。

<8日目>
・犬の飼い主と連絡がつく
ト書き:朝起きてSNSのメッセージを確認したスマホをベッドに置く。
創「ゴローの飼い主らしき人と連絡がついた」
 ⇒ゴローとの別れと出会い、犬の(笑)。

★この時点での創のエゴに対する認識
創「……アンドロイドは、気持ちを隠すのが上手いな」
創「他のアンドロイドがどうかは知らないけど……」
創「少なくともエゴは、心まで機械で出来てるわけじゃないだろ」
エゴ「ハジメ……」
ト書き:俺は知ってるから。
ト書き:エゴは冷たい機械なんかじゃないって。
ト書き:人間らしい感情があるっていうことを。
ト書き:少なくともここ最近を一緒に過ごした俺が。
ト書き:誰よりも一番良く知ってることだから。
 ⇒アンドロイド、アンドロイドと連呼してても、もうアンドロイドは無関係のストーリー。

★★★臭ってみる
ト書き:思わず自分の腕を上げて臭ってみる。
 ⇒「臭(匂)ってみる」という言い方を初めて知りました。どうも、「臭(匂)いを嗅ぐ」という意味で使われているみたいですね。「文字った」同様にとても違和感が……。たぶんこの言語感覚についていけてない私は、もうエロゲーを卒業すべきなのかもしれません。

・エゴ
エゴ「大丈夫ですよ。私はそんなに弱くありませんから」
エゴ「これがあるべき形ですし、残念がる方がただのエゴであると分かっていますので」
創「エゴ……」
 ⇒エゴがエゴを論ずる。シュール(笑)。

・迷い犬との別れとハジメ
エゴ「私がハジメのユーザー登録をしてから8日目になります」
エゴ「あと1週間で、私もハジメとお別れということです」
創「……エゴ」
ト書き:つまり、エゴとの暮らしももう折り返しを過ぎている。
ト書き:……忘れていたわけじゃない。
ト書き:でも自然と考えないようにしていたこと。
ト書き:何だかそれが、鉛を飲まされたように胸の奥が重くなる。
 ⇒「鉛を飲む」という慣用句はないけれど、鉛の比重は大きい方なので「重い」にかこつけた表現で使われることがあります。しかし私は、鉛というと「鉛中毒」を最初に思い出してしまうので、個人的には「鉛を飲む」という表現がどうもしっくりきません。
 ⇒それにしても、考えてみると「別れ」と「ハジメ」っていう対比できる意味を有する言葉も、なんだか意味深だよなって思ってしまいました。これをもっと追及すれば面白い話になったかもって思ってしまいましたが、もうストーリー上、アンドロイドがどっかに行ってしまってるしな。

<9日目>
・犬のゴローとの思い出消去
ト書き:今日こんな大掃除をした理由は、俺が普段からずっとサボっていたというのも確かにあった。
ト書き:でも一番の理由は少しでもゴローのことを思い出さないように。
 ⇒ゴローの話、引っ張りますね。

・エゴがいなくなった後を考える創
ト書き:たった数日いただけの犬。
ト書き:それなのに、こんなにも部屋が広く感じる。
ト書き:――それなら、これでエゴがいなくなったら?
ト書き:その時に開く穴は、どれだけ大きなものになるんだろうか。
ト書き:今でも大掃除で必死に誤魔化してるような状況なのに。
ト書き:一人になってもっと大きな穴が開いたら。
ト書き:その時は、どうなってしまうんだろうか……?
ト書き:ぞくっと体が冷たく震える。
ト書き:――これが、怖いってことか。
 ⇒これはライターの経験談でしょうかね。私も実感があるので、良く分かります。

・処世術
ト書き:社会ってのを知ると、自分一人じゃ何も出来ないことに気付く。
ト書き:でもつまんないメンツとか体裁を気にして。
ト書き:素直に文句すら言えなくなっちまう。
ト書き:そんな時は、こんな風に酒を言い訳にしてぶちまけて……。
ト書き:きっと生きるってのは。
ト書き:こうやって誤魔化しながら進んでいくことなんだって――
創「ま、俺がホストをやってて唯一学んだ処世術だな」
 ⇒ホストをやったことがないので、これがホストの処世術だと言われても、いまいちピンとこない。単なる社会の一般常識みたいにしか思えない。

・夜(マンション屋上のベンチで安い日本酒を飲んで酩酊のエゴ)
創「もう今更だけど、エゴは酒を飲んでも大丈夫なのか?」
創「機能として壊れたりとか……」
エゴ「うーん、私の知ってるデータではわかんないですねぇ~……」
エゴ「まずそもそもセクサロイドに酒を飲ませる人がいませんからぁ」
ゴ「ヒトのように酔わせなくても、いつでもめいれーされれば股はひらきますし……」
エゴ「オナホールにお酒を飲ませるおバカさんはいないですよねぇ~?」
エゴ「まぁ……言われてみればそうだけど」
ト書き:エゴの例えがシュール過ぎる。
 ⇒創はエゴに酒が大丈夫なのかと訊いているのに、エゴがセクサロイドの一般常識を説いていて笑える。そもそもエゴなら命令されても股は開かんだろ。

・心
(酔った状態で)
エゴ「……少し喋り過ぎてしまいましたね」
エゴ「これは全てお酒によるバグです。忘れてください」
 :
創「……それは、エゴに心があるからだ」
創「エゴが俺たち人間と同じように心があるから……」
創「だから、そう思うんだよ」
 :
エゴ「こんなものを……こんな“エゴ(私)”を……」
エゴ「“心”と……そう、呼んでいいのでしょうか……?」
エゴ「私には……分かりません……」
 ⇒久しぶりに恋愛話から本来のテーマと思われる事柄に戻ってきた。一瞬で過ぎ去っていきましたけどね。
 :
(その後、そのまま屋上でセックス)
 :
創「……本当に、綺麗な月だな」
ト書き:あの日に見上げたのと同じ月。
ト書き:あの時と変わらない満月が夜空で淡く輝いている。
ト書き:隣で寝息を立てるエゴの髪を撫でると。
ト書き:それだけで胸の奥がじわりと暖かくなってくる。
 ⇒★誤字:「暖かく」は「温かく」が正しい。
創「せっかくならエゴのこと……もっと笑わせてやりたいな」
ト書き:その暖かさに心を任せながら、日本酒の残っているグラスを手に取って。
 ⇒★誤字:「暖かさ」は「温かさ」が正しい。
   暖かい:気候や気温など「寒い」の対義語
   温かい:体の一部で触れる物や「冷たい」の対義語
 ⇒後で正しく使用している文章もあるので、恐らくライターさんが違うのではないかと思います。同じライターさんなら漢字が変換された時点で違和感を覚える筈ですから。
ト書き:夜空に浮かぶ真ん丸の月に乾杯をするように。
ト書き:ひとり持ち上げて、その中身を一気に飲み干した。
 ⇒★「ひとり」の意味が不明。何かのオノマトペ表現(擬態語、擬音語)?

<10日目>
・創がばあちゃんから引き継いだ家の様子見でゴー
ト書き:俺はもともと田舎出身なので虫やら不便やらには慣れてるし。
ト書き:何より上辺の人付き合いや、都会のせわしさに疲れた俺にはちょうどいい。
 ⇒田舎はどっぷりの人付き合いだから、都会生活の人達にとっては都会よりかえって疲れるのでは? それより、創には田舎に家があったのか。資産家ではないですか(笑)。忘れていたみたいだし、そもそも固定資産税などの税金を払っていたのでしょうか?


・ますます人になっていくエゴ
ト書き:くすくすとエゴが楽しそうな笑い声をこぼす。
ト書き:……エゴもこんな風に笑ってくれるようになったんだなぁ。
ト書き:最初は冗談こそ多かったけど、全然笑わなかったし。
ト書き:楽しそうなエゴを見れただけでも、ここまで来た甲斐があった。
 ⇒単なる田舎デート話の回ですね。

・モラトリアムの解消に向けて
ト書き:家でゴロゴロしてるよりは、エゴに何か楽しんでもらいたいなと思っただけ。
ト書き:なので俺としてはちょっとしたドライブ&観光モードだった。
 ⇒ドライブ&観光デートの回ですね。

★演出不足
ト書き:外を見るともう夕方。
ト書き:遠くからはカナカナとひぐらしの鳴き声が聞こえる。
 ⇒風景は夕方モードに変更されたけれど、ひぐらしの鳴き声エフェクトはなし。

・創には金を貯めるという発想は皆無なのか?
 祖母の写真立てから『ホンダ ハジメ』口座名義の銀行通帳が。残高100万円越え。
ト書き:――ばあちゃんが残してくれた大事なお金。
ト書き:――ありがたく、ありがたく使わせてもらうから。
 ⇒創には貯蓄という発想はないらしい。ホスト時代も大金を稼いでいたのに結果的には借金300万円だし。

・地元の人たちだけしか知らない秘湯
ト書き:ばあちゃん家から山奥に向かって車で30分ほど。
ト書き:俺たちは地元の人たちだけしか知らない秘湯を訪れていた。
ト書き:入り口に『利用中』の看板を掛けるだけのシステム。
ト書き:他の客もいなければ番台もいないし、料金も掛からない。
ト書き:なのでこんな混浴をしていても、誰にも迷惑を掛けないという秘湯だ。
 ⇒もう徹底的に恋愛マニュアル本デートコースストーリーで話を進めていきます。もう安易すぎませんかね。序盤の練り具合が嘘のような中盤以降。もう殿堂入りはなくなったな、これは。

・田舎とはどこなのか?
創「したら俺もお返しにエゴの背中流してやるとするかな」
 ⇒「したら」って北海道方言とか言われていますが、『日本国語大辞典』によると「青森県、秋田県、長崎県、宮崎県で使われており、なまった語形のものまで含めると、東北地方の全域に広く分布していた普遍的な表現」となっているようです。
 ⇒それにしても、現在住んでいる所が東京だとすると、車で2時間の場所ってどこだ?

<11日目>
・ナイトプールのVIP招待券(宿泊用のホテル部屋付き)
エゴ「これは……ナイトプールのVIP招待券、ですか?」
創「ああ。ダイゴロー時代に店から支給されたんだけどさ」
 ⇒ナイトプールの背景画、昔あった大型屋内温水プール施設の「ワイルドブルーヨコハマ」がベースのイメージですよね、きっと。日本のバブル時代。もう来ないな、あんな時代。

・パリピ
エゴ「ハジメも海に行ったらあんなパリピになるのですか?」
ト書き:周りはいわゆるナイトプール勢とでも言わんばかりのパリピたち。
ト書き:さすがパリピ御用達のナイトプールはすごいアガり方だ。
エゴ「はぁ。パリピと呼ばれる人種は本当にゲスいですね」
 ⇒最近、パリピという言葉をやたらと目にします。10年後には死語になっていますよね、きっと。

・独占欲
エゴ「こういう時はオスとして優越感を覚えるものではないのですか?」
創「いやまぁそういう人もいるのかもしれないけど……」
創「でも俺はエゴが他人にじろじろ見られる方が嫌っていうか……」
ト書き:……あ、そうか。
ト書き:この気持ちは、独占欲ってやつか……?
 ⇒もうアンドロイドはどこへ。

★エゴは人
ト書き:いやまぁ正直、俺はエゴをセクサロイドではなく人として見てるし。
 ⇒断言しちゃったよ。

・ナイトプール後のホテルで宿泊
ト書き:エゴの体は温かくて、柔らかい。
 ⇒★「温かく」と正しい漢字を使用。ライター違うよね。
ト書き:吐息だってこんなに温かいし、嫉妬だってしてくれる。
 ⇒★「温かい」と正しい漢字を使用。
ト書き:エゴにはエゴの“心”がある。
ト書き:だから俺だってこんなにも愛おしいと思う。
ト書き:……セクサロイドと人間の違いってなんなんだろう?
 ⇒★おっ、思い出しようにテーマが。ここだけですけどね。
ト書き:俺もエゴを抱き締め返しながら。
ト書き:窓の外を見つめて、ぼんやりと。
ト書き:温かいエゴの体をしっかりと抱き締めながら……。
ト書き:そんなことをぼんやりと、考えていた。
 ⇒「温かいエゴの体」ってのを読みながら、エゴの動力源はなんなんだろうと、ふと思った。昔だったら原子力だったのだろうけれど、今の時代はエコだからな。序盤に何をエネルギー源とするのかの記述はあったけれど、仕組みは一切、書かれてなかったし。何か途轍もない技術が使われているのだろうけれど、それだけでノーベル賞ものだろうな。

<12日目>
・ホテル宿泊の翌日、ショッピングモールに寄って
エゴ「後ろから視線を感じます」
エゴ「いえ、気配はもう消えました」
エゴ「昨日から妙な視線を感じていたのですが……」
 ⇒なんだこれは。ついに中二病設定炸裂の予兆ですか? なんて思ったりなんかして。後々、びっくりな展開が……(笑)。

★ポケモソ&ポケマン
エゴ「私はハジメのポケモソじゃないのですが……」
 ⇒「ン」を「ソ」に変えた場合、声優さんはどう読むのかの答えが出ました。声優さんは書いてあるとおりに読むです。「ポケモソ」とそのまま読んでました。
エゴ「あ、ポケマン(ポケットマンコ)ならワンチャンですが」
創「冗談でも女子がドヤ顔でそういうこと言わない」
 ⇒ライターはポケモンフリークらしい。

・ママプレイとデレ
エゴ「ご希望とあればママプレイも対応出来ますよ?」
エゴ「非常に気は進まないですが、1回くらいなら経験と割り切ります」
ト書き:嫌でも1回は許してくれるのかぁ。
ト書き:最近、言葉の端々に出て来るデレが可愛い。
 ⇒デレた! エゴはデレることが確定したのでした。

・スーパーでの視線
ト書き:まるで恋人のように腕を組んだままエゴに引っ張られていく。
創「……ん?」
ト書き:何か視線を感じて振り返る。
エゴ「どうかしましたか?」
創「いや……誰かに見られているような気がしたんだけど」
ト書き:後ろには俺を見てるような人は見当たらない。
 :
???「うぎぎぎ……っ!」
???「ダイゴローってば、あんなデレデレしちゃって……!」
 ⇒視線の主(ぬし)はホスト時代の太客(ふときゃく)の1人で、単なるストーカーだったとは。中二病設定は遥か彼方へ。この話、本当に必要だったのだろうかと思わなくもない。けっこう、引っ張っていたけれど。

★エロシーンに意味があるのか?
創「はぁ、はぁっ……! エゴのマンコ、めちゃくちゃ気持ちいいぞ……っ!」
創「今までとか比べ物にならないくらい気持ちいいっ……!!」
エゴ「そんなこと、わざわざ言っちゃだめぇ……っ! 今、そんなこと言われたら……私っ……!」
エゴ「んっ、ひゃっ、あっ……! だめ、もう……がまんできなく、なっちゃ……!」
エゴ「だめ、だめぇ……っ! わたし、もう……ほんとに……! イっちゃうっっ……っ!!」
創「いいぞ、好きなだけイって……!」
創「エゴが気持ちいいと、俺も気持ちいいから……っ!」
創「エゴもちゃんと一緒に気持ち良くなってくれっ……!」
エゴ「ああぁ、だめぇっ……! そんなうれしいこと、言われちゃったらぁっ……!」
 ⇒創とエゴの関係性を示すバロメーターとしての役割なのか? ただ、ここだけ書いていると、甚だくだらなくしか思えないのですが……。なんかもう、普通のエロゲーのエロシーンでしかないよね、たぶん。


★セックスとは?
エゴ「きもちよかったですか、ハジメ……? ぜんぶ、出しきりましたか……?」
創「あぁ……もう、出ないくらい……」
エゴ「はい……私の中に、ハジメを……たくさん感じます……」
エゴ「エネルギーうんぬんではなく、あったかくて……とても、満たされてます……」
創「エゴ……」
創「ああ、俺も……すごい満たされたよ……」
エゴ「はい……それなら、良かったです……はぁ……」
ト書き:くてっと倒れ込むエゴの体を下からそっと抱きかかえる。
エゴ「ふふ、ハジメは出した側なのに……不思議ですね、人というのは……」
エゴ「セックスと言うのは、心を与え合うものなのでしょうね……」
創「そうだな、そうなのかもな……」
 :
エゴ「少しくらい元気出ましたか、ご主人さま」
創「え? 元気って……」
ト書き:エゴは俺に元気づけるために、あんなことをしてくれたのか。
ト書き:お仕置きなんて理由にかこつけて。
ト書き:それでも強引に元気づけようとしてあんなことをしてくれた。
ト書き:言われるまで気付かなかったことに苦笑いを浮かべる。
 ⇒セックスシーンを飛ばすと「あんなこと」が意味不明になるとはいえ、やっぱりくだらないだろ、これは。

<13日目>
・風情
創「せっかく外に出てきたのに、こんなところでいいのか?」
創「もっとこう、せめてウィンドウショッピングとかでも……」
エゴ「はい。こんなところでいいんです」
エゴ「今日は空が綺麗で、風が気持ちいいじゃないですか」
エゴ「どこか派手なところに連れて行けば女が喜ぶ、という思考はハジメの悪い習慣ですよ?」
エゴ「月見酒という、ヒトの『風情』の楽しみ方はハジメが教えてくれたものでしょう」
 ⇒なんですか、これ。ついに「風流」について語る回ですか。

★願掛け
創「『線香花火が最後まで落ちなかったら願いごとが叶う』」
創「そんな話もあるくらいだしな」
エゴ「願いが叶う、ですか?」
創「まぁそんな願掛けがあるくらい難しいってことだ」
 ⇒「願掛け」って序盤の「指切り」と対(むこう)を張るような同類の言葉だよなって思いました。
ト書き:流れ星に願いを掛けるのと同じ類。
ト書き:現実的に成功したから何かがあるわけではない。
ト書き:それくらいの幸運があれば、的なことかなとは思う。
 :
エゴ「最新科学の粋である私がこんな願掛けをするなんて、変な話ですね」
エゴ「世界はそんな都合良くは出来ていないと、プログラムの塊である私が一番良く分かっていますから」
 ⇒それでは、エゴに心があるのは何故なのかという話になるわけですが……。

★エゴのホンダハジメへの評価
エゴ「ハジメ。あなたはとても優しい人です」
エゴ「ダイゴローがどうだったかは私は知りませんし、興味もありません」
エゴ「ですが、私が2週間を一緒に過ごした『ホンダハジメ』は、決してクズ男(お)ではありませんでした」
 ⇒これによってアンビバレンスな世界観が払拭されたのですね。

★思い出
エゴ「“見上げた夜空は、こんなにも美しい”」
エゴ「それを知れただけで、私は十分に満足なのです」
エゴ「私は造られた機械ですから……」
エゴ「だから決定事項に、迷いも疑問もありません」
エゴ「それに……」
エゴ「私はもう十分に自分の運命を変えられたと、そう思っています」
エゴ「とても幸せな時間を過ごせて、ハジメには感謝をしてもし切れません」
エゴ「ですから、ハジメはつまらない恰好など付けないで良いのです」
 :
エゴ「今日も素敵な思い出をありがとうございます」
エゴ「私たちの家に帰りましょう、ハジメ」
ト書き:笑顔でそう言い残すと、エゴが踵を返して背中を向けた。
ト書き:そして振り返ることなくエゴの背中が遠のいていく。
 ⇒この場面での見えないエゴの顔の状態が知りたいと思った。
ト書き:その足取りに、迷いはない。
ト書き:エゴは機械で、造られた命だから。
ト書き:だから、迷いも疑問もない。
創「……何がだよ」
創「つまんねー嘘つきやがって……」
 ⇒そもそも「決定事項に迷いも疑問もない」のだったら、ラボから逃亡していないよね。

<14日目>
★★★エゴとは心
エゴ「……最後にもう一つだけ」
エゴ「ハジメにお願いしたいことがあるのですが、良いでしょうか」
エゴ「もう一度だけ、私のエネルギー充填に付き合って欲しいのです」
エゴ「アンドロイドである私には、感傷などという機能は搭載されてはいません」
エゴ「ですが、最後はハジメに満たされていたいと……」
エゴ「私の“エゴ”(こころ)が、そう叫んでいるのです」
 ⇒「エゴ」とは「こころ」なのか。この解答は後で説明される。ここでのエゴはエゴ自身を指す。

・童貞卒業
創「エゴ……キス、するぞ?」
エゴ「わざわざ言わないで結構だと言いましたよね……?」
エゴ「『ハジメ』も、私で童貞を卒業したのですから……」
エゴ「……ちゃんと、大事に愛して下さい」
 ⇒ここでの「童貞卒業」って具体的には何?


★★★私はエゴ
エゴ「……私の思い出は、私だけのものですから」
 :
エゴ「だから私は、私だけのものです……」
ト書き:E-5ではなく、エゴの記憶。
ト書き:私がエゴとして、意志をもって選んだ時間。
ト書き:体は無機物で出来ていたとしても。
ト書き:ヒトと同じ“心”があると、貴方はそう言ってくれたから。
ト書き:だから私は“エゴ”だと、胸を張って言える。
 ⇒「エゴ」とは「こころ」が解答らしい。分かるような分からないような。

★★★リメンバー・ミー
エゴ「私のこと……覚えておいて下さいね」
エゴ「少しだけでいいので、たまに思い出してください……」
エゴ「それだけで私は……エゴは、笑って行けますから」
ト書き:たたの独り言。
ト書き:約束なんて呼べない、一方的な独白。
ト書き:でも、嘘偽りのない素直な気持ち。
ト書き:最後にずっと隠していた胸の内を言葉に出す。
ト書き:……約束は、いらない。
ト書き:どんな約束も、私には果たせる可能性などないのだから。
 ⇒序盤の指切り時の復唱ですかね。

★★★その“気持ち”とは
エゴ「これ、は……」
ト書き:温かい何かが頬を伝って落ちた。
エゴ「なみ、だ……?」
ト書き:ああ、私は…….
エゴ「これが、“悲しい”……なのですね」
ト書き:……でも、それだけじゃない。
ト書き:ハジメのことが好き。
ト書き:この想いを伝えられないことが、届けられないことが苦しい。
ト書き:好きで、苦しい。
ト書き:この感情を何と呼べばいいか。
ト書き:ラボのデータベースを探しても見つからない。
ト書き:この感情をどう呼べばいいのか、以前なら分からなかった。
エゴ「でも今なら……分かります」
エゴ「ハジメに大切にしてもらった、今なら」
 :
ト書き:――だから、最後にこの気持ちを。
ト書き:ずっと認めることが出来なかった、この気持ちの名前を呟く。
エゴ「貴方を愛しています、ご主人さま……」
エゴ「ハジメがご主人さまで、エゴは幸せでした……」
エゴ「次に会った時は……5万円、ちゃんと耳を揃えて返してくださいね」
エゴ「さようならです、私の愛したご主人さま……」
ト書き:そんな小さなエゴイズムだけを、この部屋に残して。
 ⇒「小さなエゴイズム」とは何でしょう?
    ①5万円、耳を揃えて返して
    ②私の「愛」を受け止めて
    ③その他

<15日目>
 実験試用期間(2週間)終了の翌日ってことで、エゴの回収日です。
 後日談の前段階の内容ってことになりますネ!
 予定調和で進行しました。
 特に書くことはありませんというより、後日談の前段階内容なので、ネタバレ防止で書けないってことですかね。

<後日談>
 なるほど、そうきましたか。これ以上はネタバレ防止のため書けない。残念です。


以上

The above is a long impression of shiratori.