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shiratoriさんの星の乙女と六華の姉妹の長文感想

ユーザー
shiratori
ゲーム
星の乙女と六華の姉妹
ブランド
ensemble
得点
72
参照数
2166

一言コメント

ネーミングと設定へのこだわりはグッドだが、山場で盛り上げない構成と演出はトチ狂ったとしか言いようがない。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

○はじめに
 皆さんがプレイする作品の選定をどうしているのかは分かりませんが、私の場合は、

  (1)発売前:自分の感じ方を最も重視して判断(他の方々の事前評価は無視)
  (2)発売後:他の方々の一言感想を考慮して判断(基本的に長文感想は未読)

となります。今回は、発売後に購入したので(2)となります。因みに、私が他の方々の長文感想を読まない理由は、本当に言いたいことは一言感想に集約されている筈だとの信念と、自分が感想を書く前に他の方々の長文感想を読むと、その内容に影響されて、本当に自分自身の感想なのかどうかが怪しくなるためです。つまり意志薄弱だからですネ!

 なお、最初に断っておきますが、私は近年、大人な作品を求めているので、学園モノは敬遠するようにしております。当然の如く、本作など最初からプレイ対象外でした。にも拘らず、本作をプレイすることにしたのは、最近のensemble作品に悉く30点前後の点数しかつけない知る人ぞ知る(今やアンチ?)ensemble信者(と私が勝手に推察)のtcpippppoeさんが、「久しぶりに評価できる」と、いつもの倍以上の点数をつけていたからなのです。とても驚きました。これは、自分の信念を曲げてでもプレイせずにはおくものかって感じですよ。

 とはいっても、学園モノで女装モノ、流石に自分の守備範囲外なので、お一人のご意見だけでは即断できず、二週間様子見して他の方々の一言感想も見てから判断した上で購入、プレイと相成ったのでした。


○全体的な印象
 これについては、ACiD8926さんの一言感想「ダラダラと面倒な展開を省いたコンパクトで淡白な女装ゲー。加点要素はあまりないけれど減点要素を限りなく0にしている感じ」が、私にとってはベストな解答となります。百点満点です。本作の本質が全て網羅されている素晴らしいコメントだと言っても過言ではないでしょう(長文感想は未読ですが<笑>)。そのため、私が新たに書くべき感想など無いとも思えるのですが、長文感想は読んでいないので、具体的に私がどう思ったのかを書いて、後でこっそりと答え合わせでもしてみようかなって思い立ちました。

 さて、私が本作をプレイして最初に思ったことは良否で、以下のとおりです。
===================================
<良い点>
 ウィルプラスのensembleブランドって、元々の成り立ちが「<女装×学園潜入>モノ」である乙女シリーズにあるのだと思うのですが、乙女シリーズ以外の『お嬢様はご機嫌ナナメ』と『恋はそっと咲く花のように』(+続編)しかプレイしたことがない私にとっては、今回が初のensemble本流の<女装×学園潜入>モノです。

 従って、乙女シリーズへの知見など一切なかったのですが、本作に限ってみると、各種のネーミング(氏名を含む)と各種設定への拘(こだわ)りに対する並々ならぬ決意を感じとりました。“アリス”と“兎美”とかの分かりやすいものから、花言葉の薀蓄を読まないと分からないもの、果ては良く分からない『秘密の花園(ガーデン)』にいたるまで作品に反映しているので、これはとても良いことだと思いました。拘りって大事だよね。もう、花に喩える呪縛から抜け出せないensembleって感じなのです。

 例えば同じensemble作品の『恋はそっと咲く花のように』と比較すると良く分かります。私はこの作品の長文感想で「花をモチーフとしているのにも拘(かかわ)らず、ストーリー上、殆どコミットしていない」と批判したのですが、本作はその逆ですね。反省して是正対策をしたのか徹底的に拘っています。本作の食レポ対決とか、上記作品の料理対決を彷彿とさせて、過去作のストーリーをいろいろ継承させながら、こつこつと改善とかしていそうなところも、評価できる点だと思います。

 以前の作品とは違って、各種ネーミングに対して徹底的に拘り意味をもたせるようにしているってことは、本作のコンセプトは「こだわり」ってことになるのでしょうか? そのために、ネーミングの意味するところを徹底的に解説しまくり、それをきちんとストーリーに絡ませるように配慮したのが、本作ってことですかね。

 私は、この拘り具合こそが「減点要素を限りなく0にしている」といった評価に繋がったと思うのです。

 そもそも、本作の登場人物達の氏名には何らかの植物名が盛り込まれているのですが、読み方もキラキラネームかよって感じなのです。内容もそれに違(たが)わず、主人公を含め異能の力(超能力?)を持った者が何人かいて、話に中二設定の彩を添えたりしています。因みに、本作では園芸用語(『春化』や『剪定』など)も絡めたりしているのですが――私はensemble作品を殆ど知らない――ensembleとしては植物関係に対する何らかの明確な拘りがあったりするのでしょうか? もしあるのなら、その指針なり方針が知りたいものです。


<悪い点>淡白な演出と進行
 本来は盛り上げるべきシーンをサラッと流す。
 例1)バラエティ番組のガヤ仕事であったはずが、突然、アシスタントを依頼されてのシーン
  プロデューサー「何、それほど難しい仕事じゃないから、大丈夫だって」
  プロデューサー「画面に華を添えるのが一番のお仕事なんだよ
         その点、君達なら十分画面栄えするし、ね?」
   ⇒★本作は、漫画のセリフと同じで、改行する場合、基本的に句読点を打たない方針(上記だと1行目の句の最後に句点を打たない)みたいですが、1つの閉じた「」内の文章だから、個人的には凄い違和感を覚えてしまいます。こうしている作品、最近は多いのだけれど。
  ト書き:むむむっ。
  ト書き:ま、あっちは賑やかし位にしか思ってないんだろうけど……
  兎美「久しぶりに……やってやるか」
  華恋「ふあぁっ、兎美ちゃん、格好いいよぉ」
   ⇒★ここでスタジオシーンを全面的にカット。唖然としました。
  スタッフ「――OKでーす!」
  スタッフ「出演者の皆さんお疲れ様でーす。担当は編集、入って下さい」
 上記はノンカットの原文どおりですが、本来あるべき肝心のスタジオシーンが一切ないのです。何が「OKでーす」だよ、全く。

 例2)天井の一部が破れ水が滝のように零れ落ちるシーン
  兎美「しかし、どうして天井から水が落ちてきたんだろう?
     雨漏り、でもないよね、晴れてるし」
  華恋「はい……あ、もしかして最近聞こえてた変な音
     が関係してるのかも?」
  兎美「あるかも……何かの故障とか?」
 こんな他人事のような会話をしただけて終わらせる場合じゃないよね。華恋の部屋、水浸しなんだし。もっと、いろいろなドラマ展開があるでしょうに。あっさりし過ぎて逆に拍子抜け状態です、全く。

 例3)ネリネの渾身のステージのシーン
  ネリネ「あなたの秘密は、私が絶対に守ってみせます」
  ネリネ「ですから、一番近くで見ていてくださいな。
      梔子ネリネ、渾身のステージを」
 渾身の「こ」の字も味わう暇すらなく、サラッと流されて終わってしまいました。

 これらの様に本作は、最初から最後までエッチシーン以外の各種イベントが全てこんな調子で、本来なら盛り上がる(盛り上げる)シーンを悉く割愛して、基本的にその前後しか描(か)かれていないのです。そもそも、シナリオ上でも次のように書いているくらいですから。

 ト書き:――密室の即興劇はこうしてあっさりと幕を下ろした。

いや、ここまであからさまに白状しなくても(笑)。そりゃあ、「あっさり」だよね。即興劇の内容を何も描(か)かないのですから。

 アニメのシナリオとかでも、こういった手法をとっている場合をたまに見かけたりしますが、演出上、意味のある明確な意図があるのならばともかく、本作については悪手としか思えません。

 どうせ盛り上げシーンは、特別に絵や音楽(歌つきを含む)を用意しなければならないから、ゲーム制作に関わるコストと手間と制作時間の制約という大人の事情から、できるだけ省略したっていうのが真相な気がします。その結果、「面倒な展開を省いたコンパクトで淡白」といった評価に繋がることになったのです。これは、本作において評価を下げる大きな要因になったことは否めません。

 基本的に、エッチシーン以外のイベントシーンは、悉く流すことを前提にストーリーを構成するシナリオなのです。その代わりに、エッチシーンに力を入れているって感じです。まぁ、エロゲーとしては正しい方針といえなくもないのですが、本作が抜きゲーではないと考えるのならば、ぜんぜん良くありません。
===================================
 上記での良否を勘案した上でまとめると、「全体を通してストーリー上の構成は良いが、ストーリーの盛り上げ方が単調で、その原因は楽曲におけるサビに相当する演出部分がストーリーを含めて希薄だから」ってことになるでしょうね。これはちょっと致命的な欠点(というか欠陥)かもしれないと思いました。しかも、その原因が大人の事情によるものだとすると、今後もensemble作品には全く期待できないとの結論に至ってしまうのです。


 次に良否以外での本作の特徴を考えてみたいと思います。

<特徴1>漫画やアニメと同じノリ
 具体的に私がプレイしたエロゲーで例えると、『蒼の彼方のフォーリズム Perfect Edition』や『恋する乙女と守護の楯 Re:boot Plus』なんかと同じ作りってことです。どちらも私は、ゲームの冒頭から、なんだこの漫画かアニメの絵面と子供っぽい演出はと最初に思ったのですが、本作も同じです。この時点で後悔が頭によぎったのですが、そこはグッと堪(こら)えて、取り敢えずストーリーが肝だよねって自分に言い聞かせてプレイを進めたわけですが……。

 で、前置きはこの辺にして、本作ではそれを更に発展させて悪乗りし、7.5話として「幕間」を用意してあったのです。私は咄嗟に思いました。この「アニメ番組と全く同じノリの構成は、何?」と。よくあるよね、途中で幕間(まくあい)がある話を挟んで話数を調整する構成(多分に実体はスケジュール調整のバッファとしての休憩時間確保)のアニメ番組。実際問題、ユーザーは誰もそんなもの望んでいないし、単なる制作上の都合でしかありません。そもそも、本作自体が冒頭から子供向けの漫画かアニメのノリですからねっと思って突っ込みつつ、次の文章を出したら、

 ありす「ごきげんよ。ありすだよ。
     なにこれ? アニメで万策尽きた時によくやる
     総集編みたいなやつ? ゲームでもそういうのあるの?」

本作の作り手もそう思ってたんかい。完全に遊んでるだろ、これ。もう、ノリノリです。さらに、

 純玲「私も……本当はもっと雪と絡みたいのだけれど、
    雪の過去の秘密を知る私が早々に出てしまうと、
    ストーリー上問題があるしね……?」
 めがね「ネリネさんは……この物語における
     ドスケベ担当なんですよ?
     もう少しご自覚をもってください」

今後の展開を占う、ぶっちゃけネタ晴らし用の裏話幕間でした。


<特徴2>ユーザーの突っ込みを意識したお約束シナリオ
 特徴1で挙げた例もそうなのですが、内容に対するプレイヤーの突っ込みを意識して、「そないなこと分かってまんがな、兄さん」みたいなノリで、プレイヤーに突っ込ませて、その次に表示させる文章で突っ込みの内容をばらすのです。「ほ~ら、あなたは私の手の平の上だったんだよ~」って。ライターが意識して書いているのは、ありありだと分かってしまいます。具体例としては、

 ローリエ「聖六華『女』学園の『女』優科へようこそ♪
      心から歓迎するよ」
 ト書き:……やたら『女』を強調してくるけど……

 ⇒衍字があったので直してありますが、声優さんは当然の如く『女』の二つを強調して読むわけです。私は思うわけですよ、「『女』を強調してイヤらしい」と。なぜなら、ローリエは主人公の正体が分かって言っているのだろうなってことが、話の流れから判断できるからです。で、プレイヤーがそう思った突っ込み内容を、地の文で改めて説明するわけです。もう一つ具体例を挙げると、

 ローリエ「信じてもらえないかもしれないが……。
      私には視えるんだ。人の発するオーラ、
      みたいなものが」
 ト書き:ローリエ様から
     『不安』の『色』が広がっていくのが視える。
 ト書き:他ならぬボクが、『余人に視えざるものが視える』という
     そのオカルト話を信じない理由などありはしなかった。

これなど、本作がオカルト作品でもあるともいえる内容なのですが、ローリエの会話文と最初の地の文を見て、プレイヤーは思うわけですよ、「いや、主人公だって同類だろ?」って。すると、ライターは次の地の文で書くわけですよ、本作でのお約束、同類だよねというプレイヤーからの突っ込み内容を……。最後にもう一つ具体例を挙げると、

 主人公の兎美が妹のアリスに女子トイレについて来てもらってのシーン。
 ト書き:いつの間にか隣の個室に入ったありすちゃんが
     おしっこをしている音が聞こえてくる。

さて、これを読んだ瞬間、私は思いました。もし、この場面を書いたライターさんが女性だったのなら、こんな描写には絶対にならなかっただろうと。なぜなら、この学園は「男子禁制のトップアイドルを数多く輩出するお嬢様芸能学園」という設定です。学校設備だって凄いという設定なのです。そんな学校の女子トイレの設備に「音姫」のような洗浄音擬音装置がないなど、考えられません。そう心の中で突っ込みを入れつつ次の文章を表示させると、

 兎美「(というか、トイレの音をごまかす機械とか
     ついてないのかな?)」

ライターのニヤけた笑みが目の前に浮かんできて、「こんにゃろう!」って叫んでしまいました(笑)。本作では、こんな感じの文章が続くのです。


<特徴3>「星組」の読み
 本作では、「星組」の読みが二種類あります。一つは「ほしぐみ」であり、もう一つは「エトワール」です。最初、声優さんの読みを聞いていた時は、二つの読み方をしていて、声優さんの読み誤りなのかと思ってしまいました。よくよくテキストを見てみると、声優さんがエトワールと読む場合は、ルビが振ってあることに気がつきました。しかし、本作でのテキスト表示エリアでのルビは掠れて見づらいので、私は当初、混乱してしまいましたよ。

 詳しく文章内容を調べてみたところ、次のとおりでした。

  ルビあり(「エトワール」読み)
   めがね「何をおっしゃいます! 純玲様はこの学園のエリート
       星組のおひとりでいらっしゃるのですから」
   ネム「さすがは六華の星組。
      みんとちゃんは私の自慢の後輩だよ~?」

  ルビなし(「ほしぐみ」読み)
   めがね「六華イチの美少女マニアとして、
       仮にも星組の学生である彼女のことをよく
       知りもせず毛嫌いするのはよくないかな~って」
   兎美「わーわーわー! とっ、ところで純玲様!
      純玲様のいらっしゃる星組のみなさんは、
      どなたも個性的でいらっしゃいますよね~?」
   純玲「正直、同じ星組というだけで、3人とはそこまで
      親しくはないのだけれど……(ˊ・ω・ˋ)」

 どうも単に花組や夢組と同様にクラスを示す場合は「ほしぐみ」としてルビを振らず、「ほしぐみ」に属する各個人を示す場合は「エトワール」と読ませるためにルビを振ることによって、意味を区別させているみたいです。ただ、作り手はそれでも良かったのかもしれませんが、プレイする側としては、「星組」の読みを二つ用意してその意味を区別させられるのでは、混乱してしまいます。素直に、エトワールと書けば良かったのではないかと思ってしまいました。


<特徴4>ネットスラング
 これはライターさんの世代代わりを象徴する事柄だと思うのですが、知らないネット用語がちらほらと書かれていて、最近、自分は時代に取り残された存在であることを、改めてとても痛感した次第です。何しろ、現状の私の知識の源泉は、エロゲーだけですからネ(笑)。さて、本作でいえば次のとおりです。

★太ましい
ト書き:ちょっぴり太ましい、むちむち太ももの女の子。
 ⇒「太ましい」について調べてみると、次のとおりです。
  「太っている状態」あるいは「ふくよかな状態」を好意的な意味で表す形容詞。
  2ちゃんねる、モナー板のやったー太ましいモナー出来たよーexit(アーカイブexit)がこの言葉の発祥地らしい。
  漢字を使って「太ましい」と書けなくもないが、元々日本語にない表現なので通常では漢字変換できない。従ってどちらかというと、ひらがな表記の方が多用される。また、比較的物腰の柔らかい表現として使われることが多い。ふくよかさが過度になると「ふとましい」より「ピザ」が使われる傾向にある。「ピザ」にはギトギトした感じが付きまとい、太っていることを自嘲、あるいは罵倒する表現であるのに対し、「ふとましい」には太ったことにむしろ感嘆の意すら覚えており、罵倒や自嘲としてはふさわしくはない。

★エゴサ
ト書き:Alice&Rabbitのステージの感想を
    エゴサして目につくのは、そんなありすちゃんの
    破格の容姿に関するものばかり。
 ⇒エゴサーチの略。ネット上での自分の評判をチェックする行為のこと。自分検索や自己検索を意味。英語では「egosearching」という。

★近親ドルオタムーブ
ト書き:隣に坐っていたボクにも丸聞こえの大きな音声で
    恥ずかしい近親ドルオタムーブをされた後、
    一方的に通話を切られてしまった。
 ⇒近親:血縁関係が近い親族
  ドルオタ:アイドルオタクの略称
  ムーブ:ネットスラングで、動きや立ち回りのこと
      「ムーブ」はプロレス(観戦)用語から来ている。WWF(現WWE)が人気爆発した頃、レスラーが行う定番の動き、一連の動作を「ムーブ」と呼ぶようになった。ここから、見る者に特定のイメージを与える(であろう)動き、挙動、しぐさ、態度などを「○○○ムーブ」と呼ぶようになった。
      「不審者ムーブ」なら「不審者を思わせるような(不審者がよくやると思われそうな)挙動」という意味になる。

★バズ
ト書き:どんなに出来栄えがいいと思っていても、
    ちっともバズらない動画とかあるし。
 ⇒これは、前に他のエロゲーで意味を知ったので、省略。

★稀によくある
めがね「私の地元の石川では稀によくある名字なんですよ?」
 ⇒「稀」なのに「よくある」ってどういうこと? 調べてみると……
 ピクシブ百科事典には、「稀によくある」とは「いわゆる『ブロント語』の一種である。ちなみに元々最初は『稀にだがよくある』だったが、読み易く使い易くヴァージョンアップして『稀によくある』となった。稀に『稀に良くある』等の誤用が稀によく見られる事が稀によくある」と書いてありました。こう書かれても、そもそも「ブロント語」が何なのかさっぱり分かりませんが(^^;)。
 ニコニコ大百科には、
  「日常生活や掲示板などでうかつに使うと、マジレスされることが稀によくある」
と書いてあったのですが、「マジレスって、私自身だ!」って思ってしまいました。とは言っても、こんな二律背反なこと言われてもねぇ。解説を見ると、次のとおりでした。

 1.よくある(頻発する)ことが稀に起こる状態
   稀にある
    ○○○●○○○○
   よくある
    ●○●○●○●●
   稀によくある
    ○○○○●●●○
 2.稀に起こる(低頻度)ことが、全体からするとよくある(多くの人が経験する)状態
   A氏:○●○○○○
   B氏:○○●○○○
   C氏:○○○○●○
 3.上記のどちらでもないが稀によくある状態
   A氏:○●○○○○
   B氏:●○●○○●
   C氏:○○○○●○

 この語句の説明では1がよく使われるみたいですが、ここでは地元(石川)という一地域限定の話なので、2が該当するのかな? ジンクスみたいなものなのでしょうか? 作中でも、アムール(姉妹)以外のユニットは成功しないというジンクスの話をしていたし……。


<特徴5>View Change
 本作は、一人称の視点をくるくる変更する構成のシナリオです。ただ、私は多人数での視点変更を是とするシナリオは、基本的に大嫌いです。そんなシナリオを書くくらいなら、普通の小説みたく三人称で書けよって思ってしまいます。そもそも、普通は一人の主人公に焦点を当てて、その主人公をプレイヤーと同一視させることに、ゲームでの一人称視点は意味と価値があるのだと思います。それが、複数の視点でくるくる変更させられては、そのゲームにおけるプレイヤーの位置付けとは、一体全体なんなのって思ってしまいます。


○不具合
 誤字脱字と声優さんの読み誤りを挙げます。

  誤字脱字: 7件
  読み誤り:18件
  判断不能: 4件

 通常、誤字脱字が多いと声優さんの読み誤りも増える傾向にあるのですが、本作は誤字脱字は少なかったのに、読み誤りが多いです。そもそもテキストも平易で読みやすいし、何でって思ってしまいます。テキストに問題がないとすると、声優さんに問題があるってことになるのですが、キャラクターごとに読み誤りをカウントしてみると、次のとおりです。

 兎美 :6(モーリーでの1件を含む)
 みんと:1
 ネリネ:2
 華恋 :4
 彩女 :2
 純玲 :2
ローリエ:1

 これを見ると、登場回数が多い(=セリフ数が多い)順に読み誤りが多いと考えられますね。兎美は主人公ですから一番セリフが多かったってことになるのでしょうか。華恋は主人公と会う最初の人物だから、次にセリフが多いってことですかね。そもそも華恋の声優さん、エッチシーンの演技が下手に聞こえるので、経験や能力的な問題もあるのかもしれません。新人さんなのでしょうか?

 因みに、判断不能の4件は誤字・脱字・衍字なのか、声優さんの読み誤りなのか、私には判断できなかったものです。判断できない内容なので、とても興味深い内容ってことになりますね。

 それでは次に、それぞれの間違いで私が面白いって思ったものを、解説してみたいと思います。
-------------------------------
《誤字脱字》
 7件しかないので全部解説します。

・単純な打ち間違い
  ①「レギュラー」を「レビュラー」 
  ②「入りづらく」を「入りずらく」
  ③「されたらしくて」を「されらしくて」
  ④「そんなことを」を「そんなをこと」
  ⑤「ボクを」を「ボクは」
 ②は、ライターさんが「づらい(辛い)」を「ずらい」が正しいと思っている可能性が高いです。「ずつ」を「づつ」とか、こういうのは単純な打ち間違いとは違って、普段からの習慣が出る間違いですから。つまり、このライターさんは、今後も同じ間違いをし続ける可能性が高いといえます。
 ⑤は、助詞の「てにをは」の問題です。「甘い歌はボクは包み込み」と書いてありました。文章校正の徹底しか対応は難しいですかね。恐らく、ライターさんが文章を書いている時は、色々な言葉の繋がりの可能性を探っているでしょうから、修正しているうちに結果的に変な文章になってしまっていても不思議ではありません。これについては、その後のチェック漏れが問題ですかね。

・ライターの迷いの結果
  ⑥『』の配置問題
   ローリエ「『聖六華『女』学園の『女優科』へようこそ♪
        心から歓迎するよ」
   ト書き:……やたら『女』を強調してくるけど……
   ト書き:何だか全てを見透かされているような気がして
       ヒヤヒヤする。
 ⑤の原因に起因する問題といえます。パッと見、『』の対の数が合わないことが分かります。声優さんは二つの『女』をワザと強調するように読んでいたので、恐らく、
   ローリエ「聖六華『女』学園の『女』優科へようこそ♪
        心から歓迎するよ」
と書くのが本来は良かったのではないかと思われます。会話文の先頭に「『」があるのが、『』をどう書こうかと迷ったライターさんの心理状態が垣間見えて面白いですよね、この間違い。また、地の文での突っ込みを忘れないところは、この作品の特徴が良く出ていると思いました。

  ⑦最終形の文章が不明
???「まぁ同じ新人アイドルユニットとして、
    仲良くしてもらえたら欲しいな。あはっ」
 ⇒声優さんは、「欲しいな」を「嬉しいな」と読みました。「仲良くして欲しいな」だったのを直した結果なのか、「仲良くしてもらえたら***」を「仲良くして欲しいな」に直そうとした結果なのか、どちらにしても中途半端になってしまいましたね。


《声優さんの読み誤り》
 私が、興味深いと思った読み誤りを、以下に挙げます。
例1)
彩女「ところで……結構活躍しとるみたいですなぁ
   お二方の姿、メディアで見かけるわぁ」
 ⇒結果的には、「お二方」を「お二人」と読んだ声優さんの読み誤りとなってしまうのですが、ライターさんがアホというのが、ここでの私の結論です。なぜなら、彩女はエトワールで上位者ですから、この場合「お二人」が彩女の言葉としては適切であったと、私は思うからです。そもそも「方」とは「他人を高めていう語」であり、更に「お二方」では接頭語の「お」をつけたことにより尊敬語となるからです。そのため、編入生で下級生でもある兎美と華恋に対して、エトワールの彩女が「お二方」と言うのは不適切だと考えられます。まぁ、彩女ですから皮肉で言ったと捉えるのなら、適切な表現となるのかもしれませんが……。

例2)
華恋「ちゅぅ……んん、ふぁああ、おいひぃ~~」
兎美「んちゅ……んあ、確かに美味い、んん」
 ⇒「美味い」を「おいしい」と読んだ。ここは送り仮名から「うまい」が正しいと分かる(「おいしい」だと「美味しい」)。一つ前の華恋の会話文に引きずられましたね。

例3)
純玲「Yuritubeでね。観客のどなたかが上げたみたい
   六華の子供達の間でも、話題に上ってるわよ」
 ⇒「上ってる」を「あがってる」と読んだ。正しくは「のぼってる」。なぜなら、「あがってる」の送り仮名は「上がってる」になるからです。

例4)
華恋「……あ、同時に言ったら聞き取り難いですし」
 ⇒「難い」を「づらい」と読んだ。正しくは「にくい」。私、他のエロゲーでも同じ間違いを経験しました。エロゲーの声優さんは、「難い」と「辛い」を区別できない声優さんが多い気がします。

例5)
兎美「一途で思ったことは最後までやり通す。
   人に優しく、自分に厳しく。驚異的な集中力
   でどんな振りでも物にする」
 ⇒「一途で」を「一人で」と読んだ。ちょっと意表をつかれました。ライターさんが「一途に」としていたら間違わなかっただろうにと思ってしまいました。

例6)
ローリエ「君はそれに『妹』として応えてもらう。
     その間決して演技を忘れず、素に戻ってはいけない。
     私が満足するまでね?」
 ⇒声優さんは「その間」を「そのあいだ」と読みましたが、私は「そのかん」だと思いました。なぜなら、
  <その間=かん>:主に時間的な間
  <その間=あいだ>:主に物と物との物理的な間
となり、「時間と空間で使い分け」ができるからです。
 ⇒これもエロゲーの声優さんって、何でもかんでも「そのあいだ」と読む場合が多いのですが、何故なのでしょうか?

例7)
彩女「心が割れ、そこから染み出す悲痛の涙……
   まさにそれこそが、ウチを才女として
   花開かせてくれる無類の甘露……」
 ⇒「甘露」を「あまつゆ」と読んだ。正しくは「かんろ」。というか、収録時に周りのスタッフは誰も指摘できなかったんかい。それにしても「あまつゆ」はないだろう。カンロ飴がアマツユ飴になってしまうではないですか(笑)。

例8)
兎美「実際ボクの役目は、ありすちゃんを実家から連れ出して、
   輝かしいスポットライトの下に導いてあげた時点で
   もう終わっているんじゃないか? ……とは思ってたよ」
 ⇒声優さんは「下に」を「したに」と読みましたが、私は「もとに」だと思いました。というか、これを「したに」と読む神経が分からない。この声優さんは「灯台下暗し」を「灯台した暗し」と読むってことですからね。


《判断不能》
 私が判断できなかった間違いが4件ありました。私にとっては、どれも大変興味深かったです。

1件目
(読み誤り? or 誤字脱字?)
ネリネ「この時間は私達の貸し切りにしましたから、
    ご自由に過ごしてくださって構いませんよ?」
 :
ネリネ「あの……兎美さん。
    もう少しリラックスしてくださって結構ですよ?
    借り切りなのですし……」
 ⇒声優さんは「借り切り」を「貸し切り」と読みました。これは判断に迷いますね。一番の問題は、少し前にネリネの会話文として「貸し切り」と書いている点です。これが「借り切り」と書いてあれば、声優さんの読み間違いとなるのですが……。なぜなら、本来「貸し切り」とは店側からの言葉ですから、ここでは「借り切り」が本来の正しい言葉となるのですが、一般的には借りる側でも「貸し切り」と使う場合が多いため、ここでは二重に解釈の混迷を深めることになってしまいました。

2件目
(読み誤り? or 誤字脱字?)
兎美「ぎゅーってさせて、ネリネさんっ。
   今日はいっぱい、ぎゅーしたいからっ」
 ⇒「ぎゅーしたい」を「ぎゅーってしたい」と読んだ。ただし、会話文の最初の「ぎゅーって」との対応効果を考えると、声優さんの読みの方が個人的には良いと思ってしまいました。それに、その後の会話文を見ると全部、「ぎゅーって」となっていましたからね。そのため、誤字脱字の可能性も十分に考えられます。

3件目
★声優さんの読み方が変
華恋「……今の子、
   深夜テレビで見たことあるような……?」
 ⇒「深夜テレビで見た」を「深夜、テレビで見た」と読んだ。またまた、奇をてらった息継ぎの読み方を!? そもそも「深夜テレビ」って深夜番組を意味する一つの言葉であって、ここでは「深夜番組で見た」と言いたいのであって、「深夜に番組で見た」ってことではないですし。一体全体、どうして本来の意味を捻じ曲げるような読み方を、今時の声優さんは是とするのでしょうか? さっぱり理解できません。

4件目
★誤字?
ト書き:そう言ってボクの雄っぱいに
    憐憫の眼差しを向けてくる梔子さん。
 ⇒最初、誤字なのかと思ってしまったですが、「雄っぱい」には笑ってしまいました。恐らくこれはギャグなのだと思いたいです。もしギャグではなくて単なる間違いの結果だとしたら、余りにもシュールすぎます。「憐憫」とわざわざ書いているので、意識して「雄っぱい」にしているのだとも解釈できるのですが、笑いを取るシーンでもなくここだけにしか書いていないので、判断を曇らされてしまうところが悩ましいです。
 ⇒因みに『ニコニコ大百科(仮)』では、「男子のおっぱいの中でも肉厚や男としての色香を兼ね備えたおっぱい、これを雄っぱいと呼ぶ。男の娘や少年のソレと異なるのは男性らしさが強調されている点であろう」と書いてありました。そうすると、主人公である兎美には当てはまらない言葉ですよね。私には、ますます混迷を深める謎ワードとなってしまいました(笑)。
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○おわりに
 本作の個別ルートは、「華恋」「ありす」「ネリネ」の三人のルートをそれぞれ攻略後に「純玲」ルートが開放され、各ルートの攻略ごとにヒロインそれぞれのアフターストーリーが解放される仕様です。アフターストーリーは、本編の続きとしての話数が振られているので、各個別ルートをそれぞれ完了するごとに引き続き即座にプレイするのが望ましいでしょう。私は、個別ルートを一通り攻略してからアフターストーリーをプレイしたので、何だかな~状態でプレイすることになってしまいました。ただし、各アフターストーリーは本編の一つの話よりはずっと短く、かつ本編ほどには出来が良くないので、何かを感じ取るには至りませんでした。

 全体を通して見ると、やはり純玲ルートにテーマが集約され収斂していくように思います。純玲ルートをプレイしてから、やっとタイトルにある「星」への拘りが前面に出てきて、主人公の純玲への想いが「お星様」から「明星」を経て、ラストは「一番星」へと進化していく様は、話の作りとしては圧巻でした。

 ところで、現在のエトワールは夢組からしか昇格せず、花組と夢組との対決である月例華覧会(マンスリーフェア)も、ずっと夢組が勝ち続けているという初期設定があるのですが、この差がどうして生まれたのかっていう疑問を、私は持っていました。これに関しては、純玲ルートをプレイすると、そもそも夢組は花組より授業がハイレベルだってことが分かってきます。

 しかも、サテリットと呼ばれるエトワールの専属付き人ができる夢組独自の制度もあるのです。学園における花組の扱いって……何? 落ち零れ花組と優秀な夢組という枠組みが既にできあがっているのに、花組と夢組はライバル関係っていう図式が、とても奇異に感じてしまったのは、私だけでしょうか。

 それにしても、女装ゲーの学園行事における演劇での『眠り姫』ってのは、テンプレなんでしょうかね。
  兎美「で、肝心の演目はなんですか?
     民話や童話がモチーフって言ってましたけど」
  ネム「眠り姫です~」
  ト書き:眠り姫は、眠れる森の美女や、いばら姫という
      タイトルでも知られる昔話だ。
 私、本作以外でプレイした女装ゲーに『恋する乙女と守護の楯 Re:boot Plus』があるのですが、やはり学園の演劇としては「いばら姫」でした。まぁ、どちらもゲームから受ける雰囲気が殆ど同じノリに感じますから、ストーリーでの題材が同じになるのは、致し方ないってことなのでしょうか。類は友を呼ぶってやつですか~。やっぱり、子供向けアニメか漫画の雰囲気の作品って、発想が同じなんですか~。オリジナリティ、ゼロですか~。

 この辺りは、テンプレに従うのも悪くはないとは思うのですが、少しでも作り手側に向上心があるのなら、もう少し先を考えて、これまでとは違った方向性を打ち出すことも考えてみるべきだとは思うのです。なぜなら、今のままではエロゲー業界の再浮上は難しいのではと、とても心配してしまう今日この頃だからです。

(1/18追記)
 先週初めから参照が少し増えたの調査してみました。“https://t.co/”での参照記録がちらほらあるのでツイーターからの参照かなと当たりをつけ、「星の乙女と六華の姉妹 Twitter shiratori」でググったら、1月8日 午前7:36のツイートが引っかかりましたよ。

  >>そもそも華恋の声優さん、エッチシーンの演技が下手に聞こえるので、経験や能力的な問題もあるのかもしれません。新人さんなのでしょうか?
  >-----
  >ほーん…と思い調べたらアッとなるアレで草
  >月白まひるさんおるしアレか

 なるほど、華恋の声優さんの箇所に反応したのですね。「アレ」って何だって感じですが、きちんと調べてみたら、華恋の声優さんは2010年から声優として活動していたのですね。ぜんぜん新人じゃねぇじゃん。私も適当なことを書いて、恥ずかしい。


○備忘録
 取り敢えず、三万字もメモったので、気になった事柄を抜粋して追記します。

★★★学園長
ト書き:壇上で挨拶をする学園長
兎美「(あれが母さんの『親友』だとかいう……)」
ト書き:母さんに昔のことを聞いても、いつも有耶無耶に
    誤魔化されるせいで、詳しいことはまだ何も
    分からないのだけれど。
 ⇒このネット全盛時代に、調べたければいくらでも調べられるだろうって感じですけどね。有名なお嬢様芸能学園の学園長なのですから。ちょっと、設定の詰めが甘いんじゃないのって思いました。

★臍を噛む
ト書き:ボクはできれば秘しておきたかった
    ありすちゃん入学の事情を
    隠しきれなくなったことに臍を噛んだ。
 ⇒「臍を噛む」は、一般的には「手遅れになる」という意味に使用されるのではなく、「努力しても及ばず残念な気持ちを表現」する場合の言葉の言い回しに用いられるとのこと。それを踏まえて、この場合「臍を噛む」の使い方として意味的に合っているのだろうか? 兎美が対策と呼べるものを何か立案したけれど、うまくいかず後悔したっていう場面ならば「臍を噛む」でも良いとは思うのですが、まだ兎美は何もしていませんからね。

★トイレ
ありす「えー? 女の子がシーシーする時は
    ちゃんと坐ってするんですよ?」
 ⇒男だって坐ってしますよって、私は言いたいです。少なくとも、私は自宅では坐ってします。理由は、便器がサイホンゼット式なので溜水面が広く、これに男が立ってすると、飛沫(しぶき)がはねて床がびちゃびちゃになってしまうからなのです。昔、今の住み家に引っ越して最初に立ってして以来、立ってするのはやめました。悲惨ですから……。

★リセマラ
ゲームプロデューサー「(はぁ……リセマラしたくなってきた……)」
カントク「(ちょっ……! 聞こえますよ!?)」
 :
ト書き:どうだ。ウチのありすちゃんは凄いだろう?
    この10連ガチャがハズレだなんて
    もう言わさないぞ。
兎美「(ここでお前のリセマラは終了だ……!)」
 ⇒リセマラってなんだよ。もう、言葉が分かんないよ。たぶん、これは私がプレイしてはいけないゲームだ。間違いない。私、ソーシャルゲームなんてしたことないから、何言ってるのか分かんないよ。因みに、リセマラとは「『リセットマラソン』の略で、チュートリアル終了後にレアガチャを引き、納得のいく結果が出るまでアプリのインストールとアンインストール(リセット)を繰り返す行為を指す。当たりが出るまで、ひたすら同じ作業を繰り返す行為がまるでマラソンを思わせる事から、この名が付いた」とのこと。

★同曲による花夢対決
 月例華覧会(マンスリーフェア)の花組と夢組の同曲対決。客席にいる教師と学生による『学内投票』では僅差で夢組が制したが、『ネット投票』ではネットの仕組みを各種活用する戦略で圧倒的票数で花組が制した場面。普通に考えたら、こんなにオープンなら秘密裏の裏工作にはなりようがないので、どこかの時点で夢組に露見して対抗策がとられるって話になると思うのだけれどね。そうならなかったのは何故なのだろうか? 準備期間が二週間しかなかったからってことなのかな? 気が付いた時には、本番だったみたいな。

★大浴場での眼鏡
めがね「――ふふ。大浴場(ここ)で山吹姉妹に
    お会いするのは初めてな気がしますね?」
 :
ト書き:一瞬チラリと見やれば
    彼女はお風呂の中でも眼鏡をかけている。
ト書き:ガラスは湯気で真っ白に曇っているけど、
    あれで前が見えてるのだろうか……?
 ⇒私は近眼ですが、銭湯によく行きます。私が思いますに、銭湯では洗い場では眼鏡を外していますが、湯船に浸かる時は眼鏡をしています。理由は、ド近眼なので眼鏡を外すと、よく見えないので歩き回るのが危険だからですね。また、レンズが湯気で曇ることへの対策としては、眼鏡をレンズごと湯に一瞬浸せば解決です。それ以前に、今時、ガラスのレンズなど使ってる人がいるのでしょうか? 調べてみたら、現在、プラスチックレンズの使用率は99%以上だとか。以上から、上記の内容はどうなのかなって思ってしまいました。このライターさんは眼鏡利用者じゃなくて、世間一般が思っているらしいイメージで書いているのでしょうか? もっとも、めがねさんの眼鏡は特殊機能付きなので、そもそも度付きレンズではない伊達眼鏡だからという理由なのかもしれませんけどネ!

★ベッド
ありすと華恋が一つのベッドで寝ることになって
華恋「はい、あの、キツくないですか? ちゃんと
   眠れてます?」
ありす「全然へーき、ベッドデカいし、
    私もかれんちゃんもちっさいし」
 ⇒背景画では、寮の部屋の備え付けベッドはシングルで、ぜんぜんデカくないのですが……。

★精液のニオイ
ローリエ「この精液っていうの……すごいニオイだな……
     拭いても全然ニオイとれないんだけど……」
 ⇒このライターさんは、「匂い」と「臭い」を区別しているのか、敢えて「ニオイ」と書いてますよね。私は、精液の「ニオイ」を「匂い」と書くライターさんは軽蔑(漢字で書くなら「臭い」と書けよと)しているので、この文章に対する私的評価は◎です。

★「なか」と「膣(なか)」と「中(なか)」
ありす「いーよぉ? なかで……。
    ありすの膣で……にーにのせーえきだしてぇ?」
ありす「ほしいよぉ……にーにのせーえき、
    ありすの中にちょうだぁい?」
 ⇒中(なか)が膣(なか)の誤字でないとしたら、この会話文での「なか」「膣(なか)」「中(なか)」の違いって何なのかなって思いました。「膣」に「なか」とルビを振っているので、ライターさんとしては読みを合わせながら意味合い的に違いがあるってことを強調したかったということになりますよね。もし、違いがあるとしたなら、本来、声優さんはその違いを声で表現しないといけなかったということになるのだけれど……、私にはさっぱりです。

★私的の読み方
兎美「す、すみませんっ。
   私的には参加する意思はなかったんですが、
   妙に妹がやる気になってしまって……」
 ⇒「私的」を「わたしてき」と読んだ。本来の読みは「してき」なのですが、会話だと「指摘」や「史的」など他の言葉と混同しがちなため「わたくしてき」「わたしてき」と読んだのが始まりだとか。貴社と御社みたいな感じですかね。

★仮想現実の世界
ローリエ「……いいか? 落ち着いてよく聞くんだ。
     今おまえたちがいるホテル。そこは現実世界じゃない」
ローリエ「フルダイブ型のVRマシンで見せられている
     仮想現実の世界なんだ!」
 ⇒いや、びっくり。キラキラ名字と異能者、つまり中二設定だとは思ってはいたのですが、まさかこうきたか。

★剪定
学園長「聖六華女学園の学園長……最高責任者として、
    私はあなたを『剪定』せざるをえません」
 ⇒「剪定」するんだ。華恋ルートでは「剪定」なんてしていないとか言ってなかったっけ?

★Potcharyシスターズの各人の芸名
 甘味のカロリーナ
 肉のカロリーメイデン
 油のセルライトプリンセス
  ⇒改めて見ると、凄い名前だな。

★ありすはパイパン
ト書き:ステージ衣装のまま、パンツを脱ぎ捨て、
    性毛の生えていないつるつるのおま○こを
    曝け出すありすちゃん。
 ⇒ありすのパイパンは、ここで正式に正当化されました。

★新事実。ありすはねんね。
ト書き:まだ生理も始まっていないありすちゃんに、
    いくら膣出ししたところで、
    妊娠などしないとは思うのだが……。
 ⇒いやいや、ありすはいったい何歳なんだ。生中だしで妊娠しない理由は、4人のヒロインの中で唯一、明確にはなったけれどもさ。

★アリストロイメリア
ト書き:『Alice*Rabbit』
ト書き:――リハ直前になってユニット名を変えた山吹姉妹。
 ⇒『Alice*Rabbit』にアリストロイメリアとルビが振ってあって、何これと思っていたら、この後ちゃんと説明が入りました。
ト書き:アルストロメリアという花の名は
    聞いたことがある。
ト書き:そして『トロイメライ』は確か
    『夢』と言った意味だったろうか……?
ト書き:おろらくはその2つを掛け合わせた
    造語なのだろうが、今の2人を表すには
    不思議とイメージがぴったりだった。
ト書き:ステージの上で飛び跳ねてるありすちゃんから、
    眩しいばかりのオーラが溢れ出している様に
    私には視えている。
 ⇒これ、華恋視点での文章なのですが、華恋って博識だったんだ。おまけに、華恋も異能者だったのですね。
 :
学園長「アルストロメリアの花言葉は……
    『未来への憧れ』」
 ⇒なるほど。そういう花言葉だったのか。いや~、すっごく設定に拘っていて、凝る凝る状態ですね。

★サイコロを振る音が変
 ルーレットを回している音になっているのは、もう少し考慮できなかったのかと思いました。

★ネリネの相部屋
 寮のネリネの相部屋、ちょっと他の部屋よりアイテムが豪華ですよね。二つの机の間にあるキャビネットの上には、白の胡蝶蘭が置かれていますし。

★ネリネの花言葉
兎美「花言葉は『忍耐』に『箱入り娘』か……。
   なんか、どっちもネリネさんっぽいかも」
兎美「ほら、ネリネさんって振る舞いがお嬢様だし、
   努力家なところは、忍耐って感じもするし――」
 ⇒細かな設定、攻めまくりますね。

★絵のミス
ネリネ「証拠を見せてもらっても、いいですか?」
兎美「え? しょ、証拠って?」
ネリネ「ですから、その……。
    あなたが男の子であるという、証拠です」
 ⇒ここまで兎美の部屋にいたのに、この直後からネリネの部屋に変わっている。エッチのイベント絵の背景を完全にミスりましたね。背景を見ると、ベット上にクッションがあるし、ベットカバーの色が薄い緑だし、カーテンはピンク色だし。完全にネリネの部屋だよね、これ。

★星より花
女の子「あのっ! どうしてネリ姉様は、
    星組(エトワール)にならなかったんですかっ?!」
ネリネ「私が星組(エトワール)にならなかったのは、
    自分には花が一番似合うと思ったからです」
ネリネ「夜空で煌々と輝き、人を照らす星は素敵です。
    人に希望を与える夢もまた、素敵なものです」
ネリネ「ですが、私に一番似合うのは、
    夢でも星でもなく、花ではないのかなって」
ネリネ「手の届かない夜空の星よりも、
    手を伸ばして掴もうとする夢よりも――」
ネリネ「人々の身近にあって、寄り添い咲く花の方が、
    私にはぴったりだなって、そう思ったんです」
ネリネ「売れなかった時代を種とするなら、
    芽が出たのは、兎美さんと出会ったから」
ネリネ「兎美さんと姉妹(アムール)になったことで、
    私はつぼみとなり、だんだんと綻んで――」
ネリネ「六華祭という晴れの舞台で、
    ようやく、花開くことが出来たんです」
 :
ネリネ「私は花として、できる限り、
    ファンの方々の近くで咲き続けたい」
 ⇒熱く語るよね、ネリネ。各種イベントも、これくらい熱く燃えて(萌えて)くれたら、本作は傑作になったのかもしれません。

★待つ
兎美「ちょっ……ちょっと待って――」
純玲「イヤよ、もう待たない。
   10年以上待ったんだから」
純玲「もう、待つだけなんてイヤなの」
 ⇒“あみん”の『待つわ』を思い出してしまいました。

★星組(エトワール)の寮
ト書き:生え抜きの星組(エトワール)が暮らす寮なら、
    設備のランクだってグレードアップしているはず。
純玲「星組(エトワール)の寮は確かに立派だけれど……。
   こと、お風呂に関しては、そちらが上よ」
 ⇒上記から推察すると、背景画において、星組(エトワール)の寮の部屋が、夢組や花組の寮の部屋と同じ作りなのは、変だと思う。最大6人しかいない星組の寮が二人部屋の相部屋だなんて有り得ないでしょうに。普通に考えたら個室ですよね。星組の寮の背景画は別途用意するべきでした。そもそも、純玲自身が「(お風呂以外は)星組(エトワール)の寮は確かに立派」だと宣(のたま)っているのですから。

★「白=雪」での重ね掛け
ト書き:ファーストキスの感想を、味で表すことがある。
ト書き:たとえば、レモンのように甘酸っぱい、とか。
ト書き:それでいくとボクのファーストキスは、
    頭の中が真っ白になる――雪の味、だった。
 ⇒ここまで雪のネーミングを掛けるのか。
 :
純玲「うふっ、うふふっ……♥ ほら、見て?
   私、雪ちゃんの精子で真っ白よ」
純玲「熱くて、どろっとして、真っ白で……。
   私、雪ちゃんの精子、大好き……♥」
 ⇒さらに、精子にまで雪のネーミングを掛けるのか。
 :
純玲「ぐッ……んぅ、はあっ……ねぇ、雪ちゃん?
   ほらっ……これ、処女膜よ? わかる?」
ト書き:そんなことを言われるなんて思ってないから、
    一瞬で頭の中が真っ白になって。
 ⇒さらにさらに、頭の中まで雪のネーミングを掛けるのか。
 :
純玲「雪ちゃんの精子が、膣内、いっぱいにっ……。
   はぁ、はぁ……あっ、あっ、あああっ……♥」
ト書き:打ち上げ花火みたいに放たれた精子が、
    すみちゃんの膣内で、次々に爆ぜていく。
ト書き:尿道を駆け上がっていった精子は、勢いそのままに、
    大好きな女の子を、内側から白く染めていった。
 ⇒そして遂に、純玲自身を白く染めあげていったのだった。つまり雪色に……。

★手抜き(背景画と文章の説明が合っていない)
主人公の実家に華恋を招いて、主人公の部屋でのシーン
ト書き:それじゃあと壁際に近づく華恋ちゃん。
    コルクボードに貼られた写真に目を落とす。
 ⇒背景画では、机の前の壁にあるコルクボードには、何も写真が貼られていないし。このシーンの会話、それなりに引っ張っているので、本来ならコルクボードには文章が書かれた紙ではなくて、写真を貼付しておくべきだったのではと思います。その後の本棚のシーンでも、
華恋「へぇ~やっぱり男性向けの本が多いですね。
   スポーツ物や、格闘物の漫画」
華恋「……あ、恋愛小説もありますよ? ふふ、
   ちょっと意外かも」
 ⇒実家の主人公の部屋の背景画では、書かれた内容の本、一冊もない感じです。辞書や学術書、純文学作品かよって感じですから。まして、漫画なんかどこにあるんだよって状態です。

★華恋との69での会話
69(シックスナイン)での体位でプレイ中にする会話内容じゃないよね。何、普通の日常会話をしているんだよって感じです。

★「パフェ」と「ぱるふぇ」
ト書き:ネムにつれてきてもらった
    となり町のフルーツパーラー
ト書き:そのお店で出てきたパフェは
    まるで宝石みたいにキレイで、
    ものすごくおいしそうだった。
ネム「うふふ~。めしあがれ~」
ありす「いっただきまーす♪
    ……んん! んぅ~っっ♥」
ト書き:あまい! つめたい! ンマーイ!
ト書き:ひとくち食べただけで、口の中にたちまち
    ぱるふぇな幸せが広がる。
 ⇒上で「パフェ」って書いてあるのに、どうして「ぱるふぇ」になるかなぁ。

★ぼうぜんたい
ト書き:おち○ちんの先っぽを穴にハメ、
    あとは自分のたいじゅうをかけてゆっくりと
    ぼうぜんたいをおま○こに沈ませていく。
 ⇒アリスはお子ちゃまキャラ設定だから、会話文も地の文も平仮名だらけで書かれているわけですが、最初、「ぼうぜんたい」の意味が分からなくて困りました。「呆然帯(ぼうぜん-たい)」ってなんだよみたいな。「棒全体(ぼう-ぜんたい)」かよ。

★乳首の勃起
 授乳手コキのシーンで、片方の乳首を口に含みながらのもう片方の乳首を微妙に勃起させる演出は秀逸。そして、最後は天使の笑顔(絵は微妙に口元が笑っている表情。純玲の性格だから微笑んだだけでも合格かな)。赤ちゃんプレイとしての授乳手コキの機微が分かってらっしゃる演出だと思いました。
 ト書き:囁きと手コキと授乳と――みっつの甘さが、
     ボクの脳内を、ミルクみたいに真っ白に染める。
  ⇒結局、白に収斂するわけですね。
 ト書き:ああ、どうしようっ……童心とかじゃなくて、
     ホントにこれ、赤ちゃんみたいな気分にっ……。
  :
 ト書き:覗き込む彼女に思い切って尋ねると、
     すみちゃんはくすぐったそうに微笑んだ。
 純玲「でも……こういう笑い方をしちゃうのは、
    これから先も、雪ちゃんの前だけよ」


以上

The above is a long impression of shiratori.