ErogameScape -エロゲー批評空間-

shiratoriさんの同級生 リメイクの長文感想

ユーザー
shiratori
ゲーム
同級生 リメイク
ブランド
FANZA GAMES
得点
76
参照数
3633

一言コメント

本リメイク作品への「古臭い」との感想は、むしろ褒め言葉だろう。(修正:2/27,28、追記:3/2,6,11,31,6/1)

長文感想

履歴(2021年)
 2/26:初稿(「はじめに」、「本作の制作意義、はたまたプレイ意義」、「時代を感じた事柄」、「システム」、「おわりに」)
 2/27,28:修正(適宜、ちまちまと全体的に細かく加筆修正)
 3/02:追記(「本作の購買層を考察」)
 3/06:追記(「追伸(P.S.)」を最後に記載。内容:最後まで終えて、気になった事柄、不具合)
 3/11:追記(「DiGinationのサポートについて」)
 3/31,6/1:更新(「DiGinationのサポートについて」)

○はじめに
私は、本作のオリジナルをプレイしたことがなかったので、正真正銘、本リメイク作品が私にとっての初『同級生』です。不朽の名作をリメイクとのことだったので、体験しなくちゃって思って、購入に踏み切りました(勿論、ダウンロード版ね。因みにFANZAではブラウザ版も用意されていて、後でダウンロードコードがメールで通知されました)。

ゲームを起動するまで、ゲーム内容すら全く知らなかったため、ちょっとやり始めてからゲーム内容を把握するために公式Webページを参照し、「もしかして攻略対象って14人もいるの?」って初めて把握した次第です(笑)。

さて、現時点の私は初日が終わったところで、昼間に先負町のマップを一通りチェックし、引き続き夜間に矢吹町のマップを一通りチェックした段階です。夜に矢吹町のキャバクラの入り口で呼び込みの人と会話を試みたら、突然、会話がリピートしだしてバグったのかと思って焦っていたら、音声リピート機能が知らないうちにオンになっていたのでした(原因が判明するまでちょっと時間を要してしまいました)。つまり、まだゲームシステムの把握すら朧げな状態なのです。

それでも、マップを色々いじってみて、本作の制作目的は何となく理解できたのでした。

※点数はプレイし終えたら付ける予定です。


○本作の制作意義、はたまたプレイ意義
本作、公式Webページの旧作との違いを読むと、1992年発売の原作『同級生(MS-DOS版)』をフルリメイクし、1999年発売『同級生(Windows版)』のシナリオをベースとして、現在の倫理規定に合わせた調整のみ行った作品とのことでした(さすがにグラフィック周りは、現在のコンピューター環境を意識して更新)。つまり、1990年代の世相風俗の雰囲気をプレイヤーに味わってもらうことこそが、リメイクにあたってのそもそものコンセプトであり目的らしいのです。実際、1日目の段階で、絵にしてもシナリオにしても、それを痛感いたしました。

冒頭で主人公の部屋を見た時、「わっ、古ッ!」みたいな。ブラウン管仕様のテレビやPCモニター、その他部屋のインテリア全てが、1990年代初頭だってことが理解できました。その後、マップで先負町や矢吹町を回って町並みの絵を見て、30年近く前はこんなだったかなあなんて懐かしく思ってみたり。

また、ゲームシステム自体も、昔はちゃんとゲームとして成り立っていたよなって思ってしまいました。最近のADV作品は選択肢も殆どないから、もうゲームじゃなくて単なる電子紙芝居だよねって、改めて思ってみたり。本作でのナンパで女子と親しくなるっていう軽薄さは、私の好みのスタイルではありませんが(実際問題、主人公の会話が私にはウザすぎる)、時間や所持金を気にしながらのゲーム性の方は、現在のゲームでも何らかの形で復活させるべきなのではって、ちょこっと思ってしまいました。

私は、本作の直前に『恋する乙女と守護の楯 Re:boot Plus』をプレイしていたのですが、『恋楯』のリメイク方針は「全体的に見直し(スマホへの変更とか)と時事描写の修正」であり、営業的観点からは追加エッチシーンを作るとしてPlus版を制作したのに対し、本作のリメイクは原作の雰囲気を極力壊さない方針とし、シナリオは現在の倫理規定に合わせた調整のみで追加エッチシーンも作らないという、間逆です。そのため、本作の制作に対する考え方は、実に面白いと思ってしまったのでした。

そう考えると、本作の意義って「郷愁・望郷・懐古・追憶」(いわゆる“ノスタルジー”)の再認識と再充填での追認行動であり、それに伴う温故知新(故きを温ねて新しきを知る)の追求にあるのではないかと思ったのでした。


○時代を感じた事柄
まだ、ゲーム内でたったの1日が経過しただけの段階なのですが、以下の事柄に「時代(1990年代)」を感じてしまいました。

★先負駅前の風景
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たくろう「駅前にはバスのターミナルがあるんだ。バスはディーゼルエンジンだから、発車する時に排気ガスがもくもく出る」
 ⇒確かに、本作のオリジナルが発売された1992年頃はそうだったのかもしれませんね。ちょうどバブルが弾けたあたりですか。私は昔、産業道路沿いに住んでいた頃、排気ガスで目は痛いし咳き込むしで、散々だったことを思い出してしまいましたよ。

たくろう「このデパートは、とにかく値段が高い事で有名だ。消費税も5パーセントになった事だし、これからはますます閑古鳥が鳴くだろう」
 ⇒消費税が5パーセントになった頃(1997年)なのか。確かに1999年発売のWindows版シナリオみたいですね。駅前にデパートってのが、なんとも。今じゃ、閑古鳥が鳴くどころか撤退が相次いでいるというのに。
----------------------------------

★男二人の会話
男の人「なあ、このまま地球の人口が増え続けたらどうなるんだろ?」
 ⇒30年後の今、日本の人口は2008年の1億2808万人をピークに減り続けているという現実に、時の流れと残酷さを垣間見た気がしました。私など、二年前に久しぶりに地元に帰省したら、住宅団地内の小学校が四校から二校に統廃合されており、団地内に住んでいるのは爺婆のみでもう子供どこにいるの状態でしたからね。人がいないからスーパーも撤退みたいな廃れ具合に、愕然としてしまいましたよ。

★地震
たくろう「高さも大きさも違うビルが密集して建っている。もし大地震が起きたら、景色は一瞬にして様変わりするだろう……おお、恐い」
 ⇒1992年以降、1995年の阪神・淡路大震災と2011年の東日本大震災、その他もろもろの震災が発生したのだから、台風被害も合わせて日本って本当に自然災害の多い国だなって、最近大ヒット中らしい『桃太郎電鉄』シリーズの最新作に鑑みて、改めて思ってしまったのでした。

★男女(モブキャラ)の会話が面白い
喫茶店での別れ話の男女の会話も面白かったのだけれど、夜の矢吹町での男女の猥談(シモネタ会話ギャグ)も面白かったです。
 女の人「やっと大人の時間がやって来たわね……」
 男の人「ああ、今日も濃厚なのをくらわしてやるぜ……ふふっ」
 女の人「濃厚にするって事はいつもよりも長くて……5分くらいかしら?」
 男の人「……」
 男の人「ふう、ずっと立ち続けてるとさすがに疲れるな」
 女の人「ええ、大事な部分はまったく立たないのにね」
 男の人「……」
 男の人「ふん、お前の奉仕が足りないからインポになるんだよ」
 女の人「別にインポでもいいわ……そんなチンケなチ○コ」

★矢吹町の駅前
渋谷をイメージしているんですかね。109ならぬ101とかあるし。画材屋さんの看板、「全世界堂」には笑ってしまった。「全」つけただけじゃないか。そういえば、90年代の渋谷ってナンパの聖地として君臨していたんでしたっけ? ちゃんと、ナンパを題材にした本作の精神に合った場所を選定していたってことなんですかね。

★ポイント・アンド・クリックシステム
ずっと、画面をクリックし続けていたら、
 たくろう「ここでずっと人間ウォッチングをしてるつもりか?」
って表示されて、そこまで計算ずくで的確な会話文を用意するなよって、思わずツッコんでしまいましたよ。同じ画面クリック仕様でも、私が最近プレイした『Little Sister ―おしかけ同棲生活―』とはえらい違いだな、出来が……。商品の“価格”と“出来”とは相関関係があるってことが、いやが上にも納得できてしまったのでした。


○システム
★主人公の名前変更
本作は、ゲーム開始時に主人公の名前入力を求めてくるのですが、大概この手のシステムの場合、デフォルトの名前には声優さんの音声ありで、変更後の名前にはテキスト変更のみで音声カットか、良くて汎用的に「あなた」みたいな呼び方の声を当てるかでの対処だと思います(想定される名前を事前に沢山用意してアテレコしているゲームもありますが)。

本作では、主人公の名前の音声はデフォルトも含めて全てカット(3/1訂正:「あなた」音声もあり)で、テキストだけ変更での対処みたいですね(つまり変更しても何の違和感もない)。私は最初、上記の仕様状態が不明だったので、無難にデフォルトの「たくろう」のままにしてしまいました。ただ、現実には主人公の軟派な言動が私には性に合わないので、自分の名前に変えていなくて良かったなとは思っています。

また、「全画面モードだけで、ウィンドウモードがない」との体験版プレイコメントがありましたが、画面の左上に並んでいる環境設定メニューのウィンドウ設定でウィンドウサイズ設定ができましたし、よくある「Alt+Enter」で全画面モードとウィンドウモードが切り替えられたので、私個人としては、特に問題なしです。


2021/3/2追記
○本作の購買層を考察
本リメイク作品の実際の主購買層って、どういった方々になるのでしょうか。本サイトでの本作に対する一言感想を見ていると、過去に原作をプレイした古参向けと捉える考え方が主であるように思われます。しかし、私の考えはそうではありません。

なぜなら、もし原作プレイ世代向けだとするのなら40代・50代が主となるのでしょうが、その年代で本作のオリジナルをプレイして未だに現役エロゲーマーである方々は非常に少ない気がしますし、その中で更にリメイク作品をプレイしようと考える方々はもっと少ないと思われるからです。

従って、制作陣が古参向けだけをターゲットとしたのだとするのなら、余りにもニッチ過ぎて商売としては危険すぎると考えられます。実際に本作品の制作の考え方は、「『当時のユーザーさんにもう一度遊んでほしい』そして『今の若いユーザーさんにも知ってほしい』という想いで制作を決定」となっておりました。

そうはいっても、私の考えでは、当時のユーザーが40代・50代になって再度エロゲーをプレイするなど、相当にハードルが高いような気がします(そもそも家族に内緒で購入してプレイするなど、現役エロゲーマーでもない限り無理でしょう)。従って、原作ユーザーの購買はあまり期待できそうもないと考えるのが無難だと思われます。実際に一言感想の内容を見る限り、私も含めて原作未プレイの方々が殆どのように感じています。また、次の書き込みを『elf(エルフ)総合スレPart224』で読んだので補足情報として記します。

 657名無したちの午後2020/11/11(水) 07:37:38.51ID:/4e5KWl20
 「基本的に懐古アイテムだし
  金持ったアラフィフやアラフォーが買うんだろ
  できたら同級生2までやってほしいが
  出たら出たらで不満が…」
 660 名無したちの午後 2020/11/11(水) 12:43:05.01 ID:iaCRcQhS0
 「Twitter見るとTwitterの主世代が懐古世代より若いせいもあるだろうけど、
  オリジナルをリアルタイムでプレイしたアラフィフやアラ還より、
  オリジナル未プレイでSS版なら知っているというくらいの
  エロげ現役世代の若い人が興味持ってるというツイートが多いな。
  若い世代の開拓に成功してるシルプラが力を入れて宣伝しているのが大きいかと」

だとすると、実際に想定される主購買層は、現役エロゲーマーの中でも本作のオリジナル版は未プレイだけれども、Aグループ(1990年代を“懐古”できる年代の方々)とBグループ(過去の世相風俗の“回顧”に吝(やぶさ)かではない若い方々)の両グループの中で、特に本作に興味を持たれた方々(集合論だと A∩B )になるのではないかと、私は考えました。

正直、私は内容も満足に知らずに名作だからで購入した口なのですが、「青春恋愛ドラマの金字塔とも呼ばれる作品」が、まさかのナンパで女性と知り合うことだったなんて、夢にも思いませんでした。エロゲーでは、どうやって女性と知り合うのかは非常に重要な課題ではあると思うのだけれど、ナンパで女性と知り合うだなんて非常に軽薄なイメージを抱(いだ)いてしまいます。調べてみると、次の調査結果を見つけました。

 2017.7.07 (Fri) バンジーよりも勇気がいる!? ナンパに関する意識調査
  Q.あなたがナンパに持つイメージは?(各N=600、最大3つまで選択可)
 <男性>
  1位:32.8%:勇気がいる
  2位:28.5%:迷惑だと思われるかも
  3位:27.5%:なんとも思わない
  4位:26.6%:チャラいと思われるかも
  5位:24.6%:軽いと思われるかも
 <女性>
  1位:54.1%:チャラい
  2位:53.4%:軽い
  3位:29.2%:怖い
  4位:29.1%:面倒くさい
  5位:25.4%:迷惑

女性は圧倒的に軽薄者のイメージですが、男性は意外にも勇気ある行動だと思っているが1位です。これから考えると、男性向けエロゲーとしてはナンパで女性と知り合うシチュエーションはアリなのかもしれないと思ったのでした。とはいえ、男女とも軽薄な行為だとは思っているのですから、これが恋愛関係に発展する戦術として効果的だとは、とても思えません。昔のエロゲーでは恋愛の戦略としては効果的な戦術と成り得たのでしょうが、現在においてはどうなのでしょうか?

以上を勘案していけば、今回のリメイク作品に対してどういった評価が最終的に下されるのかが、見えてくるのではないでしょうか。正(まさ)に「軟派がナンパするとはこれ如何に?」ですよ(笑)。

そもそも私に言わせれば、エロゲーにおける昨今のリメイクブームなど、新規の作品を生み出す力が無くなったために、過去のヒット作に縋(すが)ることしかできなくなったという非常に後ろ向きな考え方の結果でしかないと思っています。そのため、エロゲーユーザーが望んだからというニーズに基づくものではなくて、制作側の都合(新規作品の制作能力減退)によるシーズに基づくものだと考えられますから、私個人の評価としては決して高くはありません。でも出来ちゃったんだし、買っちゃったんだから、プレイしないわけにはいかないですよね(笑)。


○おわりに
マップをあちらこちら探索していたら、某屋敷の家政婦さんから次の助言がありました。
--------------------
家政婦「最初の一週間はほとんど何も起こらないの。しかしそこでメゲてはダメ……見えないところで確実に何かが起こってるのよ」
家政婦「ようするに、最初の1週間があなたにとって一番大事な時……野人のように町に出てタネを撒く時なのよ」
--------------------
「野人のように」は笑っちゃいますが、なるほど、ここ1週間が大事なわけですね。

本作には、イージーとクラシックの二種類のモードがあるのですが、旧作をプレイされた方々はどんだけ忍耐強かったんだろうって、改めて思ってしまいました。変な霊媒師さんとかもいたし、上記の家政婦さんのアドバイスとかも含めて、本ゲームの基本はクラシックモード前提なんでしょうね。

ただ、クラシックモードだとゲーム性は高くなるとは思うのですが、私ではギブアップしてしまう可能性が高く、無難にイージーモードで気楽にプレイしようかなと考えております(現時点では、まだ誰も攻略に取りかかっていないので、イージーモードの雰囲気すらお伝えできない状況なのですが……)。その場合は、即座に目的のキャラクターアイコンを目指さないで、恐らくクラシックモードでの対応と同様に、マップ上をあちこち徘徊し調べまくってヒント等を探しつつ遊ぶのが楽しみ方のコツなのかなって、取り敢えず二つのマップを徘徊してみて思ったのでした。

まあ、現状は1日がやっと終わった段階ですので、後何日あるのかは分かりませんが(夏休み期間中?)、攻略対象が14人もいるみたいですから、私の場合は少なくとも一箇月は遊んで暮らせそうです。


2021/3/6追記
○追伸(P.S.)

★最後まで終えて
取り敢えず終えたので、終えた段階での感想と点数を考えました。ただし、完全に終えたのはたった一人だけで、現時点での「夏休みの思い出」での回収状況を見ると、
 真夏のフォトグラフィ⇒進捗率54%(いわゆる「イベント絵開放率」ね)
 追憶のハイライト  ⇒進捗率55%(いわゆる「シーン開放率」ね)
となっています。でも、シナリオにいたっては恐らく全体の30%も見たかどうかってレベルだと思います。

一応、上記の「おわりに」の方針に基づきイージーモードでプレイしたのですが、フラグスケジュールは見ない縛りプレイを課して、挑戦しました。結果、「マップ画面でのヒロインの顔アイコン」と「選択肢での好感度ハートマーク」だけで進行することになったのですが、顔アイコンだけに注目していると、学校は校舎内に入らないと表示されない場合があるので探索が疎かになって女学生関係のイベントがあまり進まず、かと言って社会人関係も人によっては全く進まずって感じでした。進む人と進まない人の落差が激しく、結果、上記の進捗率となったのでした。

この後、残りの半分を進捗させないといけないのですが、イージーモードでも結構、マップ上を駈けずり回ったので、クラシックモードなんてやっぱり無理ですね。昔のゲーマーは偉大だったと改めて思った次第です。クラシックモードでは、フラグリスト確認の代わりに「霊媒師の家」でヒロインの気持ちが確認できる仕様らしいのですが、まあ「霊媒師の家」は全く利用せず状態だったため、フラグリスト利用を封印していた関係で、ヒロインの気持ち度合いなど全く分からん状態でした。ただし、選択肢さえ出せれば正しい好感度アップ選択は可能だったので、それに助けられて、やっと半分の進捗率を達成できたって感じです。

ただ、初回でもマップ上に表示された顔アイコンを片っ端から選択して半分の進捗率にしかならなかったので、残りの半分を進捗させるためには、やはりフラグスケジュールで何時に何処でイベントが発生するのかを、確認せざるを得ないのかなとは思っております。

最後に点数ですが、ゲームとしては良く作りこまれていると思いました。開発資金が沢山あったなら、マップを生かして真のオープンワールドなゲームを実現して欲しかったくらいです。シナリオも、最初から最後まで簡潔に纏まっていると思いました。過去、大ヒットしたのも納得できます。

エロシーンが短いとかの苦情もあるみたいですが、私は逆に最近のエロゲーは、ストーリー上での無意味に長いエロシーンの連続に辟易して苦情を言う方なので、短くて丁度良いです。また、シナリオの内容が薄いとのご意見もあるかもしれませんが、そもそもゲーム性を重視しているので、それとのバランスを考慮して配慮した結果だと思っています。当時のPC環境も考慮して十分に練られていると思いました。

そもそも、本作の面白い面白くないの判断として、例えばイージーモードでプレイしてシナリオが薄いとの評価があった場合、それは余りにも短絡的すぎるのではないかと思ってしまいます。それは、お化け屋敷で電気を点けて怖くないよねって言っているようなもの、またはハードモードでプレイした人にイージーモードでプレイした人が「このゲーム簡単でつまんない」と言っているようなものなのです。これでは議論が噛み合いません。もし、インタラクティブなゲーム性も含めてシナリオ分量を配慮していた場合、そのゲーム性部分を取り除いた状態で現在のゲーム性皆無のエロゲー(しかも半分以上はエロシーン)とシナリオの分量を比較して評価するのは、余りにもナンセンスでバイアスが掛かり過ぎているのではないかと思ってしまいます。

ただし、本ゲームの本質である「ナンパ」は、私にはダメですよ。確かにゲームを進めていくとある程度は気にならなくなるのですが、それでも主人公の軽薄さはどうにも受け入れがたく、時代の流れは残酷だと思ったのでした。この軽薄さを過去ユーザーに再度体験しろというのは、年齢的にも余りにも無慈悲なのではないかと思いました。ただ、『俺たちに翼はない』の群像劇みたいなものだと好意的に捉えて解釈すれば、良く見えるのであろうか……いや、やっぱり見えない(笑)。

以上を勘案して76点(3/6時点)としました。


★気になった事柄
・電力伝達棒
たくろう「電力伝達棒だな……別名、電柱とも言う」
 ⇒電柱の正式名称、初めて知った……と思って検索してみたら、「電力伝達棒」などという言葉は引っかからなくて、電柱の正式名称は「電力柱」となっておりました。この記述を信じて、電柱の正式名称は「電力伝達棒」だと蘊蓄を垂れる方々がいるのかと思うと笑っちゃいます。

・ホームレス
太郎「どこかの河川敷でダンボールの家に住む事になるぞ。君はそうなっていいと思ってるのか?」
 ⇒バブル崩壊後の多摩川河川敷は凄かったなと、今更ながら思い出してしまいました。ダンボールどころか台所完備、ペットの犬を飼っているところもあったりなんかして。その技術と生活様式を、もっと他に生かせなかったのかと思ってみたり。

・女子とのつき合い
よしこ「たくろう君、女の子とつき合う事は社会に出てから十分できますよ。でも学園の勉強は今しかできません……わかりますか?」
 ⇒よしこ先生の言葉で、これだけは間違っていると思いました。女子とのつき合いは、社会に出てからは十分にできない。寧ろ学園にいた時の方が十分にできるのです。そうでないとエロゲーが成り立ちませんから(笑)。そもそも、よしこ先生の現状がそれを物語っているではありませんか。


・会話文でのオノマトペの読み方
声優さんの個性が出ますよね。ほぼ字面どおりに読む派から想定される効果音で表現する派、はたまた文章の前後関係から想定される内容を勝手に口ずさむ派(アドリブ? 指示?)まで様々です。本作での代表例を挙げるとすると、次のとおりです。

例1)
 美穂「モジモジモジモジ……モジ」
 太郎「ちょっと待て、君に……すぴょすぴょぴょ!!」
   「だ、だから君に……すぽろぽぽ~ん!!」
  ⇒どちらの声優さんも、ほぼ字面どおりに発音して読んだ。
例2)
 一哉の母「ぶつぶつぶつぶつ……ぶつ……」
  ⇒声優さんは、「っもう、私がせっかく人生の5箇条を教えてあげたのに、なんて子なのかしら、っもう、ほんっとに!」と読んだ。
 かおり「まったく、これが若い男ならまだ許せるけど……ぶつぶつぶつ」
  ⇒「ぶつぶつぶつ」を「しみったれた中年風情が……」と読んだ。

私は、自分の『恋する乙女と守護の楯 Re:boot Plus』の長文感想で、会話文でのオノマトペ使用について考察してみたのですが、声優さんによって上記のような違いを生んでしまうような会話文でのオノマトペ使用は止めるべきだと、個人的には思っています。

・主人公の名言
たくろう(勇気を出して話しかけてよかったよ。何もしなければ何も起こらない……何もおこらなければ何も始まらない……人生の鉄則だよな)
 ⇒本作の場合、その実践がナンパで女子と知り合うことになるわけですが……。

・本ゲームの本質
夏休み最後の美砂の母の言葉が全てだと思いました。
 美砂の母「今年の夏は何人の女の子と殺ったの?」
ただし、この文章の「殺った」は「犯った」が正しいと思います。意味的には「ころした」ではなく「おかした」なのですから。誤字ですね。

・ねずみ講
太郎の母「まずあなたが信者になり、次に信者3人集めるの。あなたはその信者から入会金の2割を取って、その信者が集めた人からも1割を……」
 ⇒完璧なねずみ講(無限連鎖講)だよね。1992年にエロゲーやってた年代だと、ねずみ講は違和感がないか。

・クイズ正解イベントのシーン登録が中途半端
主人公パソコンの“女の子データ”または起動画面の“追憶のハイライト”における「OTHER」登録されているシーン群(クイズ正解イベント)ですが、各シーンとも初回と二回目以降では男女の会話内容が違っています。にも拘らず初回の会話内容だけしかシーン登録がされていないのは、中途半端で片手落ちな仕様だと思いました。


★不具合
現時点で確認できた不具合関係を記します。最初に、重大な不具合(私の認識では)を二点ご報告します。

一点目:8月31日にフラグスケジュールを開こうとするとプログラムが落ちる
 審判の日(8月31日)に自室に戻されますが、「FLAG LIST」から誰かの「次のフラグへ」を選択して「FLAG SCHEDULE」を開こうとすると、「nanpa_re.log は動作を停止しました」とエラーパネルが表示され、エラーパネル上の「プログラムの終了」ボタンを押すしかなくなります。原因は、恐らく「FLAG SCHEDULE」は10日~30日までの21日分を1週目~3週目で7日間ずつ三分割して表示する仕様なのですが、それにも拘らず仕様上は存在しない31日目を表示させようとしたためエラーになったと思われます。デバッグちゃんとしたのか“SILKY'S PLUS”(笑)。
 FANZA GAMESの作品って、直近で発売された『Little Sister ―おしかけ同棲生活―』での99日表示で100日目以降で落ちるとかのバグもありましたが、この手の「境界値分析の問題」での不具合(多分に落ちる)が多いのかもしれませんね。
 一応、DiGination(FANZA GAMESがおくるPCゲームの総合ブランド)のユーザーサポートに連絡しておきました。『Little Sister』の不具合も修正版を出していたので、そのうち修正版が提供されるとは思いたいのですが……。回答が来たら、回答内容を別項目で最後に追記しておきます。それにしても、DMMほどの規模の会社が、サポート受付を自動応答システムにせず、普通にメールを書いて連絡って、なんだかな~って感じです。

二点目:“田町ひろみ”のブレザーの色が文章と合っていない
ト書き:俺は彼女の震える肩に手を添え、そのままそっと身体を引き寄せた。そして髪から漂う甘い香りを感じながら、茶色のブレザーを優しく脱がす。
 ⇒この地の文で表示されている絵での“ひろみ”は会社の制服姿で、私は、白黒チェック柄のベストを脱がす演出を見ながら「茶色って何?」って、咄嗟に思ってしまったのでした。そのため、旧作での“ひろみ”のキャラ絵を調べてみたのですが、確かに“ひろみ”が着用しているのは茶色のブレザーです。
  これは大失点ではないでしょうか。なぜ、誰も気が付かなかったのか。恐らく、シナリオ上に「茶色のブレザー」って具体的に書いてある箇所があるとは誰も思わなかったので、新しいキャラデザの時に意識しなかったのでしょうね。しかし、本作の制作方針は旧作のシナリオを変更しないですから、シナリオでの設定に従うのが基本方針でなければならない筈です。従って、これは大チョンボだと思います。
(3/20追記:冷静に考えると、服の設定を根本的に変更していますよね。そもそも、本作ではブレザーではなくてベストだし。恐らく夏のOL制服を意識して変更したんでしょうね。これ自体は季節感を考慮していて正しかったとは思いますが、しかし、そうすることでシナリオとの乖離が増長されてしまったのは、本作のリメイクコンセプトから考えると痛いですね)


さて、次に誤字脱字関係と声優さんの読み間違い関係を記述します(とはいっても、現時点では全シナリオの30%くらいしか開放していないので、全体ではここに書いた3倍は間違いがある可能性があります)。

<誤字脱字>
家政婦「和服姿の女性との親密な関係は、他に何の影響も及ぼさないわ。それどころか、ほおっておくと逆にチャンスを逃す事になるの」
 ⇒「ほおっておく」でなくて「ほうっておく」が正しいです。調べてみると、次の説明あり。
-----------------------
「放って」は「ほうって」と読みます。パソコンやスマホの変換だと「ほおって」でも「放って」が出てきますが、実は間違い! 【ことばの総泉挙/デジタル大辞泉】では61%の人が正解していましたが、38%つまり約4割の人が、誤った表記を正しいと思ってしまっています(2018年1月14日現在)。
-----------------------

ト書き:合わさる柔肉が左右に大きく分かれ、その部分を内側に巻き込みながら、少しづつ、少しづつ、彼女の中へ肉の塊が埋没していく……」
 ⇒少しずつ。「づつ」と「ずつ」の間違いってよくあるよね。私が思うに、既に「づつ」と書く人の方が多いように感じています。こうなったのは、恐らくキーボードでのローマ字変換でZキーが押しづらいと思う方々が多いのが原因じゃないかと、私は考えています。

<声優さんの読み間違い>
ちはる「じゃあ、返事ぐらいしなさいよ」
 ⇒「ぐらい」でなく「くらい」と読んだ。これに関する関連情報としては、「『NHKことばのハンドブック 第2版』に記されていた〔体言(=名詞)には【ぐらい】〕〔「この・その・あの・どの」には【くらい】〕という過去の使い分けの傾向は、実は現代でもある程度生きているということが確認できる」というのがありました。

ちはる「私の事をずっと嫌いにならない?」
 ⇒「事は」と読んだ。

舞「もしその話をしてる時に教えてたら、またあなたは色々と考えるもの……きっと、私が泊まる場所を探そうとするわ」
 ⇒「教えたら」と読んだ。

一哉「ど、どうして言い切るんだよう」
 ⇒「言い切れる」と読んだ。もっとも、声優さんの読みの方が普通だとは思いますが、文章の前後関係上でも「言い切る」で意味的には通ると思われます。


○DiGinationのサポートについて
上記の「★不具合」で書いた「フラグスケジュールを開くと落ちる件」の対応状況を記録します。
-- 履歴 ------------------------------
3/06(土)15:18 不具合連絡
DiGinationでは土曜・日曜・祝日・弊社指定休業日及び業務時間外のメール問い合わせは、翌営業日以降の業務時間(平日10:00~17:00)での連絡となっています。こういうところは、さすがにDMMは会社としてきちんとしていますよね。そのため、3/8(月)まで連絡待ちですね。まあ、ユーザーにとっては次以降のステップがきちんとしているのかが、大問題なんですけどね。

3/10(水)10:58 最初の回答あり
「現在、原因を調査中でございます。今しばらくお時間頂ければ幸いでございます」とのこと。回答、おっそ~い。しかも3日目で「調査中」って、そば屋の出前みたいな回答。某ブランドみたく、なんでもかんでも「次回対応」などという常套句による「対応するかどうかは神のみぞ知る」回答よりはましですけどね。本当に、私がエロゲー業界最高最速だと思っている MOONSTONE サポートの爪の垢を煎じて飲ませたいです。因みに、私がこれまでに経験したエロゲーでのサポート対応パターンは、次のとおりです。
 パターン1:迅速に回答(問い合わせ1時間半以内に回答。自動応答は除く):(・ᴗ・) たいへん良くできました。
 パターン2:2、3日後に回答:(-"-) ちょっとイライラします。
 パターン3:1週間たっても回答なくせっついたらやっと回答:(`´) 内心、吠えて喚きちらします。
 パターン4:せっついても無回答:(=_=) 茫然自失です。二度とこのメーカー作品は買わないとエロゲー神に誓います。

3/20(土) 現時点では回答なし
取り敢えず、最終的な結論は出すみたいなニュアンスの回答でしたのでいくらでも待ちますが、長期戦ぽくなってきました。まあ、現状の仕様上、どう改修するのかは見ものですけどね。このまま無回答でのフェードアウトコースも十分考えられます。その場合は、無条件にパターン4に移行しますけどネ!

3/31(水)13:32 音沙汰なしなので、以下内容でせっつきました
===================================
DiGinationサポート様
お世話になっております。shiratoriです。

さて、標記の件、問い合わせてから三週間以上が経ちました。
調査中とのことでしたが、現在、どのような状況なのでしょうか。
他のユーザーさん達は知りませんが、私個人としては、
 ・不具合現象が再現するのかどうか
 ・再現するのなら不具合対応をするのかどうか
が知りたいです。

個人的には、不具合は再現するが対応しないのなら、
少なくとも、readmeに不具合内容を記載して、
ユーザーに注意喚起をするべきだとは思います。
(なにしろ、ゲームの最終局面で落ちるのですから、
ショックでプレイする気が失せてしまいます。
現に私は萎えてしまって、その後、残りを
プレイするのを止めてしまいましたから)

以上、宜しくお願い致します。
===================================

3/31(水)15:35 回答あり
===================================
こちらはDiGinationサポートでございます。
この度は、弊社製品におきまして、
ご迷惑をおかけ致しまして大変申し訳ございません。
深くお詫び申し上げます。

不具合につきましては再現を確認いたしました。
現在修正パッチを作成中でございます。
対応完了次第、公開させていただく予定です。
今しばらくお時間いただければ幸いでございます。

重ねてお詫び申し上げます。
何卒宜しくお願いいたします。
===================================
今回は、2時間後には回答してきましたね。流石にほったらかしはまずいと判断したんですかね。ただ、そば屋の出前回答より結果で示せよって感じです。そもそも私は、ユーザーサポートにおいて、問い合わせた人をほったらかしにする体制そのものが、前から理解できないのですけどね。企業向けのサポートだと、受付30分以内には第一報、その後、問題解決するまで、最低でも週一で状況報告とかざらですけど。ただ、DMMの企業規模でもこの有様なので、他は推して知るべしなのが、この業界の問題点ですかね。

6/01(火) 
いつまでたっても何の通知をないので検索してみたら、修正パッチが出ているのを本日になって初めて知りました。しかも Version 1.03 まで出ているし。何の通知もなかったので今まで全く知りませんでした。FANZAのダウンロード版って、他のゲームだと修正パッチが出る度に通知されていたので、てっきり通知があるものだとばかり思っていました。内容を確認すると、 Version 1.01の時点で直っていたみたいですね。そっか、4月に入って直っていたわけですね。とはいっても、もう本ゲームをする気力はとうの昔に失せてしまったので、今更プレイする気もおきないのですが……。
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以上

The above is a long impression of shiratori.