本作が糞ゲーなら、何が良ゲーなのか、本当に知りたいです。追記(7/22:手術後の伊織とのセックスシーンについて、定番テンプレシーンについて。7/24:タイトルについて考察1。7/28:タイトルについて考察2。7/29:さなえの兄嫁の入院期間について。8/4:「ヒロインと同棲実感ボイス」について。8/10:出だしが × とのご指摘を受けて修正。2019/1/19:ファンディスク発売前コメント)
○人間万事塞翁が馬
私は、当初、この作品の感想を書くつもりは毛頭ありませんでした(今月は『家の彼女』を書くと決めていたので)。ましてや、7月発売作品群がもうすぐ出るアクセス数が極端に減少し誰にも見てもらえないこの時期に書くなど、時間の無駄でしかありません。
ところが、このサイトの本作(略は『恋花』?)へのコメントを見て、今まで、自分の感性はメジャーだとばかり思っていたのに、実はマイナーだったと知って、愕然としました。衝撃でした。それは、実際にプレイしても、本作が何で糞ゲーになるのか、私にはさっぱり理解できなかったからです。
最初、このサイトでの本作の感想を見て、あまりの酷評の嵐に、ゲームプレイを断念して、パッケージを開ける前に、売っぱらってしまおうかと真剣に考えたほどです。思わずAmazonの販売価格を見てしまいましたよ。もし本当に糞ゲーだったら、販売価格が下がっていることが十分想定できたからです。Amazonの定量評価、嘘つかない。実際に確認すると、発売日以降、2割引のまま何ら変わっていませんでした(発売3週間後の今も変動なし)。それで、やっと安心してプレイする気になったのです。
さて、実際にプレイしてみて、本作が糞ゲーなのかどうかの判断は、テーマとコンセプトを十分に検証してからでも遅くはないと感じました。
○コンセプト
今回、私は本作のWebサイトを見た上で、次の印象を持ったので、購入を決断しました。
(1)淡いパステル調の色彩の絵柄
⇒優しい雰囲気のストーリーを想定
ぎどぎどした熱い展開や凄惨な陰鬱さなど微塵もないと判断
現状、癒されたい心境の私にはぴったり
(2)主人公は学生だが洋食レストランで働く料理人
⇒少しは大人な雰囲気が拝めるかもと想定
単なる学園生活ストーリーとは違うと判断
もう、お子ちゃま学園オンリー話など遠慮したい私にはぴったり
(3)コンセプトに共感
⇒「女の子たちと怜は、日常をともにして恋を育み、
その未来にある『結婚』を考えるようになる」
『星織ユメミライ』っぽい作風を想定
大人編ストーリーも期待できるかもと判断
出会いから結婚(+α)までしっかり堪能したい私にはぴったり
(※購入に踏み切った最大の理由)
実際にプレイしてみると、OPムービーにある「出会いから同棲、そして結婚から少し後―『恋』を育み、その未来にある『結婚』へ」は、そのまま丁寧に実践されているように、私には思えました。(1)と(2)も、(3)のコンセプトを実現するためのキー要素として、十分に調和して機能しているように感じました。つまり、しっかり検討した上で制作されていると、私には思えました。
それでも(3)は、私の期待値を大きく下回ったことは否めません(ボリュームがぜんぜん足りない)。しかし、私が勝手に(+α)を期待していただけで、本作のWebサイトには嘘はまったく書いてありません。そもそも、本作のWebサイトからはライト感覚の作風であることは十分に感じとれていましたから想定内の出来であって、購入に関しては自己責任の範疇だと思っているので、責める気もないです。ただし、高得点は付けられない理由にはなりますけどね。
私は"ensemble"作品など『お嬢様はご機嫌ナナメ』しかやったことはありませんが、"ensemble"作品へのこれまでの評価から考えると、今回の作品、想定以上の出来だったのではないかとさえ思えるのです。私には良く分かりませんが、皆様方の"ensemble"作品への評価は、これまで相当高かったのでしょうか? そうでなければ、わざわざ買って、ここまで酷評したりしないでしょうから。
因みに、パッケージの表紙絵には記載がありませんが、本作のWebサイトのトップページにある同じ図柄の絵には、「ensemble 20th Project」と書かれています。何が 20th かと思って調べたところ、2月9日の恋花に関する最初のツイートであるプレサイト案内に、本作が20作目だと書かれてありました。ただ、どう数えたら20作目になるのか、私は未だに分からないのですが(このサイトでは26作品も掲示されているし、Wikiの記載で数えたら21作品あるし)。まぁ、わざわざ記載するくらい力を入れた記念作品ですと宣言したかったのだろうと私は解釈しましたが、それが糞ゲー扱い。世の中、分からんものです。
○テーマ
さて、コンセプトは良いとして、問題はテーマなんですよね。私は、「家族」がテーマだと思いました。それを明確に打ち出しているのが、さなえルートで、
さなえ「うん……早く……本当の家族になりたいよ……」
と言わしめているほどなのです。なんか、妖怪人間ベムの「早く人間になりたい」を思い出す台詞回しですが、それほど切実な問題として捉えているわけです。
なにも、さなえルートだけを指して「家族」がテーマだなどと言っているのではありません。他の攻略対象の女の子達と主人公の設定からも、それは明らかなのです。これからそれを説明いたします。
<登場人物達の設定>
皇木 怜 :主人公:父親死去
琴石 伊織:転校生:病弱:★赤い薔薇
早見 美里:幼馴染:引っ越し転校か?:★白スミレ
宮音 沙希:若手女優:家族が女優業を反対:★スノーフレーク
来未 さなえ:クラス委員長:両親不在。兄夫婦と同居。衝撃の事実(○子):★純白のかすみ草
西園寺 蓉子:お姉さん:両親死去。叔母さんと反目中:★桜
藤堂 なずな:怜の従妹:交流特待生で転入:★スズラン
この中で、家族調和が正常なままなのは"なずな"だけで、他は脛に傷持つ家族状態。主人公ともども家族愛に飢えているカップル設定なわけです。つまり「家族愛欠乏の傷を舐め合い補完しあう関係」を設定上で創り込んだ上で、家族愛欠乏症の治療と解決方法として、新しい家族形成のための「結婚」をゴールとするための恋愛劇が、本作のコンセプトなのです。
なぜ、"なずな"がおまけ扱いなのかが、これで説明できます。つまり、単なる兄さま好きスキなだけの"なずな"では、「家族愛欠乏の傷を舐め合い補完しあう関係」にはならず、単なる恋愛どまりにしかならないからです。そのため、"なずな"ルートは、「結婚」まで持ち込めなかったのです。
まぁ、これはこれで手抜きと言えなくもないのですけれどね。なぜなら、パッケージの表紙絵で、"なずな"を、他のヒロインと同列に並べて描いているためです。表紙絵を正とするなら、本来なら、"なずな"の生い立ちや家族構成で、何らかの傷を持たせて、ヒロインに昇格させなければならなかった筈なのです。それをしないで、8月31日正午までの早期購入特典扱いって、8月31日正午以降は製品として欠陥品ですから買ってはいけませんって、宣言しているようなものです(9月28日正午までに延期)。本来なら表紙絵から"なずな"は消した上で別枠で表示するなど、他のヒロインと同列表示扱いにしない配慮が必要でした。私には、大きな誤解を生むマーケティング上の失策だとしか思えませんでした。
表紙絵の"なずな"問題を除けば、本作は、そうとう考えて制作されたことが伺えるのですが、それにもかかわらず、それがタイトルにぜんぜん反映されていないように見えるのは、何故なのでしょうか? 現状のタイトルから、どうやったら「家族」がテーマとして行き着くのでしょうか? そもそも『恋はそっと咲く花のように』とはどういう意味なのでしょう?
私には、単にコンセプトを要約した副題としてしか機能していないように思えました(本来の副題「by your side forever.」があるにも拘らず。というか、こっちが主題っぽくない?)。本来は、「家族」と密接にリンクした主題があってしかるべきだった筈です。例えば、『フラワーベッドに宝石を』みたいな(^^;)。解説は野暮だからやめますが、いろいろ考えてはみたんですよ。結婚は花の実だよな~とか、家族とは花が散り実が残りやがて芽吹くことだよな~とか。具体的には、次の様な流れですかね。
開花=恋愛
結実=結婚
種子=子供
発芽=家族
さて、タイトルに起こすとすると……で、熟考した結果が『フラワーベッドに宝石を』が限界でした。もう、いっそのこと『恋はそっと ~ by your side forever ~』(略して「恋そ」)で良いんじゃないかって気も……(*^.^*)。因みに、一般人の私に、プロのコピーライターのようなキャッチコピーを求められても困りますので、悪しからず。
ところで、"なずな"ルートのアンティークショップでのシーンで、背景画のショーウィンドウに飾られていたランプシェード、スズランの「花」を模していると知ったとき、愕然としました。よく見るランプの傘形状だけれど、初めてスズランだと認識しましたよ。今までチューリップだと思っていました。実家の庭に沢山咲いてたのに、スズランを模しているなんて、考えたこともありませんでした。因みに、スズランは強い毒がある有毒植物だってのも、今回、調べていて初めて知りました。
更に、本ゲームのメッセージウィンドウ上の入力待ちアイコン(ポーズカーソル)も「花」で、その一つがスズランだということも認識しました。けっこう、細かなところ、こだわって制作しているんだななどとお気軽に考えていたのですが、ゲームのトップ画面を見ていて、各ヒロインがそれぞれ「花」を持っていることに、殆どゲームをやり終えた時点で、やっと気がついたのです。そんなこと、本作のWebサイトには、何も書かれていなかったので、意識すらしていなかったのですが、ヒロインの性格を「花」で表していたのですね。
こんなギミックを弄しながら、それをセールスプロモーション上、何も活用しないとは、いったいどういう了見でしょうか。それ以前に、ストーリー上、殆どコミットしていないのですから、話になりません。上記の<登場人物達の設定>にそれぞれ記載しておきましたが、ヒロイン6人中、ストーリー上、少しでも話にリンクしたのは、白スミレ、スノーフレーク、スズランくらいです。後の3つは、一言、「花」の名前が書いてあったくらいですから、私には、ぜんぜん認識すらできませんでした。私だったら、テーマに密接にリンクする様に、作品構成を考えたかったですね。色々な意味で、本当に勿体無いです。ここまで書けば、私の『フラワーベッドに宝石を』に込めた意味も、少しはご理解いただけるのではないかと思います。
とまぁ、ここまで一人で熱弁してまいりましたが、「家族」がテーマだとは、私が勝手に言っていることなので、実際のタイトルがテーマの全てだと言われてしまっては、元も子もないのですが……。
2018/07/24追記
○タイトルについて考察1
上記で「テーマ」について検証してみましたが、その過程で、
(1)タイトルが意味不明
(2)ヒロインに設定した「花」を有効活用していない
が問題ではと指摘しました。
その後、いろいろ調査分析してみたのですが、プロモーションムービーの時点では、各ヒロインが手に持つ「花」をフィーチャーしようとした形跡が伺えましたが、オープニングムービーではその心意気は縮小し、最終的に本作のWebサイト上でのキャラクター説明では、セールスプロモーションの対象にすらしない状況になっています。タイトルにもある「花」どこいっちゃったのみたいな。
何でこうなっちゃったんだろうって考えちゃいますよね。日本的奥ゆかしさを体現した結果? いやいや、私の分析では、やはりタイトル設定を根本的に間違えたために、「花」をシナリオ上でもセールスプロモーション上でも有効活用できなくなってしまったというのが、真相ではと思いました。
それをこれからじっくりとご説明いたしますね。
そもそも、『恋はそっと咲く花のように』が何を言っているのかぱっと見わかりません。この様な場合の解法はいくつか考えられますが、まずは逆転の発想です。上から読んで分からなければ、引っくり返して考えれば良いのです。『そっと咲く花のような恋』。少し理解できそうな感じになってきましたね。
では次に「そっと咲く花」ってのは何かが問題になります。本作で「花」といったら、各ヒロインに設定した「花」(①赤い薔薇 ②白スミレ ③スノーフレーク ④純白のかすみ草 ⑤桜 ⑥スズラン)のことですよね。ここで問題です。この6つの「花」を2つのグループに分けよ。見た目からして、華美(①、④、⑤)と清楚(②、③、⑥)に分類できると思いますが、スノーフレークの名前からでも分けられます。スノーフレーク(学名:Leucojum aestivum)の「Leucojum<レウコユム>」は、ギリシア語で「白いスミレ」を意味し、和名は鈴蘭水仙(スズランスイセン)なのです。
ここで重大な齟齬が露呈するのです。華美グループの「花」が「そっと咲く花」だと言えるでしょうか。赤い薔薇の花束を、花嫁のブーケを、花見の桜を思い浮かべてください。そっと咲いてなどいませんし、そっと咲くこともないでしょうね。つまり、「そっと咲く花」とは清楚グループの「花」のことを指すのだと判明するのです。
さて、私は、テーマの説明箇所で「ストーリー上、少しでも話にリンクしたのは、白スミレ、スノーフレーク、スズランくらいです」と書きました。おや、何か符合してきましたね。そうなのです。現状のタイトルに合致するのは清楚グループの「花」であったがために、ギミックとしての「花」を、ストーリーに組み込むことが許されたのです。ところが、華美グループの「花」は、タイトルに合致しない(=テーマになり得ない)ため、明確にストーリーにコミットできなかったことが推察できるわけです。
つまり、現状のタイトルでは、密やかで、奥ゆかしく、可憐な、恋愛劇だけを演じていれば良かったのに、華美グループを何とかする必要性があったとはいえ、欲を出して結婚の理由に家族形成を持ち込んだがために、タイトルとテーマが乖離して全体の整合性が取れなくなってしまい、あえなく瓦解して、現在に至るというのが、私の結論なのです。この辺のチグハグした歪みの噴出が、糞ゲーだと叩かれてしまった所以だと思います。
2018/07/28追記
○タイトルについて考察2
考察1を、夜中に勢いで一気呵成に思いつくまま書いてはみたものの、ぜんぜん謎を解き明かせていない焦燥感が、ふつふつと胸の内に沸き起こってきて、本当に困りました。この一週間、その謎を解明すべく調査分析してきましたが、やっと考えがまとまりましたので、披露したいと思います。
『恋はそっと咲く花のように』、これはレトリックの比喩における直喩(シミリー)での表現です。本来の文章として捉えるのなら『恋はそっと咲く花のように***』となる筈です。「***」は「儚い」なのか「美しい」なのか、はたまた「可憐だ」なのか、いろいろと捉えることが可能です。ユニーク(一意)に考えられないから、ワケわからんとなるのですけどね。
考察1では、「そっと咲く」が「花」にかかる(A)で考察してみたのですが、各ヒロインに設定された「花」のサイン・シンボル(隠された言葉)を考慮すると、半分は「そっと」が当てはまらず、???状態になってしまいました。そこで、発想を変えて「恋」にかかる(B)と考えたらどうでしょう。
A:恋は、そっと咲く花のように
B:恋はそっと咲く、花のように
そもそも「咲く」とは「花のつぼみが開く。開花する」を意味し、「そっと」とは「静かに。こっそり。密かに」を意味します。そうするとBは、「恋とは『密かに開花する=他人に気づかれないように育まれる』、それはまるで『花=ヒロイン』のようにね」と解釈できます。この解釈だと、けっこうしっくり来ます。実際、オープニングムービーでも、次のように説明されています。
好きはきっと、
気がつくと
そこにあるもの――
ただ、しっくりは来るのですが、Bでの「花」は単に一般抽象化した記号としての「花」でしかなくて、各ヒロインに設定した「花」に直接リンクしないのが問題です。また、コンセプトの半分にしか合致しません。なぜなら、そもそものコンセプトは、「日常をともにして恋を育み、その未来にある『結婚』を考える」です。結局、このタイトルでは前半の「恋」にしか言及しておらず、後半の「結婚」を見据えていないのです。だから駄目なのです。
というわけで、結局、AでもBでも、タイトルが作品のテーマとして相応しくないという結論だけは変わりませんでした。
2018/08/04追記
○「ヒロインと同棲実感ボイス」について
ダウンロードしたままで忘れていたのですが、本作の後に性質が正反対の『Erewhon』をプレイしていて、途中で胸焼けならぬセックス焼けしてきて、はたと思い出したのでした、一服の清涼剤になるかもしれない特典を。それで、聴いてみました。この特典、各ヒロインとも恋人編、同棲編、新婚編の3部構成です。せっかく聴いたので、それぞれの感想を簡単に述べてみたいと思います。因みに、私は声優さん稼業には何の思い入れも知見もないので、純粋にど素人の個人的感想です。
琴石伊織
恋人編(3分28秒)、同棲編(3分25秒)、新婚編(3分58秒)
それなりに演技に違いがあるかな、それなりにですけど……。
早見美里
恋人編(2分05秒)、同棲編(2分56秒)、新婚編(2分14秒)
この声優さん、アニメ声的な特徴がありますよね。なので、このような日常系作品のヒロインには合わないのではないかと、個人的には思います。もっと、非日常系作品にこそ、相応しいのでは。それにしても、声の演技には成長が感じられませんね。
宮音沙希
恋人編(2分25秒)、同棲編(2分10秒)、新婚編(2分37秒)
この声優さんも演技分けしませんねぇ。
来未さなえ
恋人編(2分20秒)、同棲編(2分12秒)、新婚編(2分10秒)
微妙に演技の違いが有るような無いような。この声優さんの声、基本、普通っぽいのに、ところどころ美里の声優さんの声質と被ってる気がします。
西園寺蓉子
恋人編(1分49秒)、同棲編(2分03秒)、新婚編(2分07秒)
演技に違いがあるのか分かりませんでした。
藤堂なずな
恋人編(2分13秒)、同棲編(2分01秒)、新婚編(3分07秒)
ボイス特典の方は、ちゃんと新婚編まであるのですが、どれ聴いても同じ雰囲気なので、演技の違いが分かりません。やっぱり"なずな"には、結婚は無理だと実感はさせられましたけどね。
全体的な感想
3パターンのコンセプトは、それぞれ次のとおりです。
恋人編:付き合いたての甘酸っぱさを味わえる
同棲編:一つ屋根の下でのドキドキシチュエーション満載
新婚編:ほっこり&甘々な生活を描く
こういうところで、ど素人にも判別できる明確な演技分けをしてくれると、本当にプロなんだなぁと思うのだけれど、ここまで具体的な違いを設定しているのに、現実には、どの声優さんも違いが明確には分からなかったというのが、本音です。
2019/01/16追記
○ファンディスク発売前コメント
2018/12/22に、『恋はそっと咲く花のように -二人は永遠に寄り添っていく-』作品サイトが公開されましたので、内容を見て感じたことを記したいと思います。
今回は、サブタイトル「-二人は永遠に寄り添っていく-」が付きましたね。もっとも、このサブタイトル、本編のタイトルにも一緒に記載されていた「by your side forever.(あなたの側で永遠に)」と同じことを言っているだけだと思うのですけれどね。
さて、私は、Dain様のレスに対して本編のイメージカラーとして「淡いパステル調の色彩の絵柄」を挙げさせていただき、恋は「仮想」で結婚は「現実」だと捉えると、この二律背反関係にある二つを、パステル調の淡い色彩で同居させようとしたところに、間違いがあったかもしれないことを示しましたが、今回は、年を重ねたっぽさを演出したかったからなのか「黄昏色の色彩の絵柄」になりましたね。ヒロイン達のキャラデザも、ちょっとは大人っぽくなっているみたいです。
また、キャッチコピーとして「幸せは咲き誇る 花のように」が新たに書かれていました。この区切り方から考えると、本来のタイトルの解釈は、私が提示した(B)が正しいとなるのでしょうか。
プロモーションムービーを見ると、
「日常」をともに過ごし
「恋」を育んだ二人は――
「永遠」に寄り添って行く――
がコンセプトなんですかね。ただ、この後の、
「本編のその後を描いたイチャラブストーリー」
が駄目ですね。「イチャラブストーリー」って書いた時点で、クソゲー扱いの恰好の的になってしまうことでしょう。素直に、ストーリー解説に記したように、「恋人から夫婦になった二人の、その後の幸せを描いたアフターストーリー」ってしておけば良かったのに。もし、本当にシナリオがイチャラブだけだったら、今回はクソゲーですと、私も断言しちゃうかもしれません。
最後に、今度こそ、各ヒロインに設定した花を、明確にストーリーにコミットして欲しいものですね。
○気になったこと、あれこれ
・共通ルート
★レストランの制服
蓉子「お店の制服って
どこにあるのかしら?」
由乃「怜、エプロンが置いてあるところに
案内してあげて」
⇒エプロンが制服なわけですね。そういう設定なのですから、これはこれで良いと思います。他のゲームから考えると、各ヒロインの服装はけっこうがんばって制作した部類で、バリエーションは多いほうだと思います。
・蓉子ルート
★設定上の不具合(怜が母親の卒業した学校を知らない)
由乃「旧姓は藤堂と申しまして、
私も以前、叔母様や蓉子さんと同じように、
聖蘭女学園に通っておりました」
怜「そうだったの?」
由乃「あら、言ってなかったかしら?」
怜「初耳だよ……」
⇒この会話は完全におかしい。下記のとおり、共通ルートで最初に蓉子さんが泊まった時、怜は母親が聖蘭女学園卒だと、認識していたのですから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
由乃「たぶん、蓉子ちゃんは
聖蘭女学園に通ってる学生さんだと思う」
:
由乃「他にもいろんなところで
聖蘭の子なんだなって思うところがあったから。
私も現役の頃のこと思い出しちゃった」
怜「そっか、
母さん卒業生だもんね」
ト書き:昔からこの街に住んでいる母さん。
その母校が聖蘭女学園だったらしい。
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・伊織ルート
★Auto時の不具合
伊織のウェイトレス練習シーン
伊織「わぁ……すごい、
あんなにたくさん持ってるのに……」
⇒Autoなのに、ここで止まってしまって、次に進まない
蓉子「っと、こんなところかな。コツは、そうねぇ。
綺麗なポーズで運ぶこと」
2018/07/22追記
★★★手術後の伊織とのセックスシーン
誰でも最初に気になると思うのですが、大手術だったのですから、手術痕が頭に思い浮かぶと思うのです。病名は伏せられたままでしたが、それまでの描写から、多分に心臓関係を想定していました。そのため、私は、胸に大きな手術の傷跡がある描写があるのではなんて考えていたのですが、見事に裏切られましたね。これではあの大手術なんだったのみたいな。というより無かったことにされてしまったとしか解釈できないですよね。
これは私の個人的な考えなのですが、傑作と駄作の決定的な違いは、人間の持つネガティブな感情(醜さ、傷、恐怖、毒気)に関して、細かなリアリティを持たせられるかにあるのではないかと思うのです。オブラートに包んで見せないのも一つの考えですが、そういった作品は、多分に評価されない傾向にあると思っています。ここで、手術痕を見せたセックスシーンを書いて、描いたのなら、私は、自分の評価方法に則り、本作に96点以上をつけたと思います。
勘違いしないでもらいたいのですが、私は陰部を炙り出すのが好きな性格って訳ではないですよ。どちかというと凄惨な目を背けたくなる様なシーンは遠慮したい方です。でも、有るべきものが無かったかのように扱うリアリティ放棄は、我慢できない性質(たち)なのです。
・さなえルート
2018/07/29追記
★★★さなえの兄嫁の入院期間について
さなえが子守をすることになった兄嫁の入院ですが、盲腸で入院なわけです。盲腸なんて普通は4、5日で退院、3日以内に退院する人だっています。それが、なぜ保育園を探さなければならないほどの入院期間になったのか、さっぱりです。腹膜炎で一箇月入院とかのもっと現実的な設定にしてくれないと、まったく話の現実味がありません。
★婚約おめでとうパーティのシーン
⇒美里特製ケーキの絵を用意していないのは手抜きだ。
・美里ルート
★美里のセックスシーンが陳腐すぎ
⇒美里担当のライターさんが下手なのか、美里の声優さんが下手なのか、それとも両方なのか。とにかくセックスシーンは、駄目
★グルメ大会での美里のお父さん
美里の父「美里が欲しければ、私を倒してみろ」
⇒何ですか、この恋人に立ちはだかるお父さんの図は?
★美里ルートだけ、他のルートと方向性が違いますよね。統一感ゼロ
⇒ライターさん、下手かも?
一年後
★店の前の花壇の白いスミレの話題で
男性客「はっはっは、
お陰で、ここに来ると元気をもらえるよ。
この花壇は相変わらず華やかだね」
:
ト書き:最後の常連のお客さんはお店を出てからも暫く、
美里との会話に花を咲かせていたようだ。
⇒「花を咲かせて」は、上手いと言えば良いのだろうか?
・沙希ルート
★沙希、二度目の怜の家へのお泊りシーン
⇒着替え、どうしたんだよっていう、純粋な疑問
2018/07/22追記
○定番テンプレシーンについて
私は、本作が、きちんと計算ずくでシーン内容を記述して制作されていると感じました。例えば、手を繋ぐシーン、キスシーン、匂いを嗅ぐシーン、射精時の好きな時になどのテンプレシーンのことです。あまりにも教科書どおりに的確な構成と記述をしているので、ギャルゲーシナリオ教材ゲームと位置づけても良いくらいです。最近、多いんですよね、そういうシナリオ。しかし、逆にいろいろ心配になってしまいます。
いや、良いのですよ、ちゃんとした仕事をしているってことですから。でも、思うのですが、現状のコンピューターの進化具合を考えると、今世紀後半には、テンプレシーンばかり継ぎ接ぎしてシナリオ書いている人達は、確実に失業してしまうのではないかと。恐らく、何十万ものテンプレシーンから数千万通りの組み合わせでストーリーを自動生成する「物語つくーる」AIソフトウェアが1万円以下で買えて、誰もが一瞬で好みのストーリーを生成し、楽しむ時代になっている気がします。
そんな近未来を考慮すると、テンプレシナリオのままで本当に良いのって、他人事ながら心配になってしまいます。テンプレだから外さないけど、テンプレだから的確な支援ツールさえあれば、誰でも創れる。オリジナリティゼロだけど……。
○ウィルプラスのサポートについて
ゲーム画面が、デスクトップ画面に表示されなくなる問題が発生したため、サポートに連絡しました。ウィルプラスのサポートは、単純に指定のサポートメールアドレスでの問い合わせですので、必要事項をそのままメール文面に記載して送信して終わりです。前日の18時過ぎに送信したら、翌日の12時頃には、以下のメール内容をいただき、サポート開始でした。
=======================================================
2018年7月17日(火) 11:52 ウィルプラスユーザーサポート
この度は、弊社ソフト『恋はそっと咲く花のように』をお買い上げいただき、誠に有難う御座います。
早速ですが、サポートを始めさせていただきます。
:
<省略>
:
お客様には、ご不便ご迷惑をお掛け致しますが、ご理解いただきますようお願い申し上げます。
ウィルプラス/ensemble
ユーザーサポート
=======================================================
「早速ですが、サポートを始めさせていただきます」っていう、このサバサバ感がすばらしいです。初めてですね、業務用ソフトのサポートも含めて、こんな出だしの文章の返信をもらったのは。なんかもう、ぱっぱと処理してしまうぞ感がたまりません。
因みに、不具合内容は、次のとおりです。
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・エラーが起きたシーン
⇒ゲームの起動時に必ず発生
ただし、いろいろ調査したところ、フルスクリーン表示に問題があることが判明
・エラーの詳細な内容
⇒ゲーム画面がモニターの画面表示領域外に生成される
当初は普通に表示できていたが、突然、画面外に表示されるようになった
(タスクバーにゲームのアイコンは表示されているが、デスクトップにはウィンドウがない状態)
⇒暫定対処方法
コンテキストメニューから[移動]を選択し、矢印キーでデスクトップ上にゲーム画面を移動する。しかし、ゲームを再起動すると、また、デスクトップ表示領域外に表示されてしまう
⇒調査した結果
いろいろ試したところ、フルスクリーン表示設定だとデスクトップ表示領域外に表示されてしまうことが判明(ただし、ゲーム画面自体はウィンドウ表示の大きさのままで、フルスクリーンの大きさにはならない)
最初ウィンドウ設定で表示させ、その後、フルスクリーン設定に変更しても、デスクトップ表示領域外に表示されてしまう。当初は普通に機能していたので、何らかのはずみで、フルスクリーン時の動きがおかしくなってしまったと思われる(何かの設定情報が変になったんですかね)
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実は、過去に私は、本現象を別のソフトでも経験したことがあったので、簡単に暫定対処方法なんか書いてお知らせしましたが、Web上で同様のトラブルを検索すると、「こうしたトラブルの原因は、たいていはアプリケーションのバグのせいでデスクトップの領域外にウィンドウが移動してしまったせいだ」と書いてあったりします。
さて、最終的な結論はどうだったかというと、次のとおりです。
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起動設定ダイアログで、一旦、ウィンドウサイズを変更してみたら、なぜか直りました。ただ、変更直前に確認してはいなかったので、もしかすると、「DirectX診断ツール」を実行した時に直ったのかもしれません。
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「原因不明、どうやって直ったのかも不明」という落ちでした。
まぁ、同じ現象に遭遇した場合の対処方法のご参考までに、記載しておきました。
○不具合各種
誤字脱字と声優さんの読み間違いを合わせて、各ルート、それぞれ3、4件程度はありますが、6つだけ、気になったのを書いておきます。
・伊織ルート
誤字脱字?
ト書き:漫画とかかな。もしくは、
入院中に看護婦さんたちから
聞かされていたとか。
⇒ここだけ「看護婦」になっている。他は「看護師」で統一されていたような。
声優さんの読み間違い?
美里「え!? や、やり直させてよぉ、
お願い~~!」
⇒「おねが~い!」と読んだ。ただ、声優さんの読みの方が普通だとは思うのだけれど、往々にして、最後を「~」や「ー」の長音にするライターさんは多いのです。なんだろう、感性の問題なのでしょうか?
・さなえルート
誤字脱字
由乃「もうソースまで出来上がってるのね。
今日はこんなもんでいいわよ」
⇒声優さんは「こんなもので」と読んだ。由乃さんの言葉使いから考えると、声優さんの読みが正しいと思いました。「こんなもん」なんて言い方しないでしょう。
誤字脱字
伊織「でも、お似合いだと思う。
おめでとう、怜くん、さなえさん」
⇒声優さんは「さなえちゃん」と読んだ。これが正しい。
声優さんの読み間違い?
さなえ「ふぇぇ……怜くんーっ!」
⇒「怜く~んっ!」と読んだ。でも、声優さんの読みが良いよね。長音の位置、ライターの書き方って、なんかいつも変って思う。
・美里ルート
誤字脱字?
なずな「もしかして、オムライスですか?」
怜「ああ、そうだよ」
なずな「勿論です。
兄さまのオムライスは
絶品だと聞いてますから」
⇒「勿論です。」が、前の文章の流れから不要だと判断できる。そもそも何が勿論なのか意味不明なので。実際、声優さんは読まなかった。
以上です。