北海道の雪は、そもそも「しんしん」と降るものなのだろうか。「プロの手のひらの上で踊っていろ、消費豚どもめ」っていう作り手の意向がぷんぷん鼻につく。これが納得できるかできないかで、評価が大きく変わる作品。私は、鼻が曲がりながらも、踊っちゃいましたよ、ヘタレですから……。
一ヵ月以上かかってやっと、コンプしました。一周どころか二周遅れの長文感想ですが、前作を高く評価した身としては、近作はどうだったのか、自分の考えを書いて記録しておくべきだと考えました(プレイしながら2万字くらいメモったので、取捨選択、何を書こうか迷います)。
まず明確にしておきたいのは、今作は前作の悪い部分が、いろいろと改善されています。そこは評価できます。そこそこ面白かったですよ、単なるギャルゲーとしては……。でも、前作をやって"tone work's"作品に期待して想い描いていた作品では無かったので、どうしてこうなったという思いの方が強かったです。
前作同様、相変わらずの長さでしんどいのですが、それでも私は、前作は高く評価しました。翻って本作品、いろいろ前作の問題点が少しずつ改善されてはいたので、普通だったら、前作より高得点になる筈なのに、私はそうできませんでした。何か本質的に大事なものを置き忘れてしまったというか、無くなっちゃったと言うべきか。はっきり言って、私が前作からイメージしていた作品とは違っていたことは確かです。
では、他の人達はどう評価したのか。客観的な定量評価としては、本作につけられた点数になるかと思います。2016年10月10日時点では、次のとおりです。
【銀色、遥か】
得点 度数 グラフ
100 14 ==============
90-99 24 ========================
80-89 26 ==========================
70-79 30 ==============================
60-69 13 =============
50-59 06 ======
因みに、同時期に発売された「BALDR HEART」は次のとおりです。
【BALDR HEART】
得点 度数 グラフ
100 03 ===
90-99 25 =========================
80-89 85 =====================================================================================
70-79 29 =============================
60-69 02 ==
50-59 01 =
両方を比較すると、分かりやすいですね。
『銀色、遥か』 :点数がばらけたので、半数の人達には期待していたイメージとは違っていたと思われる
70点台の一言感想:70点台にして文句たらたらが殆ど
『BALDR HEART』:80点台に集中なので、ほぼプレイヤーのイメージどおりの作品だったと思われる
70点台の一言感想:SKYと比べればといった論調だが、批判はそれほどない
これから考えると、『銀色、遥か』は、文句たらたらなのに70点台をつける価値はある作品というわけですから、決して悪い出来の作品ではなかったということなのでしょう(それとも銀はるユーザの点数があまあま?)。
さて、この文句たらたらの原因が何なのかについて、次に考えていきたいと思います。勿論、考え方は人それぞれなので、万人共通ではなく、飽くまで私個人の考えですので、悪しからず。
最初に、私がなぜ今作を評価できなかったのかを考える前に、前作をどう評価していたのかを明確にしておきたいと思います。前作『星織ユメミライ』の私の感想登録は「86点:殿堂入りです。60点台ストーリーでも磨けば光る。しかし、所詮、泥は泥。金には成りえないことを自覚すべし」でした。その中で総評として、私は、次の点を挙げました(要約です)。
(1)泥団子でも磨けば光る。しかし、泥は所詮泥、金には成りえない
(2)丁寧な描写というのは正しい。そのため、コンシューマー向けの移植を意識して、取って付けたようなエロシーン突入ということはない
(3)この作品は、先の展開が読めて違和感が起きないことが重要
(4)最初の一人を攻略すると、特にスクール編は個別毎の変化が希薄なため、だれ気味
(5)本当に単調でつまらない。個別のアフター編が無かったら、このゲームに価値は無い
(6)私の年齢では、学生時代の話とかしんどい。もっと、社会人の話が読みたい
(7)次回作で、このブランドの将来が見えてくる。大概、何故か無駄な箇所を頑張って、こける
(8)ストーリーは本質的に60点台。次は70点台ストーリーを目指せば良い
(9)パッケージを含めて作品。最近パッケージの材質が落ちたなぁと思うことが多々ある。今回の初回版は頑張ってお金をかけた部類
(10)攻略対象もちゃんと6人いるし、後で、ファンディスクや分割販売で対処等の、最近の安易な風潮に真っ向勝負したところは、とても高く評価
では、今作はどうだったのでしょうか。私は、次の様に思いました。
「最初にマーケティングありきで内容が決まった作品」
どういうことかというと、
①作品の季節は「冬」とする。なぜなら、冬ゲーは売れることが統計上、明らかだから
(因みに前作の季節は夏)
②中学生編を用意する。なぜなら、コンシューマー版を出すのに、いろいろと都合が良いから
③見た目のキャラデザを重視する。なぜなら、メディアミックス展開には重要だから
となります。わっかりやすいでしょう。これが透けて見えてしまった時点で、私には耐えられませんでした。
少なくとも前作は、作り手の「こういう作品をやりたかったので、作ってみました。どうぞ召し上がれ」といった思いが伝わってきました<(2)(3)(9)(10)あたり>。それが今回は、売るためにはどうあるべきかの、大人の事情が前面に出てきてしまったのです。私には、いろいろな出資者の思惑が透けて見えてしまって、興醒めでした。それでも、作り手は頑張って良い作品を制作した訳です。この何とも言えないジレンマが、「70点台を付けるも文句たらたら」の本質なのではないかと、私は考えます。まぁ、私はそうなのですが、他の人達はどうなのでしょうかね、実際問題。
さて、以上の何がいけないかというと、プロとしては、売上至上主義はある意味正しいとは言えます。しかし、"tone work's"作品としてのブランド確立には、大失敗したと思える点です。
前作と比べて、作り物臭がぷんぷんのストーリー。たぶん、多くのプレイヤーが求めていたものとは、違うと思います。思うのですが、作品の見た目の出来はアップしています。なぜなら、前作の悪い点がいろいろ改善されているからです。例えば、
・各ルートに入ると個別のイベントストーリーを用意(前作のスクール編は同じイベント内容が大半)
・演出面でイベントシーンの絵を用意(前作は文章だけで済ませている場合が大半)
・前作よりは、話のテンポが良い、登場人物が前向き、雰囲気が明るい
にもかかわらず、前作の最も良かった等身大のリアリティさが、激減。というより無い。おまけに作品の軸となるテーマも感じられませんでした。冬がテーマなのか? いやいや、主人公の名前変更可仕様の時点で、冬なんてマーケティング上の都合であって、作り手にはどうでも良かったのは明らかです。名前に対するこだわりすらないんですから、もう残念で仕方がありません。
そもそも、前作をプレイした人達の"tone work's"作品に対するイメージは「日常性のある恋愛リアリティの追求」だったと思います<(1)(2)(3)あたり>。実際に『星織ユメミライ』のWikiによれば、"tone work's"作品のコンセプトは、
・リアリティある恋愛像
・ヒロインをより身近に描く
となっておりました。
それが本作では、上記のコンセプトを全く無視して、能面の様なヒロインキャラが、作り物の恋愛を実演しているわけです。そのため、このマペットを許せるか、許せないかで、この作品の評価は決まると思うのですが、私は許せない方でした。マネキンの演技を見て、皆さん嬉しいのでしょうか。私は嬉しくありません。つまり、そういうことです。
その意味では、前作の総評(8)は、間違いだったことを告白しなければなりません。通常の我々の日常生活が、波乱万丈のイベントだらけである訳がないからです。よって、等身大のリアリティさを追求したら、60点台ストーリーになるのは当たり前で、前作はだから違和感がなくて成功したのだと思い知りました。スクール編のイベント内容が殆ど同じなのも、ある意味当たり前だった訳です。つまり、作られた80点台ストーリー(波乱万丈)とリアリティある60点台ストーリー(つまらない日常)を比較して論じたところで、無意味なのだとやっと理解できました(前作の"律佳"ルートの感想で、比較は無意味だと結論づけたのにも拘らず、理由が自分でも明確にできずにいたのですが、やっと納得)。
本来なら三作目の本作で、上記コンセプトに基づくブランド価値を確固としたものにしなければならなかった筈です。上記コンセプトなら"tone work's"だよねと誰もが思えるオンリーワン状態にする必要があった筈なのです。それが、単なる良く出来たギャルゲーを作ってどうするんですか。これだったら、"tone work's"でなくても、他のブランドでもいいじゃんとなってしまいます。
それとも、ギャルゲー界のナンバーワンを目指すに趣旨変えしたのでしょうか。有象無象、魑魅魍魎のブランドがひしめく中、ギャルゲー界のナンバーワンになど、なれるわけがないのに……。
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ここからは、本作で納得できない点について、個人的に思っていることをつらつら書こうと思います。
さて、本作はシナリオライターが6人いる訳です。6人いても攻略対象が5人と、前作と比べて1人減っています。私は前作は攻略対象がちゃんと6人いることを評価したので、まず1人減ったことに対して、納得できませんでした。
【演出面】
いろいろと北海道の冬でのおかしな演出が一杯。というより、手抜きなんだと思う。
ゲームを始めてすぐ、最初の違和感が。4月なのに雪有り過ぎ。真冬の様な雪景色にビックリ(後々、雪景色は真冬の背景画しかないことが判明)。そんな真冬の様な雪景色なのに、コートも着ないで学生服にマフラーだけって、制作者は誰も疑問に思わないのでしょうか。
服装で思い出しましたが、冬季の立ち絵の服装も、北海道無視の格好がありすぎです。例えば、べスリールートでの合宿シーン。日本一寒いしばれ町に来ている時の立ち絵の服装、寒すぎでしょう。べスリー以外、マフラーもしないで、襟を開けて、肌見せて。このシーン以外でも、あちこちに襟を開けている服装が目につくのですが、北海道の冬の屋外での服装として、有り得ないから。北海道の冬、嘗めすぎ。完全な手抜きだから。
そもそも、瑞羽ルートでは、次の様に書いてあるのです。
「コートとマフラー、手袋で完全防備していても、ちょっとした隙間から入り込んできた冷気で、かじかんでしまう。」
⇒この表現はすごく正しいのだが、だからこそ、マフラーもしないで襟首を開けている立ち絵を見る度に、おかしいだろとなる
本当に、コートとマフラー以外にも、冬用の服装もっと用意するべきでした。雪も殆ど降らない様な地方でゲームを作っているから、感覚が麻痺しているんでしょうね。エウシュリーかSQUEEZにでも外注したらって本当に思ってしまいました。
また、カイロっていうのも、なんか違和感が。今の道民はカイロをよく使うのでしょうか。学生がカイロなんか学校で使うものなのでしょうか。そもそも、北海道の学校は、田舎の小さな学校はおいといて、強力に暖房していると思うのですが。私も昔の北海道しか知らないので、今はそうなのかもしれませんが。
また、一言感想であるタイトルにも書いたのですが、そもそも北海道の雪は「しんしん」と降るものなのでしょうか。北海道の雪は、皆さんご承知のとおり、パウダースノーと呼ばれるさらさらの雪質です。本作の演出で降っているボタン雪の様に、大粒の雪が、ゆっくり降ってくるイメージとは違うと思うのです。さらさらしているから、ちょっと風が吹けば舞うし、そもそも無風状態で降っている方が稀なので、吹雪いて降っている方が多いと思うのです。つまり風の音もうるさい。私のイメージでは、斜めに降りつつ風で舞っている感じです。そのため私は、昔から「しんしん」とまばらに雪が降るのは、東北か北陸の雪深い地域の話なのだと思っておりました(飽くまで私のイメージです)。
雪月ルートでは、オルゴールの修理に樽倉に行ったシーンで「しんしん」と書いてあり、その後の学園編では、「花びらみたいにたくさんの雪がゆらゆらと落ちてきた」とも書いてありました。「ゆらゆら」はどうも文面からはボタン雪の降り方をイメージしていると思うのですが、なんだかなぁ。北海道の基本は粉雪でしょう。「雪=しんしん」というステレオタイプの発想しかできない思考の貧困さに問題があるのだと思います。
唯一、瑞羽ルートを担当したライターさんだけ、「しんしん」という言葉を使わず、「はらはら」と表現していました。まばらに落ちる様子を表現している訳ですが、私の中ではこのライターさんだけが合格ですかね。他に「マルチサポートハウスから出ると、ふわりふわりと、綿のように舞っていた。」という表現も使っていましたね。「幌路じゃなく内地ばかりだ」という「内地」という記述もあったし(雛多ルートでも「内地」記述あり)、服装に関する記述も的確だし、北海道をきちんと意識して書いていると思われます。それに比べて、他のライターさんは、現実の地名が指定されている以上、その土地の地理的な環境情報は、押さえておくべきなのではと思いました。
あと気温が低いし雪質の関係で、積雪を靴で踏めば、キュッキュと耳に響きます。それで思い出したのですが、瑞羽ルートで朝トレでのジョキングシーンがあります。「今はそこに、雪を踏みならす音色が、小気味よく混じっていた。」と書いてあって、その音響演出が、舗装道路を靴で走っている音になっているんですけど……。もう幻滅です。
ところで、イベントシーンが前作より改善されていることは先に書きましたが、飽くまで前作に比べればの話であって、ストーリーの長さからから考えると、圧倒的に少ないのは明らかです。実際は、相変わらず一枚絵を出さずに文章のみで済ませているシーンは多々あって、例えば、
・雪兎の家でのクリスマスパーティーのシーン
・初詣での境内の出店のシーン
・一夜限りの、たった1人に送る、如月瑞羽の限定ショーでのトリプルアクセルのシーン
等のイベント絵をこしらえないのは、何故なんでしょうかね。普通は出すでしょう。こういうところが、手抜きだと思うんですよね。ユーザーの期待に全く応えていないと思うのです。まぁ、制作費と制作時間の制約からなのは重々承知はしているのですが、ユーザーから見たら、そんなの無関係な話でしかないのです。
あと分からないのが、「おまんこ」とか「おちんぽ」とか、字は伏字じゃないのに、どうして音声の最後はピー音なんですかね。一体この処理に何の有益な意味があるのか、さっぱりです。所属している団体の意向なのでしょうけど。
【エロ面】
たぶん、前作の方が良かった気がします。原因は、やはり作り物感が前面に出てきたために、リアリティさが無くなったことに起因していると思います。それと、コンシューマー向けの移植を意識して、簡単に取り外せる様に、取って付けた感が増した気もします。基本的にエロくないです。
また、どのエロゲーでもそうなのだけれど、エッチシーンで、彼女にその行為を解説させる会話ってのがありますが、現実には有り得ないですよね。動画なら映像の動きだけでその場を凌げるけど、紙芝居ゲーの静止画の場合は、解説を読ませるか、会話として説明させるしかないわけです。それで、解説を読ませるよりは会話で場を繋ぐ方を採用している場合が殆どな訳ですけど、私は、何らかの改善をした方が良いと思うんですよね。例えば、彼女の喘ぎ声だけバックグラウンドとして流しながらプレイヤーに解説を読ませるとか、紙芝居ゲーだけど、映像的に頑張って動きをつける様にするとか。とにかく、今のエッチシーンの表現方法は、現実に即していなくておかしいと、私は常々思っています。
【音楽面】
前作を引き継いでいますので、特に言うことはありませんが、前作よりは耳に残らないかな。
【不具合面】
★autoモードが途中で止まってしまう箇所が沢山ある
これこそ、本当の不具合なので、問い合わせするべきだとは思うのですが、クリックすればまた進んでいくので、まぁいいかみたいな。最後の備考で書きましたが、そもそも問い合わせしても、回答してくれないんだもの。電話以外、受け付けないってことなのかな?
★日付が変
雪像制作の最初:1月15日(水)
雪像の元となるブロックの制作シーン
ところが、
翌日朝のシーンが1月17日(金)と表示
普段私は、日付など殆ど意識して確認したりしないのですが、今回の作品は曜日は意識した方が内容を把握しやすかったので、話の進行上あれあれあれ~みたいな状態に。この時は、まだVer1.02だったので、Ver1.04では直ってたりするのでしょうか?
★絵の間違い
瑞羽ルート:瑞羽が雪兎にじゃがバターを食べさせるシーン
⇒フォークに刺さっているのが、サツマイモにしか見えない。というかサツマイモだろ、明らかに
別のゲームでも、じゃがいもがサツマイモになっているのを見たことがある気がします
たぶん、一般的な日本人には、イモといったらサツマイモがイメージされるからなのでしょうね
雪月ルート:3月1日幌路北卒業式のシーン
⇒背景の幌路北には雪が全くない。というか夏の景色だし。木々の葉が青々と茂っているし
★会話が変
百々花「ブリオッシュということは、フランスのお菓子かしら?」
雪月「はい、シチリア地方のお菓子です」
⇒この会話だと、シチリアはフランス領ということに
★音声抜け
幌路広告社のクリスマス市への出店要請シーン後の自宅で
雪月のお父さん『こんな風に笑ってくれるだろうなって。
僕? 僕はやっぱり娘の雪月ですよ』
⇒「娘の雪月ですよ」の音声がない
★声優さんの読みとテキストが合っていない
全体を通して結構ありました。ジェイクの会話など、単なる読み間違いレベルを超えた箇所が複数あったので、台本とゲーム上のテキストがそもそも違っているのではないかと、勘ぐりたくなったくらいです。例えば、次のとおりです。
ジェイク「留学生は、留年すると国に帰らなくちゃならないんだって?」
⇒「訊いたぜ。留学生は、留年すると国に帰らなくちゃいけないんだってな?」と読んだ
ジェイク「悪いが、俺は参加する気はない。」
⇒「俺はやっぱり参加する気はない。」と読んだ
ジェイク「…別におまえに誘われたからじゃない」
⇒「…別におまえに誘われたからじゃない。
それに、こんなことさせられると分かっていれば、最初から来なかった」と読んだ
文章が追加されている。明らかに台本とテキストが違うと確信
勿論、声優さんの完全なる読み間違いも沢山ありましたよ。例えば、
瑞羽「うん。新しいプログラム。さっき完成したところよ」
⇒「プログラマー」と読んだ。プログラマー、完成させちゃったんだ……。新展開SF編はじまる
★誤字脱字
それなりにあったのですが、修正パッチが出る度にどこかしら直ってはいるらしいので、省略。ただし、Ver1.04でも無くなった訳ではないことだけは明言しておきます。
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さて、ここからは、個別ルートの感想を、私の攻略順に簡単に述べたいと思います。
ストーリーは、他の方々が沢山書かれているのだろうから、別の視点で書いてみたいと思います。
<べスリールート>
私は、べスリールートを最初にやったのですが、べスリーがテンプレの外人キャラっぽくなくて、日本人的なので、最初、戸惑いました。感情の起伏も無いから人工っぽく感じてしまって、"tone work's"作品のコンセプトと思われていた、
・リアリティある恋愛像
・ヒロインをより身近に描く
が、本作でまったく感じられなくなったしまった元凶になった気がします。
★チャンスをものに
リリアン「努力した人が全員認められるわけじゃないけど、
でも少なくとも認められるチャンスは手に入る。
そのチャンスをあなたはしっかりとものにした」
⇒前作の感想で私は、「人に譲る」ではなく「チャンスがあったら即つかむ」という設定が好きなので、改善を望んだくらいですから、この精神は良いと思います。つまりリリアンはべスリーと違って外人キャラっぽいというわけですね。
雛多「幌路名物、ジンギスカンチョコレート!」
⇒ここではジンギスカンキャラメルを捩ったのは分かるのですが、調べてみると『ジンギスカン風チョコレート』なるものは実在するらしい。味は普通のチョコレートらしいのですが。
<椛ルート>
このルート、印象が薄いのですが(つまり殆どメモっていない)、気になるとすれば次の点でしょう。
雪兎「迷うことなんてないよ。チャンスがあれば、アタックだ。そうだろ?」
⇒前作から改善した部分かなって思う(私にとっては)
「笑いあり、涙ありの人情ドラマで、椛らしさの詰まった心の温かくなる優しいストーリー。」
⇒これ、本作で実践すれば良かったのに、とは思いました。何で単なるギャルゲーになってしまったのやら。
<雛多ルート>
このルートが一番好きです。よくまとまっているシナリオだったと思います。個人的に、商売や経済の話が好きっていう理由もあると思います。そのため、雛多の「商売の基本は需要対象を増やすことだ!」という台詞は、なるほどと感心してしまいました。
このルートでは、「繋ぐ」や「絆」って言葉がキーになっていて、前作から引き継いでいる部分でもあると思います。また、けっこう格言めいた台詞はいろいろあって、例えば、
雪兎「将来やりたいことってのが、俺にはよくわからなくて」
まりあ「なるほどね~。
でもね、夢なんて探すもんじゃないわよ。
ある時、フッと見えるものなの」
なんかは、意味深な言葉だなって思いましたし、
「未来と夢は同義語だと思う。夢を見るということは、未来を見ることでもある。」については、前作の『星織ユメミライ』ってこういうことだったのかなと思ってみたり。因みに前作のWikiによれば、ユメミライとは「学生時代に願う夢とそれが実現した未来という意味」だと書いてありましたが、更に一歩進めた発展形の解釈ということになるのかな。
また、「入学の動機になったということは、人生の選択に影響を与えたと言っても過言じゃない。」といのは、前作のクリエイター関連での発想かなって思ったりして。
因みに、雛多ルートでの百々花(ももちゃん先生)は、他のルートと違ってすごく普通です。もうちょっと他のルートに合わせて、個性を付けた方が良かったかもしれません。
初めて知った言葉として、動物は、患者じゃなくて「患畜」っていうのが衝撃でした。
<瑞羽ルート>
ここを書いたライターさんは、北海道を意識していると先に書いたのだけれど、文章の合間にご当地物産をはさんできますよね。例えば、次のとおりです。
・雪兎「Hololo名物スープカレー、美味しいんだよな」
・トウモロコシ、トウキビの呼び方
他に、とうきみ、なんばんきび、まめきび
⇒前作の「今川焼き、回転焼き、お焼き」ってのと同じ発想の書き方。同じライターさん?
・瑞羽が雪兎にじゃがバターを食べさせるシーン
・第6回目『身体によくて、美味しい食事』のシーン
⇒椛「わたし、羊のお肉がいいな~!」
次のシーンもたぶんに北海道を意識しています。
★お正月で神社へのシーン
雪兎「樽倉の雪明かりの路に似てるかもね」
瑞羽「私、行ったことないの。近くなのに」
雪兎「近くだから、いつでも行けるって考えちゃうよな」
瑞羽「そうそう。なかなかきっかけがないとね」
⇒樽倉って小樽をイメージしているわけですが、札幌から小樽は約50分。
会話どおりだと思う。関東圏の通勤感覚とは意味違うし
ぜんぜん関係ないのですが、瑞羽の名前関連で、私は何故か『翼をください』の歌が思い浮かんでしまいます。
瑞羽ルートは、締めがあっさり終わりすぎなのが、残念な点ですかね。
<雪月ルート>
私は、ここの話を構成した人は、すごいなって思いました。
「ブリオッシュ・コン・ジェラート」というお菓子が題材となっているのですが、調べてみると、このお菓子の専門店が日本初上陸したのは、2015年5月3日のことです。恐らく、この時点では既に本作の企画は進行中で、既にストーリーを書き始めていたのではないかと思うのですが、そんな旬なネタをいち早く題材に利用してしまえたのが、すごいなって。
マリー・アントワネットの「パンが食べられないならお菓子(ケーキ)を食べればよいのに」 のお菓子こそ、このブリオッシュのことであるという薀蓄まで知ってしまいました。どうもブリオッシュがお菓子と翻訳されてしまったとのこと。こんな薀蓄、勿論、ゲームのシナリオ上では書いてありませんが、Wikiによれば、「フランス語の語句 Qu'ils mangent de la brioche!(「ブリオッシュを食べればいいじゃない」の意)を踏まえた英語の慣用句 Let them eat cake を日本語に訳したもの」だそうです。
薀蓄といえば、
椛「婚約って、決まった定義はないみたいなんだけど…
2人が結婚することを、他の誰かが知った状態を言うんだって」
今、初めて知りました。何、このシュレーディンガーの猫みたいな定義。世の中、私の知らない事だらけだなぁって、改めて思い知らされたルートでした。
因みに、雪月の声優さん、テキストを無視して、言い回しを省略しすぎです。例えば、次のとおりです。
思ってくれていて⇒思ってくれてて
話をしてる時の ⇒話してる時の
していたよ ⇒してたよ
疲れている ⇒疲れてる
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備考
○"VisualArt's"のサポートについて
"tone work's"のWebページで、Webでの問い合わせは"VisualArt's"のサポート専用フォームからとなっていたため、問い合わせてみたら、全く回答がありませんでした。"VisualArt's"のサポートってすごすぎる。まったく機能していないことだけはよく分かりました。
今回は、不具合というよりは質問に近く、私はゲームしながらメモを取ることが多くて、よくLOG参照するので、
「LOG画面を表示させると、SiglusEnjine.exe("VisualArt's"ゲーム実行エンジン)のCPU使用率が7-8%ほどアップするとともに、PCのファンがぶんまわって、うるさくて困る。因みに『星織ユメミライ』はこれほど酷くはない」
というものでしたので、ゲームができないわけではなく、回答がなくてもいいやで済ませてしまいました。しかし、本当の不具合問い合わせでも、音沙汰無し対応で済ませているんですかね。それとも今回のは"tone work's"の問い合わせメールを利用するべきだったのでしょうか。誰か、経験者の話を訊きたいものです。
因みに、私の数少ない問い合わせで得た経験では、一番まともなサポートシステムを採用しているのは、「あかべぇそふとすりぃ」でした。何しろ、問い合わせすると自動送信で受付したことをメールで知らせて来ますから。ただし、システムがまともなだけで、対応がまともかどうかは何とも言えません。
○参照回数の不具合について
私は、本問題について、発生後に長文感想を登録する機会がある都度、備考として記載し続けてきましたが、2016/08/27~2016/09/10の2週間に渡って、またまた発生していましたね。最近、2ヵ月間隔くらいで発生している気がするのですが、今回は、対応完了までに久々に長期間を要していたのと、丁度8月の新作リリース時期が重なったがために、8月の長文感想参照回数がとんでもないことになっておりました。なんと、1万カウント越えの感想登録が20件もあったのです(勿論1万カウント弱のも沢山)。最高は4万カウント弱をたたき出していました。因みに、9月リリース作品の長文感想参照回数の最高は4千カウント強ですから、普段とは一桁違うわけです。
そもそも2週間連荘ですからね。仮に27日の参照数が1000カウントで28日以降の参照数が0カウントだったと仮定しても、15日間消えずに連荘するのですから、参照数15000カウントになるわけです。実際は翌日以降も参照が続いて累積されてカウントし続けるのですから、結果がどうなったのかは推して知るべしです。
この問題、本当にいつ解決されるのやら。