ErogameScape -エロゲー批評空間-

shiratoriさんのイブニクルの長文感想

ユーザー
shiratori
ゲーム
イブニクル
ブランド
ALICESOFT
得点
97
参照数
1087

一言コメント

「it's eroge maker!! 」から「The Eroge Maker !!!」へ。10年後も、アリスソフトがエロゲーメーカーして存続していたら、定冠詞 "The" をつけることを、認めたいと思う。(2018/10/05:イブニクル2に因んで最後に追記)

長文感想

ここ2ヵ月ほど、面白い作品がないので、イブニクルを再度、最初からやり始めて只今6章目なのですが、やっぱり面白いです。

話を進めていけば、自然とレベルアップするので全くストレスは感じないし、懇切丁寧なアドバイスが入るので、次、何するんだっけと迷うこともありません。文章内容も、きちんと練られていると感じられましたし、これで主人公がもう少し大人な設定で馬鹿っぽく無かったら、私にとっては言う事なしでした。

さて、私的には本作、エピローグを迎えるまでは、単に面白かったで終わる作品でした。私にとってのアリスソフトの評価基準は『RanceVI -ゼス崩壊-』で、それより面白いと感じれば80点台です。本作は、ゲーム性がRanceVIよりは無かったと感じましたので、本来なら76点前後との評価でした。

ところが、エピローグで私は、たいへん衝撃を受けました。まさかシリーズ化するつもりだったとは……。そして私は、「アリスソフトってやっぱり凄いな、ちゃんと会社してるじゃん」って、心底、思い知らされました。驚愕したと言っても良いです。

他の人達は、ランスの後継?ってことを話題にして、そこで考察が終わっちゃっているかもですが、私が受けた衝撃は勿論そこではありません。アリスソフトが、次の10年を見据えた長期経営計画を考えられる、ちゃんとした会社だったということに対してです。どことは明言しませんが、サ行大手電機メーカー("シ"とか"ソ")ですら、青息吐息なご時世、次の作品をどうするかだけで頭が一杯、精一杯のエロゲーメーカーが大多数だと思われる中、会社存続のための、きちんとした長期経営ビジョンを有していたことに、私は、ビックリ仰天したのでした。

なので、私の点数評価方式において、今回90点台をつけるに至った衝撃とは「アリスソフト自体」で、その評価が90点という訳です(因みに、一の位が実際の作品内容評価で、70点台であることには変わりありません)。

そもそも、10年後に会社が存続しているエロゲーメーカー(またはエロゲーブランド)はと訊かれたとしたら、一体、いくつ思い浮かぶでしょうか。私には、アリスソフト以外には思い浮かびません。他の大手エロゲーメーカーを挙げることは可能かもしれませんが、私には、それらの会社の存続ビジョン(飽くまでエロゲーメーカーとして)が見えないのです。

Business Journal でのminori代表へのインタビュー記事(2013.02.24、2015.01.22、2015.01.24)なんかを見ると、今の現状で、よく毎月毎月、作品が出てくるものだと関心してしまいますし、一ユーザとして頭が下がる思いで一杯ですが、現実には、一作一作、違った作品を考えて作り続け、しかもずっとヒット作連発なんて、どだい難しいでしょう(最近、過去作品のリニューアルが増えたのも、これが一つの要因かも)。複数の開発会社を抱え込んで、数打ちゃ当たる方式で、新作を出し続ける方法もあるかも知れませんが、あまり頭の良い方法とは思えませんし。

そういった中、お客様からの苦情を最小限にして、商品を出し続ける方策として、「シリーズ化」は最も有効な手段だと思います(もっとも、根本的に引き付け続ける魅力がその作品にあることが前提ですが)。アリスソフトって、これまでの製品ラインナップを見ると、なるほど、いろいろシリーズ化されていたのだなと、改めて思い知らされます。

さて、もう一つの商品を出し続ける方策としては、最近、とみに増えた「分割商法」です。これって、突き詰めて考えると、長期経営計画と短期経営計画の違いの様な気もしますが、短期で資金回収するプランは、いろいろな意味で、たぶんにユーザ負担増に繋がる可能性大(つまりは顧客満足度ダウンで非難轟々)なのは、言うまでもありません。

最後に、本作については、お嫁が百人できるまで終わらないと考えると、2年ペースで作品を出し続け、毎回、お嫁10人攻略でも、シリーズ完結まで後18年は必要ということに。お嫁5人攻略なら後36年です(既に死んでるな、私)。正しく、ランス級の作品ですね。そういう設定をしたというところに、普通の大きな会社ですら長期的視点で経営を考えられない現実がある中、アリスソフト、やっぱりすごいと思うのでした。

以上から私は、タイトルに書いたとおり、もしアリスソフトが10年後もエロゲーメーカー(正しくはエロゲーブランドだけど)として存続していたら、その暁には「it's eroge maker!! 」から「The Eroge Maker !!!」へと変更(変身)することを認めたいと思います。というか、35周年記念に、再度ロゴを変えて、名乗れ。私が許す(何の権限もないけど……)。


2018/10/05追記
2018/12/21発売予定(2019/2/22に延期)のイブニクル2の内容が、想定とぜんぜん違っていてビックリ! ランスシリーズのように、一人の主人公をずっと追っかける方式ではなくて、元は一つだった世界が割れてしまった別世界を、一つ一つシリーズ化(毎回違ったキャラ達の冒険を満喫)する方式みたいですね。そうすると本シリーズの完結は、各別世界を束ねて元の一つの世界に修復するってことになるのでしょうか?

現状、2年ペースはやっぱり無理で、4年ペースで新作を出すという感じですから、シリーズが完結する前に私が死ぬ確率は、ますます高まってしまいました。そのため、ランスシリーズが完結したので、今後はもうちょっとペースが早くなることを期待したいです。また、ランス10 が私には難しくて挫折してしまったので、イブニクルシリーズは、今後とも難易度低目でお願いしたいです。