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shaneさんのうつせみ ~空蝉~の長文感想

ユーザー
shane
ゲーム
うつせみ ~空蝉~
ブランド
BLACK PACKAGE
得点
78
参照数
170

一言コメント

大正時代の少女歌劇団の光と影

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

OPで流れる十八年前の火事が、少女歌劇団とどう繋がるのだろうと思っていましたが、そこは見事に伏線回収してくれました。
ただ、メインヒロイン扱い?の歌穂と恋仲になるものの、Hシーンがないのは驚きました。
桔梗、朱雀、風美香、瑠奈とはHや個別ENDもありますが、H自体一度限りという約束での行為なので、恋人同士にはなれず、彼女達目当てにプレイする人はがっかりすると思います。
朱雀に至っては、昔の男と駆け落ちしてしまいます。
他のサブキャラは役欲しさに率先して枕営業に勤しんでおり、主人公とのエロはなし。
貪欲な夢見る少女を食い物にする構図はいつの時代も変わらないんだなあ。
椿を筆頭にサブキャラはとにかく厭味で汚れた存在に描かれており、主人公や歌穂はとことん椿を敵視していましたが、彼女もある意味被害者。
椿の家族に関しては、いきなり出てきて即途中退場してしまったので、何の為に存在していたのか、謎が残ったままなのは残念。

一番印象的だったキャラは攻略対象ではなく奈美さん。
他の方も書いてますが、中盤まで奈美さんはてっきりグルで、直哉の悪事に加担しているんだと疑ってました。
花鳥風月の過去が紐解かれていくにつれ、劇団への思い入れが尋常ではない理由も、そこから繋がっていたのだと感慨深かった。
稽古の指導の時は厳しい面も見せますが、母性を感じる温かみのある声に、心を揺さぶられました。
プレイ後数日経っても、奈美さんの生涯に想いを馳せてしまう。