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shaneさんのほろほろの長文感想

ユーザー
shane
ゲーム
ほろほろ
ブランド
LiLiM
得点
80
参照数
53

一言コメント

エロシーンは不要

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

LiLiMは凌辱系のイメージがありますが、初期の頃は「光を」といい泣きゲー路線だったようですね。
臓器移植法制定やクローン羊のドリー誕生の影響か
90年代後半から2000年前後の作品はクローンや臓器売買の話が多い気がする。
ミステリーやSF要素は薄く、大体予測できる範囲です。
地下にある謎の施設の秘密が明るみになり、悪役の動機が明かされてあっさり終幕。

えっちシーンの喘ぎが「ぎひいいいいい」とか皆謎の絶叫系で
逆にこの作品が声なしで良かったと思いました。
正直この絵柄や世界観にそぐわない。

主人公がとにかく不憫。せめて妹の愛は生きていて欲しかった。
家族を理不尽な形で奪われたのに、冤罪で一家殺人容疑をかけられ
刑事達には新たな誘拐事件にも関与していると疑われしつこく尾行され
職場の人間たちにも「人殺し」と詰られ鬱々とした展開が続く。
作中ではまだイタ電や職場での陰口で済んでますが、
ネット社会の現代ではもっと恐ろしい事になりそう。
息が詰まるシーンが多く、主人公が仕事の息抜きに外の空気を吸いに行くシーンで、
自分も完全に同調していました。
緑に囲まれた淡い背景に加え、SEが高音質で風のざわめきや鳥の声に癒された。

ヒロインが精一杯の気持ちを込めて、自分なりのやり方で主人公を懸命に支え
傷を癒そうとする姿が健気です。
ただそのやり方が空回りしてたりズレてたりするので、正直引いてしまうヒロインもいた。
早苗はいきなり職場に押しかけ、職員に主人公の住所やTELを聞き出し
アポなしで早朝部屋に凸して起こしたり、今家の近くに来てると電話かけて
半ば強引にデートに連れ出したり、主人公の妹だと偽り、管理人に鍵を開けてもらって
主人公不在の部屋に勝手に上がってたり
やってる事が現代の感覚では完全にアウトw
あと他の方も書いてますが、ラストの再会シーンは、その場でおっぱじめるのは余韻台無しでした。
そこは抱き合ってキスシーンだろと。
瀬理科は主人公と出会った頃はそばかすメガネの冴えない学生で
その頃からずっと一途に想い続け、主人公のため毎年セーター等を編むも
いつも渡せずに何十着も死蔵してたらしい。
今も昔も主人公一筋設定なのに非処女でセックスに慣れてるのが違和感。
未遂だけど、主人公への嫌がらせを止める事を条件に職員達に体を売ろうとするシーンあり。
シナリオ的には木ノ葉と裕香ルートが好きです。
裕香は単純なツンデレではなく、主人公を疑ってかかっていた過去の自分を許せず
その事で長く苦しんで、主人公の前で感情が溢れて号泣するシーンがぐっとくる。
木ノ葉ルートでは、臓器密輸に加担した主人公が、木ノ葉の言葉で心を入れ替えるシーンが印象的。
安直な奇跡じゃなく、主人公と木ノ葉の力で手に入れた
ハッピーエンドなんだなと感慨もひとしおでした。