妖怪モノの皮を被ったバカゲー。テキストは良いが、シナリオ面での作り込みの甘さが惜しい。
外観を見る限り、普通の妖怪モノ萌えゲーっぽいですが、本作は実はバカゲーです。
主人公の言動にかなり変態紳士入っていて、ヒロインとのやり取りは見ていて笑えます。
また、時折メタなネタが入ったり、(良い意味で)ヒロインのイメージをぶち壊しにする
ような描写が入ったり、と、色んな意味でやりたい放題。
個別ルートまでいくとやや失速しますが、それでも全編通して主人公とヒロインとの
軽妙な辛口の応酬は面白い。
このように、テキスト面では非常に頑張っているのですが、残念ながらシナリオの全体構成は
上手く出来ているとは言い難い。
本作はヒロイン全員が妖怪娘であり、日本妖怪四人、西洋妖怪四人の計八人。
共通ルート前半で日本妖怪ルートと西洋妖怪ルートの共通ルートにそれぞれ分岐し、さらに
その後の分岐で最終的なヒロインルートに入ります。
しかしながら、日本側一人・西洋側一人はサブストーリーで補完されるのみでメインの
ヒロインではなく、また西洋側ルートは大きく分けて2ルート、日本側は1ルートで
ヒロインと細部のエピソードが変わるだけ。
つまるところ、
『ヒロインが多く見えるが、実質的なシナリオは三本しかない』
と言えます。
伏線っぽく思わせぶりな描写も多いのですが、ほとんど触れられずに終わったり、
あっさり流されたり、全くシナリオに絡まずに終わったりしてしまうことも多い。
また、それまで作中で全く語られていなかった事象について、いきなり主人公たちが
既知の情報として話し始めるシーンも散見されます。
ヒロインのキャラ立てやテキストは良いだけに、シナリオ面での作り込みの甘さが
本当に惜しまれます。
ただ、ブランド処女作ということだし、今後にも期待できるので、次回作でもこの
テキストの質を落とさず、さらにシナリオをしっかり練って欲しいですね。