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serisuさんのよう∽ガク ~妖学園の未来は会長次第!?~の長文感想

ユーザー
serisu
ゲーム
よう∽ガク ~妖学園の未来は会長次第!?~
ブランド
ぱわふるソフト
得点
80
参照数
2535

一言コメント

妖怪モノの皮を被ったバカゲー。テキストは良いが、シナリオ面での作り込みの甘さが惜しい。

長文感想

外観を見る限り、普通の妖怪モノ萌えゲーっぽいですが、本作は実はバカゲーです。
主人公の言動にかなり変態紳士入っていて、ヒロインとのやり取りは見ていて笑えます。
また、時折メタなネタが入ったり、(良い意味で)ヒロインのイメージをぶち壊しにする
ような描写が入ったり、と、色んな意味でやりたい放題。
個別ルートまでいくとやや失速しますが、それでも全編通して主人公とヒロインとの
軽妙な辛口の応酬は面白い。
このように、テキスト面では非常に頑張っているのですが、残念ながらシナリオの全体構成は
上手く出来ているとは言い難い。

本作はヒロイン全員が妖怪娘であり、日本妖怪四人、西洋妖怪四人の計八人。
共通ルート前半で日本妖怪ルートと西洋妖怪ルートの共通ルートにそれぞれ分岐し、さらに
その後の分岐で最終的なヒロインルートに入ります。
しかしながら、日本側一人・西洋側一人はサブストーリーで補完されるのみでメインの
ヒロインではなく、また西洋側ルートは大きく分けて2ルート、日本側は1ルートで
ヒロインと細部のエピソードが変わるだけ。
つまるところ、

『ヒロインが多く見えるが、実質的なシナリオは三本しかない』

と言えます。
伏線っぽく思わせぶりな描写も多いのですが、ほとんど触れられずに終わったり、
あっさり流されたり、全くシナリオに絡まずに終わったりしてしまうことも多い。
また、それまで作中で全く語られていなかった事象について、いきなり主人公たちが
既知の情報として話し始めるシーンも散見されます。

ヒロインのキャラ立てやテキストは良いだけに、シナリオ面での作り込みの甘さが
本当に惜しまれます。
ただ、ブランド処女作ということだし、今後にも期待できるので、次回作でもこの
テキストの質を落とさず、さらにシナリオをしっかり練って欲しいですね。