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schwarzesdonnerさんのD.C.5 Plus Happiness ~ダ・カーポ5~プラスハピネスの長文感想

ユーザー
schwarzesdonner
ゲーム
D.C.5 Plus Happiness ~ダ・カーポ5~プラスハピネス
ブランド
CIRCUS
得点
80
参照数
19

一言コメント

ダ・カーポシリーズ初プレイ。攻略順:灯莉→可子→雪那→愛乃亜→瑞花

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 灯莉(あいか)√のみ普通の学園モノっぽい感じで、他はイチャイチャしつつ世界の危機に向き合うような話。個人的に√の面白さのランキングを付けるなら、
愛乃亜>>>雪那≧瑞花≧可子=あいか
 であった。以下、各√とキャラ毎の感想

全般:各√に共通しているのは、自分のやりたいこととやらなきゃいけないことを天秤にかける話であるということである。やらなきゃいけないことは一人じゃ背負いきれないから他の人を頼りましょう、という流れで話が進んでいく。主人公の創眞も、魔法使いとして一人でやれることは限られているが、他人に力を貸すことで見せ場を作れるような設定になっている。テーマの一貫性がキチンと取れているあたりは流石老舗といった具合で、途切れることなくプレイすることができた。

あいか:行動原理が他人のためだった子が自分のエゴを良い意味で出していくみたいな話。魔法要素はちょろっとあるが、他√で語られるような世界の危機は最後まで起こらない。愛乃亜√のオチを見るにこの世界線も助かるのだろうが、本筋とはほとんど関係ない話のため実質的にはサブヒロイン的な立ち位置だろう。とはいえ尺はきっちりあり、各√共通のテーマも描かれるため異質感は薄い。
 あいかというキャラについては、他√では穏やかな女の子という印象だが、本人の√では頑張り屋さんで他人想いでドジっ子という側面が強調される。灯莉は親友だが、同時に優秀で話し上手な彼女に対してコンプレックスも抱いており、√ではそのコンプレックスの解消がひとつの山場となる。大きなどんでん返しなどは無いものの、普通に灯莉がかわいいので難なく読み進められた。

可子:主人公ファミリーの中では唯一家の魔法を継いでおらず、魔法の才能もそこまであるわけでもない。ファミリーのお母さん役として家事を担当しているが、黒無に関する状況が好転しない中で、とうとう創眞と二人でことにあたるしかなくなってしまったという内容。何か使命を持っているわけではなく、また黒無に関して身体的に被害を被ったため愛乃亜と雪那からは見えない気遣いを受けていたわけだが、結局創眞と二人だけで黒無に対処しなければならなくなってしまった。一応黒無の対処には成功するわけだが、他の√の情報を加味すると雪那は恐らく復調しないし、瑞花に至っては死んでしまっている可能性が高い。他の√をプレイすると後味が悪くなるのは結構つらい。とはいえ可子√自体、愛乃亜√の伏線になっており物語的には無くてはならない話である。
 可子というキャラに関して言えば、まさにお母さんといった具合であらゆる√で活躍する。一方で上述の通り何か壮大な使命を持ち合わせている訳ではないので、一般人代表のような役割もある。Hシーンは生意気さが強調されて大変下半身がイライラした。乳輪も大きめに描かれていて大変良かった(小並感)

雪那:身を犠牲にして創眞の黒無に対処していた結果、長く生きられなくなってしまって生き急いでいた人。創眞に時遡の魔法を継承するシーンは、それまでの雪那√をしっかり鑑賞していた人なら感動必至のシーンである。個人的には愛乃亜の次に好きになったキャラなので、瑞花√途中で言及なくフェードアウトしてしまうのがなんとも勿体無い。
 全年齢版の方はプレイしていないのでなんとも言えないが、このゲームの中で最もエロシーンの意義がある√は雪那だと思う。どういう想いで体を重ねていたかを想像すると、それだけで込み上げるものがあった。

愛乃亜:多分この√が最も作中でシナリオの完成度が高い。他の√が山場が告白と問題解決の二回で終わるのに対し、愛乃亜√は三回も山場がある。あとこの√の創眞が大変カッコいい。全体的に他√でも漢気を見せるが、実質的なグランド√の瑞花√よりも漢気を見せたと思っている。特にラストシーンでは、全部クリアした後に「ここにも創眞の声つけてやれよ!」と不満に思ったくらいだった。
 愛乃亜自身もいい女すぎる。素直ではないが、その実とても気を遣っていて、なんだかんだで創眞にめっちゃ助力してくれるし、あとデレるとめちゃくちゃかわいい。

瑞花:クライマックスの他√の伏線回収と、初めて創眞がラストで自分の魔法を使うという、これぞグランド√という流れには正直感服した。瞬間最大風速でいえば愛乃亜√以上だと思う。が、こちらも山場が告白とラストの二箇所しかなく、それでいて√自体が他と比べて長かったため、必要な描写と分かっていてもダレてしまったのは否めない。あとやはり、雪那が倒れることなくフェードアウトしたのは本当にもったいない。どっかで見せ場作っても良かったんじゃないかなーと思う。
 瑞花自身はクールなようで愉快な女の子で、ヒロインとしては好きな部類だった。ラストを見るにもう一枠Hシーンあっても良かったと思うが……パッケージヒロインなんだし……。