【全√クリア】昔のAXLってこんな良作を作っていたのか、と感心。確かにこのレベルの作品を見せられたら期待しちゃうよね。
■(一応)積みゲー消化。
AXLの作品は「恋する乙女と守護の楯」「Like a Butler」の2つをプレイしていますが、実はどちらも
全クリアをせずに放置になっています。
理由はAXL特有のお馬鹿表現、というかノリというかあれに付いていけなかったからです。
舞台設定は良いのに、勿体ない・・・と何時も思っていました。
妙な色物キャラもいますしね(Like a Butlerのダリルとか六右衛門は個人的に最悪)
皆さんの評価を見ているとどうもあのノリこそが受け入れられていてAXLの特徴というか色に
なっているようなので、あのノリを楽しめない自分はきっと異端児なんでしょう。
それゆえ、「かしましコミュニケーション」は購入を見送り、多分これからも買わないんじゃないかと思います。
しかし”姫”好きなの幸いしたのか、急に本作をやりたくなり衝動買いをしてしまった「Princess Frontier」。
これ、クリアした今は本当に買って良かったと思います。
まじで無茶苦茶、面白かったです!
あのAXL的なノリが無いのも好感触でした。
※お馬鹿な会話はありますが、濃く無くサラっと聞き流せるので、逆に良いスパイスになっています。
前半の共通√で育む”仲間”との熱い絆。ヒロイン達の一本ピシっと立った個性。
王道でどこかで見たことのあるような、だけど丁寧に描いて不快感を与えないシナリオ。
そして、ポルカ村の雰囲気。本命だった姫様以外のヒロインの予想外の可愛さ。
こんな作品に触れてしまったら、そりゃ”AXL信者”と呼ばれる人も現れるだろうな、と納得です。
本命のアルエ√のラストのまとめ方が、おかしいと言うか物足りない部分があるのは勿体なく
思うのですが、作品全体としてみれば希にみる傑作だと思います。
以下、個別感想(ネタバレ有り)※感想はクリア順
■アルエ√
姫好きな自分としては大本命なアルエ。
惹かれ合っていく様子も丁寧に描かれていて私自身、かなりアルエに感情移入してしまいました。
自分の事を”男”と思い込んでいる設定は必要だったのか?と思わないでもありませんでしたが
あのエンディングにたどり着くためには必要な設定だったのかもしれません。
ただ、残念な事に二つあるエンディングのどちらとも正直言って不完全燃焼な感じでした。
中途半端というか打ち切りのドラマのようなというか…。
そういう意味で言えば、中途半端なエンディングに辿り着く為だけの、あの設定は結局は蛇足だった気もします。
自分は”男”と思いながらも、心の奥底に芽生えたリュウへの興味。
そう、最初はちょっとした興味だったと思います。
しかし、ポルカ村でリュウや仲間達と暮らし、リュウの人柄、行動を自分の目で見ていくうちに
その興味が恋へと変化し、アルエ自身の内面が揺れながらも変わっていく様子は見ていて非常に心地よく
アルエという女の子を非常に魅力的に描けていたと思います。
王女と騎士の身分違いの恋、という王道パターンと進んでいくわけですが、トゥルーの簡易結婚式後の
展開には正直言って、かなりガッカリしました。
あの結末はハッピーエンドと言えるのでしょうか?
ノーマルエンドも全くハッピーでは無いですし、ここまでの素晴らしい展開を台無しにしてしまった気がします。
ゲーム自体の冠にもなっている「プリンセス」な彼女。
メインヒロインなのは間違いがありません。
メインヒロインだからこそ、もっとしっかりとした結末《ハッピーエンド》を用意すべきではなかったでしょうか。
■ミント√
4人のヒロインの中では一番、好みからはずれているミントを2番目にクリアしました。
アルエ√の後にクリアしたので、正直私はアルエが好きすぎてアルエの寂しそうな顔を見るのが
非常に辛かったです。
ただ、そんな思いをしていたのは王都に戻るまでで、王都に戻ってからの展開はかなり面白かったです。
”物語”という意味では結末(TRUE)まで含めてかなり完成度が高く仕上がっていて最後まで一気に読み
進めることが出来ました。
アルエ√同様、お互いが恋と自覚するまでの経緯が丁寧に描かれていて恋愛物としても非常に高い
レベルで纏まっています。
まあ、そのおかげでアルエへの罪悪感はすごいことになりましたが・・・。
つきあい始めてから感じ始めた、騎士(ポルカ村守備隊長)と商人との生活基盤の差。
ポルカ村のみんなを巻き込んだ、塩ギルドの陰謀。
そして、陰謀を乗り越えようとミントに協力する村人達の思い。
期待をせずに始めた√だっただけに予想外の面白さに大満足でした。
■ロコナ√
もう、むっちゃくちゃいい子ですよね、ロコナ。
松田理沙さんの声がこれ以上無いくらいにハマっています。
気が付かなかった自分がお馬鹿なんですが序盤に伏線がちゃんと張ってあったんですね。
『国境越え』とこの伏線が噛み合った時に「おぉ」と軽く驚きました。
※冷静に見ると大した伏線でも無いんですけどね。
ロコナというヒロインは、とにかく素直でリュウと付き合いはじめた時も他のヒロインとは違い
迷いもなく、あっさりと付き合いを受諾したりするのですが、そういった彼女らしい素直な態度が
実に見ていて微笑ましいというかホッとさせてくれます。
そして、どのシナリオでもそうなんですが、アルエの探していた花がシナリオに上手く組み込まれていて
ライターの方のセンスを感じます。
このシナリオでも「逆転」の切り札として実に上手く使われていました。
また、左遷の際にリュウが次の隊長に残していこうと書いた手紙。
ホメロが読み上げるのを見て泣けた。マジで泣けました。
終盤の毒草事件の流れは正直、微妙な気もしますが全体的にテンプレ通りとはいえ良シナリオだと思います。
リュウの角笛もいい味出していて、中々良かったですね。
■レキ√
やっているうちにスッカリと忘れていましたが年下だったんですよね、レキって。
余りに大人びていて、忘れてしまっていました。
付き合いはじめの展開は正直言うと強引な気もしないではありませんが、レキの年相応の可愛さというか、
神官としてでは無く年頃の女の子っぽさが上手く表現されていて良かったと思います。
レキもミント同様、王都で陰謀というか計略に巻き込まれます。
計略への伏線、原因を作るために仕方無かったのだとは思いますが、公衆の面前でのキスはレキの性格を考えると
ちょっと強引というか有り得ない行動だと思います。
この計略へのきっかけというのはこのシナリオでは結構、重要な部分なだけにきちんと考えて欲しかったなあ。
レキシナリオも他のヒロイン同様にノーマルエンドとトゥルーエンドに分かれます。
トゥルーとノーマルでは全く方向性が逆に進みますが、レキシナリオほどトゥルーの展開がトゥルーらしい
シナリオはないかなあと思います。
ポルカ村だからこそ、といえない展開かと思いますが共通ルートで積み上げてきた物が生きた話だなと思います。
欲を言うならレキの妹のグラフィックも欲しかったな、と思います。
きっとレキに似て美人さんなんでしょう。
■総 括
純粋にシナリオが面白かったし、登場人物(モブ除く)も魅力的なキャラばかりで実に楽しめました。
アルエ(お姫様)目当てで購入だった筈が、気が付くと作品全体を好きになっている自分がいます。
特にアロンゾがお辞儀をする立ち絵が秀逸で見てて、楽しいんですよね。
嫌みが無い騎士って感じで。
AXLには是非、この頃の作品を思い出して今後の作品作りをしてもらいたいものです。
本当は100点付けたい位なのですが、アルエエンドが微妙なのでその分マイナスです。
超お奨め。