「今作が平凡と言われる理由は君も分かっているはずだ」「と言うと?」
ルートを進める度に情報が増え、最終ルートで謎が解決していくパターンは今まで通りなのでとりあえず最後までやって欲しい。
桐月氏の心地よい世界観は今回も健在。今の季節に合った「春」、「桜」をイメージさせる淡いタッチとこのメーカーらしいシンプルな音作りは相変わらず上手い。
塗りのせいでハコネ絵が随分変わったように見えるのもみあそらからやっているユーザーには新鮮で悪くないと思う。
紅蓮華もそうだったが、解説キャラが出るときの言い回しが毎度同じでくどいと気になる人もいるだろう。ここはまあ好き嫌いで済むレベルだろうか。
今回もフローチャート付きだが、各ルートに分岐する以外はほぼ皆無なので一本道に見える上に前作に比べても短いため物足りなさは残る。
エロシーンは今までより多めだが、今まで以上に短め。でも抜きゲじゃないので気にしない。
(ここからネタバレ入ります)
シナリオに関してはシンセミアやコンチェルトのように序盤に大目標が提示され、それに向かって小目標をこなしていくのではない。
そのため、幽霊が出ただの色が見えるだの不思議なことを気にせず日常を淡々とこなしていくように見えるのは、終盤で非日常との対比を明確にするためと考えれば悪くはないのだが、読み手には日常の出来事をこなしているようにしか見えず、平凡と言われても仕方のないところだろう。
そしてその日常も読み手に納得させるにはやや説得力に欠け、主人公が「ただ気になったから」という理由で探偵ごっこを繰り返す展開には特にキャラ萌えでも無い限り飽きが来る。
フラグメントも世界観を拡げるためのものでシナリオの根幹に直接関わってくるものはほとんどないので分ける必要があったのかな、と思う。
桐月氏はどこかで普通の学園物もやってみたいと言っていたので(メーカーとの兼ね合いもあるだろうが)そういう方向にシフトしつつある作品なのかもしれない。
個人的に過去作から期待しすぎた面はあるが、全体としてみれば十分良作の部類であり、やって良かったと思える作品。
ただ、桐月氏の作品としてオススメするならば、シンセミアかコンチェルトを推す。
個別ルートに関してはメインヒロインである桜花以外は評判の通り「平凡」。私はさくや、莉都などのクール系統が好きなので今回は麗奈で楽しませて貰いました。