イチャラブはそこそこ良質なのだが他は・・・あと、こういう主人公はお人好しではなく独善的というのだ
イチャラブ評価が高いのを見て購入。
結論から言うとイチャラブ以外は特段語るべき点もなく人に購入を薦められるようなレベルではない。
幼なじみルートが無かったら70点もつけてなかっただろう。
まずCGだが、何人か目が光っている。いやマジで。
イベントCGで出てくる主人公も「ボクきれいなジャイアン!」の目をしていてちょっと気持ち悪い。
あと萌えゲを目指しているようだが、エロを除くと個別でイベントCGがなんと各キャラ6枚しかない。
あとは全部エロ。でも目が光ってたり人体のバランスおかしかったりで抜けない。
シナリオ面は明らかにライターの力不足を感じさせる。
まず設定が雑。
舞台は学園のなんでも屋。あーこの設定、今年だけでも何本目だよ。
話を作りやすいからって、もう何でも屋とか夢設定はいい加減止めようよ・・・
学生主体の学校にしても考えだすと矛盾だらけで別に普通の学校で良かったんじゃないのかと思うくらい。
単にエロゲ特有の意味不明な権力を持った生徒会や相談室をやりたかっただけでしょ。
伏線のごとく出てくるハイテクや意味深な台詞は何の意味もない。
特にサブキャラに顕著なのだが、極端な設定にすれば面白いと勘違いしている節があって話を進める上で便利なのだろうが、読み手としては単にウザいだけ。
ワンパターンなギャグ要員で真面目なお話進めようとするからグダグダになる。
こういう先読み出来るキャラで話進めるから日常のつまらなさが更に冗長して感じられるのだ。
そして描写が下手。
共通は長い割に退屈。こんな下らないシーンで延々とリソース食うくらいなら個別に力入れるべきはないのか。
まあ、個別もご都合主義的な場当たり展開が多いのでイチャラブ以外は目を背けた方が純粋にこのゲームは楽しめる。
話が重くなりそうな所はギャグで落としたり、「~ということだった」とあらすじだけで済ます事しかできないのなら最初からテーマにしなきゃいい。
やたら「何て言ったらいいのか上手く言えないけど」を多用する。
これだけ連発されると若さ故の上手く言えないもどかしさというより単にライターが書けないだけと言うのが透けて見えて残念な気持ちに。
説教好きな癖に上手い台詞が出ない主人公ってダメだろう。
この主人公は決してお節介やお人好しではない。独善的というやつだ。
たいして親しくもないどころか会って数日の人間の心にずかずかと入り込んだり
入り込まれて仕方がないと思うヒロインもいい話というより「こいつら気持ち悪い」という印象が先にでた。
まあ御都合主義なのでどんなに支離滅裂でも最後には全て上手くいくわけですが。
あと、たとえ会話している最中だろうが、目の前の相手を無視してすぐ自分の思考の海に沈んでしまい、すぐに相手を不安に陥れる。
ヒロイン達の事をいろいろ言うが、実は一番のかまってちゃんは主人公だ。
そしてこの主人公、説教大好きなのだが、多くは「お前が言うな!!」なのだ。
更に残念な事にヒロインは説教されて成長していくのに対し、主人公は言うだけで自分は成長する気がない。
ここでの評判は割といいようだが、よく言えば臨機応変、悪く言えば場当たり的で支離滅裂。
「かわいそうなので助けたい」と言った数日後にはヒロインに対し
「かわいそうと上から見下してお前は何様なんだ?」と言うシーンなどは笑うところなのかマジなのか悩んでしまった。
個別に関しても大きな見せ場は無く、特段語るべき点はない。
シリアスや山場は後日談のような形で書かれているため、ふーんで終わる。
ライターの素養というかいろいろな一般常識が足りていないのではと思われる部分も多く、あまり真面目に読むと残念になる。
イチャラブ的な意味合いでは劣化ラブラブルとでも言えば分かりやすいだろうか。
ただ一つ褒めるなら幼なじみルートだけは評価に値する出来。
以下個別短評
織衣
新人だろうか。とにかく滑舌が悪い。
声が違ったらかわいさ倍増だったろうに「読みあげてる感」が半端無い。
親との関係修復がテーマかと思いきや、ほとんどは後聞きでそうでもなかった。
まるな
赤ちゃん拾って育て始めるあたりでアホらしくなってしまう。
親探しという目的が勝手に解決するのも肩すかし感が半端ない。
ソーニャ
元気天然系は米澤のハマリ役。
他に比べて不快キャラがあまり出てこないルートでもある。
あえて言うならエロCGの主人公が気持ち悪い。
勇
堅物テンプレヒロイン。
話としてはよくこんなテーマで1ルート書ききったと思うくらい中身はない。
しかし、相談室での経験を生かして企業コンサルタントって世の中舐めすぎじゃないですかね。
有希
幼なじみとの恋愛じゃない出来上がった感の空気は絶妙。
ほんとに他のルートと同じ人が書いたのかと思うくらい質が違う。
心の機微も他のルートはオンオフしかない雑な展開に対し、このルートだけは微妙な変化から進められている。
そして何よりこんな空気の幼なじみいたらいいなあと思わせる桐谷の自然な演技が素晴らしい。