シナリオ、CG、CV、音楽等、何れかの形で、すでに幾つもの商業作品の制作に携わっている、それぞれの分野でのエキスパートが、「同人」という枠組でひとつの作品を創りあげた結果は……、『良作以上名作未満』。
プレイ前、HPにて、CVのキャスティングを見た時に、
「柳瀬なつみさん」、「友永朱音さん」、
と、順番どおりで(?)、何故に、
『私立さくら学園』!?
と、一瞬、驚いたり、
いざ、プレイ直後には、
『卒業を控え、
……………
……………
……………
そして―――
「卒業」という節目の時を前にして、
だからこそ。
徐々に強く、そして激しく。
それぞれの想いは募ってゆく……
Crescendo~永遠だと思っていたあの頃~
Full Voice Version』!?
かと、再び、驚かされた事は、ソレはソレ。
上段は、さて置き、
ここから本題。
CGは、最初手抜きか?と思ったりも、シナリオを進めていくうちに、あの着色というか雰囲気は、作品の世界観を考慮すれば、なるほど納得のデキ。
CVは、一線級、多方面で活躍されている方々が堅実な演技をしており、当然キャラクター(各ヒロイン)は魅力充分で、感情移入もスムースイン。
音楽も、力が入っているのがうかがえ、とても心地良く、ED曲も、聞き惚れるぐらいの良曲。
そして、メインとなるシナリオは、「女性視点」で綴られ、馴染むまで少々時間を要したものの、「卒業」という一つの節目の時期において、3者3様、高校生(中学生)の恋愛(初恋)を通じての成長模様が各章にて丁寧に描かれており、それぞれのシナリオにテーマ(意味)を持たせて綴られているのが伝わってくる高い完成度。
行き当たりバッタリの「奇跡」に頼る事なく、
コンプレックスの克服や、人のやさしさと甘えとは何か、昔の自分、今の自分を正面で受け止め、外見だけでなく中身の成長が大切という事、自分自身を前向きに考え、日々の積み重ねが大事、など、
青春まっただ中という感じは懐かしくも心地良い。
起承転結がしっかりとした上で、コンパクトに纏め上げており、
1章 2時間、
2章 2時間、
3章 3時間半、
おまけ 30分、
以上、ゆっくりプレイで8時間あれば充分の、社会人に優しいフルコンプ短時間仕様。
「エロ」もなし、「ゲーム」でもない、LIGHT VISUAL NOVEL。
ふと懐かしい学生時代、ほろ苦くけれど少し心地良い感じを味わえる、良作以上名作未満。