終わったあともう一度会いたくなる
過去の経験から人と親しくしてもすぐいなくなってしまうという恐怖に囚われた主人公
普段から親に苦労をかけており全てを自分1人の力でこなしたいと背伸びしつつも愛情に飢える女の子
そんな二人がひとつ屋根の下で寝食を共にしたらどうなるか?というお話
ともかく水香が可愛くて、一緒に居ると落ち着きます。もう家族ですよこれは。
関係の変化も惚れたヤったはいおしまいではなく、とても丁寧に描かれています。
最初は他人行儀に、しかし一緒の時間を過ごすことで寂しさを消せ合えると理解し、お互い風邪をひき看病しあうことで弱点を見せあい、他人との交流で仮面を被らない「楽な方でいればいい」「甘えられるときに甘えとけ」とお互いを受け入れ合い、だんだんとお互いのことを考える時間が増えていく描写が非常に丁寧です。
印象に残っているのが前述した「楽な方でいればいい」という言葉で、あれで一気に水香が一緒に居て心地よい安心できる相手に(読み手の私も含めて)なりました。
そこからはひたすら水香の猛アタックで、恋する女の子のひたむきさを感じ大変いじらしく思えます。
普段からシングルマザーの親に迷惑をかけまいと炊事洗濯を全て1人でやり、夢見ることなく現実的でクールで落ち着いた女の子。
そんな子が自分だけへの愛情を受け甘えても許される存在が出来たらどうなるか?
恋人となった後はひたすら主人公に奉仕しようとします。(ここらへんは某奴隷との生活を彷彿とさせました。)
あなたが喜ぶように料理をつくり、あなたが喜ぶなら恥ずかしい淫語も頑張って言い、あなたと共に居る事が全ての喜びであると伝えてくれます。
他人との生活が煩わしいと感じている人も、このゲームをやった後は「自分以外の人との生活も良いかもしれない」と思うことでしょう。
100点をつけたくなる出来だったのですが、個人的に気になる点が一点だけありました。
水香の親である臨に水香との交際を告白するシーンです。
主人公と臨は同い年で、その臨の娘である水香とはそのまま親子ほども歳の差があります。
しかも信じて預けた娘に手を出されたのですから臨としてはたまったものではなく、最初は激しい軽蔑と拒絶の態度をとられます。
上記の態度がリアルに描かれているのは大変良かったのですが、その後水香が話し合いに乱入し主人公共々「真剣に付き合っている大事な人だ」と説得され気の抜けた臨は結局交際を許してしまいます。
もちろんお話ですから許される必要がありますし、一番大事なのは愛情だというのは理解出来ますが、もう少し具体的にどう水香と幸せになるのかを提示してほしかったです。
現実的に考えれば水香が30歳になったとき主人公は50歳、水香が50歳になれば70歳でそれは親の臨も同じなので水香は1人で二人の介護をしなければなりません。
子供が助けてくれるとしても二人が寿命で亡くなった後は?水香は数十年1人ですごさなければなりません。
後に残すことになるだろう水香へどうしたら幸せになってもらえるか、この作品のテーマである歳の差カップルの問題点への回答が欲しかった感はあります。
まあ、創作物なのでそんな重い話はいらんと言われればその通りなのですが、臨の説得があっさりすぎたのでそこだけ気になったという感想でした。
どうか少しでも長い時間、水香が幸せでありますように。
そう願わずにはいられない良作でした。
あ!あとこのゲーム、水香の表情が大変細かく変わります。
セリフに合わせた演出としてとても良い仕事をしていると思うので、プレイされる方はクリック連打ではなくじっくり水香の話と顔に目を向けてみてはいかがでしょうか?
水香が倍可愛く見えますよ。
あとあと、エロシーンで乳首にこだわりのある感じがしたのはエロくて大変よかったです。