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ryushiさんの深淵のラビリントスの長文感想

ユーザー
ryushi
ゲーム
深淵のラビリントス
ブランド
アストロノーツ・シリウス
得点
85
参照数
1492

一言コメント

ゲームシステムはかったるいところがあるがシナリオは一読の価値あり。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ハーレムコンテンツの方と間違えた…

一言でも書いた通りゲームシステムは正直おそまつとすら言えてしまう。
明確に複数周回のプレイを想定したゲームデザインながら全体的にテンポは悪いし
敵の行動はパターン化されており戦闘の難易度も爽快感も低くスキルの取得もランダムとこの辺は明確に欠点。

ただのその欠点を考慮した上で(個人的な嗜好にマッチしていたというのを加味しても)ストーリーの満足度が上回った。
記憶喪失の主人公、暗く鬱屈とした世界観、喋る剣というごきげんな相棒、まさにこってこてのダークファンタジー。
前述した複数周回プレイを前提にしているという話のギミックも含めてストーリーラインは非常に魅力的と感じた。

MM先生の肉感的な絵は健在でエロシーンの使用感も中々、ただゲーム性がよろしくない部分と相殺されて
それだけに集中はしにくい作りになっている感がある。
強敵マスはともかく特定のヒロインマスのイベント戦闘で負けたら見れる凌辱は回収しにくい。

音楽音声は個人的には特筆すべきレベルではないが質が低いわけではなく(特に声)ゲームに没入するぶんには支障なし。

結論としてはゲーム部分がいまいちなところを補ってあまりあるほどに良いシナリオだった。
どうせ抜きゲーだしエロシーン見るだけでいいと考えている人にもゲーム部分を我慢して読んでほしいところ。







以下ネタバレ。
「ダスラッド」「法と秩序の結晶」「時を渡る秘術」、物語を終結に導く要素をちゃんと予め出しておいて
それらが結実して最終的にな逆転に至る流れが非常に美しい。
シャリオは失われた結晶を探し出し、エルミットは1年戻るだけの秘薬を作り続けるよう子孫に伝え
ダスラッドは本来勝てないはずの1000年後の混沌に混沌を孕んだ自分から切り離した純粋な法と秩序の凝縮した力で対抗した。
1000年後のソレイユとベートは救われるし1000年前のヒロインたちは次の周回のヴェルトがなんとかするだろう。
かつて主人公が救いたかった二人の少女が混沌に落ちたことは変えられないし
ラスボス戦がないとかトゥルー以外のヒロインエンド詰んでね?とかトゥルーにヴィレス要素もですね…とか言いたいことはないでもないが
それらをすべてひっくるめた上で非常に楽しめたゲーム、少なくとも俺には刺さった。