共依存と執着、そして芙蓉なカノジョ。
700円ということでプレイ。
一番の魅力は、皆さん挙げている通りミータオのキャラクター性。
どうしようもないダメ人間であるリョウを支えるために、
自分の身体を差し出しながら稼ぐミータオと、それを良しとしないが半ば受け入れるリョウ。
弱くて何もできないリョウが、他人に身体を見られ触られながら稼いでいるミータオに養われながら、
愛を囁かれたところで何も思わない訳もなく、二人の関係が徐々に崩れていく様は読んでいて面白かった。
どうしようもなく底辺の生活をしているカップルに、
富裕層でありミータオの過去をほのめかすウツブシをぶつけることで、
ミータオだけでなく、リョウにも揺さぶりをかける。
富裕層と貧民層の大きな差にどうしようもない劣等感を覚え始めるリョウ。
本当に自分は今のままで良いのかと悩み始めるミータオ。
自分の地位があればなんでも思うがままと思い込んでるウツブシ。
三人が混じって、これまでが全て崩れ去る流れは、見ていてとても愉快だった。
最終的には、
リョウと同じくクスリに手を染め、これまで綱渡りだった二人の関係がターミオ主導となり、
クスリで狂いつつ周りから軽蔑されながらも、これまでにない快感を得てしまい、
これまで以上に性にも溺れるようになるリョウED と、
されるがままウツブシと過ごしていき、満足感は特に無いものの、
全てにおいてリョウはウツブシに劣っていたんだと実感し、
リョウから貰った名前ミータオを捨て、ウツブシの妻として過ごしていくウツブシED
の二つがあるが、どちらもリョウは徹底的にダメ人間にし、
結局本人もそれを受け入れてしまう。
しかしミータオは違った。
クスリに溺れながらも、満足感を得ない日々を過ごしても、
彼女は自分から動いてその地位を獲得した。
特にリョウEDで全てが吹っ切れたミータオは、
とても私好みの変貌で、良くもここまで吹っ切らせてくれたなと、
読んでいてとても快感であった。
このミータオというキャラを昇華させた一番の立役者は、
担当声優である、手塚りょうこさんであろう。
手塚りょうこさんには、お姉さん系のイメージが強かったが、
ここまで依存度が高く、好きな人の命令には絶対服従のダメ彼女系を、
演じ切っていたことにはお見事と称賛したい。
演技のトーンを聞く限り、なんとも言えない危うい感、
否定しきれない口調、狂ってしまった時の感情の揺さぶり。
一枚絵どころか立ち絵すらないサウンドノベルでありながら、
情景を思い浮かぶことができました。
芙蓉の花言葉は「繊細な美」、「しとやかな恋人」という意味があるようです。
1日でしぼむ儚さから美しい女性の例えとして使われてきたそうです。
リョウの態度次第で壊れてしまいそうな危うさを持っていたミータオにピッタリかと。
また、「変幻」という意味の花言葉もあるようです。
朝花を咲かせ夕方しぼむまでに、少しづつ花色を変化させる品種の特性から、
この意味が付いたと言われているようです。
ウツブシの接触によって、これまでのミータオとは別人のように、
あるいは別人になっていく様は、ミータオにピッタリですね。
芙蓉をタイトルに選んだのはセンスがあるなと、
最後に意味を調べて驚いてしまいました。
他の作品も触れてみようと思います。