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rolling15さんの続・殺戮のジャンゴ ─地獄の賞金首─の長文感想

ユーザー
rolling15
ゲーム
続・殺戮のジャンゴ ─地獄の賞金首─
ブランド
NitroPlus
得点
85
参照数
0

一言コメント

まずテキストが良いし、映画風の演出も世界観に魅力を上乗せしている。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

いや~虚淵氏は安定してテキストレベルの高い作品が出ていますね~。
今作は、西部劇をメインにSF要素をうまく部分部分で取り入れた話に仕上がっている。


まずテキストですが、虚淵氏ですので衒学的になり過ぎず、熱さや読み味の良さで引っ張ってくれいるので飽きない。
さらに作品内でのキャラの立て方も秀逸なので、この業界じゃ最高峰レベルのテキストといえる。
その上B級映画風の演出技法もこの作品にしっくりと来ていて、出来を良くしていた。
あと個人的に、作品に漂っている独特のアングラ感も心地よい。

次にメイン3人の女キャラの描写も非常に良く、各人の信念などがしっかりと描かれていて個性が際立ち、見応えが良かった。
男性キャラだと、クラウス大佐などは非常に良くかけていたと思う。

3つ目は声の良さでしょうか、リリィの篠崎双葉氏をはじめ、クラウス大佐の諏○○氏、
名無しの金髪の鈴見巴氏などメイン級キャラの好演技が光った。

一方マイナス要素は、先進兵器との壮大な戦いもあるのかみたいなことを匂わせつつもない所、
作品自体が短い上、強烈な描写というものが無いので、こじんまりとした印象を受けやすい所、
世界観的にもはやギャルゲーではない女が活躍する西部劇な出来になっているところなどが挙げられる。
個人的にはこのような作風が好きなので、あまり欠点が見えなかったのかも知れない・・・。


まとめ

ほんとにエロゲーin西部劇な仕上がりで、現在のこの業界の傾向と正反対なノリで人を選ぶし、実際埋もれ気味である。
ですが、映画風な見せ方やテキストの良さは一級品でヴィジュアルノベルとしては上物といえる。
ただし、8時間強とプレイ時間が短かったせいか多少物足りない印象も残った。
個人的には大当たりだったが、萌えゲー愛好者は手に取るべきではない。