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rolling15さんのMinDeaD BlooD ~支配者の為の狂死曲~の長文感想

ユーザー
rolling15
ゲーム
MinDeaD BlooD ~支配者の為の狂死曲~
ブランド
BLACKCyc
得点
88
参照数
0

一言コメント

エロゲーとしての出来は相当なもの。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

BLACK CYCってこんな良い物があるメーカーだったんですね~。
吸血鬼の使い方だけで言えば、きのこ氏より上手いんじゃないかなぁ・・・。
万夜氏は、陵辱系統のジャンルでのテキストレベルが高いライターだなと思わせる一品でもあった。


テキストですが、これはEXTRAVAGANZAと同ライターだけあって惹きこまれる。
その飽きさせない文章構成に加え、シナリオ運びもレベル高めなので長時間プレイでも集中力が切れなかった。
個人的にはFate以来の集中力の持続度をキープさせてくれた。
さらにグロさ、戦闘描写(テキスト表現)等も良く書けているので、どれとっても個人的に文句無いレベルになっている。
R18エロゲーというジャンルらしさが滲み出た伝奇に仕上がっていてすごく面白かった。
キャラクターも麻由、麻奈の吸血双子、悠香やメタラーの江梨衣など魅力的なキャラが多く揃っている。
それでいて、エロシーンも輪姦、陵辱、鬼畜系(グロ、電撃等)、集団、フタナリ等
シチュ満載の抜かりない仕上がりになっているので文句なく「エロゲー」としても完成度が高い。

ただし、ゲーム性だけは誉められるような状態になっていない。
実際、各シナリオへの移行するためのフラグの立て方が非常に難しくなっていて、独力でのコンプリートは至難の業。
本来であれば、文章を楽しみたい自分なんかは非常にうざったい設定だが、
このゲームは元がよすぎたせいか、イラつく事はほとんどなく楽しめた。
ちなみにルートの入り方が分からない場合は、攻略サイトなり公式サイトの攻略
(麻由&麻奈の解説になっている)を見ながらコンプリートを目指すと良いかと。
先に述べているが、見ないとほぼ壁にぶち当たりますので・・・・。


ここからは核となる各種ルート(メイン3つ)と音楽、原画などの個人的な感想です。


まずは「VAMPIRE HUNTER」

基本的に結構見かけるようなタイプの純愛シナリオの仕上がりであり、比較的先も読みやすいのでこれといった独自の特徴は見出せない。
ですが、吸血鬼(被害体)でありながら血を吸わない生き方というものを目指す悠香の描写はしっかりしている所や、
しずるがどんどん人間時代の感情に揺り動かされていく部分なんかは、上手にかけていたと思う。
さらに、麻由のしずるを引き止めようとする人間味あるところなんかも良かったかな。
また、「未来への旅立ち」を見た後にもう一度やると、分からなかったことが理解できているので、また違うシナリオの味わいがある。


次に「過去への贖罪」

ここでは、しずるの過去が語られる。
婚約者の沙希についてやしずるの特殊な吸血体を司る「シン」もこのルートで登場です。

良い点として、まず沙希のしずるに対する想いと呵責の描写がよく描かれている所、
それとメインになる2人の3人称視点の説明文が話しに入り易いレベルにクドくなく且つ、
描写もきちんと行き届いているという2点は非常に評価できる。
先読みがしやすい内容の所もあったが、上記の通りシナリオの根幹がしっかりしていた分、集中力がエンドまで切れなかった。
そのエンドも、しっかりと余韻ある感じに仕上がっていて個人的には良い。

一方悪い点は、2人(しずると沙希)の描写が先行したせいか「シン」のことが放置になってしまっている所や、
園原醍醐に吸血されたという部分のシーン描写があっさりしていたのは残念。


そして「未来への旅立ち」

ここでは吸血被害体の悠香とアニマ、悠香と麻由&麻奈の関係が明らかにされる。
悠香メインのルートともいえるだろう。

よかった所は、まず悠香の自分に居場所に対する葛藤の描写は丁寧で文句無い仕上がり。
それに加えて万夜氏のテキストのよさも相成って読んでいて苦がなかった。
次に、悠香の居場所を見つけると決意してから「Vampire」が戦闘シーンで流れていく所はいい演出。
あと、その後の母親のさりげない悠香への愛を感じられるシーンでグっと来る物があった。

悪い所は、悠香と麻由&麻奈の触れ合いを取り上げたのに案外放置されている、
しずると沙希と悠香の3人を織り交ぜた感情描写がなかったのもちょっと残念かな。


BGM(音楽関連)

いろんなタイプの音楽が収録されていて、どれも聴き心地の良いBGMで好印象。
特に「SADISTIC SEXART」、「月下の悠香」、「安らぎの時間」、「BLOOD&MURDERLIVE」
以上の4曲は好きですね~。

Vocal付きのOP.EDはやはりデンカレ+ブサイクとあって両者ともいい曲ですね。


原画、背景関連

原画は椎咲雛樹氏。上田メタヲ氏に負けず劣らず魅力あるよい絵を描いているので文句ないレベル。
背景などは硬質な感じの仕上がりであるが、そこそこ綺麗なレベルだと個人的には感じる。


システム関連

シーン回想や音楽鑑賞、スキップ、バックログといったものは問題ない。
ただし選択肢でセーブできないという点は、難易度が相当高いこのゲームでは面倒くさい。


まとめ

陵辱系のゲームでありながらもテキスト、シナリオ運びがしっかりとしており内容の密度があるゲーム。
エロ薄でシナリオ良という流れを否定するかのような作風でもあり、エロゲーと名乗るにふさわしい高レベルな内容である。
テキストもエロシーン除けばクドくない且つしっかりとしているという、さっぱりとした読み味。
しかし、ルート攻略の難易度の高さが異常なレベルになっているのと、
グロいエロシーンや拷問系があるので安易に勧められないのが無念である・・・・。