グロさとホラーの中に描かれるものは、ひたすらに美麗な愛の物語。
虚淵氏は多少小難しい文章構成をとっているのだが、要点を明確にしてあまり本編に不要な説明を
できる限り読み流せるような量にとどめる工夫をしており、すっきりとした読み味の印象を与える。
ロミオ氏、きのこ氏にはない芸当で氏の実力の高さが伺える。
内容ですが、根底のテーマであろう純愛については文句をつけるところは特にない。
寧ろ、トゥルーでは良く描けているなと感じられる。
唯一、2人しかいない世界だという点が説得力を下げているかも知れない。
欠点は、多少グロ表現が滑稽に感じてしまうシーンが少々散見されること、
終盤で分かれる2つのエンドのどちらも、ラストになって急に結をまとめ始めていることの2点。
特に結の部分のまとめは、辻褄自体はしっかりしていたのに話を締め切れなかった感じする。なんか、複雑な印象を持った。
グロ表現は自分は平気だったが、耐性のない人には辛いような生々しさあふれるCG表現であった。
耐性がない人でやりたい方は、はじめる際にグロ表現を調整できるのでそこで変えてみるなりすると良いかと。
戦闘描写は、ハードボイルド系が得意ということもあって文章に熱さがあり、読み応えはかなり良かった。
他の虚淵作品もやってみたいと思えるようないい内容だったし、この作品もまたやりたいなと思う。