きのこ氏の作品の中で一番シナリオ、キャラ造詣のバランスがとれている。
このゲームは普通にデジタルノベルという作りで、同人とはいえ大よそゲームと呼べるものではないだろう。
ですが、個人的に小説やライノベ同様にシナリオとテキストが良ければ文句ないタイプなので自分はこれでよいと思う。
中身ですが、まず吸血鬼との戦いや教会の話がメインであるアルクェイドとシエルの2ルートと、
遠野家の抱える問題、過去などがメインの秋葉、翡翠、琥珀の3ルートと大きく2つに分けられる。
個別ルート
アルクェイドルート
このルートはさすがにメインヒロインというだけあって、完成度は高い。
話の流れは、志貴とアルクの恋愛模様を絡めた伝奇モノという感じで一番このジャンルらしい所を見受ける。
自分の注目部分である2回の戦闘シーンも、最後まで飽きさせない文章力の高さで満足。
エンディングは当然トゥルーの方が良い。
一方キャラとしては最強と言われる実力を発揮する場面はないし、立ち絵の数も一番少ないなど不遇かも。
シエルルート
こちらは、前半部の大半がアルクルートと被っており構成的に一番低く見られている感じがした。
ですが、後半になると急展開を見せて前半のイメージを払拭するかのような頑張りを見せてくれた。
特に志貴とロアの関連性、シエルの正体とロアの関連性など語られる内容の量が多い。
自分の場合、きちんと理解するのに丁寧に読み砕いておいた。
最後のシエルの涙するシーンなんかは、良いと思う。
キャラとしては、カレー好きを活かした造詣でキャラ立てに成功している感じ。
秋葉ルート
このルートは、遠野家の持つ過去や七夜(要は志貴の元の家)のことがメインに語られる。
あと、前半部では弓塚さつきが結構活躍しているので、さつきルートがない分を補う部分も持つ。
主な見所は、2人の心に持つ矜持を真正面からぶつけ合うさつきと志貴の決闘シーンで、カッコいいの一言。
次に、シキに反転させられてしまい自我がなくなった秋葉で、みていて切なかった。
エンディングはどちらもハッピーではない。結構自然にまとめている印象。
キャラは、奈須流ツンデレの1人で鮮花や凛などと似たようなキャラ作りになっている。
立ち絵が豊富で色々な表情があるのも好印象。
翡翠、琥珀は後日上げる予定。
BGM
同人と古い作品ということでしょうか、あまり品質がよろしくない。
そんな中、幻舞だけは作風にしっかり溶け込んでおり、非常に気に入った。
イラスト・グラフィック
イラストは武内崇氏。不安定で原画としての出来は良くないといえる。
その上グラフィックもイマイチですし、客観的には褒められない。
システム
やはり、古いので扱いしづらい印象。
特にこの文章量で読み返しがきかないのは非常につらい。
その部分を減点対象にさせていただいた。
総評
シナリオとテキスト自体はしっかりしていて良いので、クドさが気にならなければ勧められる。
リニューアル版がそのうち出るらしいので、そちらが出た際には是非手にとって欲しいと思う。
自分は、琥珀ルートの内容変更がありそうで気がかりではあるが・・・・。