面白いと感じるまで時間がかかるが、シナリオを読み進めながらあれこれ考えるのが好きな人にはオススメしたい。
得点内訳
【グラフィック】
・イベント 8/10
・立ち絵 5/5
・背景 4/5
【シナリオ】
・構成等 9/10
・分量 9/10
【音楽】
・ボーカル 8/10
・BGM 10/10
【システム】
・機能等 9/10
【演出】
・演出 8/10
【エロ】
・エロ度 8/10
・量 4/5
【裁量点】
・裁量加点 5/5
合計 87点
【感想箇条書き】
・非エロイベント絵もそこそこ量があり。
・立ち絵も含め、グラフィック関係は概ね好印象。
・原画家が複数なのでキャラ間の違和感・不整合や背景との調和逸脱など懸念されるところがあったが、うまくカバーできていたと思う。
・ただし、男キャラが一昔前風だったり、背景構図で一部不自然なところがあった。
・全体的にキャラを引き立てるCGが多いので、解像度高めで出してほしかった。
・シナリオ、特にフローチャート部分(以下、物語部分)については賛否が分かれそうな印象だった。
・まず、分岐が非常に多いので回収目的の作業ゲーとして即効切られる恐れがある。
・その作業化の中で、未読の選択肢を選ぶ場合、それまでの流れの内容を忘れ気味になると話の流れがつかめなくなる恐れがある。特に、一挙に片っ端から攻略できればいいが、システム上また演出上そういうことができず、結構別の分岐部分を読み進めたあとに随分前に読んだ部分の分岐まで戻ってシナリオを回収するようなこともあったので、その辺りを面倒に感じたり、読む意欲を減退させる一因になるのでは、とも感じた。
・物語部分では急展開が多い。複数のエンディングがあり、それをENDに向かわせるために、やっつけの文章になったという見方もあるかもしれない。特にヒロインたちと性的な関係に至るまでがビックリするほどの早さで、こいつら随分尻軽だなと思わせるほどでもあった。ただ、こうした展開は恣意的なものであったと考えている。
物語部分の後の終章の一部に、城一が肇の書いた作品を読んで、こう評する部分がある。
「単純に表現として分かりづらいところもあるけど、展開を急ぎすぎて前後のつながりが分かりづらくなっている箇所が多い。」 なるほどな、と思った。
・かといって物語部分を荒削りにすればいいというわけではない。そうした微妙な調整が難しいところだとは思うが、そのあたりを絶妙に調整してきたと思う。
・終章に関していえば、絵実の記憶復活が鮮やかすぎて拍子抜けしたり、
黒幕自体をつぶしてはいないので喉に小骨が残ったような部分はある。
・物語部分を読んでいたときに、NEELというアプリを中心とした、いわば無形の概念に人間たちが振り回されるようなストーリーになることを懸念していた。そこが終章では見事にいい意味で裏切ってくれる形となった。主体はズレていなかった。本当にこれはよかったと思った。
・シナリオ分量は物語部分、終章ともにバランスが良く、特に不満もない。
・ボーカル曲もよい。物語部分ではED曲は用意されておらず、OP,2ndOP,GEDの3つであった。
・BGMも非常に好印象。シナリオ分量に比して曲数自体は少ない気もするが、調和がとれている。
・システムのフローチャートは某社ほどではないが、分かりやすくて良い。
・オートセーブ機能や、バックログからのシーンジャンプ、どこからでもフローチャートで飛べる点は大きく評価。
・おまけはフローチャートを完成させるまで解放されない。一つでもEDにたどり着いたら解放してもいい気がした。
・既読判定が甘いのが気になった。分岐部分が異なれば未読として扱われるようだったので、そういう方針にしていたのかもしれないが。
・演出もそこそこよくできていたと思う。
・オールクリア後に集合写真がタイトルに出るというちょっとした演出も好印象。
・ただし、終章でひなみを監禁しているときにボイスオクターバのエフェクトかけても文字や話ぶりですぐに犯人が特定できてしまうので、そのあたりは何か考えるとよかったのかもしれない。ただ、すぐにタネ明かしがされる点や、ユーザーが薄々気づいていたのを答え合わせする演出だったと考えると、ある意味妥当だったのかもしれない。
・エロ度は高い。まっぱ多用で量をカバーする昨今の作品とは異なり、絵も丁寧だった。ただし、エロテキスト自体は少な目だったように思う。もう少し各シーンのテキスト・セリフ量が欲しかったか。
・エロ量は合格点。多くはない。
【最後に一言】
ユウジってもしや