ErogameScape -エロゲー批評空間-

rhknogoさんの我が姫君に栄冠をの長文感想

ユーザー
rhknogo
ゲーム
我が姫君に栄冠を
ブランド
みなとそふと
得点
90
参照数
371

一言コメント

タカヒロ×wagiの新作がまた遊べることの嬉しさがまず大きかった。ファンタジーの舞台であり戦争シーンが多いけど、個性豊かなキャラたちと賑やかに過ごす楽しさはマジ恋から変わらずにあった。クロネルートの全員が主役になる群像劇風シナリオは興奮した。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

キャラの個性が相変わらず強い。
異世界ファンタジーよろしく人間以外にも色んな種族が登場するのもそうだし、何より戦乱の作中を生き抜くための芸だったり天眷だったりを持っているので、一人一人の主張が良い意味で激しい。

一人一人のキャラが立っているので、どの組み合わせを切り取っても話が膨らませられそうな期待が湧く。ノアルート、エリンルートは主人公視点のシーンが多かったけど、最後のクロネルートはかなり群像劇よりの見せ方になっていて、色んなキャラの経歴や信念が語られたけど、まだまだ掘り下げられそうな気がする。
個人的にはルート含めてアレクサンドラ、ププイ、ストーリア、ロディア(+ガルデニャ)、ミーミーあたりの話がもっと見たい。特にロン族の話と翼持ちの人たちの話は是非詳しく見たい。

あとやっぱり純粋に日常が楽しいんだよなあと。
一人一人の個性を生かしたキャラ同士の掛け合いが見ていて本当に楽しい。掛け合いがサクサク進んでよくテンポの良さ。バディであるミンジャラの存在はもちろん、常に誰かしら仲間たちが周りにいるので、主人公が一人で思い悩んだりする描写がほとんどなくて、とにかく会話、会話、会話。キャラと会話して即行動、次の場面でまた新しいキャラと会話・・・。そんな感じで進んでいくものだからいつまでも楽しさが持続した。
特に好きなのは、逃亡するペッター先生がウ族の部下たちに連行されるくだり。飛び交う声は渋いけど、絵面はほんわかしてかわいい。というかミンジャラ、エビータ、ペッター先生、アントンの初期メンバーがやっぱり好きだなと実感。

当方はマジ恋が大好きで、シリーズが終わってしまった寂しさがずっとあったけど、賑やかで楽しい雰囲気そのままのタカヒロとwagiのまた新しいエロゲに出会えた感動で、嬉しい気持ちが止まらない。嬉しい気持ちと、プレイし終わって寂しい気持ちが止まらない。続編はよ!


以下、ルート毎の雑感。

○ノアルート

帝国でわりと平和に暮らしつつ、各キャラのお披露目をしていく感じ。我が姫世界のチュートリアル的な話かな。
ここでの天魔族は単純にハイクーンを侵略する敵、という描かれ方がしていたのと、連邦のキャラはまったく出番がなかったのもあって、ハイクーン全土というより終始帝国に関する話がメイン。
後々グランスター家の闇は暴かれるわけだけど、ノアルートはそこまで真相に辿り着きはしない。帝国を大きく発展させたノアの父ラニエロだけど、その裏には山賊問題だったり身分格差だったりまだ課題もあって、さらにはノア自身も上に立つものとしての素養がまだまだ未熟っていうのもあって、それらをひっくるめて皇帝・ノアグランスターが成長していくシナリオ。ノアのコスプレCGは枚数もあって気合があったのに、すぐ終わるのはコストパフォーマンス悪くないかと突っ込み。

戦闘シーンもわりとあって、覚醒したアントンが助けに来てくれるところとか、暴走したクロネを全員で止めるところとか、熱いシーンが多くて良かった。一つ気になったのは、カンニバルに敗れたダミアンって生きてたんじゃないの?クロネが言う、タルタルーガで確保している捕虜の受け答えとか見る限り。勘違いかもしれないが。

○エリンルート

イグナシオとエリンの選挙戦を話の中心に据えつつ、コルミージョと色んなところを冒険するルート。体験版でいい印象なかったコルミージョだけど、エリンルートはエビやペッター先生に代わってコルミージョが旅の仲間になるので、どんどんコルミージョが好きになっていった。特にヨークシャが好き。犬っ娘でCV.青山ゆかりはもう狙っているよね?

ノアルートでまったく出番がなかった連邦キャラが本格的にお目見えするけど、帝国のキャラより個性が強くて笑う。24時のマーメイドは、某九鬼財閥の従者ファンには嬉しい。
作品を通して州長の人たちは結構見せ場があって、特にチベッタの兄貴は一番光ってたんじゃないかな、個人的にも好きなキャラ。あとメシュガーの片想いは見ていて切なくなる気がしなくもない。恋愛というよりは家族に近いのかも。
ところでシャオンとミンジャラの天眷は、発動すればとりあえず負けはなくなるほどの威力だけど、このルートあたりからだいぶ敵にも対策されてきた感じがする。禁忌の古代兵器や黄金楽土なんて言葉も出てきたので、少しずつ物語の核心に近づいてきているか。

○クロネルート

クロネがシャオンの姉だったという、結構衝撃の事実が体験版ですでに判明する。それくらい、それを上回る物語の真相が語られる最終ルート。
このルートのなにが良いって、大戦バトルでありながらも、全員が主役になる群像劇風シナリオになっていることに尽きる。特にダミアン、ヨアヒム、アレクサンドラあたりがめちゃくちゃ主人公。アレクサンドラはここまであんまり出番がなかった分、最後の最後で最高の見せ場があってアレク推しのオタクとしては鳥肌が立った。
序盤は命がけのランケイジ攻略劇で、今までの登場キャラからの横断的なパーティ編成にも燃えたし、死ぬかもという恐怖の下に天魔族と話し合いしていく駆け引きが熱い。
そして三国会談が行われるあたりから群像劇が始まっていって、一時的な天下太平での各地でのやり取りが面白かった。たとえばエリンが元首選挙で勝利したからかコルミージョもわりと自由に動けるようになっていて、ヨークシャはチベッタ兄貴たちウルルたちと、レイズとシュカはギンと洞窟の冒険、みたいないろんなキャラのいろんな組み合わせで生活しているのを見るのが面白かった。

大戦バトルって、キャラたちを2つの陣営に分断して争うパターンと、第3勢力が敵として出てきて全員で協力して戦うパターンがあるけど、今回は後者。マジ恋のプラスティックのシナリオみたいな。目まぐるしく変化する戦局と、余すことなく全キャラを総動員させて戦うリアルタイムの熱さはホントに興奮した。その熱さが冷めやらぬ中で、ミンジャラとの別れ、マニエラのミンジャラを呼ぶ声。あのラストは卑怯ですわ。


とりあえず続編を熱望!!それまで周回プレイして待つことにします。