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remikoronaさんのアイよりアオい海の果ての長文感想

ユーザー
remikorona
ゲーム
アイよりアオい海の果て
ブランド
AXL
得点
77
参照数
1889

一言コメント

公式には書かれていませんが、ヒロインが幼馴染だらけで私は嬉しいです!・・・まあ不意打ちというほどでもなく(設定でなんとなくそんな気はしたから)

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

閉ざされた文明(船)でアイドル(自称)ことアイちゃんが目覚めたことをきっかけに失われた文明を取り戻そう(?)な話。

 公式に書いてないんですが、設定見てシオンが幼馴染っぽくないか?と疑問に思ったので体験版をプレイしてみたら見事にヒット。さらに嬉しい誤算としてサンゴ・ナタネも幼馴染であることが分かってもともとAXLゲー好きな俺は即ポチ。
 AXLで2人以上の幼馴染ゲーは前例がないので新鮮な気持ちでプレイしようとしたわけです。その結果を以下に記していきます。


 元々キャラ同士の掛け合いに定評があるブランドなだけあって過去の共有を上手く使った(特にシオン絡み)会話の応酬は見てて楽しいです。主人公の設定が良すぎて逆に難があった前作と違って、癖なく読めると思います。
 展開に対する説得力が弱いかなって感じ。選択肢で選んだヒロインのエピソードを全部見れば多少は払拭できるかもしれないですが、初見プレイでそんなこと普通しないでしょ。そこちょっと配慮して欲しいかな。特に幼馴染ヒロイン3人衆がアイドル(仮)になるまでの展開に無理があると思います。まあ細かい話なので気にならない人は気にならないです。この点は体験版では看破できないので注意してください。
 個人指名で申し訳ないんですが、シオンの破壊力異常すぎます。青山ゆかりが声当ててるのも多分ありますが、幼馴染と思って(実際にそうだが)見ると主人公への依存度が半端じゃない。仕事のストレスの解消は大体主人公の家に行って「うわあぁん、もぅ聞いてよアオー」から始まるくだりは、話聞く前からニヤニヤものでした。コールドスリープ状態からはずしたアイが気がかりすぎて主人公に監視と称して頻繁に逢いに行く様子は傍から見たら通い妻みたいな感じなのもグッド。ただし、この子が共通でグイグイ来るので他二人の幼馴染がやや影薄めになってるのは難点かもしれないです。
 「娯楽は仕事の効率化につながる」「娯楽は明日からの糧になる」といった発言がありますが、おそらくこのゲームが一番伝えたいところですよね。ただ、あらすじは分かりやすさ重視のためか、「アイドル」って単語に重きを置いてる気がするんですよね。このゲームは娯楽の楽しさを「学校」というゲーム内では新設の教育施設の中で模索していく、その中に娯楽のひとつとして「音楽・アイドル」が入っているのではないか、と思います。アイドルに焦点を置くと話が分かりづらい気がしたので。
 総評としては、展開が速すぎる点以外は特筆して言うことはないかなぁ・・・。個人的には何かパンチが足りないような・・・みたいな感じかな。アイの必要悪さ加減に対して幼馴染シナリオがゲームの背景説明程度で済んでる点を見るに、個人的には割りとアリな幼馴染ゲーとして満足してますが。俺が見た限りではアイが逆に捨て駒みたいになってて悲しい気分でしたが、幼馴染たちが幸せそうで何よりですって感じ。誰に勧めたらいいのこれ?


ルート批評について

・シオン
 告白はプロット通りというか型にはめられてるような形で文化祭終わりに突然入る印象。商業的な作り方なのだろうけど好きものとしてはあまり関心しない。告白のくだり自体に文句はないのですが、他ルートも文化祭終わりでまとめて・・・ってなったらちょっと困るので一言釘を刺しとくだけ。
 船での文化の発達にはちょっとした話があるというお話。20年前にウイルスが蔓延し、当時の子供たちの多くが亡くなってしまい船の存続に関わるという話から。実は主人公たちはその時にそれぞれ「エンジニア」「パイオニア」「カリスマ」などの家系に生まれた子供たちで全員両親を失っており、時期がくるまでコールドスリープされていた、という背景があったというお話。というわけでシオンはおろかほとんどのキャラクターが育ての親と生みの親を違えているっていう話。実はここの話ではサンゴだけがこの話に入らなかった(ナオトラも入っていた)のでその点は疑問。サンゴルートで解明されるのかな。
 この話を受けてからのシオンの心理描写を中心に物語が動いたかなってルート。面白かったです。シオンは結構重要ポジ持ってる気がするのでサンゴとナタネが不安ありますが、まあいいでしょう。
 ここから幼馴染的評価をします。共通もシオンが出てくる頻度が高いのでシオン好きだよって人はいいですが、平等に出して欲しい!って人はちょっと共通で不満もつかもですね。これといった文句はないのですが、あと一歩何かパンチが欲しかった気がします。「いつものAXL」って言うと失礼ですが、本当にいつものAXLでした。好意だだもれなゆかり幼馴染見れたので、これはこれでいいことにします。

・サンゴ
 ド天然なので主人公の好意に気づかないというところからスタート。最終的には幾度と主人公が告白することによってサンゴは恋人になると言ったのだが、過程がいまいち伝わらない印象。個人的には「こういうのはダメなの」っていう発言にはサンゴ的には主人公の姉でいたい(ウィッチズガーデンのりりこみたいな)って話をヒロインレビューでひとつでも話入れればそれなりの説得力を持ちそうですが・・・まあなくはなかったですよ?個人的に微妙だと思っただけで。なんだか納得がいかない。
 シオンルートで疑問に思ったことが見事にヒットしたルート。サンゴはヒロイン組で唯一20年前のウイルス感染現象の生存者だったという話。ただしこの話には続きがあって、サンゴはウイルスの影響で子供を産むことが非常に難しい体なのだと、つまり、子孫の重要性が高いこのシナリオにおいて主人公がサンゴと結ばれることは都合が悪いと、そんなお話。作中では実はサンゴは主人公と血縁関係にあるとかそういう話もありますが、そんなに関係なさそうですね。まあオチとしては主人公の熱気に当てられて船団長が折れた話って感じ。特筆コメントすることはないですが、ややゴリ押し気味。気になる人はスルーしたほうがいいかもですね。
 幼馴染的な評価を。天然(年上)幼馴染は、たまに無意識にヒロイン側がリードするので、その点がハマるなら普通に良質。キャラ付けとしてはそれほどインパクトに残らないので体験版で気に入らないならそのまま気に入らないヒロインになりそう。個人的にはなんとも言いがたいですが、春乃いろはさんの幼馴染ゲーとして貴重な作品だと思いながら今後の幼馴染ゲーの参考にしていこうと思います。このルートも何かパンチ欲しかったなって思ったけど、シナリオが結構パンチ効いていたのでこれはこれでいいかな。
 
・ナタネ
 可愛い。バトラーのセーラみたいな。料理は下手なようで安心した・・・っていうかやっぱ幼馴染にもたまに料理下手いないとね(適当)。ワンピースまがいの本を読んで海賊王を目指そうとするのも可愛い。というか全部かわいい。
 シナリオについては、20年前の出来事を幽霊船(?)の発見を通して説明され、大陸は存在しないと言われる。しかし主人公は納得がいかず、自分で調べて、陸の存在の可能性を説いたルート。あまり理解は出来なかったのが痛くて、何してるのかよく分からんかった、という印象。幼馴染感もイマイチ出ていなかったので、評価が厳しい感じ。でも一番可愛いという困った子。

・アイ
 上三人の話を知った上でやるのがいいかな。誰でもいいので1人攻略すれば攻略可能になりますが、一応全員見ておくと理解は深まるのかも。最低でもナタネシナリオくらいは見ておきたいところ。
 話の流れとしては機関部の心臓部に異常をきたした状況で、主人公がそれに対して右往左往修理していく話の中でアイのコールドスリープにまつわる真実に迫る、って感じ。ぶっちゃけ必要悪みたいに感じて蛇足感半端じゃない。あと、読んでて変ってところはないのですが、展開がちょっと速すぎるような気が。展開に対する「なぜなぜ」がまったく突き詰められてないので、ぽっと出てきた設定を連発されて最終的に未来(子供たち)に託すだけのエンディングにしか見えないという印象。


以下、コメント
・演歌聴いて泣きじゃくるシオンかわいい
・一緒に寝てくれないと嫌だって言うシオンかわいい
・シオンルートについて「エンジニア」「パイオニア」は分かるけど「カリスマ」って安直すぎないですかね・・・
・サンゴルートについて、細かい指摘なんですが尽くしすぎるサンゴに主人公が「そんなに俺が頼りないか」と仲違いした後のチャプター名が「どっちもどっち」って鋭い突っ込みするのやめてくれwサンゴルートで一番笑ってしまった・・・
・結ばれなかった幼馴染たちからの問い詰め(コイバナ)をどのルートでも見られるのは正直楽しくて仕方がない
・モブの煽りが楽しいゲームはやっぱり楽しいです。AXLはそこらへんちゃんと分かってます
・飛行機をあっさり開発してアイを迎えにいく当たり主人公超人じゃねとかツッコミはナシですよねそうですよね
(加筆中)