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refrainさんの恋する乙女と守護の楯の長文感想

ユーザー
refrain
ゲーム
恋する乙女と守護の楯
ブランド
AXL
得点
82
参照数
855

一言コメント

どこかで見たような設定。劣化版かと思いきや……

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

最初は正直、男がやむなく女に扮する、とあるお菓子の名前を冠するメーカーが世に送り出した代表作の劣化版か~、と高をくくっていた。そのため長い間積んできたのだが……。なかなかどうして、非常におもしろかった。
自分としては、このお菓子メーカーの過去作(以降「おとぼく」と明記)はこの業界に名を残す名作であると考えているのだが、実は大きな不満があった。それは、「おとぼく」が設定やキャラ、イベントなど非常におもしろい要素を多分に含みながらも、ドタバタやハチャメチャといったコメディ要素が非常に少ないという点である。これは、キャラメル箱作品は常にデフォ買いの自分が、いつも持っていたメーカーに対する不満であった。そんな不満を解消してくれたのが、この作品であった。……いや、メーカーが違うからこんな比較は的外れなのはわかっているけどね。単純にテキストの良さという点では、お菓子箱の方がいいと思っているしね。

と、この作品とは何の関係もない批評はこれまでとして……。自分にとって、この作品でとにかく満足だったのはそのコメディ性にあった。女装に不慣れな主人公(慣れてたら恐いが……)、そしてばれそうで冷や冷やしている画面の前のプレーヤー。そして叫ぶ主人公。

【主人公】「……しくしく。何でバレないんだよ! おかしいよっ!!」

ぶはははははははっ!! 大爆笑っ!! あのCG見てたら、そりゃバレねえよ。かわいすぎだし。というより、あわててカツラかぶっている絵なんて秀逸。おもしろすぎ。…………俺だけか? なにしろ、あの優をして、

【優】「不覚……全然、わからなかった。なんて完璧な女装」

と言わしめるほどの女装の名人なのだ。やっぱりばれねえよ。このシーンは個人的に最高に大受けしたシーンの一つ。あご外れた。
しかもなにげに「アイギスの楯」なんてたいそうな名前を冠しながらも、そんなに強くない。でも、楯としての活躍はばっちり描けている。この描写に関してはライターの力量といえるのだろう。ゲームだからって人間離れしすぎた超人が、平然と闊歩しているこの業界で、これは個人的にはかなりのポイント。偉いです。……いや、超人もいなけりゃいないで寂しいんだけどね。……失礼。

で、主人公以外のキャラもなかなかのくせ者揃い。特に脇役ながら、優が非常に印象的。……いや、俺は○○じゃないですよ(←わからない人、ごめんなさい。ネタバレ対策)。とにかく、こいつの存在がまた受ける。最初はお姉さまを慕う、子犬のようなキャラ。「何で、こいつのエンドがないんだ! ふざけんなよ!!」と憤るほどの名キャラクター。だからして、事情が判明したときは茫然自失、「……ええぇ~~?」。口を大きく開けてしばしフリーズ、再起動までに数十秒。……ちょっとマイナスポイント。
ただ、生徒会の主要メンバーが個人的に影薄かった気がするんだよなー。やっぱ、後半の戦いには完全に無関係だったからかな? ちょっとマイナス。
まあ、それにしても非常に楽しめた作品。このメーカーでは個人的に当たり2つ目。これからは要チェックだな。

ここからは余談です。
でもさー、犯人は誰だ!? ってライターが頑張ってやってんのに、犯人の声がバリバリ出てたら報われないよなー。それまではハラハラもので、立ち絵まで闇に包まれてるのに、キャラと同じ声優がしゃべってちゃおしまいだろ。「あ、こいつなんだ」って即判明してたし。もったいねー、ってか声は伏せようよー。