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refrainさんの車輪の国、悠久の少年少女の長文感想

ユーザー
refrain
ゲーム
車輪の国、悠久の少年少女
ブランド
あかべぇそふとつぅ
得点
85
参照数
775

一言コメント

いいんです。だって、それを求めて購入しているんですからっ!!

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

※とりあえず法月編コンプ。ヒロイン編はまだ手付かず故に、的外れなことを書いているのかもしれませんが…、まあそこはクリア次第訂正するということで。

前作(「車輪の国、向日葵の少女」)には何があった?

問われて私は「演出」であると答える。
では、それ以外はどうだったか? 前作のヒロイン編を考える。ふむ、正直……覚えていない。なんか、現代の若者らしき、弱い少女たちがさんざん甘ったれたあげく、もはや絶望的という状況下で突然狂いました、という話だっただろうか? 車輪の国の定義づけ + 時間稼ぎ? 演出の盛り上がり要因?
実際にはここまで悪く言うほどのものでもなかったと思うが、要するに特定の3シーン以外は記憶に残らないシナリオであったことは否めない。…いや、演出が強烈すぎてその前のものが薄れているという可能性も十分にあるのだが…、だったらそうなってしまったライターの構成不足。でも、あれはライターが狙って薄くしている感があるんだよね、私的には。
……なぜ、脱線する? 構成不足はまさに俺にこそ当てはまるっ!? うわっ、人のこと言えね~

というわけで、前作はとにかく「演出」の作品だった。では、今作購入前に求めるものは?
当然、「演出」でしょう(……絵や声優はこの際抜きです)。とにかく、あなたに求めているのは、「あっ!?」と驚くような「演出」ただ一点なのです。その点で評価すれば、このシナリオは満足のいくものです。
たしかに、前作に非常に似通った設定であったり、本当に演技だったのかよと人間離れしたような予知能力を発揮してくれたりはありました。そのせいで、テキストもやたらと説明臭くなっていました。そのせいでシナリオがぶちぶちに途切れかけておりました。

でも、それでも、いいんですっ!!

だって、こんな読み手の裏をいこうとするゲームが他にありますか? 精進不足もあるのかもしれませんが、私はこのライター以外、こんな描き方をしている人を知りません。希少価値は武器です。人と違うことができるのは才能です。テキストがすばらしいのに設定・演出が今ひとつというライターは割といます。ですが、設定や演出が見事なのにテキストが微妙という人はなにげにいない気がしませんか? それを考えたら、多少のことは別にいいじゃないですか。

ということで今作、楽しませていただきました。次回作も期待しております。
ただし、無駄にテキストに力を入れたり笑わそうとがんばらなくていいですから(←完全な独り意見)。

ここからは余談です。
え~、とりあえず一点。
【アリィ】「…主義とかという言葉は人としての価値を低めるぞ…」(だっけ?)
というような言葉がありましたが……
【私】「うっわあ~~~~~、かっこえ~~~~っ!!」
そしてラスト間際……
【アリィ】「…私は冗談とかは言わぬ主義だ…」(だっけ?)
【私】「…………へっ?」
……………………えっと。
【私】「あっ、なるほど。敗れた自分に対する皮肉なんだなっ!」
【私】「……そう、だよね?」