難解きわまりないテキストの連鎖。それもそのはず。メーカー曰く、「わたしの語彙は世界を救う!!」
……くだらない上記の洒落については伏してご容赦を。
「やるきばこ」で片鱗をかいま見せていた、新生キャラメルBOXの第一弾ってなところでしょうか。これからは、「ほしまる-のりた」「あや-クロサキ」の生産ラインで行くことになるのでしょうか? 次作は、なにやらライターの数が多く、若干不安なのですが……。
まあ、そんなことはどうでもいいとして、今作ですね。一口感想では多少皮肉ってみましたが、私的には十分に満足のいくものでした。なんといっても知識的な内容がてんこ盛り。その内容は、剣術の流派から古代西洋史、日本神話に中国・西洋思想に心理学ととにかく多彩。教養のない私といたしましては実に感心しながら読ませていただきました。個人的には、ユング概念や奇門八陣、圭の呪文や記紀話のところどころで、にやっとさせてもらいました。……ただ私、和洋神話は完全に専門範囲外なのですよね~(悲)
そして、今回もあやさんならではの漢字使用は健在。おいおい、こんな使い方するなよ、と笑いながら見させていただきました。今思い出せる範囲では「居りました」「莫迦莫迦しい」「障碍者」(これは感激!)などでしょうか。他にも「これは!?」と思った箇所はあったように思えるのですが……忘れてしまいました。
さて、そんなわけでシナリオですが……これ、もはや恋愛ゲームじゃないですよね。文章は完全に説明文と化しているし、主人公がヒロインを好きになる過程が希薄だし、いちゃいちゃは皆無だし。
……っていうか、レビュー見てると「惜しい」はあっても「難解」の文字がそんなないんだよね。俺が莫迦なだけかなぁ~?
まあ、いいことにしよう。それに、一本道だった前作の真逆を行ったのか展開は各話でばらばら。しかも話はなにげに解決してくれてないし。要は、各話にヒントを残しておくから総合して解答にしてね♪ というところなのでしょうね。
ヒントは多彩。転生という概念の存在、人の魄が成す元型(弱まったのは繰り返しによる劣化?)、すべての思考が集う場所、他次元に存在せし人とは異なる種(主)、そして世界の浄化。
デミウルゴスシステムとNの存在の二つこそ自分には納得できませんでしたが、ヒントを並べてみるとわりと世界観自体は納得できるものになっている。そして、なんだかんだで一本道(に自分には読めた)なのもお見事。
要は、恋愛ゲームなのに説明文章が多すぎんのよね。ゲームなんだから、「こういう設定なんです」で通せるところを、わざわざ論理的に解説しているところが多い。そのためゲームをやっているというよりは、どこかのあっちこっち話題が飛ぶ専門書を読んでいる感覚がした。
また、記述についても難解。たとえば敵の存在にしても、日本神話の「八岐大蛇」に見立てて「素戔鳴」とからめたり、それを宗教団体にしてみたり、「蕃神たち」と呼んだり「天津甕星」になったりと統一感がない。それはヒロインたちの事情や、主人公たちがゲーム内で思考を働かした結果による記述方法が絡んでくるのだろうが、それにしても読み手からすれば実に読みづらい。
そして、このメーカー特有のドタバタ感といった張りのないテキストは未だ健在。日常会話等は楽しめるのに、大笑いにまでは発展しないあっさり風味。
これだったら、前作のように完全一本道でシナリオを構成して、謎解きにしてしまった方が良かったように思えた。
まあ、それでも自分のような無教養人間にとってはこのように知識満載なテキストは、読んでいて勉強になるし、難解な文章を読んでいるってことで頭が良くなったような気もするしでなかなか楽しめました。謎解き?もそこそこに楽しめましたがね。……当たってるかどうかが解らないのはもどかしいが。
以上です。失礼しました。
ここからは余談です。
ど~~~して、ここのメーカーはエンディングがユーザーに優しくない設計なのだろうか。
やった~~、今作は一本道じゃないからヒロインごとに深く話が進むぜ~、なんて喜んでいたら最後の最後でどんでん返し。
「好感度の高いヒロインによってエンディング変わるから、設定で一度クリアしてから再挑戦してね♪」だって……。
「うぬぬぬぬっ…………、ぬが~~~~~~~~#」画面暗転。