ここまで、ペットとの生活を描けている作品はめずらしい。心が温かくなる作品です。
まず第1に、これを恋愛ゲームであると思ってプレイしてはいけない気がいたします。その原因として、主人公の過去が関わってくるわけですが、好きあって結ばれるというよりは、生活共同体として関わっている内に、お互いがなくてはならない存在になってきて結ばれるというパターンです。まあ、それも恋愛のパターンだと言われればそれまでですが。ですが、もう一方のヒロインとは、結ばれません。散々関係を持っておきながら、他の方と結ばれます。この辺が、他のゲームとは多少異なるところでしょう。
ですが、このゲームのメインは、ペットとの生活にあります。恋愛でラブラブ、というよりペットとほのぼのという感じでしょうか。しかもそのあたりは、非常に事細かく描いてくださっていますので、ペットを飼っている方は「なるほど」と感じられますし、飼っていない方は「飼ってみたいな」と思えるかもしれません。
さて評価ですが、絵柄についてはかわいらしいものです。日常でのCGが少し少ないように感じましたが、まあこのゲーム自体が短いですしね。
声優の演技については、問題ないでしょう。私的な好みでは、今ひとつなキャスティングではありましたが。
そして、シナリオについてですが、テキスト自体がすばらしいです。キャラに暗い面がある場合等では、テキストの未熟さが如実に表れるのですが、このゲームではそのようなことはなく、非常にテンポ良く読み進められました。ただこのゲーム、攻略キャラが2人しかいなく、非常に短いというのが大きな欠点ですね。ライターさんはエンディング時点で、ここまでで十分と判断されたのかもしれませんが、自分としてはもっとペットの一生まで描ききってほしかったです。ペットの結婚、出産、そして……死。批判はあるとは思いますが、そこまで描いてのペットとの生活ではないか、と自分は思います。
ラストはやや、ご都合主義……なのかな。まあ、あのラスト以外にはして欲しくないという感じがするので、全然許容できますが。
他のところでは、少し料理したい内容がありました。「ペットを愛玩道具と見なす人々」「ペットの人犬問題」など、それだけで一作品が出来てしまうようなテーマがごろごろ転がっていたのは驚きました。そこがやはりライターの実力なのでしょうね。
最後に、普段評価対象外の箇所にも少し。このゲーム、Hに関しても力が入っています。ペットが、発情期(不自然に発情回数が多いのですが)でむらむら来て何発もする訳なのですが、それ以上に人間の発情期の方がすごいのです。加えて、主人公もやり手なので、このゲームのHシーンは珍しく読み応えがありました。声優も、この業界の第1人者がおりますので、抜きゲーとしても良作かも。