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refrainさんのGift ~にじいろストーリーズ~の長文感想

ユーザー
refrain
ゲーム
Gift ~にじいろストーリーズ~
ブランド
MOONSTONE
得点
70
参照数
807

一言コメント

無駄に豪華……なファンディスク。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

まあファンディスクなのだから、量より質を求めるのは間違っているのだろうが……。とにかく、無駄にいろいろなものが入っている割に、それほど満足できなかったというのが正直なところかな。最近は、ファンディスクと言っても、そこそこに満足のいく質の作品が出てきているのも、そう感じた要因の一つかな。

まず、シナリオ以外の感想をざっとあげると……まず、アクセサリー全般がいらない(←怒られそうだな)。メモや電卓なんて使わないし、時計は透過しないので邪魔だし、壁紙も微妙だし、ボイスは変えないし……(←マジで怒られそうだな)。正直、ドラマCDだけでよかった(1000名分の呼びかけボイスのためだけにCD1枚分って……)。

さて、そんでもってメインのシナリオ。まあ本編がよかったので、そのまま吶喊という図式なのだが……うむむむむ。6つあるシナリオを2つずつ別々のライターの人が担当して書いているということだが……。なんか、もろにそれがでていたように思える。特に、霧乃と千紗のライターの文調が他の2人のと違いすぎ。……いえ、これは文句ではありませんよ。むしろ、この方の文調は私的に当たりなので満足でした。若干、BLACKに描く方なのでしょうね……、霧乃も千紗も暗かったが、心的描写という点でGood(?)かな。

ただ、輪花と縁のライターは私的には不満。特に縁ルートは大大大不満っ!! それほど力のない軽めの文調の中で、主人公のへたれを表現するもんだから、読み手のいらだちを盛り上げる。あっ、主人公の一発逆転のための布石かっ! なんて思ったら、結局主人公の挽回はなし。あまつさえ、縁からの謝罪に「じゃあ、お互い様だね」などとぬかす始末。文章を淡々と追う感情起伏の少ない私が久しぶりの大激怒。いやいや、希有な作品でした~。
あと、輪花の台詞が微妙。恥ずかしがり屋なキャラとはいえ、最初の一言目がどもりすぎ。しかも、一言目ばかりがどもっているのに、他のところはそうではないところに違和感を感じる。声優さんも変に思わなかったのかな?

そしてもう一人ですが、こちらは言うに及ばず。やはり抜きんでた描写のシナリオに加え、ナイスな演出だなと感じました。莉子ルートでは、莉子の望むものをあえて読み手がわかるように明示してストーリーを進め、ご都合主義の終わり方にしなかった点はさすが。しかも主人公のへたれはしっかり挽回させて、その後の写真の意義をにくい演出で表現しているところに、思わず感嘆。そして、Another。大木に宿る魔法使い(?)のおばあさま。う~む、何か別の作品にかぶるのは相変わらずなのに、やはりその概念は「Gift」を踏襲している点はお見事。どこかの桜は「得るもの」、なのにこの大木はあくまでも「与え(られ)るもの」。短いながらも、望むものをただ与えられるのとは、また違った物語を描いてくれたように感じる。ファンディスクということで、まったく期待していなかった「Gift」概念の思わぬ登場にびっくり反面、うれしいところでした。

で、残りのノベルとショートストーリーですが……ノベルは省略します。そして、ショートストーリーですが、ライター二人のいたずら心満載のシナリオ群に、思わず大爆笑。こういういたずら大好きです。ただ、個人的な不満を言うと、主人公の女装は、女性陣に対して描いてほしかったな~。
あと、できれば最初に注意書きがほしかった。どこぞのジャム名メーカーのハーレムルートのように「本編中のキャラクターのイメージを損なう描写があります」といった前振りがほしかったです……。

まあ、そんなところかな。満足半分、不満過多、大不満少々……ってなところですね。

ここからは余談です。
……ゲーム内にたった2つだけあった選択肢、あれは何の意味があったのだろう?どっちを選ぼうが、進行自体に影響なかったし……。
あと、全般的に文章の更正不足。明らかにわかるミスが多すぎ。ちゃんと更正したのかな?
そして、ショートストーリーで千紗が叫ぶ青年の主張。それは「Gift」本編の、ユーザーからの多すぎる抗議に対するメーカー側の答え……かな? それとも単なる遊び心?