ややご都合主義ながらも、友情の有様を描いた箱庭的ファンタジー
このゲームは、シナリオライターに惹かれて買ったのだが、かなりおもしろかった。「あえかな」でも感じたが、シナリオの伏線の見事さや謎の回収の仕方、キャラクターの魅力の出し方、そして各自の重い部分も上手に書けているように感じた。ただ、この方の文章は、クライマックス以外のところがはっきり言ってだれる文章(というより、やたらと説明くさい文章)なので、読んでいて眠くなってしまうことも多かった。
また、風景シーンも「あえかな」をやっていたので、どこかで見たことがあるような……。んっ!?あれ、このパティってキャラ、「あえかな」にもいなかったっけ?う~~~~む?
……で、シナリオだが、まずどのルートにも言えることだが、ややご都合主義的進め方なのは否めない。リースルートでのあっさりとした魔力の沈下等だが、特にミリアルートにおける主人公の罪の自覚に関してはややあっさりしすぎな気がする。自分の愛する師を自分が殺していながら、次の日にはピンピンしているのはどうだろう?もう少し沈むのが普通ではないか?……といっても、自分はこんな状況を体験していないので、何とも言えませんがね。
サラルートは、正直言ってやや疑問。なにしろ、メインはスノゥ。彼女の話がバンバンと進み、本来は彼女の姉であり、このルートの主役であるはずのサラが非常に薄い存在となっている。そして、主人公もサラ以上にスノゥに近づいていて、「自分はスノゥに惹かれている」という文章が多々見られているのに、いつのまにやら、サラと結ばれてしまっているという感じだった。せっかく、リトルミル王国の姫君という設定を用意したのだから、スノゥともう少し絡めるなどして、サラの存在を浮き彫りにさせて欲しかった。まあ、逆に言えば、その分スノゥの存在が目立ち、スノゥというキャラはしっかりと引き立つことは出来ていたけどね。その点、サラとしてはもったいなかったかな。
そして、最も驚いたのがエーファルート。ここのラストではお互いを忘却させて、その後巡り会ってエンディング……かと思ったら、そんなことはなく、そのまま終わってしまうという恐ろしいエンディングだったのには驚いた。ちょっと可哀想だったかな(ご都合主義エンド希望)。
しかし、このゲーム、全体的に主人公の過去が浮き彫りに出るのは、リースルートだけなので、他のルートでは自分の罪が冤罪であることを自覚できないんだよね。なんというか、………哀れだよな、ミルディン君。まあ、リースを案じる兄としては、望むところだったのだろうが……。ううっ、そう考えると、なんていい奴なんだ(涙)。
最後に、……なんでラビエンドがないんだっ!! って怒り狂おうと考えていたのだが。ファンボックスで出てるんだね。これから吶喊してきま~す。
(致命的なミスを見つけたので、1月9日修正)