魅力的なヒロインと一緒に帰る楽しさを感じられて良い。
メーカーが推している各ポイントについて
・下校ルートの組み立て
とにかく早くヒロインがいるスポットに赴き、会話時間を稼ぐためのものと認識している。
ヒロインがいる(ヒロインに関係するイベントが設定されている)場所を最初に設定して、一緒に帰るよう選択をすれば、あとは何を選ぼうとも関係なし。
とはいえゴローの占いなしだとヒロインがどこにいるかが完全にノーヒントなので難易度が段違いだと思われる。
ただ20回のリミットの中で、最短で10回の下校イベントを経れば個別に入れることを考えると、キャラの特性からある程度スポットを絞っていけば十分に間に合うレベルではないかと推察。
(私は面倒なので試みていません。)
・下校時の会話イベント
基本的には、前回一緒に行った場所や、会話の中でヒロインが口にしたワードに関連することを話題として選択するで好感度アップにつながる。
SMEEのフレラバのようにノーヒントの状態で、大量の選択肢からヒロインの好みにヒットする話題を模索するような感じでなく、難易度は低い。
ただし、茉莉愛に関しては、ノーヒントからキャラの好みを模索する必要がある場面があった。
会話に関しては、正解/不正解でヒロインの反応が露骨に変わるところが気になった。
不正解の選択でももう少し会話を盛り上げようとする、あるいは自然に軌道修正を図るのが普通じゃないか?と。
みんな素直で裏表がないからこそのまっすぐな反応であると考えれば、納得できなくもないが。
ヒロインについて(攻略順)
・長南陽佳
徹頭徹尾幼馴染。主人公が陽佳のことをよく見てるのがわかる会話イベントはとても良いなと感じた。
また、陽佳も主人公のことをよく見ていることがうかがえる場面が多く、その自然な気遣い、想いの交信があって静かに着実に関係が進展して感じがとても心地よかった。
終盤の陽佳のセリフで誰かを好きになるには、何かがきっかけになることもあるが、積み重ねた日常の中で好きになることもあるというニュアンスのものがあるが、まさに2人の物語そのものであり、とても納得の表現だと感じた。
あと、終盤に「ずっと前から、あんたのことが好きだったの!」(セリフ抽出)が聞けて、やっぱ幼馴染ヒロインはこうでなくては!!と心のスタンディングオベーション。
そして、陽佳の良いところは、他ヒロインのルートでも良い幼馴染していることだ。
女の子の幼馴染というワードに付き合い始めた他ヒロインが過敏に反応する描写があるが、いずれも陽佳の手によって適切に処理されていて、他ヒロインを攻略しているのに陽佳の評価が上がるという現象が発生していた。
そういう意味でもまさに徹頭徹尾幼馴染と言うのが相応しい魅力的なヒロインだった。
どうでもいいが、帰り道むくれる陽佳に激辛スナックを餌付けする構図は、想像するとなかなかににやける。
個人的陽佳最萌ポイントの1つ。
・田寄多乃美
とてもつかみどころのない不思議系だったが、幼い時期に両親を亡くしているエピソードが明かされ、すべて納得。
この背景を思いながら初めから彼女の言動を追っていくと全然違う見方ができる。2度美味しいヒロイン。
私こういうつらい過去に裏打ちされた明るさってやつに弱いんですよ。
あと、全然主人公と過去の繋がりないかと思ったけど、そんなことはなかった。
フェラの構図が陽佳と共通だったのはちょっともやったかな。
・宇佐川雪子
そもそも「ウザかわいい」と明言されるのは嫌いなので、プレイ前はあまり良い印象を持っていなかった。
実際はウザかわいいではなく、唯々かわいいだったので良し。
得てして「ウザかわいい」と特徴づけられた娘は、蓋を開けてみればちょっと素直になれないだけで元来唯々かわいい娘であることが多いわけだが、雪子もご多分に漏れずだった。
しかし、雪子は年上なのに内心めちゃめちゃ初心で、すぐテンパっちゃうようなとても感情の動きが目まぐるしい、見ていてとても面白い娘だった。本当に見ていて飽きない。
そこまで感情を動かす機会が減った大人である私から見ると、とても青くて瑞々しいなとしみじみ思うほどに。
そしてその目まぐるしい心の動きから出てくる数々の可愛い言葉が北大路ゆきボイスであるため、意識が飛びそうになるほど良い。
とても気持ち良い。端的に言って好き。
まぁそんな雪子だが、根っこは思いやりがあってちゃんと年上のお姉さんらしい気遣いができる良い娘。
プロローグにある出会いのエピソードがなんか強引だなと初め思ったが、訳を知ればコレも感動ポイントに変わる。
料理スキルが独特なのと、ちゃっかり浪人しちゃうような茶目っ気を抜きにしても、ここまで魅力的で私を楽しませてくれるヒロインはなかなか珍しいと感じた。
もう何回かこの娘のお話を噛みしめてみたいと思う。
というか、他ヒロインのエピローグはなんか幸せそうな未来の1ページみたいな締めなのに、どうしてこの娘だけ「浪人しちゃいました。てへ」みたいな締めなのか。
そういうとこホント…めっちゃ好きだよ!
・王城茉莉愛
(プレイ中)この子だけなんかゲーム違くない???
↓
(プレイ後)やっぱりこの子だけなんかゲーム違くない???
多乃美と同様、過去に主人公とのエピソードを持つヒロイン。陽佳だけなく2人のヒロインと幼少期のエピソードを持つ主人公は、やはり主人公としての素養を十分に兼ね備えた主人公だなと感じた。
一方で、良い意味で主人公とのエピソードに縛られているのであれば、主人公が帰ってくるタイミング狙わずとも拉致してくることは可能だったのでは??と考えてしまって、この作品における彼女の物語の必然性について引っかかったままになってしまった。
まっすぐで良い娘なのは間違いない。
・築島つくし
エロ担当だ。間違いない。
キャラクター性について、ちょっといろいろ盛りすぎというより、他キャラクターと比較するとベースラインがちょっと変な娘よりに設定されているのかなという印象を受けた。
でも不器用ながらも主人公のためにあれやこれやと考えてくれるのはとても微笑ましかった。なんていうか…子供を見守る親のような気持ちなのだろうか。
でもエロ担当なのだ。このギャップ、大変よろしい(?)。
総括
まず、陽佳と雪子、この魅力的な2人のヒロインに出会えたことはとても良かった。
学校の帰り道にヒロインと過ごす時間に焦点をあてていることについて、着眼点はとても面白いと感じた。
いわゆる学園もの作品が無数に存在する中で、前作同様に学生として過ごす時間や恋愛の一幕に着目するのはとても挑戦的で応援したいなと感じた。
その焦点を当てた一幕を盛り上げるシステムについて、帰り道選択はとにかくヒロインにエンカウントすることが目的になってしまっているため、帰るルートによって会話に変化があるなど、さらに+αまで仕込まれているとより良かったかなと感じた。
会話イベントはシンプルながら分かりやすく、しかし関係性の進展を見ていく上で効果的だと感じた。
いろいろ述べたが、“魅力的なヒロインと一緒に帰る楽しさ”を味わえて満足感は高い。
学生の時分、帰り道に特別な出会いがあることを期待していたこと、帰り道の何でもない会話が楽しかったことを思い出してちょっと恥ずかしくも懐かしい気持ちになった。
主人公と周囲のクラスメイトや関係者の感情がみんな活き活きしていているのはSMEEや最近のHOOK同様で、この掛け合いを見ているだけでとても面白い。
主人公はネタに走りがちながらも、ここぞという時にちゃんと男らしい好青年なので不快な要素は特になし。
登場人物が総じて魅力的なのはこのゲームの評価を高める要素として十分に機能していると思う。
日常パートや会話パートなど明確にパートが区切られ、メリハリがあるので進行がぐだつかないのも良い。
ヒロイン視点はある種使い古されたものだが、これを効果的に挟むことでヒロインの意識の変化をしっかり掴むことができて、よりヒロインのことを魅力的に感じるようになるので、これからも廃れないで欲しい。
最後に、印象的なシーンが多くてセーブ枠が足りないので、あと3倍くらい用意してください!