様々な方向に振れる感情に、"物語"を味わう楽しさを感じた。
メインストーリーと3つのサブストーリーを1本道でまとめた作りは非常に興味深かった。
また、夢によって1つの作品内に大きく振れ幅が異なる3つの物語を内包する本作は、味付けを1つ間違えればすべてが中途半端になってしまいかねない。
しかし、いずれも導入の引き込みとクライマックスが月並みな表現だが「よくできている」。
様々な方向に振れる感情の動きがとても心地良かった。
またラストにてしっかり救いがあったことも良い。
そしてこの救いがご都合感を感じさせないテイストに仕上がっていることで、素直に喜びを受け入れることができた。
物語の魅力も素晴らしいが、ヒロインである世凪もなかなかに尊い。
登場するヒロインは言ってしまえば全て世凪なのだから、あらゆる視点から世凪のことをひたすら掘り下げているわけで、ここまでいろいろな側面を見せられて魅力を感じない訳がないのだが。
ともかく、十分に傑作と言える出来にとても満足した。