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pi-toroHcさんのその花びらにくちづけを ミカエルの乙女たちの長文感想

ユーザー
pi-toroHc
ゲーム
その花びらにくちづけを ミカエルの乙女たち
ブランド
ゆりんゆりん
得点
75
参照数
2480

一言コメント

その花びらにくちづけをシリーズのファンディスク的作品

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

新カップル璃紗&美夜を加えて、過去のその花シリーズ全員が一同に会する。
初回は璃紗&美夜ルート固定で、ED見たあとだとクリスマスパーティのところで選択肢が発生しそれぞれのルートへ分岐する。
これまでの作品の後日談(?)+新キャラというまさにファンディスク的な感じ。
まぁライターが違うからほぼアンソロジーなんじゃ・・・と思っても気にしない。そういう事情はよくわからんし。

          基本CG     シーン
璃紗&美夜    19        4
七海&優菜    10        3
紗良&楓      11        3
玲緒&麻衣    11        3
雫&エリス     11        3
瑠奈&貴子     9         3


序盤からミカ女ベストカップルに選ばれた過去シリーズのキャラたちとの関わり合いが多く描かれるため、璃紗&美夜が結ばれるまでがかなり長く感じる。
いつもどおり選択によって中途エンドになる模様(全通り試したわけではないのでわからないけど)。
しかし、何選んだらいいかなんて・・・多分わかると思う。

璃紗&美夜の話は先に書いたとおり結ばれるまでが割と長い。
結ばれていない状態でベストカップルとして実行委員の仕事をするため、過去シリーズではあまり見られなかった、付き合うまでの過程をじっくり堪能できた・・・気がする。
てか璃紗も美夜も可愛い。
このカップルは自分的にはかなり当たり。続きが気になります。

1週目終わってからは、七海&優菜→紗良&楓→雫&エリス→瑠奈&貴子→玲緒&麻衣の順番にやった。

どのルートでも、シナリオに何かしらの起伏が設けてあって、基本的にそれが些細な思い違いとか言葉足らずなために空回りしてしまうようなものであるので、思いは言葉にしないと伝わらないなぁとしみじみ思った。
あと、困ったときは周りのほかのカップルの子達が助けてくれる感じが新鮮で、なんかこういうのいいなぁって思った。

七海と優菜の話は、優菜を心配する七海が空回りという感じ。
声優交代した七海はなんか幼い感じになってたけどまぁこれはこれでよろしいかと。
優菜先輩は相変わらず基本エロ乙女全開。麗奈先生に七海連れてかれてあわあわする先輩GOODでした。

紗良と楓の話はなんかわたしの王子様みたいな感じ。
楓ちゃんは相変わらず自分に自信が持てない病こじらせてるなぁと。

雫とエリスの話は我らが玲緒ちゃんが頑張った。めっちゃ頑張った。
いやもちろん雫もエリスも魅力的なんだけど、なんか玲緒&麻衣にもってかれた感がすごい。
あ、卒業式前にエリスが突然国に帰っちゃってどうしような感じでした。

瑠奈と貴子の話は、これ麗奈先生に貴子先生寝取られるんじゃ・・・的なこと思ったが当然そんなことはなかった。
というか瑠奈が麗奈先生に寝取られ・・・じゃなくて、昔のようになついてしまって貴子先生ぐぬぬみたいな。
麗奈先生がアメリカ帰るってなってほっとしちゃった貴子先生自己嫌悪こじらせちゃうーみたいな。

玲緒と麻衣の話は、玲緒の友達を作ろう!という感じ。
そんでエリスと友達になれた玲緒だけど、そのエリスが卒業してしまうという事実に、それをどう受け止めていいかわからず・・・という感じ。
なんかこの話で玲緒がすごい成長してなんかもう泣けた。
息抜き会のあとの「今日は、すごく……楽しかった」とかもうやばかった。
そのあと友達というものを知らなかった玲緒が卒業してしまうエリスへの想いを持て余してしまうわけだけれど、そこもなんかもう愛らしくて・・・ああもう思い出すだけでたまらん!ちゃんと向き合ってくれ受け止めてくれる麻衣もすごくいい!!
卒業パーティもやばい。改めてこの2人が自分の中で一番だなぁと認識した。
まさかその花やって泣いてしまうとは思わなかったぜ!

全体を通してみるとそれなりのボリュームはある。
ただ新規組である璃紗&美夜のシーンが4つなのは、過去のシリーズだとだいたい1本に7~9くらいあったことを考えると少ないのかなぁと。
あと、過去シリーズのカップルのなれ初めは本当にサラット出てくる程度なので、このゲームでその花を知った人からするとどうなんだろうというところ。
そして、気になるのはこれからこのシリーズをどう展開していくんだろうということ。
今回は過去のキャラ引っ張ってきてそれぞれ関わりを持たせることで、新鮮さを出して、フルプライス分の価値も確保した。
でも、その次は?となると自分はどうなろうが買うのでいいけれども、ちょっと気になる。

あと、このシリーズ全体に言えることだけど、自分は「父親」の存在がすごく気になる。引っかかる。
男と女がセックスして子供ができるなんていうのは、エロゲーができる年齢なら誰だってわかる。
だからこの世界に父親母親がいてもまぁ当然不思議ではない。
だけどこれは百合世界なんだからそんな露骨に男をにおわせるワードを使わなくてもいいんじゃないかと思う。
これまでだと、父親がサラリーマンな一般家庭だの、両親が医者の金持ち家庭だの、お父さんが「こんな遅くに出歩いちゃダメ」って言うだの、まぁ別にそれ父親ってワード使う必要あるか?ってものがほとんどだった。
今回は、璃紗&美夜のルートで物語の山場に親の問題をもってきてしまっていた。
璃紗の母親は再婚がどうこう、美夜の父親は事業に失敗して荒れる、母親は美夜に依存しようとするという感じ。
物語の山場にこれを持ち出されるとなんか・・・ね。これ・・・百合ゲーだよね?ってなんか萎えてしまう。
いや、サラッと流そうが問題なんだけれども。
別に女と女から娘が生まれる女だけの世界なんて超設定を作れとは言わないけれども、こういうのは上手く隠してくれと言いたい。
男と女が結婚するのが当たり前な倫理観の世界で、結婚しましょうとか言ってるエリスと雫がバカみたいに思えてきてしまっていろいろつらいんです。

あ、最後に、ぺこ先生の絵最高!
全体的にみんなふわっとした感じになってて良かった。