ErogameScape -エロゲー批評空間-

peacefulさんのえろまんが! Hもマンガもステップアップ♪の長文感想

ユーザー
peaceful
ゲーム
えろまんが! Hもマンガもステップアップ♪
ブランド
CLOCKUP
得点
74
参照数
1112

一言コメント

エロ漫画を描いてるのが、エッチ大好きな可愛い女の子って、そんな馬鹿なッ!

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

とまぁ、自身の投影である主人公がエロ漫画雑誌の編集者になって、
「エロ漫画を描いている魅力的な女の子達と仕事でエッチなことができる」という夢の具現化を果たした作品。

ヒロインみんな清楚や元気系タイプだけどエッチ大好きっ子。
だけどHについてはよく知らない。
そんな外見と内面のギャップも楽しめる妄想爆発ADV。

しかしながらシナリオは安直な展開が目立ち、中身も薄い部分があって省き気味。
エロ漫画をエロゲーで描くコンセプトは興味深いけど、実際にその設定を満足に活かせたかは疑問が残ります。
確かにエロ漫画雑誌ができるまでの簡単な流れ(ネーム~下書き~ペン入れ~原稿)を分かり易く説明したり、
実際に活躍しているエロ漫画家(水龍敬先生、新堂エル、武田弘光etc…)の原稿を掲載、
またHシーン時にマンガの効果音を用いた擬音・吹き出し表示演出も良く出来ていました。

ただ、実際にメインキャラの漫画はテキストによる傾向のみで、ネームや原稿といったCGは何も表示されません。
本作は抜きゲーですが、だからこそもう一工夫こだわりや特色を魅せて貰いたかった。
無茶ぶりかも知れませんが、作家一人毎にマンガの題材を用意して、そこにプロやアマの漫画家が担当してもらう、
といった手法をもし実現できていたなら、私的には間違いなく良作でした。
そうすればヒロインの成長具合もBefore& After的なノリで一目瞭然になり、読み手にしっかり伝わったと思います。

それと好みの問題だけど、一部おかずに使えないシーンやむかつく女が結構いました。(客観的に見てマイナー向けかも……)
ある意味現実味がありましたが(私の周りに実際こういう女がいた……)、せめてエロゲーの世界に夢くらい持たせて欲しかったです。

でも癖の強いこの二人はまだ愛せます。

一倉美羽:自意識過剰を全力で突き進む、生意気で超絶面倒くさい奴。だけどツンデレでウザちょろ可愛い。
宮原尚生:愛すべき脳筋バカ(アホ)。殴りたいほどウザいけど、性根は真っ直ぐで一生懸命な部分に癒される。
(他のメインヒロインである“綾部はるる”と“小田桐香織”は個人的に安全パイ)

だけど38のBBA上司と女装好きな男の娘は本気でいらない!
その理由として、前者は主人公の立場になったら、どうしても許せそうにないですし、
後者は事前に知らないと、ある意味トラウマものになりかねない威力を秘めている為です。

あと他に気になった点としては、重いPC環境では声の重音・繰り返し(エコー音)がしょっちゅう発生することですね。
おそらく私のPC容量やスペックが大きく関係していると思いますが、対応OSでも古い型は満足にプレイが困難かと予想。
原因としてネット等の同時起動が挙げられますが、これ単体のみでプレイする分には別段問題はありませんでした。
しかしながら、本作はかなりPCに負担を強いる部類に入ると思います。酷い時はプレイ不可に……(汗)。


【総評】
私の総合的評価は良作一歩手前です。
上記したマイナス点が主な理由ですが、メインヒロインがエロ漫画家やその雑誌を担当する営業で、
主人公が編集者という題材はどうしても縦方向な関係性に終始しがちです。
つまり個別ルートに入る以前からヒロイン同士の繋がりが薄く、絡みがあまりない状態に陥りやすいということ。
前作の「えろげー!」は共同で物事を成していたので、その問題に直面しませんでしたが、今回はそれが顕著に現れた結果に……。
(おかげでハーレム√が夢のまた夢に……)
マンネリを防ぎ、差別化を図るためには致し方無かったでしょうが、もう少しサブヒロインを含め横の繋がりが欲しかったです。

しかしながら、当初想定した複数ライター・原画による弊害はあまり感じられず、下品なアヘ顔や肉付きも良く描かれていると思います。
またシチュもバリエーションに富んでおり、幅広い層に対応したのは素直に抜きゲーとして(良くも悪くも)好感触。

それとコレはあくまで個人的なことですが、主人公の内面が私の心のツッコミとシンクロして、非常に親近感が湧きました。
彼の堪忍袋の緒は本当に全然切れない、まさに社会人の鏡(社畜)ですね。
社会の場ではあまり言いたいことも言えない立場理解できます(^_^;)。
(この世界では)えろまんがの編集は薄給で残業代無し、しかも休日出勤ありの過労が押し寄せ上司が糞の役にも立たない始末。
雑誌一本任せられる分やりがいは確かにありますが、思いっきりブラック企業なのは何か自分と重ねて涙出てきたよ(笑)。
そんなヒロインを支えたり・エロを教えたりする主人公。
感情移入すれば実用性がさらに増すのは当然でした。
けど岡崎(主人公)は良い思いをしているので、できれば立場を変わって欲しいのが正直なところですね(切実)。