このエロゲーはひったくり・無賃乗車・銀行強盗・窃盗・盗難・誘拐・爆発事件など凶悪犯罪が多発する日本の世紀末都市である白宮市における騎士学校を舞台にした武侠物語である。
とんでもない世界観が巧妙に隠されているのが本作品の特徴だ。
地下水路は人が３人並んで通れるほどの大きさで市内を網の目のように張り巡らされていたり、また犯罪者はそのルートをほぼ知り尽くしていたり、
街中ではひったくり・喧嘩・誘拐・ビルが爆発・倒壊することが日常茶飯事の世紀末都市である。
しかもこれは日本の騎士学校（警察学校みたいなもの）の近辺での出来事である。
つまり治安がそれなりに安定している所でこの有様なのである。
ここ以外ではモヒカンに肩パッドをした暴漢がヒャッハーしていてもおかしくない世界であることは容易に想像できる。
主人公たちもここまでくるのにさまざまな艱難辛苦を乗り越えてきたのであろう。
しかし、本作品はそんなことには一切触れることなくビバ武侠物を演出しているのである。
彼らは己の中で気持ちに整理をつけ、傷跡を隠し皆の前で明るく楽しく振舞っているのである。
巧妙に過去のトラウマなどを隠し、義理人情をモットーにしている騎士になりたい見習い共の成長物語にうまく見せている。
だが、一歩奥に踏み込むと前述した背景があることを感じさせることができる重厚なストーリーになっていることが分かるだろう。
物語自体は至って単純明快
主人公の所属する見習い騎士団が次々と事件を解決していく。ヒーロー物の定番の展開だ。
世紀末世界で育ってきたことにより築き上げられた肉体と頭脳によって事件なんていとも簡単に解決してしまう。
プレイヤーがもどかしい思いをしなくてすむ優しい設計になっている。
彼らが世紀末覇者であることを見抜くのはなかなか難しいことであるから、一般のユーザーはご都合主義にみえてしまうだろうがそれは間違いだと言っておこう。
後は道中で好きな女の子の好感度をあげチュッチュするシンプルなものだ。
不快感は特になく主人公とヒロインの爽快な活躍をご覧になられるだろう。
残念なのは騎士になった彼らがどのように活躍していくのが見れないところだ。
私としては騎士になった人たちの世紀末伝説をメインに語ってほしいところだった。
次回作はもっと世界観を表にだしたストーリーにしてほしい。