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painsalさんの約束のエターナルソードの長文感想

ユーザー
painsal
ゲーム
約束のエターナルソード
ブランド
naka-pom
得点
50
参照数
27

一言コメント

微妙にイラッとくる要素が多々あり、それが溜まりに溜まってストレスフルになる作品

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ストーリーとしては王道でかなり気合を入れて作っている作品だと思う。
しかしストーリー面でもゲーム面でもちょくちょく不満があるというのが正直な感想。
例えて言うならば「作者がいい魚を釣ってきて、焼き魚を振舞おうとガンガン火力を上げて焼きすぎて、炭になった魚を焼き魚としてプレイヤーに提供した」感じ。
まずストーリー面での不満。それは・・・ツッコミ役がいない。
見ず知らずの自称勇者アルス、それに負けず劣らず頭が弱い魔法使いマナ、頭はいいが臆病であまりしゃべらないぶるぶる要員ふうこ、ヒーロー志望のやっぱり頭が弱めな忍者かえで。
ツッコミ役になりそうでなれないぶるぶる要員さえツッコミが出来れば、もっと話がすっきりまとまってgdgdにならずに済んだのにといつも思ってしまう。
そしてストーリーの尺を長くしたいのか、まわり道がかなりくどい。特に東方。
サツキやうめ子が登場するのは構わない。ぶるぶる要員の掘り下げになるサツキはまだ許せるとして、うめ子の方はかえでとの絡みもそこまでじゃないくせにやたらと寄り道が長い。
それこそ本来の主人公の存在を忘れるくらい。しかもメインストーリーにミニゲームをぶっこむ気合の入れっぷり。
何が作者をそこまで駆り立てるのだろうと思うくらい。サツキやうめ子が最後に正式にパーティに加入するならばまだ許せるが、残念ながら離脱する。そしてクリア後ダンジョンにも登場しない。
はっきり言って、ストーリーの尺はもっと短縮してすっきりさせた方がいいと思う。2~3割程度は削減できるのではないだろうか?
ストーリーの尺が足りないと思う作品は枚挙にいとまがないが、尺を削った方がいいと思った作品はおそらく本作が初めてではないかと思う。その意味では快挙かも知れない。
そしてキャラ設定面で不満があるのが猫女ニャー。当然のごとく語尾にニャをつけるが、もうちょっとキャラ名を真剣に考えろよと突っ込みたくなった。
なぜならば、語尾にニャがやたらとつくおかげで本人の名前がわかりにくくなり、セリフを読むのに一苦労する。作者はプレイヤーをイラッとさせる達人なのかと思うくらい的確に、しかし大きくならないように微ストレスを溜めてくれる。
あと気になったのは、敵ボスに挑む→初戦でボロ負け→回り道→再度挑戦で勝つのパターンの繰り返し。3回もやると「またこれか」と呆れてしまう。しかも回り道が長いというオマケつき。
ゲーム面では、ゲームバランスは初期バージョンでは酷かったらしいが、現在はかなりプレイヤーの意見を反映して遊べるバランスになっている。
とはいえ、クリア後ダンジョンのボスの難易度が異常な上に、入れ替えができそうで出来ないとか、ここでもまたプレイヤーを苛立たせる達人ぶりを発揮しているのには恐れ入る。
なにしろ自爆敵がわんさか出てくる上に、これを防ぐことが事実上出来ないのだ。しかも連続で自爆されると一瞬で全滅する運ゲーぶり。
そして即死もガンガン飛んでくる。主人公が勇者の称号を最高まで上げると即死耐性がかなり強化されるものの、連続で飛んでくると割と簡単に落ちてしまう。
そして、最大の不満点は称号。これは一般的にいう職業に相当するものと考えていい。
正直な話、称号はたくさんあるものの、使えるものはそこまで多くない。大体デフォで持っているものを成長させるで正解。というか、デメリットがでかすぎるものが多いのはどうなのか・・・
敏捷性を減少させる称号が減ったとはいえ、それが根本的に解決に繋がっているかと言われると微妙。
というのも、追加スキルが多いクラスをどうしても選びたくなるのが人情なので、結局デフォの称号を使いたくなるんだよね・・・
称号のレベルアップはお金とクリスタルで行うが、正直これが選択肢を狭めている一番の原因。
中盤まではクリスタルの入手は数が限られているため、どうしても特定の使える称号を集中的にレベルアップさせざるを得ない。これじゃたくさん称号を入手出来たとしてもあまり意味がない。
個人的には、称号に経験値があり、それが溜まったら称号レベルが上がる仕組みにしたら良いんじゃないかと思った。称号がレベルアップしたら、スキルを覚える仕組みで良いのではないか?
本作では装備品以外のパッシブは、クリア後ダンジョンで拾うしかないが、決して入手しやすい訳ではない。またレベルアップ以外のアクティブスキルは特定の称号を装備するかスキル装備しかない。
アクティブスキルは今のままでも良いかも知れないが、パッシブは称号レベルアップでやる方がゲームバランスとしてもいい感じになりそうだと思うがどうなんだろう?
あとはメダル。クリア後になるとそれまで10枚で賞品がもらえたのが急に100枚になる。
何この極端な開きww
しかも微妙に行きにくい位置にあるのがまた腹立つ。
そしてパーティメンバーのバランスが悪い。これを称号のつけかえで何とかするというのが作者の意図した事なのかも知れないが、前述の通り選択肢があるようで機能していないのが現実。
特にマナが回復を一身に担当する事が多いため、マナの火と雷が弱点のボスに対しては回復面に問題が生じる。
そして回復アイテムは所持量に上限がある上にそもそも回復量が少なすぎる。薬の知識で回復量を上げてもたかが知れている。ふうこが回復できればいいのだがそれは一部を除いてなし。
地味に影響が大きいのがTPが上がりにくい。そのくせ有用なスキルはTPが大きい。
個人的にはアルスを肉壁として使いたいのだが、挑発で攻撃を一身に引き受けてもそこから繋がらない。反撃と勇者の盾をもっと有効に使いたいと思っても狙った通りに使いにくいというのが現状。
あとは全体攻撃、回復はTPの消費が大きい。乱発したらゲームバランスが崩れるという事を考慮しての事なのかも知れないが、それにしてもTPの影響が大きい。
そして、これは地味にイラッとする点だが、アイテム入手で左下にツールチップが出現するが、宝箱を開けたときにテキスト表示とツールチップが両方出るため、表示が重なって見づらい。
なんでこんな仕様にしたのか不明。
ここまで気合を入れて作った作者には敬意を表するが、しかし色々とイラッとする要素が多かったり、プレイヤーから文句が来るのは、やっぱりテストプレイをちゃんとしていないからではないかと考えられる。テストプレイで明らかに気づくところがたくさんあるからだ。
それをプレイヤーに指摘されて初めて気づいて直すというのは、自分がやりたい事をたくさん詰め込むことに熱中して、プレイする側の事を考えていないという事なんだろうな。あるいは認識がズレているのか?
とりあえずテストプレイで解消できる部分は多々あるのははっきりしているので、次作はテストプレイして欲しいところ。
クリア後ダンジョンの後に開発室へ行けるようになるが、色々苦労したのは分かった。
しかし、本作は追加要素をつければつけるほどクソゲー化しているように思えてならない。
クリア後ダンジョンのボスを倒した後もさらに奥があるが、パーティーメンバーがランダムになるというクソ仕様でやる気をなくす。
しかも、さらに追加要素を追加するみたいな事を言っているが、どんだけこの作品にこだわっているのか。
本作の続きをやるならば、本作の追加要素にするよりも新作を作った方が良いように感じるが。
この作者の事だ。どうせプレイヤーをドン引きさせるマゾゲーでクソ仕様にするのが見えている。
点数は50点としているが、より正確には本編70点、クリア後ダンジョン50点、さらに追加要素で30点と進めれば進めるほどクソゲー度が高くなり、これに追加要素を加えたら10点~0点とクソゲーの極みになりそうな悪寒。総合的に間を取って50点という感じ。
個人的にはあまりにも視野が狭いように感じる。一つの作品しか作ってはいけないという決まりが作者の中にあるのだろうか?
他の名作を作っている作者さんの作品をプレイして、もっと勉強しなければ、何をやっても無駄にしかならないように感じる。
何故ならば、作者は基本のキが分からないからだ。ゲームは人を楽しませるのが基本だが、作者はやたらと難しさ、めんどくささを追求しているように見える。残念な事にこれが本作の良さをすべて台無しにしているのが現実だ。
これに気づかないようでは、次はないであろう。
どのみちもう自分はこの作者の作品はプレイしないと思うが。