各人の想いが複雑に絡まり合う泥沼のような恋愛模様と登場人物たちの造詣のリアルさに思わず仰け反ってしまった。とても痛々しくて苦しいお話でしたが、それでいて「恋」と「愛」を愚直に描いた味わい深い作品でもありました。とっても嫌な気持ちになれました、満足です。
主人公が本当にどうしようもないカスなのですがそのカスさが男というどうしようも無い生き物の性質を愚直に映していて憎みきれないのがまたね…。特別クズではなく、倫理観や常識をしっかり兼ね備えてるのにも関わらず恋なんてものに振り回されて立ちいかなくなる、そんなどこにでもいるような人物像がやけにリアルで恐ろしい。
そんな彼を嫌いになれるほど読者の私は純真では無いし「自分なら」を考えると糾弾できるわけもなく。
そして進めれば進めるほど星良という少女が愛おしくて仕方なかった。内面を知れば知るほど惹かれてしまった、本当に大好きだ…。