すごいゲームでした。
名作に対して今更なのですが、ひさびさにプレイして書きたくなったので書いてみました。
プレイしてのおおまかな感想は、とてもいい意味で微妙な作品だなあというものでした。わけがわからなくて恐縮ですが理由は、せっかくいい感じに出来上がっているのにこれだけ人というか属性を選ばせる仕上がりにしたのは勿体無いんじゃないかと思ったからです。テーマは来るべき未来での人と動物との共存性とでも申しましょうか、或いはケモノっ子ラブのお兄さんお姉さん達にもっともっと深くケモノの良さを伝えるための道標とでも言いましょうか。とにかく人・属性を選び、そしてその属性持ちの方に対してそれを持っていることへの素晴らしさを伝え、喜び、礼賛する作品であると言えると思いました。
お話については楽に妄想全開で書かせて頂きます。私などの現実逃避組が妄想して止まない世界がロボット世界のメイドさんではないかと思うのですが、両翼だとするならばそのもう一方を担うのがこのケモノ世界であると思われます。ネコ耳やいぬ耳、昨今ではキツネや狼でしょうか、おしりからピコっと伸びたしっぽなど、ピクピクとうごめくこの部分に触れ、きゃるーんだの耳はダメなんですぅだのと言われたい。「あいてて、包丁で指切っちった。」「あうー、だいじょうぶですか…ぺろぺろ」とされたい。「エッヘヘ、ごっしゅじんさまあ~」「私がご主人様を守る!」「ご主人様、こんなに熱くなって辛そうです・・・ぺろぺろ」などとされたい。そんな風に様々なシチュエーションが浮かんでは消える気持ちの悪い変態の私にとってはこの作品はかなり満足のいくものでありました。唯一違和感を覚えたのは主人公があまりにも出来すぎていて、フィンガーテクと容姿により意図的に女性を篭絡する事が出来る能力である事なのですが、シナリオに必要なアクセントであると思われますのでプレイを楽しむ上で障害には恐らくならないのではないかと思います。ちょっと泣かせるシーンもあり、どのルートでも人ペット入り乱れてのエッチシーンがあり。シナリオの最後の方で、抱える問題が主に性処理一辺倒になってしまった事に少し残念な感じもしますが、それはある意味人と人型ペットとの間の幸せの理想形であるのではないかと思うので、寛容に受け入れるべきではないかとも思いました。
そして感じたのはライターの方の見事な奇才っぷりです。人とペットが同じ環境で生活をし、しかし彼らは姿形は人間なのにその習性や能力・機能は動物のままで、ここからどういった差異が生まれ、どういった困難や必要な共存性が生まれるかがとても深く掘り下げられています。そしてそれらの見事な描写は作品内で何故か自然なリアリティを生じさせており、一見ぶっ飛んだ設定であるにも関わらず、獣属性が薄めの方にも今ペットを飼っていない方にも色々な問題意識を持たせるような、そんな不思議な作り込みになっております。まったくライターさんの思うツボで、今までも獣というジャンルは大いに、この業界でまさに獣の如く暴れ回り確固たる地位を築いている訳ではありますが、その中でさらにこういった新しい機軸を打ち立てる事が出来てしまうというのはまさに非凡の才能を以ってしてという以外ないのではないかと思いました。愛に溢れた素晴らしいお話であると思うのですが、ちょっと間違えれば狂人の域に達してしまいそうな恐ろしさを垣間見られるような、その位この作品を作り出す事は並大抵の感覚ではないと思うのです。まさに創造する力を持ったヲタクであり、一般的にはニッチであると思われるこの業界においてさらにその間隙を突くことが可能なライター。不勉強なあまり今までこの都築さんという方をあまり存じてはいなかったのですが、まったく素晴らしく、また私の大好きなエロゲ業界において絶対に必要な方なのではないかと思いました。
ケモノっ子もの、一言で言えばそうなのでしょうがそれだけでは全くありません。そしてこの作品以上の物を作り出すことがどれだけ困難と思われるか。とても素晴らしい作品であり高い点数をつけさせて頂きました。これからも是非頑張って欲しいと思います。