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omochiさんのお嬢様と秘密の乙女の長文感想

ユーザー
omochi
ゲーム
お嬢様と秘密の乙女
ブランド
MOONSTONE Honey
得点
71
参照数
2100

一言コメント

つまらなくはないけど、女装潜入モノの過去の作品群のクオリティは求められないと思います。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

女装学園潜入モノ。このジャンルに対してユーザーが期待する最低限の要素というのは幾つかあると思うのですが、一応それをなぞりつつも中途半端に仕上げてしまい、あんまり面白くなくなってしまった、そんな印象です。私はこの手のゲームは大大大好物なのですが、それでも「まあぼちぼち」くらいの評価しか出来ない事が少し残念に思います。

まずエンゲージと呼ばれる、百合モノにおけるいわゆる約束の儀式なのですが、重みを持たせようという割には前後関係が貧弱で、そんな中で繋がった二人からは、互いが互いを信頼するという、「好き」の基本条件を我々が感じる事が難しいままお話が進行してしまったと思います。結果エロシーンにおいては、確かにムーンストーンらしくエッチはエッチであるとは思うのですが、関係性の希薄なままでの突入になってしまっておりやや無理矢理な印象。しかも突発的です。全体的に短めのボリュームなのでじっくり書くのは勿論難しいのでしょうが、それでもあともう少しで、ただエロシーンを並べただけの作品に成り下がっていたのではないか、その位の危険なレベルであったと思います。

また、男バレのシーンは、あえてお約束というかパターンを少し変えてみたのでしょうが、残念ながらそこに詰め込むべきドキドキ感や「あ~やっちゃったよ~」感を演出出来ていません。私は個人的に、ここが女装もので最も重要なポイントであると思っているのですが、残念ながら少し寂しい感じでした。

「何でもいう事聞くから許してください…」「何でも?(ニヤリ)」すらなかった!ではシナリオ度外視でイチャイチャだとかエロスだとかを表現できているかというと、これもそうでもないなという感じがします。大抵のHシーンが二回戦というサービス精神に敬意を表し二回ほど使用させて頂きましたが、それでも挑戦的と思われるエロスでは決してなく、そこに価値を見出す事も難しいと思います。Hシーンのテキストだけはいいなとは思いましたが、それでも、「手に出す」「身体に出す」の選択肢は、セックスにおける臨場感や突発性を表現するチャンスを、自ら放棄してしまうよくわからないものであったと思います。

この手の作品にあるべき要素。例えばしっとりとした空気感、男女の差異を感じさせてしまうエッチなエピソード、ごめんなさいのきもち。色々あるでしょうがどれも薄いなあという印象でした。でも全然つまらないって事もないなあというのも事実で。これぞ71点、って所でしょうか。何か突出したものでもあればなあと思いました。