少子化・草食化に一石を投じる作品なのかなと思いました。
まず非常にネガティブな意見で恐縮なのですが、このゲームがとても眩しく映る理由として、我々のようなエロゲーマーはこのような幸せにあふれた未来を想像出来ない、また実現する事がとても難しいというのが前提としてあると思います。とはいっても、本やエロゲーなどで読むフィクションのお話なんてものは誰にとっても大抵そんなものなのですが、エロゲーのターゲットである我々というのはそういった事をモニターの中に殊更求め続ける人種であり、その特性を把握された上で、家族を持つ、娘を持つというのはこんなにも楽しくて幸せで素晴らしい事なんだよとはっきりと明示し、またそれを礼賛させられるような作品を突きつけられては、降参せざるを得ないなと心から思いました。
この作品には父親になる事を夢想する人間としてはたまらないシチュエーションが幾つかあり、SFの設定ではあれど、それらはあくまでも日常的な中で自然に描かれていると思います。最初のうちはママ候補の少女たちはまだまだ恋する女の子なのですが、キスを発端にルートどころか将来までも決定されてしまう童貞的ロマンチシズムもさることながら、何より愛らしいエピソードを踏まえながら、彼女らがママの思考、いわゆる「母性」をゆっくりと目覚めさせていく過程がとても楽しくスッキリと描かれています。またそれに呼応するかのように主人公=ユーザーも、娘とママに対し代えがたい大事な家族としての愛情をごく自然な形で発露させ始め、家庭と子供を守るために必要な自覚をママと自分自身に望んでいき、父親としての顔、つまりは父性をもはるかを中心に憶えていくのです。
こんなゲーム今まであったでしょうか。女の子からすれば大好きな男の子に色々とすっとばしていきなり「将来はママになるからね」と言われるのもアリといえばアリだと思いますし、男視点から見れば、ルートを決めた次の瞬間にこの幼馴染のおっぱいは自分の物であることが名実ともに決定されているという抜群の安心感の中で進んでいくストーリー。仮にSF的な要素に粗があるとしても、恋愛としての整合性やロジックは乱れてはいないと私は思いますし、何より本当に心地よく楽しむことが出来ました。
約束された幸せ、それを守るため、ママと娘と笑いながら、一歩一歩歩いていく。まるで夢のよう、そしてこれこそあるべき家庭の姿ではないでしょうか。ちくしょうめ。長らくエロゲーをやっていますが、他のどれよりも、未来を明るく楽しくハッピーに描いた作品だと思います。粗はあっても満点です。