金髪ツインテ幼馴染。かわいい。かわいい。でも、はあ…。
今回の作品にあえて特色付けしなかった要素は季節感ではないでしょうか。今までの作品は大抵夏であり春先であり秋であり、その時節を背景としたお話を書くのがねことコットンの特徴であったと思われます。またそれらが対象の恋愛に対しほんのりノスタルジックな風味を加味しつつ機能する、ここにこのメーカーにおける恋愛描写の隠れたエッセンスと技巧が含まれていると私は思っております。
そんな中でそういった恋愛描写などよりも日常の楽しさに重きを置いたのが今回のぐらタン。この作品の何が良いかといえばテキストのレベルの高さであると私は思います。序盤から笑わせてくれますし、また今までになくエロいハーレム願望のある主人公と言うのはここの作品ではとても珍しく、個別に入らない段階においても軽いエロシーンが入ってきたりします。マンネリ化したADVゲームの枠組みやパターンを少し変えて来た、ある意味メーカー側のチャレンジ性をユーザーが感じる事の出来る、そんな作りになっていると思いました。そして何よりも、幼馴染の符号である赤髪をあえて排除し、金髪ツインテで勝負の涼芽ちゃんがとても可愛い。元々シナリオに重点を置いていないようなのでお話は大したことないですが、そういうコンセプトである以上許容範囲のような気もしますのでそれはいいと思います。気楽に、楽しく、エッチに。エロゲにおいての幾つかの重要な要素はクリアしていると思いますし、少なくともプレーを楽しむ事の出来る作品ではあると私は思っております。
ですが、ねこ信者であると同時に幼馴染に執着をもつ私としては。とてもとても「あープレイしてよかったな~」と言えるものではない!
序盤に「幼馴染なんだから8割方勝ったも同然」というやりとりが出てきます。これは制作側は幼馴染の重要性・役割・また義務を把握しユーザーを満足させる準備は万全であるという暗示だと思っておりました。他ルートをクリアしなくては涼芽ルートに入れないというのも幼馴染の需要の大きさを鑑みれば理解はできます。ですが本当に残念です。この作品には決定的に幼馴染とのいちゃいちゃ分が足りません。キャラはしっかり立っていて、そしてそこまで大層なシナリオではないとするならば、絡み、これこそが作品のキモとなるべき要素なのにです。
確かに涼芽ちゃんの出番は多いのですがそれは主人公の気持ちが全く行ってない状態の時が圧倒的に多く、またそれは他のヒロインのキャラを立たせるために、或いは最後に待つ涼芽ルートをユーザーに期待させるためにあえてそうしたのは、作中でも同様の事が書いており効果はあったと思われます。ですがさんざん引っ張った挙句最後に待つ肝心の涼芽ルートがあまりにも淡白。ここがこのゲームを私が一番評価出来ない部分なのです。涼芽との恋の成就を拒む主人公の理由も、「ハーレムや愛人願望があるので責任を取れとか言われてもムリ」などとたわけた事を言っており、これが幼少の頃より培った二人の絆や恋愛の重要性を見事にかき消す作用をもたらしてしまっているのです。
幼馴染というものはエロゲーにおいてはとても一般的なものです。そういった意味では他の作品や他の幼馴染との違いを強調し作り上げるというのは昨今ではとても難しい段階にあると思います。しかしだからこそ作品における重要性を幼馴染に持たせようとするならば、そこは高いレベルで作り上げなければ凡百のうちのひとつに過ぎない存在になってしまうのです。涼芽ちゃんは確かに可愛いくて尽くしてくれる優秀な幼馴染です。本音を言わせて頂ければ結婚したいです。しかしこの作品の2周目をプレイする気が起きない私は、もう彼女に逢えないのが寂しくてなりません。どうしてくれるんだよコレ。これが私のこのゲームに対する感想ですよ!うぎゃああああ!!!!