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okjさんの追奏のオーグメントの長文感想

ユーザー
okj
ゲーム
追奏のオーグメント
ブランド
地雷ソフト
得点
60
参照数
1489

一言コメント

地雷は少ない人員で広範囲を防御するのに有効な兵器である。つまり数多くのユーザーからの攻撃を防御するためメーカーは地雷を設置したのだ!だが我々の欲望という名の熱意は止められない。たとえ千個の地雷があっても千一人の兵士(エロゲーマー)がいれば必ず突破できるはずなのだ!(こっそり追加しました)

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

先人たちの尊い犠牲の上に、数種類の地雷が発見されました。対萌えオタ地雷、対NTRスキー地雷、対凌辱スキー地雷、対エロスキー地雷、対近親相姦地雷(ZISSHI)など……

対萌えオタ地雷とは別名クレーモエ地雷、指向性地雷の一つである。詩帆レイプスイッチにより起爆する。犠牲者が口々に『萌えをくれ~、萌えをくれ~』という姿からクレーモエ地雷と名付けられたらしい?

対NTRスキー地雷や対凌辱スキー地雷は詩帆レイプシーンや紗月誘拐シーンで『うっひょ~、NTR(凌辱)キター!』と叫びつつパンツを下ろした瞬間にセンサーが感知し起爆スイッチON!NTRや凌辱シーンの詳細描写がない為、抜くことが出来ずにそのままの状態でポカーンとなり風邪をひいてしまうという恐ろしい地雷。これ地雷じゃないよね?

対エロスキー地雷はフルプライスでヒロイン3人しかいないのにHシーンの回数が少なく、また1シーンが短いため抜けなくて、ちゅどーん!対近親相姦地雷(ZISSHI)は本番シーン無いので、ちゅどーん!!

な~んて地雷のことばかり意識していると、メーカーの思惑通りな気がするのです。地雷という言葉に注目させることによって、真に守りたいものや隠したいものがあるのかもしれません。ここは素直にタイトルの『追奏のオーグメント』について考えてみます。

追奏はプロローグにある『追想』と『奏でる』を合わせたものでしょう。ではオーグメントとは何でしょうか?作中では死神の名前で使われていますが、オーグメントの語源は英語で『増加させる』意味を持ち音楽用語で使われています。本作品のライターは企画と音楽も兼任していることから、ちょっと深読みしたくなります。

時間を巻き戻す能力を使うことによってより追奏しやすくなる、追奏する回数が増えるという意味でオーグメントなのでしょうか?音楽用語では増音程がオーグメント・インターバルといい、増三和音のことをオーグメントトライアドと呼びます。これらは関係ないのでしょうか?(インターバル=音程、トライアド=三和音)

ヒロインを一人攻略するために出てくるタイトル画面の線、これは平行世界の数を表し三人攻略時には5本以上になっています。この線を横にして見ると楽譜の5線になっていてヒロイン3人のメインルートがオーグメントトライアドになっている……なんてことはなく残念!

三和音とは基本的な3つの構成音から成り立ちます。(例:ドミソ)ドは元になる音で根音(ルート)と呼び、増三和音とはルートから長3度と増5度からなる和音のことで、ドミソを例にするとドミソ#になります。この場合、ドから見てソ#は増5度と呼びます。音を人に置き換えて考えると、ド=主人公、ミ=ヒロイン(詩帆、紗月、菜美のどれか)、ソ#=オーグメントになり、なんだかいい感じに当てはまりそうです。平行世界によって主人公の立ち位置が異なるので、もし主人公=ミの場合は、ソ#=ヒロイン、シ#=オーグメントになります。

それぞれの追奏の中で異なるオーグメント(トライアド)が演奏される、それが『追奏のオーグメント』というのはどうでしょうか?



えっ、作品の内容についての感想?
あはは、日常のシーンは面白かったですよ(下ネタばかりでしたが)
キャラはどれも可愛かったですし、そうそう背景が良かった!姉さんの部屋にある主人公似のぬいぐるみとか、坂道がある通学路のミラーの中とか……。

えっ、シナリオ?
うーん……萌えゲー?ギャグゲー?泣きゲー?凌辱・NTRゲー?姉ゲー?テーマ的にはっきりしないんですよね。不安定で落ち着きがないんですよ!

ん?そういえば、オーグメント(コード)の特徴って、不安定で落ち着きがないだっけ?
まさか……ね。


☆後奏を追加しました!(2012年9月26日)
本作品の悩みどころが3人攻略後に出現する死神オーグメントのお話です。これはただ単に伏線回収としてのおまけなのか、それともtrueエンドなのでしょうか?おまけとした場合は、ヒロイン3人の誰かと結ばれたエンドが主人公秀弥にとっての幸せなエンドなのでしょう。

trueエンドとした場合、姉蓉子との姉弟愛が幸せなエンドとなります。個人的にはこちらが好きです。主人公河嶋秀弥は姉さんのおかげで80歳まで生きられたと告白しています。だから自らの魂を差し出しても姉さんを助けたかった。何よりも姉さんの為に。綺麗な終わり方で満足満足……なわけないでしょうが!!姉さんとのイチャラブHは?

やはり足りなかったのはオーグメント浄化後の日常(共通パート)からの蓉子エンドです。
完全に魂を取り戻した姉さんは前以上に秀弥LOVEですから、日常イチャラブ描写がないのは非常に残念ですね。(前の共通パートとの違いが面白いと思うのですが)

オーグメントが浄化されたことによって蓉子は元の状態に戻りました。つまり半音上がっていた状態が元に戻ると、増三和音が長三和音になります。(ドミソ#→ドミソ)不安定で落ち着きのなかった響き(増三和音)が明るく楽しい響き(長三和音)に変わったのです。


はじめから考えていた感想を後で追加した理由は、オーグメントの話を追加で演奏したかったから……、きっと誰も見てないからいいよね(笑)