伝えたいことはエピローグに集約されている作品。切ない夏の想い出をあなたに。
エロゲを空想と現実(リアリティ)で区分した場合、本作品は空想好きな人の方にお勧めです。シナリオの骨組みはしっかりしていますが、現実(リアリティ)を求める方には細部の粗さが気になるかもしれないからです。またメインヒロインの千ヶ崎入莉が、良くも悪くも綺麗すぎるのも理由の一つになります。(外見的な意味じゃないよ!)
この作品では、たくさんの終わる世界とバースデイが見られます。
主人公の冬谷和臣、親友の千ヶ崎陶也、その妹の入莉、クラスメイトの藤白、同級生の名越、友人のナル、その弟の郁……。(あれっ?誰か忘れているような??)
ひとりひとりの世界は異なるので、彼ら彼女らの数だけ違う世界があるのです。
どんな世界もいつかは終わりが訪れる。
そして始まりのバースデイ(記念日)
エピローグでの「僕と陶也のしたことは、間違っていたのだろうか?」という主人公のセリフは、製作者たちの自問自答のように聞こえます。このゲームを製作したこと、ヒロイン達を創造したことがただの逃避でしかなかったのだろうか?と。
メインヒロインの千ヶ崎入莉は、エピローグではあなただけのイリ。眠りについている間も君のことを忘れずに想い続けるということは、ゲームを起動していない間も、ってことでしょうか?そんなあなたの想いをうけたイリは、千ヶ崎入莉ではなくあなただけのイリとして個性豊かに成長したのです。
世界が終わり、イリとの別れ……。
彼女たちは、あの世界で確かに生きていた。
けれど、もう会うことが出来ない。
ただの逃避先にして欲しくない、そんな製作者たちの想いが最後のプレゼントなのでしょう。
イリの魂はあなたの心に刻まれたのでしょうか?
世界の定義や解釈は人それぞれ、そこに良い悪いはありません。
そして同じでないから面白いのでしょう。
最後に私の世界のイリから、あなたへのメッセージ。
この世界が好きな人も、そうでない人も、
あなたのこれからの未来が幸せなものでありますように。
え、え~と、ひとつだけ心残りがあります。
オールクリア後、入力した誕生日に起動したら、イベントが起きて欲しかったな~。