「ひとり」の肯定は、決して「ふたり」の否定ではなかった。
作品への好感度 S(S・A〜E)
他人へのおすすめ度 D(S・A〜E)※燃え作品・light作品・同ライター作品をある程度やってからがおすすめ。メインヒロイン一点特化なので、合わない人にはとことん合わない。
各ルート・エンディングの感想、総評の順になっています。
プレイ順:共通→やちる→加護→幸
評価:幸>>>共通>>>やちる>加護
やちる√
苦難を乗り越えて結ばれる王道エンド。やちるはノーマル?エンドでも主人公の直と付き合えるので、そこら辺はヒロインとして強いなと思いました。特にものすごく驚く展開自体はなく、普通の話だったという印象です。
やちるの偽妹ひまりについては戦闘ど素人だと思われるのにあんだけ無双してたのは割と謎です。どういう経路で雇われたのかの明確な描写はなかったはずだから、何も言えませんが。
加護√
世界はお前を許さないだろうけど、俺はお前を許すよ系エンド。この手のストーリーに関しては、私はいつもどう解釈していいかわからず思考ストップしてしまいます。こういうのって2人を祝福すべきなんですか…?
それはそうと、加護はすごい好きなキャラでした。眼鏡姿が好きです。
幸√
これが「虚空のバロック」の全てと言い切れるルートでした。ひとりとひとりが、ふたりになり、みんなになり、最後はひとりに戻る。幸先輩の真実については、語りたいことも今はありませんので割愛します(思うところはたくさんありますが言語化するのが難しい)。
尾崎とのやりとりの後から、まさかの表舞台へ再登場をしてくる優理。そこからは明確に『自分と他人の(自分に対する)認識の違い』と、『「ひとり」でいることの肯定』をテーマに据えてのお話が始まります。ここの優理と直のレスバは、他のレスバ有り作品の中でも上位に匹敵するくらい好きなやりとりでした。
また、この√の終盤では各ヒロインの決断も面白いところでした。やちるは(結局直に気がついてもらえたか、同行を許してもらえたかはわからないけど)直の元へ行き、加護は2人とさよならをする決断をしました。普段のlight作品ではここまで別れを殊更主張したことはなかったので、目を見張るものがありました。神座では一部そのようなこともありましたが…。
絆、憧れ、友情、愛など、「ひとり」を超えた数での繋がりには色々あります。それらを否定せず、「ひとり」であることを肯定したエンディングは考えるものがありました。
ラストに「ふたり」であることを象徴するキャラである、古雅幸の描写が挟まります。作中唯一の「古雅幸視点の古雅幸」を最後に持ってきたのはニクい演出であるものの、大変に心に傷がつきました。
その他
・設定
異なる理を持つ超能力者たちが一堂に会するというのは、ガキなのでワクワクします。そういう作品ってあんまりない気がします。
特にやちる√のウォーゼルVS加護は戦闘時間は短いものの描写そのものは面白かったです。
これに関しては、米国や中国に十分な出番があったかが微妙なところが惜しかったところです。このような設定は、どちらかと言えば敵方重視の“いつもの”light作品で見たかったと感じました。そうなると敵の人数が多すぎて話がとっ散らかりそうですが。
・絵
メタヲさんの絵はそこまで好きじゃないかもと思っていましたが、lightのアニメ調の塗りだと親しみやすい感じになっていてよかったです。雰囲気は同ブランドのイカベイっぽい。
背景はlight作品の中でも特に使い回しが多かった印象です。確認できただけでもVermilion、Zero Infinityからの使い回しが多かったと思います(真理のアジト、加護√での公園等)。
総評
集団レイ…も慰めックスも、カニバも四肢欠損もグロも…このゲームを構成する要素のうちそれなりの割合を占めるものは、私自身は好きではありません。
そんなゲームをあえてやってるのは馬鹿としか言いようがないことは自覚していますし、その上でこんな感想まで書いてるのも、この作品を作った方々に対して今も大変失礼だと思っています。
しかし私にとってはやって良かったと言い切れる作品です。大変面白い作品でした。