ロボ×乙女ゲー。いわゆる“糖度”は低めだと思われる。ロボに乙女ゲーの文脈が載るだけでこれだけ面白いと感じるのはびっくりだった。
作品への好感度 A(S・A〜E)
他人へのおすすめ度 C(S・A〜E)※あくまでここはエロゲーの批評場所なので
各ルート・エンディングの感想、総評の順になっています。
プレイ順:アタルヴァ→シュド→クレイドル→ロウ→ヤジュル→トゥルー
評価:トゥルー=シュド>アタルヴァ>ヤジュル>ロウ>>>クレイドル
アタルヴァ√
おっちょこちょいでどこか間の抜けた、何をさせても上手くいかない、いわゆる“ドジっ子”である彼は、見ていてもずっと飽きませんでした。初めて共通部分を駆け抜けたということもあり、彼への感情移入度は高かったです。
後半、彼は脳が壊死してしまうような状況に陥ってしまい、生体コンピュータに脳の機能を移植する展開になります。主人公もずっと一緒に過ごしてきたシュドもそのことに対して葛藤はしますが、プレイヤーである自分の葛藤時間よりかなり短く、困惑しました。果たして後半のアタルヴァは、自分が好きだったアタルヴァと呼べるのだろうか…?この悩みはFDをプレイしても引きずりそうです。
シュド√
熱血王道主人公かつ、今度はそもそも脳みそがない攻略対象。美少女ゲームなら微妙に許されなさそうな設定をバシバシお出ししてくるのには思わず笑みがこぼれます。
シュドの過去から現在への変遷が面白く、現在の仲間たちとの共闘だったアタルヴァとは違い、過去の騎士たちとの共闘はこれはこれで胸を熱くするものでした。1ルート目固定でもいいのではないでしょうか。
クレイドル√
推しなのに、推しに恋愛感情持たれることが割と嫌だと感じたのは、これまでの彼の動きを恋愛感情からくるものだと言いたくないからなのか、このルートの出来がイマイチだからなのか判別つきません。
話自体短い上に容姿を選択できる意味不明な作りで、唯一なくても良かったルートなのでは、と思いました。おねショタは個人的にすごく嬉しかったのですが…
ロウ√
どちらかといえばヤジュルが好き?だったので後回しにした結果、先に攻略。創世記という名の追加エピソードも多く、読み応えがありました。
しかし途中で主人公が姉イヴに交代し、元々の主人公である妹イヴはハッピーエンドを迎えても完全な形で帰ってきていませんでした。このことやロウがやってきたことなどを考えると、多少ハピエンでも胸糞が悪い話ではあったかなと思います。
ヤジュル√
ヤジュルに関しては「戦時だから彼の行いは仕方ない」という面と、「ヤジュル自身割と利己的な目的で人類を滅ぼしたのでやはり滅されるべき」という面の両方を持つのが難しいと思いました。彼の作中最大の罪、「姉イヴの身内殺し」については1つ目の話で打ち消せますが…
しかし「本作の攻略対象である」ヤジュルは「姉イヴの身内殺し」をしたヤジュルと実はイコール関係にないと考えることもできるため、そこは逃げ道として設定してあるのだろうなと思います。(クレイドル達との会話で、復活した人間と過去の彼は完全な同一ではないという内容があったため)
彼の今後の生き様によって、色々と印象が変わってきそうなエンディングでした。
トゥルー
過去の騎士たちの出番はほぼなかったものの、ギルとアイナが大活躍だったのは個人的に嬉しかったところ。
また、ロウとシュドのタッグやアタルヴァがヤジュルを一喝するシーンなど短いながらも見たかったものが見れたかなと思います。
その他
・シナリオ構成
作品の殆どは共通ルートでできており、一周目は濃厚な体験だったものの、残りはかなりスキップで飛ばせる仕様でした。飛ばせない部分もあまり差異がないことも多く、少し残念。
総評
乙女ゲームのノリ×ロボット燃え=不思議な気持ちになる作品。スキップするシーンがひたすらに多いことを除けば、糖度(乙女的甘さのある展開)も低く大変楽しみやすい物語だったかと思います。FDをプレイするのが楽しみです。