勢いだけで全てを吹っ飛ばしていった作品。この作品は適当なところ(粗)は見ないフリをすると大変楽しめます。
作品への好感度 S(S・A〜E)
他人へのおすすめ度 S(S・A〜E)※「電激ストライカー」をプレイする必要なし。緻密な設定より勢い任せが好きな方向け
各ルート・エンディングの感想、総評の順になっています。
やった順:共通→零の章→天の章→愛の章→空の章→鋼の章(リン)→鋼の章(クリエ)→光の章
評価:愛>光>共通>空=零>天>>>鋼
共通
基本ギャグ。昭和チックな結城ヤマトのご近所さん物語。
アパートの薄い壁一枚隔てた先は悪の帝国のアジト、しかしお互いに存在に気がつかずに「良いお隣さんだ」と思っている、という体で延々と続いていきます。真っ当にシリアスものを期待した人にはウケが悪そうですが、自分は好きです。
零の章
はるな√かつ鋼の章の前章。無印・超共にOP映像は零の章を中心に作られていると感じました。主にヤマトとはるな、先遣隊をメインにした話作りで、ミラー大佐が狂っていくのを契機にして、ヤマト自身も「ストライカー零になりたい」と願った幼少期ヤマトと向かい合うことになる展開。呼び出されたストライカー零であるヤマトは、ストライカーになりたいと願った幼少期ヤマトに対してかなり複雑で割り切れない思いを抱いていることが垣間見えるのが良かったです。
個人的にはフェニックスとロッシュの会話が良かったです。普通に原作漫画読みたいと思わされました。あとはミラー大佐の介護を、してたリンと結城ママのシーンはすごい好きです。
愛の章
ヒルコ√。私がこの作品に対する評価が高いのはほとんどこのルートの存在のおかげだと思っています。ヒロインが可愛い。唯一完全に独立した章ということでそこそこ独自性があると思いました。
天の章
さやか√かつ空の章の前章。つまりさやかを仲間に「ちゃんと」引き入れた時点で現実の生き残りは春奈1人(結城パパママもだけど)になることが確定する世界。
超で追加された話ではるながとても目立つキャラになってしまったので、さやかは真に1番の不憫ヒロインと化してしまいました。
お話自体は一文字父娘愛の話と、ミラー大佐・幼少期ヤマトのお話がメイン。そこ自体は良かったし、他のルートではほぼ見えてこないさやかの主人公に対する思いがわかったのも良かったのですが…でもほぼ確定空の章ではさやかがあんまりだよ…
空の章
実質さやか√アフター、そして電激ストライカー最終章。ヒロインは本当の結城ヤマトの幼馴染の本郷春奈。主人公はバトンタッチしてミラー大佐(幼少期ヤマト)。ただ、序盤でミラー大佐のミラー大佐人格が消え去ってしまうのは残念でした。展開上仕方ありませんが。
寂しさ漂う結末は心に悲しさと暖かさをくれました。ストライカー零が漫画の中に帰る決断をあっさりしたのは、多分ミラー(幼少期ヤマト)との関係が良好だったのと彼が選び取った結末が良いものであったところが大きいかなと。このルートだとはるなはともかく、残りのメンツは漫画世界に帰るのがベターな選択なのでこのような結末もやむなし。
好きなシーンは最後、子ども達とけんだまをしている春奈のシーンです。
鋼の章
クリエ√かつリン√、もしくは光の章の前章。クリエかリンのルートとして話が終わった場合のみ、現実世界を生きるストライカー零としての結城ヤマトの願いが叶ったのだと思います(光の章では叶わないので)。だから結末だけ見てると、鋼の章で終わりにするのが本来の幸せを得たままのエンディングだと考えてしまいます。
この章から入ってくるクリエ中佐があまりにも強ヒロインすぎて、まさかの共通の序盤からヒロインムーブしていたリンが霞むという…Hシーンもクリエの方が良かったですし。
ただ、リンの墓参りシーンは泣きました。
光の章
超電激ストライカー最終章にふさわしい話でした。結城ヤマトが女に脇目も振らずに突き進んだ結果、本来の結城ヤマトと本郷春奈を救い出せました。漫画は漫画の世界、現実は現実とある程度割り切ることになってしまうエンディングは賛否両論かなとは思います。
でも、夢から生まれ出たヒーローである結城ヤマトと幼少期ヤマトが唯一ちゃんと不満点をぶつけ合い、和解した話で好きです。零の章では選び取れなかった選択ですし、単純にミラー大佐のミラー大佐人格を再び見ることができて嬉しかったです。
エンディングのヒーローになりたい少年を激励する結城ヤマト(幼少期の成長した姿)のも良かった。こうやって意志は受け継がれていくんだっていうのを明確に決着点に持ってきていて電激ストライカー収録シナリオを読んでいた時の不完全燃焼感がなくなりました。
しかし他の話では普通に押し切れていた強化兵の攻撃にあそこまでダメージ喰らってたのは何故だ?とか引っかかるところもありました。とにかく早く出なきゃいけないから、推進することにエネルギーのリソースを割いていたということにすればギリギリ辻褄は合うのでしょうか。もしくは「ストライカーの力が消えかけている≒漫画の電激ストライカーとは別世界線として世界が閉じようとしている」みたいな感じ…?
不満点
今までやった作品の中でも目に見えてアラが多い、説明不足感が否めないと思いました。プレイヤーとして想像で補わなければならないシーンがあまりにも多すぎる。
光の章については一文字家(や本来バルボラ帝国本土が浮上してこなければ話の主題になってたはずのストライカー研究所)は光の章の途中から完全に放置ですし、なんなら最後の方は一文字家の出番がないため彼らがどうなったのか・どうしたか・どう思ったも不明です。ここら辺は結城ヤマトの物語として話作りの幅を狭めていったデメリットかなと。
話の根幹中の根幹であったはずの「思い出コレクター」についてもかなり使い勝手が良すぎる設定なため、人によっては拒否感を示す気がします。ただの舞台装置として割り切るのが一番なんですかね。
また、カーチスを「悪の帝国の悪い悪役」というキャラでしかないと考えるしかないということ。それはいいのだけど、彼の出番は個別ルート全てにわたってあまりにも多すぎるため、やはりダレてくるのは否めなかったです。
総評
すごい良かったと思います。
結末が全員に完全な幸せなのか頭をひねるところも含めて。主題さえちゃんとクリアできていればアラは気にならない人なら好きになれると思うので、ヒーローに憧れたことがある人には一度やってみて欲しいです。