ErogameScape -エロゲー批評空間-

no-attさんのFate/EXTRA CCCの長文感想

ユーザー
no-att
ゲーム
Fate/EXTRA CCC
ブランド
マーベラス(マーベラスエンターテイメント、マーベラスAQL)
得点
90
参照数
215

一言コメント

Fate/EXTRAのFDとして良作でした。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

作品への好感度   S(S・A〜E)
他人へのおすすめ度 C(S・A〜E)※EXTRAのプレイ必須。現在DL版が激安のためおすすめ

前置き
通常エンド、サーヴァント(鯖)エンド、CCCエンド、おまけのBBおしおき、と一応は一通りイベントを見たのでとりあえずクリアとさせていただきます。

ルートごとの感想は書かずに良いと思った点、悪いと思った点、どちらとも言えない点が記してあります。

一周目 女主人公×セイバー、通常エンド→鯖エンド
二周目 男主人公×アーチャー、CCCエンド→鯖エンド
三周目 男主人公×キャスター、鯖エンド



■良いと思った点
・ストーリー/設定
①前作キャラ・ストーリーを踏まえた上での構成(全体的な話)
前作は途中から奈須きのこ氏が本格参戦したようで、ストーリーラインはとっ散らかってはいなかったものの、いまいちパンチにかける作品という印象でした。
今回は前作キャラも新キャラもめいいっぱい使い、やりすぎレベルではっちゃけつつも締めるところは締める、という緩急ついた構成でした。
前作FDと続編と新作という立ち位置のいいとこ取りをしていたと思います。

②新キャラ
新キャラが前作キャラに負けずによかったと思います。
個人的に好きなのはラスボス系後輩ヒロイン・BB、思い入れがあるのは三十路引きこもりゲーマー・ジナコです。

③前作キャラ
前作初戦敗退組のマスターである間桐慎二を筆頭に、片方のルートでしか出ないガトー、ルートの分岐はするものの差異があまり感じられなかったラニ=VIIIと遠坂凛など、やや語られずじまいなところも多かったEXTRAのキャラと、体感時間で長めに時間をかけて会話できたことは本当によかったです。
ガトー出てきた時は本当におったまげましたが。

④衛士、SG
キャラクターの秘密を暴いていくことで、そのキャラの掘り下げができています。
加えて、そこにダンジョン攻略やボス戦などのRPG要素が上手く噛み合ったものになっていたのが良かったです。
作品全体にこの設定が必要不可欠なものとなっており、ノベルゲーのみでは表現しきれないものを表現できていたと思います。

⑤ジナコとカルナの話
ジナコはプレイヤーによって特に好き嫌い、傷になるならないがわかれるタイプのキャラクター設定だと思います。
私はやや好き寄りで、傷になったタイプです。凡人が凡人のまま救われてもいいのだなと思いました。カルナもカルナで感情が薄い(感情表現が平坦な)タイプで最初はあまり得意なキャラではありませんでしたが、この凸凹?なコンビは見ていて楽しかったです。

⑤CCCエンド(全体的な話)
extraシリーズの集大成といっても過言ではない、オーラスに相応しい話でした。
男主人公×アーチャーを選んでプレイしたからそこまで傷つきませんでしたが、他の組み合わせだと浮気みたいで結構苦しいかもしれません。

⑥キアラとアンデルセンの話
最後の最後の局面で、再びラスボス戦の場所に戻ってくると真相が見られるのはなかなか気が付かない気がします。気がついたからなんとかなりましたが。(最初はこの部分は減点対象にしようかと思いました)
でも、主人公たちが初めからいたらアンデルセンもあのような話はしないと思われるのでそこは致し方なしかと。アンデルセン、最初はまあ別に…なキャラだったんですが最後のシーンはひたすらに良かったと思いました。
キアラは……宝具演出どうにかしてください……


・テキスト
電脳世界らしく漫画、ゲーム等のパロディ、CERO:Dギリギリな性的な話、前作キャラのキャラ崩壊にも見える語り口調等、やりたいようにやってたなーと。


・OP
まさかのシャフト。しかし歌詞も曲調もアニメーションも、全てが綺麗に噛み合ってこの作品特有の雰囲気が出ていて大変良かったです。地味に男主人公、女主人公用が用意してありましたね。


・BBチャンネル
BBチャンネルを考えた人は本当に頭がいいなあ、とぼけっと思ってしまうくらいにはこの作品にぴったりな演出でした。


・セーブ、リトライ
ダンジョン内セーブが可能になり、かなり楽になりました。また雑魚戦でもリトライ可能となり不慮の事故死で1時間が水の泡…ということもなくなったのでよかったです。



□悪いと思った点
・ストーリー/設定
①メルトリリス
メルトリリス自体extraキャラであるありすを蝋人形にして花園の真ん中に放置したり、ミドチャやエリザなどを乗っ取ろうとしたりと特にいい印象は抱きませんでした。
後は……見ていないものに対して批判するのもおかしな話ですので手短に書くと、女主人公×アーチャーだとアーチャーに一目惚れするのは意味不明では?という感じです。

②ガウェイン
ガウェイン自体が悪いキャラという話ではなく、サーヴァントとしての活躍があまり見られずに戦闘方面ではやられ役めいていたのが残念だという個人的な話です。


・周回要素
主人公(2)×サーヴァント(4)×ルート分岐(3)という前作以上の無茶ぶり。サーヴァントのレベル引き継ぎなどはありますが…


・matrix
SGが入った関係か、前作と違ってマイルームでしか参照できなかったのは謎です。



△どちらとも言えない点
・ゲームパート
前作からのかなりの改善は見られましたが、周回のことを考えるとやはり少し重荷です。


・パートボイス
前作の倍以上はセリフに声があててありました。
ただたまに欲しいところにボイスがついていなかったり、ここいる?という場所にボイスがついていたり等、多少チグハグな印象を受けました。
また言峰には声がついたのに相変わらず大河はなし、というのもよくわかりませんでした。


・画質
前作より格段に良くなり、PSVITAの画面でも見やすくなりました。
しかし前作と変わらず文字が潰れ気味であったり、3Dモデルがガタガタ震えているように見えたりして見栄えが悪かったところも多かったです。



総評
前作をうまく調理するとこうなる!といういい例となる作品だと思います。800円なら是非やって欲しい一作です。