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nezumoさんの9-nine- ゆきいろゆきはなゆきのあとの長文感想

ユーザー
nezumo
ゲーム
9-nine- ゆきいろゆきはなゆきのあと
ブランド
ぱれっと
得点
88
参照数
704

一言コメント

前3作を引き継いだシナリオの締めとして、シリーズモノの良さが本当によく出ていた。希亜はわけわからんくらい可愛いし、大満足の1本でした。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

今まではなんだかんだ独立したひとつの作品としても楽しめましたが(普通にめちゃめちゃ繋がってますが)、
今回は間違いなく今までの3作すべてをプレイしていることを前提としていて、その上で時間を巻き戻して話を進めることが主になっている。
時間を巻き戻して記憶を引き継げるというのは最強設定だしそれだけでもそれなりに好きなんですが、
これに対してプレイヤーが介入し、場をかき乱すことができるという設定がついているのが面白いところです。

プレイヤーサイドにできてイーリス(与一)サイドにできないこと、これがプレイヤー側の意志の反映という形でアドバンテージになっている。
基本的には観測者としてしか物語を見ることができないプレイヤーですが、そこに一定の介入を許している点が自分は好きでした。
翔も与一も都合の悪いことがあれば時間を巻き戻し、またやり直せばいいだけなので、
プレイヤーという特殊な存在がいない限り物語が終わらないようにできていると思います。
物語の中盤にそういう状態になっている場所がありますが、2人が時間を繰り返せる限りどうしようもないんですよね。
だからそこには、2人を更に上の立場から見ることができる存在の介入が必要になる。
物語を楽しんでいるプレイヤーには2人の動きも、結局は物語という箱庭の中の行動でしかないので、
キャラクターというのは、一声でどうとでも書き換えられるちっぽけな存在とも言えなくもないわけです。


最初の幸せ(?)なエンドを迎えてから、途中でエンディングをぶった切って真√に突入させる演出も大好きでした。
なんとなくこれで終わりじゃないのは分かっていましたが、そう来るかと思いました。
ぼーっと眺めてたら画面が切り替わって正直びっくりしましたけど、この演出一つでも物語の没入度合いがかなり上がったと思います。
結局のところ、プレイヤーとしての自分が何かを行わない限り話が前に進まないんですよね。
それを前の3作の良さを生かしながら、上手にシナリオに組み込めていたのが大好きなところです。


それはそうと翔の女になっていく希亜があまりにも可愛すぎてズルい。
最初戻ってから声をかけるシーンは厨二病的な意味でちょっと憧れてたんですが、そこで惚れてしまうのがもう運命というか、
やっぱり最後に選ばれるヒロインというのは特別感があるような気がします。他の3人も大好きだけど。

本当に最後の方ですが、「浮気したら、死ぬからぁ~……っ」のボイスが大好き。やった人なら伝わりそう。
こんなこと言われたらもう……ね。やっぱりこういう一途な女が好きなんでしょうね。

あと終わった後のタイトル画面がアレになるのが本当に好き。
タイトル画面が変わる演出は最高なのでいろんなメーカーさんに取り入れていただきたいものです。