作品独特の雰囲気の良さは前作から綺麗に引き継がれていた。ライターは変わってもやっぱり働くオトナの恋愛事情でした。長文は前作を踏まえた上で感じたことなど。
そもそも働くオトナの恋愛事情がかなり好きな作品なので、その分の補正は当然かなりの割合であるものの、
この作品単体で見ても雰囲気の良さは上手く引き継がれているし、前作のキャラが引き続き出てくることも含めて大満足だった。
雰囲気の良さで評価するというのは正直個人的な趣味の割合が大きく、もしかしたらこの作品も引いて見てみれば凡作になってしまうのかもしれないけれど、
バーでの出会いを通した主人公の成長、2人の恋愛が丁寧に描かれていることなども含めて、
今作流の「オトナ」の描き方は独特の魅力に溢れていて、やはり目を見張るものがある。
基本的には前作と似たような感想になってしまうので、2特有の魅力をメインに色々と書いてみる。
①お酒の使い方が上手い
これは前作もそうなのだけれど、アルコールを通して2人の世界を作ることに重点が置かれている。
必ずしもアルコールの力に頼りきっているというわけではなく、バーで会ったから、最後の一押しに…という具合に使われていることが多い。
翌朝酔いが冷めて昨晩のことを後悔するような描写こそあれど、気持ちを伝えられたことに後悔はなかったり、
そういう具合で上手くお酒の力を借りて物語を進めていくので、こういうお酒の雰囲気が大好きな自分としては既に大満足である。
こういう事情もあって付き合い始めるより先に身体を重ねてしまうことが多いが、裏を返せば新鮮な付き合い始めが沢山見られることになる。
特にお酒を使うのが上手いと感じたのは旭√。
旭は正直あまりアルコールには強くないキャラクターなのだが、だからこそお酒を飲むと自分の愚痴を積極的に話し始める。
普段は良い子でいよう、嫌われないようにしようと気を張って生きている性格なだけに、このお酒が入った時のギャップが素晴らしく可愛い。
また終盤の展開では、あと一歩主人公に自分の過去を話す勇気が出ない場面で、お気に入りのカクテルの力を借りて話し始める描写もある。
ある意味クスリのような使い方がされているのもそうだが、飲んだら絶対話し始めてしまうと分かっていながらそれを飲むというのも良い。
この一連の展開が好きすぎるが故に、シナリオで見ると一番好きな個別√になった。
②前作のキャラクターの貫禄が凄い
2をやってかなり満足度に響いてきた部分。
前作のキャラクターが色々とパワーアップした状態で主人公やヒロインを助けてくれるポジションになっている。
前作のキャラを出すと聞いた時、性格や設定がズレてしまうのではないかと、ライターが変わる懸念はここに一番集中したが、
未来を上手く引き出し、キャラクターに適した今の状態を描いてくれているので、幻滅するどころか満足度が跳ね上がってしまった。
前作のキャラの過去はちょいちょい出てくるが、説明されるわけではなく「あんな感じだったね~」程度のノリなので、プレイしていないとついていけないかもしれない。
逆に言えば、前作をやっている人には素晴らしいサプライズに変わる。
こう書くと前作をやっているのが今作をプレイする前提みたいになってしまうが、実際それはあるような気がする。
ちなみに2をプレイして自分が抱いたイメージはこんな感じ
男鹿さん(前作の主人公)
前作では今作の主人公と似たような立ち位置だったのに、完全にデキる先輩になってしまった。
仕事でも助けてくれるし、なんかCVついてるし、イメージ変わった…って程でもないけど結構びっくりした。
甲斐谷さんの初手ビールって元々男鹿さんの設定ですよね。こういうとこも地味にファンサービス。
浦富さん
おじさん目線での軽口が面白い。部下に気を遣える性格も相変わらず素晴らしい。地味になくてはならない存在。
アスカ
日常会話が最高。年下的立ち位置(主人公から見れば先輩でもある)や女の勘が存分に活かされている。
今作の活躍では一番好みだった。てかどうやって入社したんですかね。高校卒業してそのまま?
美優
謎の強キャラ感が出ている。しれっと一杯プレゼントしてしまうようなところが大好き。
鈴音√が美優さんの話とそっくりだったので、個人的には美優さんのアドバイスに心を強く動かされるような描写が欲しかったかも。
優里香
本編とそっくりの性格のまま貫禄だけが追加されている。世話焼きで気を遣えるイメージが特に強かった。
男鹿さんのお見舞いに来ないあたりが特にそれっぽくて可愛い。
ともえ
前作と同様軽口がとにかく面白い。男鹿さんとの独特の距離感も生きている。
上手く表現できないけれども、莉香子との会話が大人のお姉さんの会話って感じで好き。
紗夜子
他のメンバーと比べると頻度が少なかったからか、前作のキャラとの絡みがメインだったように思う。
逆に言えば紗夜子が出てくるシーンは前作の雰囲気に限りなく近いので、そういう意味では低頻度ながら印象的。
③サブヒロインの分離
前作同様、行為に入ると初めて顔が見られるドキドキワクワクのサブヒロインとのHシーンがある。
しかし共通で数回、残りはノーマルエンド(?)で出てくるので、個別√には干渉しない(=つまり浮気しない)
個別√とサブヒロインのHが分離されているので、個別は純粋なイチャラブを楽しめる。
主人公が純粋にヒロインを愛してるし、愛の力で問題解決を図るので、イチャラブゲーとしてはこちらの方が好みかも。
どれも似たような展開ではあるものの、職業や付き合い方が違えばその分の違いは当然出てくるし。
それにしてもノーマルエンドの最後はかなり衝撃的だった。
恋破れて死のうとする白川さん、それを止めようとして死ぬ主人公、それを追いかける白川さん……
特定の誰かを愛し尽くすことができないとこのようなゴタゴタに巻き込まれ、めんどくさい女に目をつけられ死ぬという、
ある意味本編のヒロインとの恋愛とは真逆の形をとっているのは色々と考えてしまうポイントでもある。
誰か1人を愛して幸せになるか、それとも2人3人と手を付けてそれが全部自分に跳ね返ってくるのか。
ライター(?)の恋愛に対する価値観を暗示している捉えられるし、非常に面白い試みだと思う。賛否は分かれそうだけれども。
まとめ
この作品の一番好きなところは、雰囲気とは言っても一番言葉にしにくいところだったりする。
例えば奢る奢らないの駆け引きだったり、しれっとアルコールを少なめにしておく優里香さんの気遣いだったり、
お酒を飲めるという環境で出会う仲間だからこそいろんなカクテルが出てきたり。
酔うまで飲んで愚痴をぶつけたり、逆に聞く側は愚痴に付き合ったり、それこそお酒を通して身体を重ねる展開になるのもそうで、
こういう題材でしかできない…ってことはないだろうけど、こういう題材だからやりやすいことが詰め込まれていて、
それが非常に魅力的なキャラクターたちと素晴らしいテキストに彩られているからこそ、こういう空気感が生まれるのだと思う。
結論としては、続編として自分の満足できるこの上ない形で生まれてくれたという感じ。
イラストは少し年齢が下がった感じに見えるけれどもこれはこれで前作のキャラとの差がついてて良いし、音楽は相変わらず素晴らしい。
こういう自分の好みにハマった作品を発売と同時にプレイできたことが本当に幸せでした。
ちなみに一番好きなヒロインは莉香子さんです。
ともえちゃんとの関係は勿論、真面目なところと抜けているところが交互に来るような性格が好き。